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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
管理番号 1055275 
審判番号 無効2000-35102 
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-02-21 
確定日 2002-02-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第4328761号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4328761号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4328761号商標(以下「本件商標」という。)は、「はいはいサポート」の文字(標準文字による。)を書してなり、平成10年6月16日登録出願、第25類「乳幼児のひざ保護用サポーター,その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成11年10月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の引用する登録商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第706113号商標(以下「引用A商標」という。)は、「サポート」の片仮名文字と「SUPPORT」の欧文字とを二段に横書きしてなり、昭和39年9月8日登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和41年5月6日に設定登録され、その後、昭和51年10月7日、同61年5月21日及び平成8年8月29日の3回に亘り、商標権の存続期間の更新の登録がされ、現に有効に存続しているものであり、同じく、登録第1863579号商標(以下「引用B商標」という。)は、「SUPPORT」の欧文字と「サポート」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、昭和59年6月25日登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和61年5月30日に設定登録され、その後、平成8年8月29日に商標権の存続期間の更新の登録がされ、現に有効に存続しているものであり、同じく、登録第2223277号商標(以下「引用C商標」という。)は、別記(1)に表示したとおりの構成よりなり、昭和63年1月22日登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成2年4月23日に設定登録され、その後、平成11年12月21日に商標権の存続期間の更新の登録がされ、現に有効に存続しているものであり、同じく、登録第2675818号商標(以下「引用D商標」という。)は、「ハイ・サポート」の片仮名文字と「HIGH SUPPORT」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成4年3月4日登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成6年6月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
また、引用A商標ないし引用D商標をまとめて、以下「引用商標」という。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、請求の理由を次のように述べ、証拠方法として別紙1ないし別紙5及び甲第1号証ないし甲第23号証を提出している。
(1)本件商標は、請求人の所有に係る引用商標は、その先出願に係るものであって、両商標は相類似しており、その指定商品も類似するものである。
また、引用商標は、以下に述べるとおり、昭和46年より現在に至るまで、使用中の商標であり、請求人及びその使用許諾先の使用により、「サポート」「SUPPORT」パンティストッキングは取引者、一般需要者に広く認識されるに至っている。従って、請求人の周知著名商標を主要部とした本件商標が、その指定商品に使用されたときは、請求人または請求人と何らかの関係がある者(請求人の使用許諾先等)の業務に係る商品であるかのごとき混同を生じさせるおそれのあることは明白である。
(2)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する理由
本件商標は、次に述べる理由から「サポート」の称呼をも生ずる。
(ア)本件商標の前半部の「はい・はい」の語は、「高い、高級な」を表す英語「HIGH」の繰り返し平仮名表記であるから、その商品の品質、状態を形容して表すにすぎない。更に、本件商標はその構成が平仮名「はいはい」と片仮名「サポート」の結合であるため、仮名文字の種類が異なることによって商標が容易に分断され、その結果、後半部の「サポート」の部分のみが取引者・需要者に際だって強い印象を与えるものである。
(イ)本件商標は全体として特定の意味合いを有するものではなく、また8音という比較的冗長な音調であるため、一体不可分のものとして把握しなければならない必然性は全く認められない。
(ウ)本件商標の後半部を構成する「サポート」は、後述するように請求人及び請求人の許諾先各社の取り扱いに係る許諾商品、とりわけパンティストッキングの商標として周知・著名なものであるため、この語が取引者・需要者に極めて強い印象を与えるものである。
(エ)商標による商品の取引きは、必ずしも商標の全体構成をもってなされるものではなく、その主要な部分で略称されるものである。
上記の理由から、本件商標はその主要な部分である「サポート」として観察されることは明らかであり、簡易迅速を尊ぶ取引きの実際においては、単に「サポート」と略称されることが十分あり得ると考えるのが相当である。
他方、引用商標からは「サポート」の称呼を生ずることは明らかである。
してみれば、本件商標と請求人所有に係る引用商標とは、「サポート」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ本件商標の指定商品は引用商標の指定商品に抵触するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は無効にすべきものである。
(3)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由
請求人は、引用商標を、昭和46年より現在に至るまで、請求人を中心として構成されている一定のアパレルメーカーに対し、パンティストッキング等の靴下関係商品等(以下「許諾商品」という。)に使用許諾している。請求人及びその使用許諾先の使用により、「サポート」「SUPPORT」パンティストッキングは取引者、一般需要者に広く認識されるに至っている。
引用商標を許諾商品に使用していることを立証する資料の一例として、次のものを提出する。
(ア)福助(株)のパンティストッキングのパッケージ(甲第1号証)
(イ)グンゼ(株)のパンティストッキングのパッケージ(甲第2号証)
(ウ)厚木ナイロン工業(株)のパンティストッキングのパッケージ(甲第3号証)
(エ)ラモナー(株)のハイソックスのパッケージ(甲第4号証)
(オ)神戸生糸(株)のパンティストッキングのパッケージ(甲第5号証)
また、請求人は、引用商標を許諾商品の広告・宣伝に使用してきた。これを証する一例として次の証拠を提出する。
(カ)平成2年2月15日付広告・宣伝(日本服装新聞)(甲第6号証)
(キ)平成2年3月26日付広告・宣伝(センイ・ジャアナル)(甲第7号証)
(ク)平成2年6月25日付広告・宣伝(センイ・ジャアナル)(甲第8号証)
(ケ)平成3年3月20日付広告・宣伝(日本繊維新聞)(甲第9号証)
(コ)平成8年4月6日付広告・宣伝(繊研新聞)(甲第10号証)
(サ)平成8年5月28日付広告・宣伝(繊研新聞)(甲第11号証)
(シ)平成8年7月6日付広告・宣伝(繊研新聞)(甲第12号証)
(ス)平成8年8月22日付広告・宣伝(日本繊維新聞)(甲第13号証)
(セ)平成8年8月26日付広告・宣伝(日本合成繊維新聞)(甲第14号証)
(ソ)平成8年9月16日付広告・宣伝(日本合成繊維新聞)(甲第15号証)
(タ)平成8年10月14日付広告・宣伝(日本合成繊維新聞)(甲第16号証)
(チ)平成8年11月11日付広告・宣伝(日本合成繊維新聞)(甲第17号証)
(ツ)平成10年5月19日付広告・宣伝(化合繊新聞)(甲第18号証)
(テ)平成10年8月17日付広告・宣伝(繊研新聞)(甲第19号証)
(ト)平成11年1月15日付広告・宣伝(センイ・ジャアナル)(甲第20号証)
(ナ)平成11年5月11日付広告・宣伝(化合繊新聞)(甲第21号証)
(ニ)平成11年10月4日付広告・宣伝(日本合成繊維新聞)(甲第22号証)
(ヌ)平成11年11月5日付広告・宣伝(センイ・ジャアナル)(甲第23号証)
したがって、請求人の周知著名商標を主要部とした本件商標が、その指定商品に使用されたときは、請求人または請求人と何らかの関係がある者(請求人の使用許諾先等)の業務に係る商品であるかのごとき混同を生じさせるおそれのあることは明白である。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は無効にすべきものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は、成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、請求の理由に対する答弁を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標は、引用商標とは「はいはい」の有無で顕著に相違し、明らかに非類似であり、商標法第4条第1項第11号には該当しない。
尚、請求人は、引用商標を提示するが、これにより、被請求人は、引用商標の商標登録の状況や指定商品等を一切確認することができない。
(イ)本件商標は、全体の構成や各語の結合状態、更に「はいはいをサポート(する)」等の一種独特の観念・イメージから、不可分一体と認められ、一連でのみ判断されるから、「サポート」のみの称呼が生じることはない。
(ウ)(a)「はいはい」は、「高い、高級な」を表す英語「HIGH」の繰り返し平仮名表記とは認められず、商品の品質・状態を形容して表すことは無い。
英語「HIGH」が商品の品質・状態を形容し得ることは認めるが、この英語の用法に、これを繰り返して「HIGH HIGH」等と表記する用法は無い。一方、「はいはい」は、社会通念上、常識的には「応答の意を表す声・掛け声」の一種か或いは幼児語で「這うこと」を意味する「這い這い」に照応すると認められる。
従って、「はいはい」は、請求人主張のとおり、欧文字「HIGH」の繰り返し平仮名表記とは認められず、結局、商品の品質などの記述的表示となることもない。
次に、本件商標が、平仮名「はいはい」と片仮名「サポート」の結合であることは認めるが、仮名文字の種類の相違から、容易に分断されるとは認められない。
即ち、本件商標は、同書同大等間隔で構成され、極めて一体的な態様であり、後述する一連の称呼や観念・イメージの一体性により、これを平仮名と片仮名の相違のみによって、分離すべき積極的な理由は、何ら認められない。
従って、本件商標の後半「サポート」の部分のみが取引者・需要者にきわだって強い印象を与えることもない。請求人主張は、同書同大等間隔に構成された本件商標の全体を全く無視するもので、自己に都合の良い主張を展開するに過ぎない。
(b)本件商標は、全体として一種独特の観念・イメージを有すると認められ、又、8音で構成される称呼も、一気一連に発音することが極めて容易であり、これを殊更「はいはい」と「サポート」に分離すべき理由は無い。
本件商標中「はいはい」は、掛け声の一種か或いは幼児語で「這うこと」を意味すると認識でき、「サポート」は、「支える、支持する、援助する」等の意味を有する外来語として一般化し、我が国に於いても定着していると認められる。
すると、本件商標に接する需要者・取引者は、「這い這いをサポート(する)」等という一種独特の観念・イメージを想起すると認められる。
よって、本件商標が特定の観念を有しないとの請求人主張は、失当である。尚、本件商標の観念・イメージは、指定商品の記述的表示を直接的に表すものではなく、せいぜい間接的或いは暗示的に、その観念・イメージを表すに過ぎず、又、現実に品質表示等として用いられている事実もないから、全体で識別力が否定されることもない。
次に、本件商標は、称呼「ハイハイサポート」で判断されるが、最近の商標の傾向、特に、既成語同士が結合した結合商標の傾向を考慮すると、8音という音構成が、特に冗長と認めることはできない。むしろ、第1音「ハ」第3音「ハ」及び第6音「ポ」にアクセントを有する本件商標は、極めて語呂の良い語感語調にテンポの良い抑揚を伴って、一息で一気一連に発音されるのが自然である。
従って、観念・イメージ及び称呼の点から考慮しても、本件商標を、前後半で分離して「はいはい」と「サポート」で認識しなければならない理由は無い。
(c)「サポート」の語句が、請求人及びその許諾先各社の取扱に係る許諾商品、とりわけパンティストッキングの商標として周知・著名であるとの請求人の主張に関しては、被請求人は、不知である。又、請求人提出の証拠を検討しても、請求人主張の通りの周知・著名性を認めることはできない。
仮に、請求人等の商品「パンティストッキング」の商標として「サポート」の語句が周知であるとしても、不可分一体で一連でのみ把握される本件商標に於いて、前半の「はいはい」を無視して、後半の「サポート」のみが、取引者.需要者に極めて強い印象を与えるとすることはできない。
逆に、請求人等の商標として「サポート」の語句が周知であるとすれば、それは、あくまで「サポート」という表示として需要者・取引者に明確に認識されているものであり、「はいはい」を前半に有する本件商標が、単なる「サポート」と明らかに相違することは、明白に理解・認識できるものである。
(d)商標の認識・把握は、先ず、その全体構成を以て為すことを原則とする。その際、各語の識別力に強弱があるとか、構成上明らかに分離されるとか、特殊な事情が存在する場合に、要部観察或いは分離観察を経て、特に識別力の強い部分を要部とし、或いは、分離される各部を以て、類否が判断されるものである。
その意味では、必ずしも商標の全体構成ではなく主要な部分に略称されるという請求人主張にも理由があると認められる。
しかし、本件商標は、「はいはい」と「サポート」の識別力は同等と認められ、これを要部観察すべき理由はない。又、前述の通り同書同大等間隔で不可分一体に構成されるから、これを特に分離すべき理由もない。更に、称呼も、一気一連に為すことが可能であり、殊更、これを省略しなければならない理由もない。
従って、本件商標に照らして考慮する限り、請求人主張には理由がない。
以上、請求人が、本件商標から称呼「サポート」をも生じるとした各理由は、全く失当であり、本件商標から称呼「サポート」のみが生じることはない。
(2)従って、本件商標は、前半「はいはい」の有無で引用商標とは顕著に相違し、商標が明らかに非類似であるから、商標法第4条第1項第11号には該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
(ア)請求人は、引用商標は、昭和46年より現在に至るまで使用中の商標で、パンティストッキング等の靴下関係商品等(以下「許諾商品」という。)に使用許諾し、請求人及び使用許諾先の使用により、「サポート」「SUPPORT」パンティストッキングは、取引者、一般需要者に広く認識されるに至っていると主張する。
しかし、上記事実に関して、被請求人は、不知である。
(イ)請求人は、上記(ア)の事実の証拠として甲第1号証乃至甲第23号証を掲げる。
甲第1号証乃至甲第5号証は、引用商標を許諾商品に使用していることを立証する資料の一例として提出されている。
しかし、これのみでは、如何なる内容の使用許諾が、請求人から誰に対して何時為されているのか、明確に認識.把握することはできない。又、これらによっては、そこに表示された商標が、何時どの様に使用されたのかも把握・認識することができない。
又、甲第6号証乃至甲第23号証は、請求人が引用商標を許諾商品の広告・宣伝に使用してきた一例として提出されたものである。これを以て、引用商標に関し、請求人が新聞広告を為した事実は認め得るものの、これらの事実のみを以て、引用商標が周知或いは著名であるとすることは、到底できない。
(ウ)ところで、引用商標は、別紙2ないし別紙5を見る限り、片仮名「サポート」及び欧文字「SUPPORT」或いは片仮名文字「ハイ・サポート」及び欧文字「HIGH SUPPORT」で構成されるが、そもそも当該欧文字は、「支える、支持する、援助する」等の意味を有し、片仮名「サポート」は、同意味の外来語として、我が国で極めて一般的に定着し、普通に用いられている用語である。この様な一般的な用語が、特定の商品の商標として、周知或いは著名になるためには、それ相当の使用実績が必要と認められるが、請求人提出の証拠を以てしては、到底その使用実績を認めることはできず、被請求人としては、周知或いは著名性について不知といわざるを得ない。
特に、同号の規定で、第三者の商標を排除するためには、周知.著名性を要するばかりではなく、その周知・著名性故に、商品の出所につき混同が生じるおそれがあることを要する。しかし、不可分一体に「はいはいサポート」と構成される本件商標と「サポート」「SUPPORT」とのみ構成される引用商標を比較する限り、「はいはい」の有無により、到底出所の混同が生じるとは認められない。
又、仮に、甲第1号証乃至甲第5号証に於いて使用許諾の事実を認め、引用商標が使用されている事実を考慮しても、これらは、あくまで「サポート」或いは「SUPPORT」単独の表示の使用に過ぎない。従って、本件商標に関しては、やはり「はいはい」の有無を以て明確に区別できるものである以上、広義の意味での出所の混同、即ち、請求人が主張するように、請求人等と何らかの関係を有する者の業務に係る商標であるとの誤認を生じさせるおそれも無い。
(エ)従って、請求人の周知著名商標「サポート」「SUPPORT」を主要部とした本件商標「はいはいサポート」が、指定商品に使用されたときは、請求人又は請求人と何らかの関係がある者(その使用許諾先等)の業務に係る商品であるかの如き混同を生じさせるおそれのあるとの請求人主張は、全く失当である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(4)以上の答弁に関し、被請求人は、乙第1号証乃至乙第6号証を掲げる。
これらは、財団法人日本特許情報機構提供のデータベース「パトリス」の照会回答の写しで、各商標の構成や書誌的事項は、添付した各号証を参照されたい。
尚、各号証掲載の商標が、いずれも本件商標と事案を異にすることは、被請求人も充分認識している。しかし、商標法第4条第1項第15号の主張に於いて、請求人は、周知著名となった時期等を明示せず、その時期は被請求人も特定できないから、時期的なものは無視して主張を展開せざるを得ないところ、各号証は、本件商標に関する無効理由の評価に関して、充分参酌されるべきものである。
(ア)乙第1号証は、商標「ハイハイスーツ」と商標「ハイハイ」の登録の事実を示す。尚、商標「ハイハイスーツ」の指定商品は、「スーツ」である。これらは、いずれも平成2年登録であるが、「ハイハイ」に識別力が認められている。又.当時から最近に至る迄、欧文字「HIGH」の意味や用法が変化したという特段の事情は存在しない。
従って、本件商標中「はいはい」が、商品の品質や状態を形容し識別力が無いとする請求人主張は、明らかに失当である。
(イ)乙第2号証の商標は、漢字「足揮」と片仮名文字「サポート」が結合したもので、指定商品は、「靴下」であるが、引用商標とは非類似として登録されている。請求人は、仮名の種類の相違で、本件商標が分断されると主張するが.商標「足揮サポート」の存在からも、それは失当であることが明らかである。
又、同号証の商標は、構成上、平仮名文字「まるまる」が明瞭に認識できるところから、下段の英字「marumaruーsupport」も、ハイフンの前後で分離される可能性が生じ得るが、それでも不可分一体と認識されて、引用商標とは非類似として登録されている。本件商標の場合は、特に「はいはい」のみが目立って認識されるような事情はないから、より不可分一体性は強いものである。
(ウ)乙第3号証の商標は、いずれも仮名の種類を統一して構成されているが、商標「メリハリサポート」の「メリハリ」と商標「シャキットサポート」「しゃきっとさぽーと」の「しやきっと」は、日本語に基づく言語であり、一方、「サポート」は英語「SUPPORT」に基づく外来語であるところ、いずれも、不可分一体として把握されており、引用商標とは非類似と判断されている。
これらは、各々「減り張りをサポートする」とか「しやきっとサポートする」等の一種独特の観念或いはイメージにより不可分一体と判断されたと認められるところ、本件商標も同様の評価が妥当であると考える。
(エ)乙第4号証の商標は、音数構成が8音で、後半に称呼「サポート」を含み、且つ全体としては何ら特定の観念・イメージを有しない商標であるが、全て一連で把握され、引用商標とは非類似と判断されている。この事実は、外来語として親しまれている「サポート」のみで、乙第4号証の6件の商標が認識されなかった事実を表している。すると、同じ8音構成ではあるが、一定の観念・イメージにより、より一体感の強い本件商標の場合は、なおさら「サポート」のみで判断されたり、省略されたりすることは無いものである。
(オ) 乙第5号証の4件の商標は、本件商標と比較すると、いずれも音数の長い商標であるが、やはりそれでも「サポート」「SUPPORT」のみに省略されて判断されることなく、引用商標とは、いずれも非類似と判断されている。
(カ) 乙第6号証の商標の5件の商標は、いずれも「サポート」を構成の前半部に有するが、やはり全て一連で、引用商標とは非類似として併存して登録されている。
(キ)以上の事実から、特に乙第1号証乃至乙第5号証の事実から、本件商標が不可分一体と把握され、引用商標とは非類似であることが、明らかである。
(ク)又、乙第2号証乃至乙第6号証の各商標の登録の事実から、引用商標が周知・著名であり、それ故に「サポート」を含む商標が出所の混同を生じるおそれがあるという請求人主張が全く失当であることも明らかである。
特に乙第2号証の商標「足揮サポート」の存在は、本件商標が、引用商標との関係で全く出所の混同が生じることが無いことを如実に表している。
又、請求人は、本件商標の後半部「サポート」が特に際立って認識されると主張するが、乙第6号証の商標は、前半部に「サポート」の語句を有し、より「サポート」が際だつと認められ、引用商標が周知.著名性を獲得しているのであれば、これらが登録されている理由が、全く説明できなくなる。
(ケ)以上、乙第1号証乃至乙第6号証は、本件商標と引用商標との関係の評価に於いて、充分考慮・参酌されるべきものである。
(5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものではなく、請求人主張には、いずれも正当な理由がなく、本件商標の登録が、商標法第46条第1項第1号により無効とされることはない。

5 当審の判断
本件商標は、「はいはいサポート」の文字を書してなるところ、構成中の後半部分の「サポート」の文字については、例えば、甲第6号証の平成2年(1990年)2月15日付けの「日本服装新聞」によれば、「別記(2)に示すとおりの構成」「東レ株式会社」「商標:別記(1)に示すとおりの構成.サポート」「登録第706113」「商品区分:第17類」「東レがはじめてサポート商品を発表したのは、10年以上前です。・・・今や適度なフィット感による心地良さを生み出したサポート商品は、パンティストッキング、ソックス、タイツ、インナーウェアなどの分野で広く親しまれています。・・・商標の使用は、東レと商標使用許諾契約を結んで、初めて使えるもの。・・・」「別紙(1)に示すとおりの構成」「サポート」の記載がそれぞれされ、同じく、甲第7号証の1990年(平成2年)3月25日付けの「センイ・ジャアナル」によれば、「別記(2)に示すとおりの構成」「東レ株式会社」「商標:別紙(1)に示すとおりの構成.サポート」「登録第706113」「商品区分:第17類」「東レが初めてサポート。商品を発表したのは、10年以上前です。・・・今や適度なフィット感による心地良さを生み出したサポート商品は、パンティストッキング、ソックス、タイツ、インナーウェアなどの分野で広く親しまれています。・・・商標の使用は、東レと商標使用許諾契約を結んで、初めて使えるもの。・・・」「別記(1)に示すとおりの構成」「サポート」の記載がそれぞれされ、甲第9号証の1991年(平成3年)3月20日付の「日本繊維新聞」によれば、「別記(2)に示すとおりの構成」「東レ株式会社」「商標:別記(1)に示すとおりの構成.サポート」「登録第706113」「商品区分:第17類」「東レが初めてサポート商品を発表したのは、10年以上前です。・・・今や適度なフィット感による心地良さを生み出したサポート商品は、パンティストキッングング、ソックス、タイツ、インナーウェアなどの分野で広く親しまれています。・・・商標の使用は、東レと商標使用許諾契約を結んで、初めて使えるもの。・・・」「別記(1)に示すとおりの構成」「サポート」の記載がそれぞれされているものである。
さらに、同じく、甲第10号証の1996年(平成8年)4月6日付の「繊研新聞」によれば、「別記(2)に示すとおりの構成」「東レ株式会社」「SUPPORTサポート」「東レの知的財産権」「これはパンティストッキングをはじめタイツ、ソックスなどの幅広い商品で女性たちに愛されている東レのブランドです。『SUPPORT サポート』は、ポリウレタン繊維など弾性糸を混用した靴下類及び肌着等の商標です。いうまでもなく、東レがこの[知的財産権(商標権)]を持っていますので、『SUPPORT サポート』は、東レと[商標使用許諾契約]を結んでいただかないと使用になれません。」「別記(1)に示すとおりの構成」「サポート」の記載がそれぞれされ、同じく、甲第13号証の1996年(平成8年)8月22日付の「日本繊維新聞」によれば、「別記(2)に示すとおりの構成」「東レ株式会社」「SUPPORT サポート」「東レの知的財産権」「これは、パンティストッキングをはじめタイツ、ソックスなどの幅広い商品で女性たちに愛されている東レのブランドです。『SUPPORT サポート』は、ポリウレタン繊維など弾性糸を混用した靴下類及び肌着等の商標です。いうまでもなく、東レがこの[知的財産権(商標権)]をもっていますので、『SUPPORT サポート』は、東レと「商標使用許諾契約]を結んでいただかないと使用になれません。」「別記(1)に示すとおりの構成」「サポート」の記載がそれぞれされているものである。
上記事情からすれば、「SUPPORT」及び「サポート」の文字からなる商標は、請求人が、「パンティストッキング、ソックス、タイツ」等に使用し、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願(平成10年6月16日)前に、取引者、需要者の間に広く認識されているものということができるものである。
しかして、本件商標の構成は、前記のとおり、「はいはいサポート」の文字を書してなるところ、構成中の後半部分の「サポート」が上記したとおり取引者、需要者の間に広く認識されている「サポート」の文字と同じ文字構成からなるものであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用した場合、上記事情よりして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「サポート」の部分に強く印象付けられ、恰も当該請求人もしくは同人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認められる。
なお、被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証を提出し、本件商標は、同書、同大、同間隔で不可分一体で構成されているから、非類似であり、かつ、商標の出所において、混同を生ずるおそれがない旨主張しているが、上記のとおり、商標「SUPPORT」及び「サポート」が、「パンティストッキング」等に使用し、取引者、需要者の間において広く認識されているものであるから、被請求人の主張は採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条の規定により、その登録を無効とする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
(1)引用C商標
(登録第2223277号商標)




(2)東レ株式会社が使用する商標


審理終結日 2001-12-04 
結審通知日 2001-12-10 
審決日 2001-12-27 
出願番号 商願平10-50919 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Z25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加園 英明岩崎 安子 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 米重 洋和
宮下 行雄
登録日 1999-10-29 
登録番号 商標登録第4328761号(T4328761) 
商標の称呼 ハイハイサポート、ハイハイ 
代理人 北村 仁 

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