• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 016
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 016
管理番号 1053983 
審判番号 無効2000-35678 
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-12-14 
確定日 2002-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4175729号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4175729号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4175729商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年11月1日に登録出願、「京王書林」の文字を縦書きしてなり、第16類「印刷物,書画,写真」を指定商品として、同10年8月7日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第666398号商標(以下「引用A商標」という。)は、昭和38年3月20日に登録出願、「京王」の文字を横書きしてなり、第26類「印刷物(文房具類に属するものを除く)書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、同40年2月8日に設定登録、その後、昭和50年8月1日、同60年1月16日及び平成7年5月30日の3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされているものである。同じく、登録第3273373号商標(以下「引用B商標」という。)は、平成4年9月29日に登録出願、「京王」の文字を横書きしてなり、第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,船舶の貸与・売買又は運航の委託の媒介,船舶の引揚げ,水先案内,主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,寄託を受けた物品の倉庫における保管,ガスの供給,電気の供給,倉庫の提供,駐車場の提供,コンテナの貸与,パレットの貸与,自動車の貸与,船舶の貸与,他人の携帯品の一時預かり」を指定役務として、同9年4月4日に設定登録されたものである。同じく、登録第4242825号商標(以下「引用C商標」という。)は、平成4年9月29日に登録出願、「京王」の文字を横書きしてなり、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集及び処分,産業廃棄物の収集及び処分,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,地質の調査,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,編機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与,祭壇の貸与,自動販売機の貸与,消火器の貸与,超音波診断装置の貸与,展示施設の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,布団の貸与,ルームクーラーの貸与,乳幼児の一時預かり,造園の設計,化粧室の提供,紫外線ランプによる日焼け,土木および建築工事に関する設計,都市計画の立案,造園工事・電気工事・管工事・消防施設工事に関する設計,宴会のための施設の提供,会議室の提供その他多目的室の提供」を指定役務として、同11年2月26日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第61号証(枝番を含む。)を提出している。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第8号の各規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項によりその登録を無効とすべきである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
(ア)引用A商標は、請求人のグループ会社に属する「株式会社京王百貨店」(以下「京王百貨店」という。)の所有に係る登録商標である。京王百貨店は、昭和36年3月10日に設立され、昭和39年11月に新宿にオープンした店である。引用A商標は、少なくとも昭和36年頃から印刷物について継続的に使用された結果、印刷物について需要者の間に広く認識され著名になっている登録商標である。
(イ)本件商標は「京王書林」の文字よりなるところ、構成中の「書林」の文字は、一般的には書店(本屋)等を意味し、古くから本、出版物、印刷物等を取り扱う本屋の分野で普通一般に使用される極めて卑近な普通名称にすぎず、いわゆる造語ではない。
これに対し、「京王」の文字は、平成9年(ネ)第2081号判決(以下「引用判決」という。)によっても認定されたとおり、請求人会社が明治43年に採択した造語である。そうすると、本件商標の要部は「京王」の文字にあるというべきであるから、本件商標と引用A商標とは、商標の外観、称呼及び観念において共通する類似の商標であることは明らかである。しかも、指定商品「印刷物等」において両者は同一である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)「京王」の文字は、東京の「京」と八王子の「王」にちなんでつけられた名称であって、前記のとおり商標法上のいわゆる造語である。
請求人は、「京王グループ」の中核となる企業であって、「京王グループ企業」は、1994年当時において、運輸グループ(6社)、流通グループ(11社)、レジャー・サービスグループ(13社)、建設・不動産・その他(9社)に大別される。
グループの各企業の商号は、ほとんど「京王」の文字を頭部に表示した商号を採択しており、これによって各企業は「京王」の出所表示を明示している。
したがって、「京王」の文字からなる引用B商標は、請求人の登録商標として本件商標の出願前より、「鉄道による輸送」の役務において著名であり、更に引用A商標も「京王百貨店」の登録商標として百貨店のサービスマークとして本件商標の出願前より著名性を獲得し、現在に至っている。
引用C商標は、京王プラザホテル等により役務「宿泊施設の提供」について長年月に亘る使用の結果、著名商標となっている。
(イ)本件商標は、「京王書林」の文字よりなるものであり、このうち、「書林」の文字は、「書店、本屋」等を意味する文言として一般に知られており、いわゆる造語ではない。また「京王書林」の文字が、いずれかの商品又は役務につき使用された結果、当該商品につき有名になっているという特別な事実もない。
これに対し、「京王」の文字は、前記のように、請求人会社が採択した造語であり、日本国内において、「鉄道による輸送」及び「ホテルサービス業」につき、「通勤・通学をする者、旅行者等の利用者」の需要者等及び「ホテル利用者等」の需要者等の間において広く認識され、本件商標の出願前より、各役務について周知著名な商標となっている。
(ウ)したがって、需要者(利用者)、取引者は、「京王書林」の文字からなる本件商標の各指定商品に接した際には、「書林」の有無についての構成上の相違にもかかわらず、外観、称呼、観念において共通する請求人らの著名商標「京王」の部分に着目して、鉄道・車両による輸送サービス、或いはホテルサービスを提供する「京王」の各サービスを連想する結果、被請求人の「印刷物」等について請求人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品ではないかと、その出所について誤認混同するおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第8号について
「京王」なる標章は、「京王グループ」の中核たる請求人、或いは「京王百貨店」をはじめとし、グループ企業の「京王プラザホテル」、「京王ストア」、「京王自動車」、「京王運輸」、「京王建設」、「京王不動産」らを示す商号として、本件商標の出願前から著名な略称となっている。
本件商標は、請求人及び請求人グループ会社らの商号の著名な略称を含むものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号の規定に違反して登録されたものである。

4 被請求人の主張の要点
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第23号証及び参考資料を提出している。
審判請求の理由によると、本件商標「京王書林」は、著名な京王グループの商標でもある「京王」に類似するので、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第8号に該当するとされる。しかしながら、審判請求の理由は、以下の点で失当である。
(1)被請求人会社及び本件商標選択の経緯について
被請求人は、主に不動産の運用・管理を目的として京王商事株式会社を昭和50年に設立し不動産管理及び貸事務所について営業を行うとともに、平成8年に別部門として出版事業を開始し、本件商標を付し主として印刷物を出版している。
(2)本件商標の態様について
被請求人は、本件商標「京王書林」を出版物に付する際に、常に同一書体かつ一連一体の漢字四字で使用しており、「京王」の文字のみ分離して使用することはない。
また、本件商標の「書林」部分は、「本屋」等を暗示することはあっても直ちに品質を表示するものではなく、漢字四字で構成される商標全体を一連の造語として登録された商標であり、「京王グループ」との関係の有無を消費者又は需要者に喚起させ、出所の混同を生じさせるおそれはない。
そもそも、東京と八王子とにちなみ、「京王」と称する表示は、請求人及び同グループ以外においても一般に用いられていることであり、関東地区に限っても、商号に「京王」の文字を含む京王グループ以外の企業は100社以上存在している。
八王子地区に馴染みの深い被請求人は、地理的な由来にちなんだ「京王」の文字に「商事」を組み合わせた商号を登記したものである。本件商標は、請求人及び同グループの信用に関連づけて選択したものではない。むしろ、本件商標は被請求人の25年以上使用してきた実績ある商号「京王商事株式会社」からその信用を利用する目的で、商号の一部「京王」と「書林」の文字を組み合わせたものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
請求人は、「京王」は著名な名称「株式会社京王百貨店」の略称であり、「京王」を含む商標はすべて請求人の所有する商標『京王』と出所の混同を生じ、また「京王」部分が特徴となるので本件商標のみならず「京王」の文字を含む商標はすべて分離観察されるため、本件商標は引用A商標に類似すると主張する。
しかしながら、「印刷物」について表示される商標は、微細な差異点も識別して取引者・需要者に認識されるのが一般であり、全体をもって称呼されるのが通例である。
本件商標においても、「京王」の文字を一部に有する商標から当該部分が分離観察されるものではない。
本件商標を当該指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は一連に表された文字全体を正確に捉えて「ケイオウショリン」と称呼し、商品種別毎の商標と把握・理解するものと認められ、「書林」部分を分離する特段の理由はないから、本件商標は称呼「ケイオウショリン」のみを生ずる。
そこで、本件商標から生ずる称呼「ケイオウショリン」と引用商標の称呼「ケイオウ」とを比較すると、両者は音構成の差等により、一連に称呼するもその語調・語感が相違し、十分聴別し得るものであるから、本件商標と引用商標とは外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
以上のことから、たとえ引用A商標が本件商標の商標登録出願前に周知であったとしても、これをもって本件商標から「京王」の部分を分離抽出し、本件商標は引用A商標に類似するものとして商標法第4条第1項第11号に該当するとの請求人の主張は、取引の実情に反し失当である。
(4)商標法第4条第1項第15号について
被請求人は、少なくとも昭和50年からの約25年間にわたり商号「京王商事株式会社」により需要者及び消費者から信頼を得ている。
また、本件商標は、被請求人が出版部門に進出する際に社名「京王商事株式会社」との関連を想起させる造語として商標出願し、正当に登録したものである。
また、本件商標出願時である平成8年からの約5年間に、学術書・専門書であるため部数が少ないことは当然であるが、日本近代文学の文学史的観点からみた学術書・専門書を出版する際に、被請求人は、書籍に本件商標「京王書林」を付して出版・販売し、それらの書籍は日本の各大学・図書館、海外では米国のハーバード大学、カリフォルニア大学等にも需要があり、本件商標は日本文学界にも貢献している出版事業として評価されている。
したがって、被請求人は、商号「京王商事株式会社」の正当な使用の結果、得られた信用の上に本件商標を付して印刷物を出版し、かつ使用しており、一般書籍の出版・販売事業とは異なることとも相まって、請求人の引用B商標及び引用C商標に係る業務との混同を生じさせるおそれはない。
よって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当すると主張する請求人の主張は、妥当ではない。
(5)商標法第4条第1項第8号について
請求人は、各引用商標が請求人の著名略称であるから、商標法第4条1項8号に該当する旨主張するが、引用判決によっても、請求人の略称となる各引用商標が「著名な」略称であるかについては明らかでないから、「京王」が請求人及びグループのみを示すものとはいえない。
他方、引用判決は、請求人の周知性を有する交通業務における競合他社との事案であり、本件とは事案の異なるものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号には該当しない。

5 当審の判断
(1)請求人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人「京王電鉄株式会社」の前身である「京王電気軌道鉄株式会社」は、明治43年9月に創立された(甲第18号証)。甲第17号証「京王1999会社要覧」及び第19号証「京王線各駅停車」には、「京王」の名称は、東京の「京」と八王子の「王」から名づけられた旨記載されており、甲第24号証(枝番を含む。)ないし同第32号証の「大百科事典(平凡社)」「日本語大辞典(講談社)」ほかの各辞典類に、「京王電氣軌道」、「京王帝都電鉄」などの項が設けられて記述されているものの、「京王」については項が設けられていないことからすると、請求人(前身会社)の商号に用いられている「京王」の表示は、既成の語を採択したものではなく、東京と八王子の地名に由来して創作した造語であると認められる(第6号証「引用判決」参照)。
(イ)「京王電鉄株式会社」を中核とする企業グループ(以下「京王企業グループ」という。)は、平成6年現在で、運輸グループ6社(「京王電鉄」、「京王自動車」、「京王運輸」等、以下、企業の名称は法人の種類を示す語を省略して記載する。)、流通グループ11社(「京王百貨店」、「京王ストア」等)、レジャー・サ-ビスグループ13社(「京王プラザホテル」、「京王観光」等)及び建設・不動産・その他のグループ9社(「京王建設」、「京王不動産」等)と多業種の企業で構成されており、その地域的範囲も、東京を中心とする関東圏のみならず、全国的規模で活動している企業グループであって(甲第41号証)、その中核企業である「京王電鉄」については、前記のとおり、前身会社に関する事項を含め「大百科事典(平凡社)」「日本語大辞典(講談社)」などの各種辞典類に掲載されている(甲第24号証(枝番を含む。)ないし同第32号証)。
京王企業グループに属する企業は、そのほとんどが「京王」の用語を商号に用いており、京王企業グループの中心的な大手企業である「京王電鉄」「京王百貨店」「京王プラザホテル」は、「京王線」「京王デパート」「京王ホテル」とも呼ばれているほか、単に「京王」と略称されている(甲第9号証ないし同第12号証、甲第33号証ないし同第39号証、甲第47号証ないし同第53号証、甲第60号証)。
また、昭和24年1月5日付けのものをはじめ、平成11年1月4日付けまでの日本経済新聞の東京株式相場の輸送欄には、「京王電鉄」を「京王」と略称して継続的に記載されている(甲第59号証の1ないし同12)。
前記「京王企業グループ」の中には、本件商標の指定商品である第16類「印刷物」と関係の深い「書籍、文具等の販売」を行っている「京王書籍販売株式会社」も存在している(甲第41号証)。
以上によれば、「京王」の文字からなる商標は、請求人の創作に係る造語より採択された商標であって、本件商標の登録時はもとよりその登録出願時において、前記「京王企業グループ」の多岐に亘る業務を表示するものとして需要者間に広く認識され、著名な商標となっていたと判断するのが相当である。
(2)しかして、本件商標は、「京王書林」の文字よりなるものであるところ、「書林」の文字は「書籍が多くあるところ」「転じて、書店」を意味する既成の語であって(甲第5号証)、本件商標に係る指定商品との関係よりすると、この語自体では識別標識としての機能を果たさないか、又は識別標識としての機能が極めて弱いものといえる。しかも、「京王」の文字と「書林」の文字とを結合しても、全体として格別の意味を看取し得ないものであり、「京王書林」の文字は、常に不可分一体のものとして把握・認識されるものとなっているとは認められない。
そうすると、本件商標は、京王企業グループの業務に係る著名な商標である「京王」の文字をその構成中に含むものであるから、これに接する者は、当該「京王」の文字に着目し京王企業グループの「京王」の文字からなる商標を連想し、本件商標を使用する者が恰も「京王企業グループ」の一員であるかの如く認識する場合が少なからずあるものといわなければならない。
(3)被請求人は、東京と八王子とにちなみ、「京王」と称する表示は、請求人及び同グループ以外においても一般に用いられていることであり、関東地区に限っても、商号に「京王」の文字を含む京王グループ以外の企業は100社以上存在している。八王子地区に馴染みの深い被請求人は、地理的な由来にちなんだ「京王」の文字に「商事」を組み合わせた商号を登記したものである。本件商標は、請求人及び同グループの信用に関連づけて選択したものではない旨主張する。
しかしながら、「京王」の語は、前記のとおり請求人の創作に係る造語であって、請求人会社が東京都心部(新宿)と八王子を結ぶ鉄道会社であることから創作された語であり、それ以外の由来は考え難い語と認められる。そうすると、京王電鉄、京王百貨店、京王プラザホテルなど京王企業グループを形成する企業グループの「京王」の文字からなる商標の高い著名性を考慮すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合、被請求人の採択の意図の如何にかかわらず、これに接した取引者、需要者が該商品を京王企業グループの属している事業者の業務に係る商品であろうと認識する蓋然性は、これら以外の事業者の業務に係る商品であると認識するそれを凌駕し、極めて高いものといわざるを得ない。したがって、京王企業グループに属さない企業の名称に「京王」の文字を冠する企業の存否、或いは本件商標が被請求人の名称に由来する事実の存否は、前記判断を左右するものではない。
同様に、少なくとも昭和50年からの約25年間にわたり商号「京王商事株式会社」により需要者及び消費者から信頼を得ている旨の被請求人の主張も、前記判断を左右するものではない。
してみれば、本件商標は、請求人又は請求人と関係のある者の取り扱いに係る商品であるかの如く誤認させ、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-12-05 
結審通知日 2001-12-10 
審決日 2001-12-21 
出願番号 商願平8-124029 
審決分類 T 1 11・ 26- Z (016)
T 1 11・ 271- Z (016)
最終処分 成立  
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 原 隆
特許庁審判官 鈴木 新五
小池 隆
登録日 1998-08-07 
登録番号 商標登録第4175729号(T4175729) 
商標の称呼 ケイオーショリン、ケイオー 
代理人 安原 正義 
代理人 島田 義勝 
代理人 水谷 安男 
代理人 安原 正之 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ