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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Z25
管理番号 1053789 
審判番号 審判1999-35662 
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-11-15 
確定日 2002-01-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第4212621号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第4212621号商標(以下、「本件商標」という。)は、「PENNYPLACE」の文字を標準文字として、平成9年8月7日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,マフラー,保温用サポーター,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同10年11月20日に設定登録されたものである。

2.請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3296527号商標(以下、「引用A商標」という。)は、「PENNYPLUS」の文字を横書きし、平成6年6月28日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」を除く。)」を指定商品として、同9年4月25日に設定登録、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第1770848号商標(以下、「引用B商標」という。)は、「PENNY」の文字を横書きし、昭和39年4月28日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同60年5月30日に設定登録、その後、平成7年9月28日に更新登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第2474311号商標(以下、「引用C商標」という。)は、「NEWPENNY」の文字を横書きし、平成1年5月22日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同4年11月30日に設定登録、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第2474312号商標(以下、「引用D商標」という。)は、「PENNYBLACK」の文字を横書きし、平成1年5月22日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同4年11月30日に設定登録、現に有効に存続しているものである。

3.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第12号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標と引用A商標の類似性
本件商標は「PENNYPLACE」の文字よりなるところ、これよりは当然に「ペニープラス」の称呼を生ずる。他方、引用A商標「PENNYPLUS」より自然に生ずる称呼も「ペニープラス」である。
よって、両者は「ペニープラス」の称呼において類似する商標である。
次に、本件商標より生ずる「ペニープレ(一)ス」の称呼と引用商標より生ずる「ペニープラス」の称呼とを比較すると、両者はいずれも5音より構成され、第1音「ペ」、第2音「二一」、第3音「プ」及び第5音「ス」の各音を完全に同一かつ同配列にしてなる。
両称呼における唯一の相違点は、本件商標の称呼「ペニープレ(一)ス」における第4音が「レ(一)」であるのに対し、引用A商標の第4音は「ラ」となっている点であるが、「レ(一)」音と「ラ」音は、いずれも50音中の「ラ行」に属し、子音は共通する。「レ(一)」音は、唇を半ば開き舌を上顎に接し舌先で調音するところ、「ラ」音も唇を半ば開き舌先で調音するものであって、両者の発声形態は近似し、両音を明確に聴別しうる音ではない。したがって、「レ」音と「ラ」音はいずれも歯茎音であってその音質を共通にする近似音である。ここで、本件商標中の第4音は「レ」ではなく「レー」音であるとされたとしても単に長音を引くにすぎず、これが全体に与える影響は大きいものではない。
さらに、「ペニープレ(一)ス」と「ペニープラス」の称呼は、いずれも2語の結合からなり、各々の語頭である第1音「ペ」と第3音「プ」にアクセントを置いて抑揚が連続する独特のリズミカルな調子を有するものであって、その語韻語調も共通する。
よって、本件商標と引用A商標は称呼上類似する商標である。
さらに、本件商標「PENNYPLACE」は引用A商標「PENNYPLUS」とはその外観においても近似する。
両者は、「P」「E」「N」「N」「Y」「P」及び「L」の各文字を同一、同配列にしてなり、語頭から7文字までが完全に共通する。それに続く各文字において相違があるといっても、これらは看者の注意を強く引く部分ではなく、全体としての印象中に埋没し看過されてしまう。よって、本件商標と引用商標は外観上も類似する。
してみれば、本件商標と引用A商標は、上記の各称呼及び外観において類似する商標である。
(2)本件商標と引用B商標の類似性
本件商標は、欧文字「PENNYPLACE」からなるものであるが、これは「ペニー、ペンス、ペニー貨」を意味する「PENNY」、「場所、地方」を意味する「PLACE」の2語からなり、特に、「場所、地方」を意味する「PLACE」は、その前に置かれる用語に関し単なる場所を意味する用語として付記的、形容詞的に使用されているに過ぎない。
したがって、本件商標中、意味上重要な部分は前半の「PENNY」の部分にあるから、これより単に「ペニー」のみの称呼をも生ずるものである。
他方、引用B商標より「ペニー」の称呼が生ずること明らかであるから、両者は「ペニー」の称呼において類似する。
(3)本件商標と引用C・D商標の類似性
本件商標から「ペニー」の称呼が生ずること前述したとおりである。
他方、引用C・D商標の「PENNY」の前後に配された用語は、新しいを意味する「NEW」、色彩の黒色を意味する「BLACK」であり、自他商品識別力を有する用語ではない。したがって、引用C・D商標からは、「PENNY」の文字部分に相応する「ペニー」の称呼をも生ずるものである。
よって、本件商標と引用C・D商標とは「ペニー」の称呼において類似する。
(4)さらに、本件商標と引用各商標の指定商品は同一又は類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標登録を受けることができないものであり、その登録は同法第46条にもとづき無効とされるべきものである。
(5)答弁に対する弁駁
被請求人は、答弁書において、本件商標は「ペニープレイス」とのみ称呼されるものであると主張する。しかしながら、この点の主張は事実に反し認められない。
本件商標の後半部は英語の「PLACE」からなること、これが場所、位置を意味する英語であることはこれを認める。
しかしながら、「PLACE」は、英語であると同時に日本語化している平易な用語であって、我が国では、これを「プレース」、「プレ(一)ス」と発音している事実がある(コンサイス外来語辞典,IMIDAS付録の外来語,その他の各種辞典 甲第11号証ないし同第13号証参照)。
してみれば、本件商標と引用商標は前述した通り類似する商標である。
被請求人の提出する乙第3号証にいう平成11年異議第90374号の異議決定の存在はこれを認める。
しかし、上記異議決定は、本件商標より「ペニープレイス」の称呼のみを認定してなされたものであって、妥当な判断ということはできない。

4.被請求人の主張
被請求人は結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第3号証を提出した。
(1)本件商標について
イ.外観について
本件商標は、欧文字の大文字を「PENNYPLACE」と同じ書体(明朝体)、同じ大きさ、等間隔で横書きしてなるものである。
従って、本件商標は、視覚上一体不可分の造語として認識されることは明確である。
ロ.称呼について
本件商標は、欧文字の大文字を同書・同大・等間隔に「PENNYPLACE」と書しており、前半部分の「PENNY」は英単語の「penny」、後半部分の「PLACE」は慣れ親しまれた英単語の「place」であるから、かかる商標構成上、全体が英語読みされて「ペニープレイス」とのみ称呼される。
ハ.観念について
本件商標は、単語「PENNY」と単語「PLACE」を結合した造語であり、前者の「百分の一ポンド,小銭,非常に小さい,わずかな,取るに足らぬ」等の意味と、後者の「場所,空間,身分,座席,位置,地域,職」等の意味との結合により、全体として、たとえば「非常に小さな場所や空間」といった意味合いやイメージを有している。
(2)本件商標と引用A商標との非類似性について
イ.外観について
本件商標は、「PENNYPLACE」の欧文字を同書、同大、等間隔で表記しており、視覚上一体不可分の造語であるから、商標構成の特定の部分が特に顕著に人目を引くとか、視覚上軽重を有しているというようなことはなく、このことは引用A商標も同様である。
また、本件商標は明朝体で表記されているのに対して、引用A商標はゴシック体で表記されており、両者は文字の形態が異なっている。
さらに、本件商標の「PENNYPL」に続く文字群は「ACE」であるのに対して、引用A商標の「PENNYPL」に続く文字群は「US」であり、両者の「ACE」と「US」は、文字数も異り、両者は外観上相紛れるおそれはない。
ロ.称呼について
請求人は本件商標より当然に「ペニープラス」の称呼を生ずると主張しているが、本件商標は英単語の「PENNY」と「PLACE」よりなるものであるから、これより「ペニープレイス」と自然称呼されるのは明確である。
他方、引用A商標は「ペニープラス」と称呼されるとして、本件商標の「ペニープレイス」とを比較すると、本件商標は引用A商標と「ペニープ」の部分と語尾音の「ス」については共通するものの、「ペニープ」と「ス」の間に位置する音は「レイ」であり、引用A商標の「ラ」とは音数、語調、語感が異質である。かかる相違の商標全体の称呼に及ぼす影響は非常に大きく、本件商標「ペニープレイス」と引用A商標「ペニープラス」をそれぞれ一連に称呼した場合に、両者を聞き誤るおそれは全くなく、明確に識別しうる。
ハ.観念について
請求人は観念の関係について触れていないが、本件商標は前述のように「百分のーポンド,小銭,非常に小さい,わずかな,取るに足らぬ」等の意味と、「場所,空間,身分,座席,位置,地域,職」等の意味との結合したものである。
これに対して引用A商標は「百分の一ポンド,小銭,非常に小さい,わずかな,取るに足らぬ」等の意味と「陽,正数,利益,追加」という意味の結合であって、本件商標とは異質な観念のものであるから、両者は観念も非類似である。
以上の点から本件商標は引用A商標と外観、称呼、観念のいずれもが非類似の商標である。
(3)本件商標と引用B商標との非類似性について
引用B商標は、欧文字の大文字を「PENNY」と同じ書体、同じ大きさ、等間隔で横書きしてなるものである。
他方、本件商標は「PENNYPLACE」の欧文字よりなるところ、これからは前述したとおり「ペニープレイス」の一連の称呼のみを生ずるものであり、これを「PENNY」と「PLACE」に分断するということは断じてありえない。
したがって、「ペニー」のみの称呼を生ずる引用B商標とは明らかに非類似の商標である。
(4)本件商標と引用C・D商標との非類似性について
引用C商標は、欧文字の大文字を「NEWPENNY」と同じ書体、同じ大きさ、等間隔で横書きしてなるものである。
引用D商標は、欧文字の大文字を「PENNYBLACK」と同じ書体、同じ大きさ、等間隔で横書きしてなるものである。
他方、本件商標は「PENNYPLACE」の欧文字よりなり、視覚上一体のものとして認識されるものであって、語義上も「PENNY」と「PLACE」に分離して考察すべき特段の事由はなく、その構成全体をもって一体不可分の造語と認識されるものであるから、これよりは「ペニープレイス」とのみ称呼される。
請求人は、本件商標から「ペニー」の称呼をも生ずると述べているが、この主張は認められない。
また、引用C・D商標における「NEW」と「BLACK」が特別顕著性のない語であることは明確であるが、それらのケースと「PLACE」とを同視すること自体が誤りであって、合理的な根拠は何もない。
よって、本件商標は引用C・D商標と非類似の商標である。
(5)なお、請求人は本件商標に対して、引用A乃至D商標を証拠として、登録異議申立てをなした。その結果は、異議決定謄本(乙第3号証)のとおりであり、「本件商標はその文字構成に相応して『ペニープレイス』の称呼が生ずる一方、引用商標は『ペニープラス』あるいは『ペニー』の称呼が生じ、音構成の差により本件商標と引用商標は十分に区別し得、また、外観及び観念においても類似しない」と決定されている。
(6)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当せず、同法第46条により無効とされるべきものではない。

5.当審の判断
本件商標は、「PENNYPLACE」の文字を横書きしてなるところ、構成各文字は同じ書体、同じ大きさ及び等間隔で表されている。そして、構成中の「PENNY」の文字が「百分の一ポンド,小銭,非常に小さい,わずかな,取るに足らぬ」等の意味、「PLACE」の文字が「場所,空間,身分,座席,位置,地域,職」等の意味を有する比較的親しまれた英語であるが、両文字は軽重の差なく一体的に表されており、これより「PENNY」の部分のみを限定・抽出して称呼・観念を生ずるとすべき特段の事情も認められず、かつ、これより生ずると認められる「ペニープレイス」又は「ペニープレース」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
また、「PENNYPLACE」の文字が一連で成語を形成するという事実は認められない。
そうとすれば、本件商標は、特定の観念を生じさせない一連の造語からなり、これより生ずる称呼は「ペニープレイス」又は「ペニープレース」であると判断するのが相当である。
他方、引用各商標は前記に示すとおりの構成よりなるところ、各構成文字に相応して、引用A商標は「ペニープラス」、引用B商標は「ペニー」、引用C商標は「ニューペニー」又は「ペニー」、引用D商標は「ペニーブラック」又は「ペニー」の各称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「ペニープレイス」又は「ペニープレース」と引用A商標より生ずる「ペニープラス」の称呼とを比較するに、両者は4音目と5音目において「レー」又は「レイ」と「ラ」の音に明瞭な差異を有するものであり、この差異が称呼全体に与える影響は決して小さいとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が相違し彼此相紛れるおそれはないものと判断するのが相当である。
また、本件商標と引用B・C・D商標の称呼の比較は、本件商標より「ペニー」の称呼をも生ずるという前提のもとに論じられているところ、本件商標より生ずる称呼は、前記したとおり「ペニープレイス」又は「ペニープレース」のみであると判断されるものであるから、本件商標と引用B・C・D商標との称呼の比較はその前提を欠くものであり、この点に関する請求人の主張は認められないといわざるを得ない。
さらに、本件商標は「PENNYPLACE」、引用A商標は「PENNYPLUS」の文字よりなるところ、前者は欧文字10文字、後者は欧文字9文字よりなり、かつ、両者は前半部で「PENNYPL」の各文字を共通にするとはいえ、後半部における「ACE」と「US」の文字部分において、字数、字形で明瞭な差異を有するものであるから、両者の構成全体から受ける印象は異なったものであり、たとえ、時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において相紛れるおそれはないものというべきである。
さらに、本件商標が特定の観念を生じさせない一連の造語と判断されること前記のとおりであるから、本件商標と引用各商標は観念上比較し得ないものである。
してみれば、本件商標と引用各商標は、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-07-19 
結審通知日 2001-07-26 
審決日 2001-09-12 
出願番号 商願平9-145898 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 亨子 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 高野 義三
涌井 幸一
登録日 1998-11-20 
登録番号 商標登録第4212621号(T4212621) 
商標の称呼 ペニープレース 
代理人 高橋 康夫 
代理人 黒田 泰弘 

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