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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 101
管理番号 1053768 
審判番号 審判1999-30297 
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-03-10 
確定日 2002-01-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第2242491号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2242491号商標の指定商品「薬剤」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2242491号商標(以下、「本件商標」という。)は、「SMA」の欧文字を書してなり、昭和54年1月31日に登録出願、第1類「薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録がなされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中『第1類 薬剤』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と主張し、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次の通り述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第5証までを提出している。
(1)請求人が本件審判請求に係る登録商標の使用の有無を調査したところ、当該登録商標は、我が国内において継続して3年以上、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても、請求の趣旨に記載の指定商品「薬剤」について使用されていないことが明らかになった。従って、本件審判請求に係る商標登録第2242491号商標は、商標法第50条第1項の規定により、当該請求に係る指定商品についてその登録を取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁として
請求人は、平成11年7月29日付で提出された、被請求人の審判事件答弁書に対し、到底承服致し難いので、次の通り弁駁する。
被請求人は、乙第1号証乃至乙第4号証を提出して、本件商標の使用に係る商品は、本件請求に係る指定商品「薬剤」の範疇に属する「ミルクを主原料とする粉乳状の栄養素」である旨主張する。しかしながら、被請求人の提出に係る乙第2号証のパンフレットには、「量的に母乳に近づけた乳児用調整粉乳SMAS-26を開発しました。」(第2頁)、「母乳の栄養成分に最も近い乳児用調整粉乳」(第5頁)との記述がある通り、当該パンフレット及びその他の乙各号証から判断するに、その商品の実体は、「母乳の代品又は代替品」としての特性を有する乳児用の栄養食品であって、栄養改善法第12条に規定された、厚生大臣が許可する特別用途食品の範疇に属する「乳児用調整粉乳」そのものに他ならない(甲第3号証乃至甲第5号証)。
換言すれば、社団法人発明協会の発行に係る「商品及び役務区分解説」によれば、「薬剤」の範疇に属する商品とは、「薬事法(昭和35年法律145号)の規定に基づく”医薬品”の大部分」、「薬事法に規定する”医薬部外品”の一部」及び「農薬(薬事法にいう”医薬品”には含まれない)の大部分」が含まれるところ、「乳児用調整粉乳」は、母乳の代用品又は代替品であるから、乳児用の栄養食品であって、上記薬事法に規定する医薬品でも、同法に規定する医薬部外品でも、或いは、農薬でもないこと誰の目にも明らかである。また、「乳児用調整粉乳」は、上述の通り、乳児用の栄養食品であって、医薬品等ではないから、薬事法の規制を受けず、通常の医薬品等のように薬局及びスーパー等の医薬品売り場での販売に限定されているわけではなく、スーパーの食品売り場や、例えば、乳幼児製品の大手販売会社である株式会社あかちやん本舗の本店及び各支店等でも、通常の乳児用食品の売り場で、他の乳児用調整粉乳メーカー(明治乳業、森永乳業、雪印乳業等)の同種製品と一緒に展示、販売されているものである。このように、被請求人の使用立証に係る「乳児用調整粉乳」なる商品は、その商品特性(母乳の代用品・代替品)及びその販売経路(薬局・医薬品売り場に限定されない。)からしても、医薬品・医薬部外品等ではなく、用途が特定・限定された食品であること明白であるから、当該使用商品は決して「薬剤」(01B01)の範疇に属する商品ではなく、わが国の分類上では「乳児用粉乳」(31D01)の範疇に属する商品であると考えられる。
よって、本件商標は、本件審判請求の予告登録日以前3年以内にわが国において請求に係る指定商品「薬剤」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用されていることの証明がなされていないものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は「本件審判は成り立たない、審判の費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁の理由を次の通り述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同4証までを提出している。
(1)本件商標は、本件審判の請求の前3年間において指定商品「薬剤」の範疇に属する「ミルクを主原料とする粉乳状の栄養素」に、被請求人の100%子会社であり、本件商標の使用権者である日本ワイス株式会社によって、継続して日本において使用されている。従って商標法第50条第1項に該当しない。
(2)証拠説明
乙第1号証は本件商標の使用権者である日本ワイス株式会社代表取締役社長横山晃之氏の報告書である。本号証によって本件商標が使用されている「ミルクを主原料として調整された粉乳状の栄養素」は薬剤の範疇に属する商品であることを明らかにする。
乙第2号証は日本ワイス株式会社が1998年6月に作成した「SMASー26 Baby」と題するパンフレットであって、横山晃之氏の報告書に添付されているものである。本号証によって本件商標が指定商品に継続して使用されていること及び本件商標が使用されている商品は薬剤の範疇に属する商品であることを明らかにする。
乙第3号証は厚生大臣の承認書(厚生省生衛第953号)の写である。本号証によって本件商標が使用されている栄養素は厚生大臣の承認を得ていることを明らかにする。乙第4号証は日本ワイス株式会社の会社概要である。本号証によって日本ワイス株式会社は本件商標権者の100%子会社であることを明らかにする。
(3)請求人提出に係る平成12年2月7日付弁駁書に対する答弁。
請求人は、本件商標が使用されている「ミルクを主原料とする粉乳状の栄養素」は、薬剤の範疇に属する商品ではないと主張している。しかしながら、商標法施行令に定める商品の区分において、「薬剤」の包括概念には、例えば、もぐさ、蚊取線香等、薬事法に定める医薬、医薬部外品、農薬以外の商品も含まれていて、もぐさ等人に適用するものにあっては、それが人の医療又は医療類似行為に用いられるものは「薬剤」の概念に含まれているものと考えられる。本件商標が使用されている「ミルクを主原料とする粉乳状の栄養素」は、医師の看護下におかなければ成育しないような未熟児の成育に必要な栄養素であって、医師の処方に基づいて未熟児に投与するものであるから、商品区分に定める「薬剤」の概念に該当するものである。
請求人は、被請求人の提出したパンフレット(乙第2号証)の説明文に記載されている「乳児用調製粉乳」の語の言葉尻をつかまえて、本件商標が使用されているのは乳製品であって、薬剤ではないと主張している。しかしながら、被請求人提出のパンフレット(乙第2号証)を横山晃之の報告書(乙第1号証)と共に検討すれば、本件商標が使用されている「ミルクを主原料とする粉乳状の栄養素」は、旧第31類に区分されている「乳製品」ではなく、同区分の第1類に区分される「薬剤」であることが明らかである。
本件商標が使用されている「ミルクを主原料とする粉乳状の栄養素」は、市内の薬局、スーパー(医薬品売場)等でも販売されていることに関し、請求人は、それは用途が特定限定されていないから、日本の商品区分では「乳児用粉乳」(31DOI)の範疇に属する商品であると主張している。しかしながら、本件商標の使用される「ミルクを主原料とする粉乳状の栄養素」は前述のとおり、主たる用途は医師の管理下におかれる未成熟出産児の成育に必要な栄養補給に用いられるものである。しかしながら、必ずしも病院においてのみ使用されるわけではなく、医師の管理指導の下に家庭でも用いられることがあり、また、極めて衰弱した病人の栄養補給にも用いられることもあることから、市内の医局等においても入手し得るよう消費者の便を図っているものである。したがって、このことを以て本件商標が用いられている「ミルクを主原料とする粉乳状の栄養素」を一般的な乳用粉乳であるとすることはできない。

4、当審の判断
よって判断するに、被請求人は本件商標を使用している証拠として乙第1号証から同第4号証までを提出しているものである。
しかしながら、被請求人の提出に係る乙第2号証のパンフレットには、「量的に母乳に近づけた乳児用調整粉乳SMAS-26を開発しました。」(第2頁)、「母乳の栄養成分に最も近い乳児用調整粉乳」(第5頁)との記述されているところから、該商品は「母乳の代用品又は代替品」としての特性を有する乳児用の栄養食品であって、栄養改善法第12条に規定された、厚生大臣が許可する特別用途食品の範疇に属する「乳児用調整粉乳」とみるのが相当である。
そして、被請求人の使用立証に係る「乳児用調整粉乳」なる商品は、その商品特性(母乳の代用品・代替品)及びその販売経路(薬局・医薬品売り場に限定されない。)からしても、医薬品・医薬部外品等ではなく、用途が特定・限定された食品であること明白であるから、「乳児用粉乳」の範疇に属する商品であると判断するのが相当である。
そうとすれば、被請求人が提出した証拠は、取り消し請求に係る指定商品「薬剤」についての使用証明ではないというのが相当である。
してみれば、本件商標は、日本国内において、継続して3年以上指定商品中の「薬剤」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていなかったものと認めざるを得ず、かつ使用されていなかったことについて正当な理由があるものとは認められない。
したがって、本件商標は商標法第50条第2項の規定により結論掲記の商品についてその登録を取り消すべきものとする。
よつて、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-09-08 
結審通知日 2000-09-19 
審決日 2000-10-16 
出願番号 商願昭54-5416 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (101)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山口 毅 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 佐藤久美枝
滝沢 智夫
登録日 1990-06-28 
登録番号 商標登録第2242491号(T2242491) 
商標の称呼 エスエムエイ、スマ 
代理人 浅村 肇 
代理人 木村 三朗 
代理人 宮城 和浩 
代理人 緒方 園子 
代理人 佐々木 宗治 
代理人 小林 久夫 
代理人 浅村 皓 
代理人 大村 昇 

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