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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) Z28 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) Z28 |
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管理番号 | 1052140 |
異議申立番号 | 異議2001-90090 |
総通号数 | 26 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2002-02-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-02-01 |
確定日 | 2001-11-26 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4430888号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4430888号商標の指定商品中「釣り具」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4430888号商標(以下、「本件商標」という。)は、後掲に示すとおり「投」の文字よりなり、平成12年3月22日に登録出願、第28類「遊戯用器具,手品用品,運動用具、釣り具」を指定商品として、平成12年11月2日に設定の登録がなされたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。 〈申立理由〉 本件商標は、釣り具業界において、「投げ釣り」或いは「投げ」を意味する略称として、一般に知られ且つ使用されている漢字「投」を普通に書してなり、その指定商品中「釣り具」に関連せしめて、商品の用途を表示するにすぎず、また、そうでない商品に使用した場合、商品の品質の誤認を生じさせるものであるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、商標登録されるべきものでない。 3 本件商標に対する取消理由 本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標はその指定商品中の「釣り具」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、商標権者に対して通知した取消理由は、つぎのとおりである。 <取消理由> 登録異議申立人が提出した、商品カタログ(甲第2号証ないし甲第6号証)によれば、「釣り具」を取り扱う業界において、「投」の文字は、商品「釣り竿、釣り糸、リール」について、投げ釣り用、或いは投げ釣りに適したものであることを表すものとして、取引上普通に使用されていることが認められる。そうとすれば、本件商標をその指定商品中の「投げ釣り用の釣り竿、釣り糸、リール等」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「投げ竿、投げ釣りに適した釣り糸、投げ釣りに適したリール」であること、すなわちその商品の品質、用途を端的に表示したものと看取するの止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。また、本件商標を前記以外の「釣り具」について使用するときには、その商品が「投げ釣り用、投げ釣りに適したもの」であるかの如く、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。したがって、本件商標は、その指定商品中「釣り具」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ない。 4 商標権者の意見 商標権者は、上記3の取消理由通知に対して、要旨次のように意見を述べている。 〈意見要旨〉 本件商標の「投」は有形物の動き、すなわち、A地点からB地点へ移る動作を表す文字であり、例えば、投手、遠投、投下、投擲、砲丸投、投与及び投了などの「投」として、また、抽象的な思想の移動にも、投機、投入、投げやり及び投げ売りの「投」のように使用されており、他の語と結合して始めて商品の品質、効能を表示するものであって、商品の需要者や取引者は「投」の1字を観て、「男性的」「能動的」「積極的」というイメージを招き、好感度を抱いて商品を購入するというべきである。そして、他人が「投釣り」という表現を用いても、商標法第26条の規定により、「投」の商標権の効力は及ばず権利侵害にならないというべきである。 したがって、本願商標は、顕著な印象を与え、購買意欲を促進する商標であって、自他商品の識別力を有するものであり、また、品質の誤認を生じさせるおそれはないというべきである。 5 当審の判断 本件商標についてした先の取消理由(上記3)は妥当であって、その認定の誤りを述べる商標権者の意見は、以下の理由により、採用することができない。 すなわち、本件商標は「投」の文字よりなるところ、該文字は、申立人の提出に係る証拠(甲第2号証ないし甲第6号証)によれば、「釣り具」を取り扱う業界において、「投」の漢字1字をもって、商品「釣り竿、釣り糸、リール」について、投げ釣り用、或いは投げ釣りに適したものであることを表わすものとして、取引上普通に使用されていることは、先の取消理由において認定したとおりである。そして、このような表示は、当該取り扱いに係る商品の用途又はその品質を表示したものと理解されるに止まり、それ以上に商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが取引の実情よりみて相当である。 してみれば、「投」の文字を有する熟語の用例をもって、他の語と結合して始めて商品の品質、効能を表示するものである旨述べる商標権者の主張は、前記事情に照らし採用の限りでない。その他、商標権者の主張を認めるに足りる証拠はない。 また、そうとすれば、本件商標を前記商品以外の「釣り具」について使用するときは、あたかも該商品が投げ釣り用、或いは投げ釣りに適したものであるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきであって、これを覆すに足りる証拠はないから、品質誤認を生じない旨述べる商標権者の主張は妥当でなく、採用の限りでない。 商標権者は、他人が「投釣り」という表現を用いても、商標法第26条の規定により、「投」の商標権の効力は及ばず権利侵害にならない旨主張しているが、同条の趣旨は、いわゆる過誤登録等の要因による登録商標の効力制限を定めたものであって、「投」の文字についての登録の適否を判断する本件にあってはその理由を考慮に入れる余地はなく、したがって、この点を述べる商標権者の主張は妥当でない。 したがって、本件商標の登録は、指定商品中の「釣り具」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとし、その余の指定商品については、取り消すべき理由はないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
本件商標 |
異議決定日 | 2001-10-05 |
出願番号 | 商願2000-27883(T2000-27883) |
審決分類 |
T
1
651・
272-
ZC
(Z28)
T 1 651・ 13- ZC (Z28) |
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 飯島 袈裟夫 |
特許庁審判長 |
原 隆 |
特許庁審判官 |
高野 義三 野上 サトル |
登録日 | 2000-11-02 |
登録番号 | 商標登録第4430888号(T4430888) |
権利者 | ユニチカ株式会社 |
商標の称呼 | トー |
代理人 | 江口 俊夫 |