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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない 003
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない 003
管理番号 1052009 
審判番号 審判1998-19822 
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-12-14 
確定日 2001-12-19 
事件の表示 平成 9年商標登録願第 28971号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「アクネスポット」の片仮名文字を横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として平成9年3月17日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「アクネスポット」の文字を書してなるところ、化粧品の分野において、「アクネ」は「にきび用の」、「スポット」は「染み、汚れ」等の意味を有する外来語であり、日焼けによる染み等を防ぐスキンケアの商品(化粧水、乳液等)に「スポット化粧水」等の如く商品の品質、用途を表す語として普通に使用されていることに加え、前記商品に「スポット」の文字を複数形で表したものと理解させる「アクネスポッツ」の文字を商品の品質、用途を表す語として普通に使用されている実情にあるから、これを指定商品中、にきび用の化粧水、乳液、クリーム等に使用しても、「にきびの染みを防止する商品」等の如く理解させるにとどまり、商品の品質、用途を表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

第3 請求人の主張の要点
1 請求の趣旨
原査定を取り消す、本願商標は、登録すべきものとする旨の審決
2 請求の理由
(1)本願商標は、「アクネスポット」と表示してある造語商標であり、「にきびの染みを防止する商品」を表すものとして普通に用いられる表現ではない。
(2)原査定の認定では、本願商標を前半の「アクネ」と後半の「スポット」に分離観察しているが、分離観察すべき特別の根拠は見出し得ない。即ち、本願商標は、片仮名で同書・同大・一連に「アクネスポット」と表し、外観上はもちろん、全体の称呼もわずか7音と比較的短い音数で、称呼上も前半部と後半部に分離観察すべき必然性はない。
(3)「スポット」は、「一点、場所、地点」を意味するものであり、「スポット化粧水」を解釈すれば、一点、局部的に使用する化粧水の如く類推解釈することは可能であるが、化粧品の品質、用途を表す語として普通に使用されていることを示す用例はない。「商品の品質、用途を表す語として普通に使用されている」というためには、1、2の事例ではなく、化粧品業界において多用されていることを必要とする。
(4)以上のとおり、「アクネ」が「にきび用」の商品を表す語として使用されているとしても、「スポット」の用例はわずかに一業界紙が掲載した一企業の商品紹介記事において「スポット化粧水」として示されるにすぎず、顕著性なしとすべき根拠となし得ない。要するに、本願商標「アクネスポット」は、全体として特定の観念を有しない造語商標であり、全体を滑らかに称呼可能で、前半部と後半部に分離して観察すべき根拠はなく、自他商品識別機能を発揮し得るものである。
(5)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当しない。
3 証拠方法
請求人は、証拠方法として甲第1号証ないし同第9号証を提出した。

第4 当審における職権証拠調べ結果通知
本件審判事件について、当審において職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標が商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当すると認められる下記の証拠を発見したので、商標法第56条第1項において準用する特許法第150条第5項により、その旨を請求人に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

1 お悩み相談室新回答編(インターネット ホームページ)
2 口コミスキンケア情報(インターネット ホームページ)
3 株式会社NACー保湿ケアー(インターネット ホームページ)
4 アットコスメ 商品詳細(インターネット ホームページ)
5 新聞「週間粧業」1988年3月21日発行
6 新聞「週間粧業」昭和62年1月26日発行
7 新聞「週間粧業」昭和54年10月22日発行
添付資料
上記1ないし3の書証の写し 各1通

第5 請求人の意見の要点
職権証拠調べの書証1ないし4において「アクネスポット」の表示が見られるが、「アクネ」は「acne」、即ち「にきび」に通じるとしても、「スポット」の意味は多様性を有しており、「アクネスポット」を「アクネ =ニキビ」「スポット=染み、吹き出物」と解した場合、同じような表現を繰り返していることになり、その意味するところは不明である。また、同書証5ないし7で示される事例は、本願商標とは事例を異にしている。したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当する証拠にはなり得ない。

第6 当審の判断
1 本願商標の識別性について
(1)本願商標は、「アクネスポット」の片仮名文字を横書きしてなるものであり、「アクネ」と「スポット」の語を結合したものであって、「アクネ」の語が「acne」即ち「にきび」を意味する語であることは請求人も争わないところである。
そして、「アクネ」と「スポット」の語について検討するに、当審において職権証拠調べをした結果、本願商標の指定商品を扱う化粧品業界においては、上記第4に示した「お悩み相談室新回答編」によれば、「薬用アダルトアクネスポット」と記載されていること、同じく「株式会社NACー保湿ケアー」によれば、「脂性肌(特にアクネスポット)」「脂性肌のトラブルスポットに使用する専用美容液です。」と記載されていること、同じく新聞「週間粧業」(1988年3月21日発行)によれば、「カネボウ アクネシリーズを発売」と題して「肌の悩み別のオプションスキンケアとしては、スポット化粧水。」と記載されていること、同じく新聞「週間粧業」(昭和54年10月22日発行)によれば、「伸びるアクネ用製品」と題して「スポッツクリーム」と記載されていることが認められる。
上記証拠よりすると、「アクネスポット」又は「にきび(アクネ)用製品」における「スポット」又は「スポッツ」の語は、「にきび(アクネ)の生ずる点、場所」を意味する語として、化粧品業界において使用されている語であることは明らかである。
そうすると、本願商標「アクネスポット」は、これをその指定商品「化粧品」中例えば「にきびのトラブルスポットに使用する専用美容液又はクリーム」などに使用するときは、商品の用途、品質を表示したものであり、それ以外の「化粧品」に使用したときは商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものである。
(2)請求人は、『本願商標「アクネスポット」は、全体として特定の観念を有しない造語商標であり、全体を滑らかに称呼可能で、前半部と後半部に分離して観察すべき根拠はなく、自他商品識別機能を発揮し得るものである』旨主張するが、本願商標については前記(1)において認定したとおりのものであり、これに反する請求人の主張は採用することができない。
2 結語
以上のとおりであり、本願商標は商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-10-09 
結審通知日 2001-10-19 
審決日 2001-10-30 
出願番号 商願平9-28971 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (003)
T 1 8・ 272- Z (003)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 三男 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 大島 護
柳原 雪身
商標の称呼 アクネスポット 
代理人 後藤 誠司 
代理人 大島 泰甫 
代理人 稗苗 秀三 

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