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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 041
管理番号 1050430 
審判番号 審判1999-35765 
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-01-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-12-21 
確定日 2001-11-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第3332871号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3332871号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3332871号商標(以下「本件商標」という。)は、別記(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成4年9月28日登録出願、第41類「ゴルフ場の提供,ゴルフ練習場の提供,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,ゴルフの教授,テニス場の提供,体育館の提供」を指定役務として平成9年7月18日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標
1 登録第3076950号商標 別記(2)に表示したとおり
登録出願日 平成4年9月30日
設定登録日 平成7年9月29日
特例商標
指定役務 第41類「プールの提供」
2 登録第3139082号商標 別記(3)に表示したとおり
登録出願日 平成4年9月30日
設定登録日 平成8年4月30日
指定役務 第41類「運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席 の手配,技芸・スポーツ又は知識の教授,美術品の展示,映画・演 芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作 又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,音響用 又は映像用のスタジオの提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の 興行の企画又は運営に関する情報の提供,映画の上映・制作又は配 給に関する情報の提供,演芸の上演に関する情報の提供,演劇の演 出又は上演に関する情報の提供,音楽の演奏に関する情報の提供」3 登録第3246765号商標 別記(4)に表示したとおり
登録出願日 平成4年9月30日
設定登録日 平成9年1月31日
特例商標
指定役務 第42類「宿泊施設の提供,日本料理を主とする飲食物の提 供,イタリア料理の提供,中華料理の提供,アルコール飲料を主と する飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料 を主とする飲食物の提供,入浴施設の提供,婚礼(結婚披露を含む 。)のための施設の提供,宴会のための施設の提供」
以下、これら請求人の引用に係る登録商標を、表示した番号に従い「引用商標1」のようにいう。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第26号証を提出している。
本件商標の登録は、商標法第8条第2項、同法第4条第1項第8号、同第15号及び同第7号に違反してされたものであるから、無効とされるべきである。
1 商標法第8条第2項
(1)本件商標と引用商標1との類似性
本件商標及び引用商標1は、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第4条により先願の特例規定が適用となる期間に出願されたものであって、引用商標1は使用に基づいて出願された請求人の著名な登録商標である。
ア 称呼
本件商標は、欧文字「Four Seasons Country Club」と片仮名文字「フォーシーズン カントリークラブ」とを二段に書してなり、これより「フォーシーズンカントリークラブ」の称呼が生じる。
しかし、この称呼は、長音を含めて14音と極めて長く、一息に称呼することは難しい。また、後半の「カントリークラブ」は、ゴルフ場を表示するものとして、通常使用されている言葉であり、本件商標の指定役務である「ゴルフ場の提供等」との関連では識別力は弱い。
イ 「カントリークラブ」の識別力
本件商標の出願公告に対して行った異議申立てについての異議決定(甲第4号証)において、被請求人が別件異議事件の答弁書で行った主張を採用し、「カントリークラブ」という言葉が実際に識別の要素となっているので、本件商標が「フォーシーズン」と略称されることはないとの判断を示している。
すなわち、例えば「○○カントリークラブ」と「○○ゴルフ倶楽部」、「○○カントリークラブ」と「○○ゴルフ場」の如く経営主体を異にするゴルフ場にあって、前部構成部分「○○」を共通にし、後部構成文字部分「カントリークラブ」「ゴルフ倶楽部」「ゴルフ場」を異にするゴルフ場の名称が区別されて少なからず存在する実情があることが認められる、と認定する。
しかし、これらの例は本件における類似性判断の参考となるべきものではない。被請求人が提出した証拠は、「恵庭カントリークラブ」と「恵庭ゴルフ場」、「函館カントリークラブ」と「函館ゴルフ倶楽部」、「北海道カントリークラブ大沼コース」と「北海道ゴルフ倶楽部」、「八戸カントリークラブ」と「八戸ゴルフ倶楽部」のように、前半部分は、いずれも地名で構成され、本件のように「Four Seasons」という識別力のある言葉とは全くその性質を異にするからである。
つまり、「北海道」「函館」「八戸」のいずれも、行政区画を表す地名で、誰でも使用できる表示であり、通常、単独では役務提供者の出所を表示する機能を持ち得ない。
しかし、ゴルフ場のように、所在地が利用者にとって極めて重要な情報であり、名称中に地名を入れて表示するのが一般的な場合に、他の構成要素である「カントリークラブ」「ゴルフ倶楽部」「ゴルフ場」といった、それ自体では極めて識別力に乏しい表示が、例外的に、役務の提供者を判別するかのように機能する場合があるにすぎない。
これに対して、本件商標の前半部分は、指定役務との関連で説明的な要素は全くなく、十全の出所表示機能を有する。したがって、これと組み合わされた「カントリークラブ」や「ゴルフ場」に識別機能を期待する事情は全くない。本件商標「フォーシーズン カントリークラブ」においては、「フォーシーズン」が要部なのである。
以上のとおり、異議決定の根拠となっている「カントリークラブ」に識別力があるという判断は証拠資料の評価を誤ったものである。
したがって、本件商標においては、「フォーシーズン Four Seasons」が要部であり、これから「フォーシーズン」の称呼が生じる。
本件商標の称呼「フォーシーズン」と引用商標1の称呼「フォーシーズン ズ」とを比べると、その相異は、語尾の「ズ」の有無のみである。しかも、本件商標の欧文字部分は「Four Seasons」と文法的に正しく複数形で表されていることから、「フォーシーズンズ」の称呼をも生じ得る。
したがって、両商標の称呼はほとんど同一といい得るほど極めて類似する。
ウ 観念
本件商標の要部は、上記の通り「Four Seasons フォーシーズン」であり、これより「四季」の観念が生じる。
これに対して、引用商標1からも、同様に「四季」の観念が生じる。
したがって、両商標は、観念上類似する。
エ 指定役務の類似
本件商標及び引用商標1の指定役務は前記のとおりであって、引用商標1の指定役務は「運動施設の提供」に含まれるから、両商標の指定役務は類似する。
以上のとおり、本件商標と引用商標1は、商標法第8条第2号の適用上、競合する同日出願であり、引用商標1は、前記のとおり使用に基づく登録出願であるから、本件商標は、無効とされるべきである。
(2)本件商標と引用商標2との類似性
引用商標2は、本件商標と同様に特例期間中に出願されたものである。
ア 称呼
引用商標2は、多少デザイン化された欧文字「FourSeasonsHotel」からなり、これより、全体で「フォーシーズンズホテル」の称呼が生じる。
また、後半の「Hotel」の部分は、請求人の主要な役務を表す言葉であり、識別力は弱いこと、さらには全体が10音と冗長に亘ることから、前半の「FourSeasons」のみから「フォーシーズンズ」の称呼をも生じ得る。
したがって、本件商標は、引用商標2と称呼において類似する。
イ 観念
引用商標2からも「四季」の観念が生じるから、本件商標は、引用商標2と観念上類似する。
ウ 指定役務の類似
本件商標の指定役務は、いずれも引用商標2の指定役務に包含されるものであるから、両商標の役務は抵触する。
エ 引用商標の著名性
引用商標1及び引用商標2は、後記の通り、ホテルビジネス及びこれに関連する総合レジャービジネスに関して世界的に著名な商標である。
商標法第8条第2項に該当する二つの商標がある場合、著名性を獲得している商標が優先して登録される(附則平成3年法律第65号第5条2項)。
よって、本件商標の登録は、これに違反するものである。
2 商標法第4条第1項第8号について
請求人は、カナダのトロントに本社をもつ高級ホテルチェーン「フォー シーズンズ ホテルズ アンド リゾーツ(Four Seasons Hotels & Resorts)」(以下「フォーシーズンズグループ」という。)の子会社である。
フォーシーズンズグループは、1961年に開業し、カナダ、アメリカ、ヨーロッパなどに30近いホテルチェーンをその傘下にもつ。
そして、甲第8号証ないし同第12号証によれば、例年発表される企業のランク付け世界のベストホテル75の1990年から1992年のりスト(甲第8号証)やアメリカの旅行雑誌が発表する読者が選ぶトップ100ホテルのリスト(甲第9号証)に「FOUR SEASONS」の名前が数多く見られ、「FOUR SEASONS HOTEL」は「FOUR SEASONS」と略称されている。また、業界紙の記事でもフォーシーズンズグループを示すのに「FOUR SEASONS」と略称され(甲第10号証)、雑誌の旅行案内にも、ハワイの「FOUR SEASONS」と略称で紹介されている(甲第11号証)。さらに、フォーシーズンズグループの創設者について「A MAN FOR FOUR SEASONS」と紹介されている(甲第12号証)。
わが国においても、同様に、高級ホテルチェーン「フォーシーズンズグループ」は、しばしば「フォーシーズンズ」と略称されている。
外資系企業の系列と勢力地図を背景に大手9つのホテルグループの一つとして、フォーシーズンズグループを紹介しているが、その名は「フォーシーズンズ」と略称されている(甲第13号証)。
わが国では、1992年1月に、フォーシーズンズグループと藤田観光の合弁により、「フォーシーズンズ ホテル椿山荘」が開業した。開業に先立ち、内外を通して数々の宣伝が行われ、また数々のメディアに取り上げられた(甲第14号証)。
また、最近では、日経ビジネス1997年12月12日号が、「日本の経営者が選ぶホテル」で、「フォーシーズンズ」が初の首位に輝いたことを報じている(甲第15号証)。
以上のとおり、「FOUR SEASONS」「フォーシーズンズ」は、世界的高級ホテルチェーン、フォーシーズンズグループの著名な略称であり、これを含む本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当し、登録は取り消されるべきである。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用商標「Four Seasons」との類似性
本件商標は、上述のとおり「フォーシーズン」の称呼が生じ、請求人の引用する引用商標3の称呼「フォーシーズンズ」と類似する。
また、本件商標からは「四季」の観念が生じるが、これは、引用商標の観念と同-である。
したがって、本件商標と引用商標3とは、称呼、観念において類似する、相互に紛らわしい商標である。
(2)引用商標3の著名性
引用商標3は、世界的にホテル業務に使用され、請求人の名称の略称と共通し、広く知られている。
上述のとおり、フォーシーズンズグループは、世界的高級ホテルチェーンとして、需要者・取引者はもちろん一般に広く知られ、その名称は「FOUR SEASONS」「フォーシーズンズ」と略称されている。
さらに、フォーシーズンズグループは、著名誌への広告も数多く行っており、甲第17号証はその一部で、ニューヨーカー(New Yorker)、エコノミスト(The Economist)、ウォールストリートジャーナル(The Asian Wall Street Journal)への広告である。
いずれも、本件商標の出願以前のものである。
わが国のフォーシーズンズホテル椿山荘は、開業以来その売上を着実に延ばしており、初年度の77億円から1996年には、98億8千万を記録し、客室稼働率も71パーセントを維持している(甲第18号証)。
甲第19号証は、1996年及び1997年にかけてのテレビ・雑誌等マスコミ取材実績表であるが、テレビ取材は月に4件程度、雑誌の取材は十数件行われている。フォーシーズンズホテル椿山荘が一般の関心を広く集めていることを示している。
したがって、請求人の商標及び名称は、本件商標の登録出願以前はもちろん、その後も著名度を高めていることは疑いがない。
審査例でも、請求人の商標又は略称の著名性は顕著な事実とされ、本条の適用を認めた決定が4件存在する(甲第20号証)。
以上のとおり、請求人の引用商標3は、世界的に著名な商標であり、わが国においても、本件商標の出願以前に全国的に著名な商標となっていることは明らかである。
(3)本件商標の指定役務と引用商標3の指定役務の近似性
引用商標3は、上記のとおり「宿泊施設の提供」を中心とするホテルビジネスに関連して世界的に著名な商標である。
ホテルサービスは、単に宿泊施設の提供に止まらず、宿泊客の広範なニーズに応えるため、数々のサービスを併せて行っている。
甲第21号証は、世界中の「フォーシーズンズホテル」と、1992年に提携した「リージェントホテル」を網羅した「Directory(名簿)」である。
この中には、41件のホテルが紹介されており、この中の28件がフォーシーズンズホテルであり、この中には、日本の「フォーシーズンズホテル椿山荘」も紹介されている。
ほとんどすべてのホテルは、「ヘルスクラブ」や「プール」を備え、「テニスコート」や「スカッシュコート」も多くのホテルが提供している。
また、「ゴルフコース」は、米国のダラス、ミナキ、ネビスがホテルの設備として設けている。
甲第22号証は、「フォーシーズンズ ダラス」のパンフレット2種であり、ゴルフコースの写真を掲載している。
以上のとおり、請求人のホテルグループは、日本では、スポーツ施設としては、「ヘルスクラブ」や「プール」を提供しているが、国によっては「テニスコート」「スカッシュコート」さらには「ゴルフコース」等、広範な役務を実際に提供している。
したがって、本件商標がその指定役務に使用されれば、請求人の役務と出所の混同を生じるおそれのあること明らかである。
(4)請求人の「FourSeasons」を含むその他の商標
請求人は、引用商標3の外に、第42類において3件の登録商標をもっており、これら商標の要部は「FourSeasons」であり、本件商標と類似する。
さらに、商品化事業のため、商標「FourSeasonsHotels」を各種商品について14の類に登録を取得している(甲第26号証)
以上のとおり「FourSeasons」を含む商標は、我が国においても、請求人の名義で広範に登録が行われており、本件商標の被請求人による使用は、出所の混同を来すおそれが大きい。
(5)著名商標を含む商標の類似判断
周知・著名商標の保護の重要性が指摘されている中で、平成11年6月審査基準が見直され、運用の改善が明確に宣言されている。
本件商標は、まさに、請求人の著名商標と識別力の弱い「カントリークラブ CountryClub」の文字とを組み合わせたものであり、請求人の役務である、宿泊施設の提供、スポーツ施設の提供等の役務の出所の混同を生じるおそれがある。
4 商標法第4条第1項第7号
「Four Seasons」は、上述のとおり、請求人の著名な略称であると同時に宿泊施設の提供を中心とする役務に関して請求人の著名な商標である。この著名性は本件商標の登録出願時に既に確立されたものであり、スポーツ施設の提供を業とする被請求人の十分認識していたところと推認される。
したがって、請求人の著名商標の存在を認識しつつされた商標出願は、国際信義に反し、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第3 被請求人は、本件審判請求に対して何ら答弁するところがない。

第4 当審の判断
1 請求人の提出に係る証拠によれば、請求人の述べる「Four Seasons Hotels and Resorts」は、「Regent International Hotels」と1992年に合併し、ホテルグループ「Four Seasons・Regent Hotels and Resorts」となったことが認められる(甲第21号証)。
そして、上記Four Seasons Hotels and Resorts系列のホテル(以下「フォーシーズンズホテル」という。)は、北米、ヨーロッパ、アジアなどに多くの施設を有し、日本では、1992年1月に「フォーシーズンズホテル椿山荘」をオープンした(甲第18号証等)。
フォーシーズンズホテルについては、1992年(平成4年)6月5日株式会社日本実業出版社発行の「外資系企業の系列と勢力地図」(甲第13号証)に、世界的に大手といわれているホテルは9社あるとして、その9社の中に「フォー・シーズンズ」と表示されて掲載された。
また、インスティテューショナルインベスター誌が発表する世界のベストホテル75の1990年(平成2年)から1992年(平成4年)のリスト(甲第8号証)に多くの「FOUR SEASONS」がランクインしており、旅行雑誌コンデナストトラベラーが発表する読者が選ぶトップ100ホテルのリスト(甲第9号証)にも、同様に多くの「FOUR SEASONS」が掲載されている。これらは、いずれも「フォーシーズンズホテル」を「FOUR SEASONS」と省略して表示していると認められる。
2 わが国に存在するフォーシーズンズホテルは一ホテルのみであることが認められが、同ホテルの開業に先立ち、例えば、1991年(平成3年)9月6日号「ホテル&レストラン」に「フォーシーズンズ創立30周年を迎える」の表題で、当時のフォーシーズンズ・ホテル・アンド・リゾーツに関する業績や東京・椿山荘が92年開業予定であることなどが紹介されるなど、同ホテルの開業の経緯、ホテルの規模などに関して新聞、雑誌などを通じて紹介されている実情が認められる(甲第14号証)。
そして、前記1に記載した事実に加え、昨今の情報、サービス等の急速なグローバル化により、インターネットや新聞、雑誌などのマスメディアを介し、或いは、海外旅行などの機会を通して海外の諸々の情報が大量に、かつ、瞬時に伝達され得る状況にあることを勘案すれば、請求人が宿泊の提供、飲食物の提供などホテルに関連する業務について使用する「FOUR SEASONS」の文字からなる商標(以下「請求人商標」という。)は、本件商標の登録出願の時には、既に「フォーシーズンズホテル」を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと判断するのが相当である。
3 そして、「フォーシーズンズホテル」においては、個々のホテルにより異なるものの、「ヘルスクラブ」や「プール」、「テニスコート」、「スカッシュコート」などを提供しており、「ゴルフコース」は米国のダラス、ミナキ、ネビスがホテルの設備として設けている。
また、わが国における実情をみると、ホテルの施設として「テニスコート」「ゴルフコース」などを設けているホテルも見受けられ、宿泊施設を併設しているゴルフ場も少なからず存在するものと認められる。
そうすると、ホテルと本件商標の役務の事業者とは、その提供する役務が一部共通することも少なくないものといわなければならない。
4 そこで、本件商標と請求人商標とを比較する。
本件商標の構成は、別記(1)に示すように「Four Seasons Country Club」の欧文字及び「フォーシーズン カントリークラブ」の仮名文字よりなるものであり、後半部の「Country Club」及び「カントリークラブ」の各文字がその指定役務との関連からすると、「ゴルフクラブ」などの語と同様にゴルフ場を表す施設名として広く常用されている語であり、全体としてゴルフ場の名称を表したものと認められる。
そして、ゴルフ場の名称にあっては、当該地域に、「カントリークラブ」或いは「ゴルフクラブ」などの施設を表す語(以下「施設を表す語」という。)に当該地名を冠した複数のゴルフ場があり、全体をもって称呼しない限りこれらのゴルフ場を個別に識別し得ない場合、或いは、施設を表す語を省略した地名のみでは、行政区画の地名と認識され、ゴルフ場の略称とは認識され難い場合などの格別の事情が存しない限り、それ自体では識別力がないか、極めて識別力に乏しい「カントリークラブ」或いは「ゴルフクラブ」などの施設を表す語を省略して称呼されることも少なくない実情にあるものと認められる。
これを本件商標についてみるに、構成中の前半部の「Four Seasons」及び「フォーシーズン」の文字は、その指定役務についてそれ自体で識別標識としての機能を果たすものというべきであり、上記格別の事情は存しない。
そうすると、本件商標は、これ全体より生ずると認められる「フォーシーズンカントリークラブ」の称呼が14音と極めて冗長なものであることを併せ考慮すれば、これをその指定役務に使用する場合、取引者、需要者は「Four Seasons」、「フォーシーズン」の文字部分を捉え、これより生ずる称呼、観念をもって取引にあたる場合も多いものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、全体から生ずる称呼のほか、「Four Seasons」、「フォーシーズン」の文字に相応して「フォーシーズン」の称呼、「四季」の観念を生ずるものといわなければならない。
これに対し、請求人商標は、「FOUR SEASONS」の文字よりなるものであるから、これより「フォーシーズンズ」の称呼、「四季」の観念を生ずるものであって、その上、請求人商標は本件商標の欧文字と同一の綴り字よりなるものである。
したがって、本件商標は、請求人商標と称呼及び観念において類似するものと認められる。
5 以上を総合すれば、本件商標がその指定役務に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、該役務を「フォーシーズンズホテル」、又は、そのグループ会社、子会社などフォーシーズンホテルと何らかの関係を有する事業者の提供に係るものであるかのよう認識し、役務の出所について混同するおそれがあるものと判断するのが相当である。
6 してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
(1)本件商標
(登録第3332871号商標)


(2)登録第3076950号商標



(3)登録第3139082号商標



(4)登録第3246785号商標


審理終結日 2001-09-11 
結審通知日 2001-09-17 
審決日 2001-10-09 
出願番号 商願平4-239201 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (041)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小川 きみえ 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 宮下 行雄
上村 勉
登録日 1997-07-18 
登録番号 商標登録第3332871号(T3332871) 
商標の称呼 フォーシーズンカントリークラブ、フォーシーズン 
代理人 浜田 廣士 
代理人 中山 健一 
代理人 松原 伸之 
代理人 鳥羽 みさを 
代理人 村木 清司 

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