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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 039
管理番号 1050297 
審判番号 審判1999-686 
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-01-11 
確定日 2001-10-31 
事件の表示 平成4年商標登録願第280854号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「赤帽」の漢字を書してなり、第39類「貨物自動車による輸送」を指定役務として、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条(使用に基づく特例)の適用を主張して、平成4年9月29日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、昭和50年5月に貨物軽自動車運送事業を開始して以来、全国都道府県毎の中小企業等協同組合法に基づく協同組合化を図り、本願商標の出願時においては全国8ブロックからなる全国組織を有し、営業拠点60ケ所、車両台数2万5千台余を有する軽自動車による輸送において広く知られている全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会(千代田区東神田二丁目8番16号)の広く知られた標章と認められる「赤帽」の文字を有しているから、これを本願の指定役務に使用する場合には、あたかも上記団体と組織的に何らかの関連がある会社の業務に係る役務であるものと、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」と認定・判断し、本願を拒絶したものである。

第3 請求人の主張
1.本件出願人(請求人)は前記拒絶理由通知に対し、平成10年9月24日に意見書を提出して、商標「赤帽」はこれまで「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」(以下、単に「連合会」と記す)だけに使用されてきたのではなく、本件出願人を始めとして、他の者も使用してきてきたこと。しかも、「連合会」よりも先に本件出願人が使用を開始し、現在も継続して使用していること、「連合会」は商標「赤帽」を自らが使用してきたのではなく、その加入者である個々の組合員が使用してきたこと等を主張して、商標「赤帽」は「連合会」の商標として周知なのではなく、多くの人に使用されてきた結果として周知になっていることを説明し、本件商標は登録されて然るべきものである旨を主張した。その主張内容は本書に添付の資料1(前記意見書)の通りである。しかし、本件出願は平成10年12月11日に拒絶査定となった。出願人は拒絶査定の詳細理由について担当審査官に訊ねたところ、前記意見書に添付された資料のみでは本件出願人が商標「赤帽」を自動車による貨物輸送に継続使用してきた事実が十分に明らかにされていないため、使用に基づく特例出願ではあるが登録し難かった、との説明を受けた。そこで本件出願人は、本件商標「赤帽」についての本件出願人の使用実績を資料2乃至資料51に基づいて具体的に明らかにする。
2.商標「赤帽」についての本件出願人の使用事実の説明
(1)本件出願人の業務概要
(イ)本件出願人は昭和26年6月6日に、「一般路線貨物自動車運送事業」「ー般区域貨物自動車運送事業」 「通運事業」「軽車両等運送事業」 「自動車運送取扱事業」を目的として設立された法人である。本件出願人の設立は「連合会」が設立された昭和55年頃よりも約24年も早い。以上の事実は資料2及び資料3の登記簿謄本の写しから明らかである。
(ロ) 本件出願人は前記目的に基づく業務を行うために必要な「貨物自動車事業免許」を昭和26年5月31日に取得していることは資料4から明らかである。
(ハ) 本件出願人は昭和56年当時、既に自動車による貨物輸送を行うために三菱自動車製の貨物自動車及びスバル自動車製の貨物自動車を多数所有していた。このことは資料5に示す減価償却資産に関する明細書及び資料6ー1、資料6ー2から明らかである。特に、三菱自動車製の貨物自動車については昭和55年から毎年継続して購入しており、且つ購入した全ての貨物自動車に本件商標「赤帽」の文字が表示されていることが資料6ー1によって明らかである。
(2)商標「赤帽」の使用開始時期
本件出願人が自動車による貨物輸送に商標「赤帽」を使用し始めたのは昭和55年頃であり、「連合会」が商標「赤帽」の使用を開始したのは昭和56年10月5目(資料1ー1)である。従って、商標「赤帽」の使用は「連合会」よりも本件出願人が先である。
(3)本件出願人による本件商標「赤帽」の使用状況
(イ)本件出願人は昭和56年4月1日より今日まで(特例出願の前からそれ以降も)、貨物自動車による輸送業務に本件商標「赤帽」を継続的に使用してきた。このうち昭和56年〜平成10年までの事実は資料2乃至資料51(本件出願人の確定申告書、事業概要説明書等の写し)から明らかである。平成11年についてはそのような資料は無いが同様に業務を行なっている。
(ロ) 本件出願人は自動車による貨物輸送事業を行うに当り、同事業に使用する貨物自動車のドアや荷台の背面板等の見やすい位置に、本件商標「赤帽」を表示してきた。このことは資料6ー1、6ー2から明らかである。
(ハ) 本件出願人は当該期間中、複数の顧客から貨物輸送の受注を受けて業務を行なってきた。このことは前記資料22乃至資料33の本件出願人の事業概要説明書の写しから明らかである。
(ニ)本件出願人は本件出願後も自動車による貨物輸送業務を継続的に営みその業務に本件商標「赤帽」を継続的に使用してきた。このことは前記資料22乃至資料33の本件出願人の事業概要説明書の写しから明らかである。また、資料50、資料51の原価償却表の写しに示されているように、本件出願人が貨物輸送業務に使用するための貨物自動車を多数所有していることによっても裏付けられる。本件出願人が貨物自動車運送業務によって前記利益を得ていることは資料7乃至資料21の確定申告の写し、資料34乃至資料49の損益計算書の写しから明らかである。
以上により、本件出願人が特例出願の前から今日まで、継続して、本件出願商標「赤帽」を使用して、自動車による貨物輸送をおこなってきたことは明らかである。
(4)結び
(イ)以上の通り、本件出願人は「連合会」(実際には連合会の各組合員)が貨物輸送(役務)に「赤帽」なる標章の使用を開始した昭和56年より前の昭和55年から現在に至るまで、本件商標「赤帽」を自動車による貨物輸送に継続使用しており、使用による特例出願は認められるべきである。
(ロ)前記意見書(資料1)で主張した通り、商標「赤帽」は「連合会」だけの使用によって周知となったのではなく、多くの者の使用により、特定の誰のものともなく周知となっていること、商標「赤帽」は本件出願人も前記の様に使用しており、その周知性を蓄積してきた者の一人であり、しかも、本件出願人は本件出願の商標「赤帽」を「連合会」の使用開始よりもはるか前より、不正競争の目的ではなく、自動車による貨物輸送(役務)について使用してきたこと等の事実を勘案すれば、本件出願の商標「赤帽」は他の特例出願の商標「赤帽」と共に登録されて然るべきものであると判断される。

第4 当審の職権証拠調べ通知書の証拠
1.証拠1
報知新聞 1992年(平成4年)2月24日 5版(8)の「TOWN TO TOWN」の記事
2.証拠2
毎日新聞 1995年8月20日 11版6の「あかぼう」の広告
3.平成4年(ワ)第8027号標章使用禁止請求事件判決
注、出願人は当事者につき判決(写し)の送付を省略する。
4.証拠3
「全国赤帽自動車運送協同組合連合会会員名簿」(平成4年7月末現在)
5.証拠4
全国赤帽自動車運送協同組合連合会 「定款・規約・規定集」

第5 当審の職権証拠調べに対する意見
1.「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」が漢字表記の「赤帽」を使用していたことは、前記証拠を提示されるまでもなく本件審判請求人は知っていた。本件審判請求人が平成11年2月4日付の審判請求書理由補充書で主張していることは「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」は漢字の「赤帽」を一切使用していないということではなく、漢字の「赤帽」を使用しているのは、主として、同連合会に加盟している各部道府県の組合員である。このため、漢字の「赤帽」は平成10年7月16日付起案の拒絶理由通知で指摘のように、「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」の商標として有名になっているのではない。従って、本件審判請求人が商標登録出願した漢字の「赤帽」を使用しても、「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」と何らかの関連がある会社の役務であると混同される虞れはない、ということである。
2.本件証拠調べ通知書の証拠について。
(1)本件証拠調べ通知書の証拠1(報知新聞)に記載されている使用例は、漢字の「赤帽」ではなく、平仮名の「あかぼう」である。証拠1の新聞記事に記載されているように、「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」は平成4年1月には平仮名の「あかぼう」を使用している。平仮名の「あかぼう」の使用は、本書に添付の資料1、2から明らかなように、「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」の方針である。このため、現在では、漢字の「赤帽」が表示されているのは既存の自動車のみであり、新設の自動車には平仮名の「あかぼう」が使用されている。このことは本書に添付の写真からも明らかである。この写真は、本件審判請求人が平成13年7月5日に「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」の関連施設である首都圏物流センターで撮影したものである。「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」は、本書に添付の資料1、2から明らかなように、平成4年から、ローマ字の /Akabou」も使い始めてきた。このため、近年は仮名の「あかぼう」とローマ字の「Akabou」が主として使用され、漢字の「赤帽」は使用されることは極めて少なくなっている。このことは前記写真からも明らかである。漢字の「赤帽」が使用されるのは、同連合会に加盟している各都道府県の組合員の商号としての使用である。ー例として前記写真に撮影されているのは、「赤帽くり運送」、「赤帽ジョッキー・カーゴサービス」、「赤帽ハヤミ運送」、「赤帽(有)小出運輸」である。
(2)本件証拠調べ通知書の証拠2(毎日新聞)に記載されている使用例も、漢字の「赤帽」ではなく、平仮名の「あかぼう」である。
(3)前記のように、近年では平仮名の「あかぼう」と口ーマ字の「Akabou」が主として使用されているため、漢字の「赤帽」は希釈化されつつあり、周知度が低下しているのが実情である。
(4)本書に添付の資料1、2のように「赤帽」新聞が発行されているが、その発行所は「全国赤帽運送協同組合連合会本部」である。従って、漢字の「赤帽」を使用している者は必ずしも「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」とは限らない。
(5)本件証拠調べ通知書の証拠4は「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会会員名簿」である。それによれば、会員の所在は理解できるが、それら会員が漢字の「赤帽」を使用しているのか、平仮名の「あかぼう」を使用しているのか、口ーマ字の「Akabou」を使用しているのか、商号のー部として使用しているのか、或はそれらとはまったく異なる使用をしているのか不明である。従って、この証拠により、漢字の「赤帽」が使用されていることは立証されない。
(6)本件証拠調べ通知書の証拠5は全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会会の「定款・規約・規程集」である。それによれば、定款・規約・規程の内容は理解できるが、それら会員が漢字の「赤帽」を使用しているのか、平仮名の「あかぼう」を使用しているのか、ローマ字の 「Akabou」を使用しているのか、商号のー部として使用しているのか、或はそれらとはまったく異なる使用をしているのか不明である。従って、この証拠によっても、漢字の「赤帽」が使用されていることは立証されない。
3.漢字の 「赤帽」の使用経緯とその使用者について。
(1)漢字の「赤帽」は、軽自動車を使用した荷物の運送業務について、複数の者によって、同じ時期に、並存して使用されてきたことは、本件審判請求人が平成10年9月24日付の意見書で説明した通りである。特に、平成6年11月7日〜平成9年3月3までの間は、「連合会」の他、本件出願人である「株式会社赤帽」及び「株式会社赤帽サービスセンター」を含め、三者によって商標「赤帽」が使用されていたものであること、本件出願人「株式会社赤帽」は 「連合会」の設立前の昭和55年頃から貨物自動車による輸送業務について標章(商標)「赤帽」を継続して使用していること、ー方で「連合会」は標章(商標)「赤帽」を軽自動車を使用した荷物の運送業務について実際に使用した事実がないことは明らかである。漢字の「赤帽」についての前記のような使用経緯並びに使用状況を鑑みれば、漢字の「赤帽」が軽自動車による貨物輸送という役務との関係において、「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認められないことは明らかである。
4.出所混同の虞れについて。
(1)漢字の 「赤帽」についての前記のような使用状況をみれば、漢字の 「赤帽」が軽自動車による貨物輸送という役務との関係において、「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認められないため、本件出願人「株式会社赤帽」が、本願商標「赤帽」を軽自動車による貨物輸送について使用しても、前記「連合会」との間で役務の出所について混同を生じることはないと判断される。
(2)しかも、本件出願は、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条(使用に基づく特例)の適用を主張して、平成4年4月29日に出願したものである。漢字の「赤帽」が本件出願人により使用されてきたことは、本件出願の使用証明より明らかである。
5.結び
前記事実、本件審判請求人の平成10年9月24日付提出の意見書、そして、本件審判請求人の平成11年2月4日付提出の審判請求理由補充書に記載の事実より、本件「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」が使用してきた漢字の「赤帽」は、本件出願人使用の漢字の「赤帽」よりも著しく周知であると判断することはできない。しかも、本件出願人は「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」(実際は連合会の各組合員)が貨物輸送(役務)に漢字の「赤帽」を使用開始した昭和56年よりも前の、昭和55年から現在に至るまで、不正競争の目的でなく、本件商標「赤帽」を自動車による貨物輸送に継続使用してきたものであり、本件出願はその事実に基づく出願であるため使用による特例出願として認められるべきものである。
よって、本願商標は商標法第4条第1項第15号には該当せず、登録されて然るべきものである。

第6 当審の判断
請求人が提出している資料2、3によれば、請求人は、昭和26年6月6日に「一般路線貨物自動車運送事業」、「ー般区域貨物自動車運送事業」、 「通運事業」、「軽車両等運送事業」、「自動車運送取扱事業」を目的として設立された法人であり、昭和55年から現在に至るまで本件商標「赤帽」を自己の役務である「自動車による貨物輸送」に継続して使用してきたものである。
一方、「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」(以下、「連合会」という。)は、事業の創始者である松石俊男、堀篭孝志、鈴木将之が、昭和49年12月頃貨物自動車運送事業の組織化を考え、同50年5月12日に「赤帽」の標章を貨物軽自動車に付し運送事業を開始、同51年4月には協同組合の創立総会を開催、同年7月12日に東京陸運局長からの設立の認可を得て、赤帽軽自動車運送共同組合を設立し、その後、全国各地において組合加入を熱心に勧誘し、全国の各部道府県ごとに、会員組合を設立したうえで、各会員組合を「連合会」組織にし、その組合員に運送業のノウハウを提供する一方、「赤帽」の文字よりなる商標を会員組合員の貨物自動車運送事業のサービスマークとして使用することを許諾する方式の営業をおこなってきたものである。
そして現在、「赤帽」の文字よりなる商標を使用して自動車による貨物輸送の役務をおこなっているのは、「請求人」、「連合会」及び「株式会社赤帽サービスセンター」等であるといわれている。このうち、「連合会」では、平成4年頃より「赤帽」と共に「あかぼう」の平仮名文字及び図案化した「Akabou」の欧文字よりなる商標を軽自動車に使用しているものである。
ところで、請求人は、東京都江戸川区中葛西に事務所を有し貨物運送業を行ってきたが、当該事業に使用する軽車両は上記「連合会」が使用する台数よりかなり少なく、その営業地域も当該事務所所在地である江戸川区周辺に限られていると推測されるのに対して、「連合会」はフランチャイズ方式を採り、その会員は全国規模であると認められるものであるから、本願商標の登録出願時及び現在、両者の「赤帽」の商標には、その周知・著名度に著しい差異があるものと認められる。
また、「連合会」運営規約第29条(共同出資会社)に規定よれば、同条に規定されている当該法人は「連合会」又は単組(会員組合)が共同出資して「連合会」または単組(会員組合)の事業を補完する目的の会社の関係にあり(甲第8号証)、これに該当するものとしては「株式会社赤帽」及び「株式会社赤帽京都」があるが、請求人である「株式会社赤帽」は、その商号こそ同条に規定する「株式会社赤帽」と同ーではあるが、「連合会」とは関わりのない別法人である。
してみれば、請求人が例え「赤帽」なる商標を使用してきた事実があり、それに基く(商標法の一部を改正する法律「平成3年法律第65号」附則第5条)特例出願であっても、本件登録出願時はもとより現在、請求人と「連合会」の役務の周知・著名度には相当の差異があるものと認められるから、請求人が本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、周知・著名な「連合会」の商標を連想・想起し、該商標が「連合会」若しくは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商標であるかのごとく、その役務の出所について誤認混同するおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-08-22 
結審通知日 2001-08-31 
審決日 2001-09-12 
出願番号 商願平4-280854 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (039)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 大島 護門倉 武則 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 山下 孝子
上村 勉
商標の称呼 アカボー 
代理人 小林 正治 
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