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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない 005
管理番号 1049111 
審判番号 審判1999-35658 
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-12-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-11-10 
確定日 2001-11-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4208271号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第4208271号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年1月27日に登録出願され、「ハチハチ」の文字を横書きしてなり、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙」を指定商品として、平成10年11月6日に設定登録されたものである。

2.請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4155611号商標(以下「引用A商標」という。)は、平成8年11月22日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成10年6月12日に設定登録されたものであり、同じく登録第4175234号商標(以下「引用B商標」という。)は、平成9年1月24日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成10年8月7日に設定登録されたものである。

3.請求人の主張
本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む)を提出している。
(1)本件商標と引用A商標との類否について
本件商標の構成は、前記したとおり「ハチハチ」の片仮名文字を書してなるものであるから、該構成文字に相応して「ハチハチ」の称呼を生じること明かである。
これに対し、引用A商標は、「リゲイン」の片仮名文字と「8-8」の文字を結合してなるものであるから、一応全体的に「リゲインハチハチ」の称呼を生じることは否定し得ないとしても、該構成文字に相応して必ずしもこれを一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない格別の事情は認められず、かつ、前半部の「リゲイン」の文字部分は本件商標出願前より、請求人が滋養強壮剤(ドリンク剤)に使用し周知、著名な商標であるがため「リゲイン」の文字部分と分離観察し「8-8」の文字部分も自他商品の識別力を有する要部と認め得るとみるのが相当である。しかして、「8」と「8」の文字をハイフンをもって結合してなるところから、これより「ハチハイフンハチ」の称呼又は単に「ハチハチ」の称呼をも生じるものといわざるを得ない(甲第6号証、第7号証)。
してみれば、本件商標と引用A商標とは、共に「ハチハチ」の称呼を生じること明かであるから、両者はその称呼において類似の商標である。
そして、本件商標と引用A商標の指定商品は前記したとおりであるから互いに抵触するものである。
(2)本件商標と引用B商標との類否について
本件商標は、前記したとおりであるから、該構成文字に相応して「ハチハチ」の称呼を生じること明かである。
これに対し、引用B商標は、別掲に示した構成よりなるものである。
ところで、商標は商品の選択にあたって識別標識として用いられるものであるが商取引の実際上、商標の識別に役立つものは、客観的立場にある消費者の脳裏に残存する現象によって記憶されるものであり、そして、それは現実の商標とは決して同じではなく時間を経るに従ってその記憶が次第に薄れ形を変えていくことのあることは否定し得ないものと解する。
したがって、商標の識別は常に対比観察のみによるものではなく、時間的にも場所的にも隔った離隔観察によって、その類否を判断するのが社会通念といえるものである。
そうとすれば、引用B商標に接する商取引の場にあっては、一見して顕著に印象づけられ得る「88」の文字を記憶するところから、取引者、需要者が口頭、電話又はファクシミリ等により商品を発注、受注するときは何らかの表現を用いなければならないので、引用B商標を付した商品を対象にするときは、該文字に相応して「ハチハイフンハチ」の称呼又は単に「ハチハチ」の称呼をも生じるものといわざるを得ない。
また、ファクシミリをもって送信する場合等は明確に書き表わすことなく単純に「8-8」を表示することをも簡易迅速を旨とする商取引の場においては否定し得ないものであるから、受信者は該構成文字に相応して単に「ハチハチ」と称呼することは充分あり得るといわざるを得ない。
してみれば、本件商標と引用B商標とは、共に「ハチハチ」の称呼を生じること明らかであるから、両者はその称呼において類似の商標である。そして、本件商標と引用B商標の指定商品は前記したとおりであるから互いに抵触するものである。
(3)以上のとおり、本件商標と引用A商標及び引用B商標とは、その外観及び観念上の類否について論じるまでもなく、称呼の点において類似の商標であり、かつ、その指定商品も引用各商標の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきものである。

4.被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
請求人は、本件商標と引用A・B商標とは、共に「ハチハチ」の称呼を生じるものであるから、称呼において類似する商標であると主張しているので、この点について答弁する。
(1)本件商標と引用A商標との対比
引用A商標は、別掲に示したとおり「リゲイン」の文字と「8-8」の文字とを普通に用いられる方法で横書してなる構成態様であるから、その要部は「リゲイン」の部分にあり、「8-8」の部分は付記的部分にすぎないと考えるのが妥当である。
なぜなら、「商標審査基準」にも明記されているように、数字には原則として自他商品識別機能が認められないため、「8-8」の部分は、商標の要部とはなり得ないからである。
確かに、引用A商標中「リゲイン」の部分は、周知であって、強い自他商品識別力を有するものであることは被請求人も認めるが、そうであるからといって、何故「8一8」の文字部分も「リゲイン」の部分と同様に自他商品識別力を有する要部となり得るのか、被請求人には理解できない。
引用A商標中「8-8」の部分は、一般に、商品の品番又は符号を表すものとして取引上類型的に随時採択されるものであるから、「8-8」の部分が、商標の要部とはなり得ない付記的部分であることは明らかである。
しかして、引用A商標からは「リゲイン」又は「リゲインハチハチ」或いは「リゲインハチハイフンハチ」の称呼のみ生じ、「ハチハチ」の称呼は生じない。
しかも、引用A商標中「リゲイン」の部分が周知性を獲得していることに鑑みれば、なおさら引用A商標から「リゲイン」の部分が省略されて「ハチハチ」と称呼されることはあり得ない。
そうであれば、本件商標と引用A商標とは、称呼の点において非類似であることは明らかであり、かつ、外観、観念の点においても非類似である。
(2)本件商標と引用B商標との対比
引用B商標は、別掲に示したとおりであるところ、請求人の主張から「8-8」の文字を図形化したものと思料されるが、該引用B商標が「図形商標」として登録されたものであることは、疑う余地のないところである。
なぜなら、「8-8」の文字を図形化せずに登録出願すれば、商標法第3条第1項第5号に該当することを理由に拒絶されることは明らかである。
しかして、「図形商標」の場合、商標の類否判断に当たっては、称呼及び観念は生じないものとして取り扱うのが大原則であるから、引用B商標からは、称呼も観念も生じないと考えるのが妥当である。
したがって、引用B商標から「ハチハチ」の称呼が生ずるとの請求人の主張は誤りである。
因みに、仮に、引用B商標から「ハチハチ」の称呼が生ずるとすれば、例えば、引用B商標の先願であり先登録である登録第2053666号商標(乙第2号証の1及び2)からも「ハチハチ」の称呼が生ずることになる。
そして、引用B商標から「ハチハチ」の称呼が生ずると仮定すれば、引用B商標と登録第2053666号商標とは称呼を同一にするものとなり、かつ、指定商品も抵触するものであるから、相互に類似する商標となる。
そうであれば、引用B商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず過誤登録されたものとなるから、無効理由を包含していることになる。
このことは、本件商標の前記登録異議申立ての維持決定において『引用B商標は、特定の称呼及び観念を生ずることのない図形を表してなるものと判断するのが相当である』と認定されていることからも明らかである。
したがって、引用B商標は「図形商標」であり、「ハチハチ」の称呼は生じないと考えるのが妥当であるから、本件商標と引用B商標とが、称呼の点において非類似であることは明白である。
(3)以上述べたように、請求人の主張は、客観的妥当性を欠くものであり、理由のないものである。
してみれば、本件商標と引用A商標及び引用B商標とは、外観、称呼及び観念の何れの点においても非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
したがって、本件審判の請求が成り立たないことは明らかである。

5.当審の判断
本件商標は、前記のとおり「ハチハチ」の文字よりなるから、これよりは「ハチハチ」の称呼を生ずること明らかである。
これに対し、引用A商標は、別掲に示すとおり「リゲイン」と「8-8」の文字よりなると認められるところ、その構成態様からすると、その要部は「リゲイン」の文字にあるといえるものであり、この文字部分を省略して、「8-8」の文字部分のみを捉えて、単に「ハチハチ」の称呼を生ずるものではないとみるのが相当である。また、引用B商標は、別掲に示すとおりであるところ、その構成態様は外観上まとまりよく一体的に描出されているものであって、これよりは特定の称呼及び観念を生ずることのない図形を表してなると判断するのが相当である。
そうとすれば、引用A商標及び引用B商標より「ハチハチ」の称呼を生ずるとし、そのうえで本件商標と引用各商標とが称呼上類似するものであるとする請求人の主張は、認めることはできない。
そして、本件商標と引用各商標は、他に類似するところがない。
してみれば、本件商標と引用A・B商標は、その外観、称呼及び観念のいずれからしても類似しない商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできないから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用A商標

引用B商標

審理終結日 2001-09-05 
結審通知日 2001-09-11 
審決日 2001-09-26 
出願番号 商願平9-5977 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (005)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 勉 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 中嶋 容伸
涌井 幸一
登録日 1998-11-06 
登録番号 商標登録第4208271号(T4208271) 
商標の称呼 ハチハチ 
代理人 熊田 資一 
代理人 水谷 安男 
代理人 島田 義勝 

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