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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z25
管理番号 1048920 
審判番号 無効2000-35571 
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-12-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-10-18 
確定日 2001-10-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4260535号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4260535号商標(以下「本件商標」という。)は、「PILOT」の文字(標準文字による)を書してなり、平成9年4月14日登録出願、第25類「エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」を指定商品として平成11年4月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の引用商標(引用標章)
(A)登録第1761688号商標
商標の構成 PILOT
指定商品 第25類 紙類,文房具類
登録出願日 昭和57年7月5日
設定登録日 昭和60年4月23日
更新登録日 平成7年4月27日
(B)登録第1761688号の防護標章登録第1号
標章の構成 PILOT
指定商品 第25類 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり, バンド,ベルト
登録出願日 平成9年6月30日
設定登録日 平成11年5月21日
(C)登録第2177397号商標
商標の構成 別記(1)に表示したとおり
指定商品 第25類 紙類,文房具類
登録出願日 昭和61年11月4日
設定登録日 平成1年10月31日
更新登録日 平成11年6月8日
(D)登録第2177397号の防護標章登録第1号
標章の構成 別記(2)に表示したとおり
指定役務 第39類 鉄道による輸送,車両による輸送,貨物のこん 包,委託をうけた物品の倉庫における保管,倉庫の提供
登録出願日 平成4年9月30日
設定登録日 平成8年7月29日

3 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由の要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第29号証を提出している。
(1)請求の利益について
請求人は、引用A商標及び引用A商標の防護標章登録第1号(引用B標章)を所有する商標権者であり、かつ、自己の業務に係る商品を表示するものとして全国的に著名な商標「PILOT」の所有者であるので、本件審判請求をするについて利害関係を有する。
(2)請求人の商標「PILOT」の周知・著名性について
請求人の商標「PILOT」は、請求人が大正7年に創業以来80年にわたり、商品「筆記具」をはじめとする「文房具類」等について、継続的に広く使用されているものである。特にその主力商品である「筆記具」について、請求人は、平成8年度において34244百万円の売上高を計上しており、当該商品に関するわが国における請求人の市場占有率は極めて高い。また、請求人は、雑誌、新聞、テレビ等の多様な媒体を利用して、積極的に広告宣伝活動を行っており。請求人の商標「PILOT」は、日本経済新聞社が実施した「製品の魅力、開発力、信用度などの集大成である企業ブランドのパワーを比較する企業ブランドスコア・ランキング」において、第68位にランクされている。
したがって、本件商標の出願時及びその登録時において、請求人の商標「PILOT」は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして全国的に広く認識されていたものであることを疑う余地はない。
(3)請求人の企業経営の多角性について
請求人は、文房具類以外の商品につても業務を拡大しており、現在、請求人の関連企業は内外に20社を超える。
請求人は、筆記具・文房具等の販売以外に、着せ替え人形、知育玩具、子育て応援グッズ及び浴室玩具等の玩具類、貴金属、宝飾品類、かばん類及び皮製小物類等のような種々の商品について製造販売を現に行っている。
また、請求人は、一層の企業の多角化を推進すべく、更なる新規事業展開を視野に入れているのであり、請求人の研究開発費が532百万円(第138期)及び請求人の定款の業務目的に「衣料品の製造、販売」を含めたような業務が掲記されていることからもこのことは明らかである。
(4)本件商標の指定商品と請求人の商品との関連性について
上述のとおり請求人の事業展開は、文房具類にとどまるものではなく、多岐にわたるものである。請求人が取り扱う商品の中でも特に「皮製小物類、かばん類」等の商品については、本件商標の指定商品である「ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,マフラー,帽子」等とは、統一ブランドのもとに、一般に男性用ファッション小物類として取り扱われる商品であるから、その販売場所、需要者等の点において共通する関連性を有する商品である。
また、「貴金属・宝飾品類」については、被請求人もその関連性を特に否定していないことからもうかがえるように、「貴金属・宝飾品類」と本件商標に係る指定商品とは、商品の関連性が高い商品である。このことは、本件商標に係る指定商品に含まれる「手袋,帽子,スカーフ,ストール」と請求人の業務に係る商品「宝飾品」等とが、いわゆるファッション小物類として女性誌において取り扱われており、衣料品販売会社が現にメンズ・レディス小物とジュエリー関連の双方を取り扱っている事実があること等からも明らかである。
(5)請求人の防護標章登録について
請求人の商標「PILOT」には、引用B標章及び引用D標章の防護標章登録が認められている。引用B標章は第25類の商品「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」についての防護標章登録である。このことが直ちに本件商標の出願時において、本件商標がその指定商品について使用された場合に、請求人の業務と出所の混同が生ずるおそれがあることを証するものではないとしても、少なくとの当該防護標章の登録時においては、請求人以外の者が標章「PILOT」を使用した場合に出所の混同が生ずるおそれがあることを意味するものである。このような事実と請求人が本件商標「PILOT」をその出願の時以前から長期にわたり継続的に使用している事実とを総合的に勘案すると、出願時及び登録時において請求人の商標「PILOT」は、これを請求人以外の者が商品「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」について使用すると出所の混同が生じるほどに周知・著名な商標となっていたと解すべきである。
(6)請求人が使用する商標について
被請求人は、請求人がハウスマークとして使用する商標には4種類の標章が存在するため、一般消費者は、筆記具・文房具を取り扱う業者と宝飾品を取り扱う業者は別の会社であり、だからこそブランドを変えて区別しているのであろうと、誤解するおそれがあると述べている。
しかしながら、同じ時期に、欧文字「PILOT」と片仮名字「パイロット」、欧文字「P」の形状がわずかに変更された欧文字「PILOT」、欧文字「PILOT」と図形との組み合わせよりなるもののように、企業名を表す文字部分字体の自他商品の識別機能に影響を与えない範囲での複数の標章がハウスマークとして使用されることは、通常の取引において行われているところである。加えて、請求人がハウスマークとして使用する標章は、いずれもその字体が太字の書体に統一されている点で共通するものである。
また、甲第17号証の示すとおり、請求人は、例えば、宝飾品のカタログの表表紙では欧文字「PILOT」の標章を使用し、他方、その裏表紙では欧文字「PILOT」と図形との組み合わせからなる標章を使用する等、これら4種類の標章を同一の商品について同時に使用するものである。
したがって、これら複数の「PILOT」標章が請求人によって使用されているとしても、これら商標が使用された商品に接する需要者等をして、それら商品が異なるブランドのものであると認識されるようなことはない。
(7)他人の「PILOT」商標等の存在について
被請求人は、「PILOT」若しくは「パイロット」の文字等から構成される商標(乙第1号証ないし乙第12号証)及び「PILOT」若しくは「パイロット」の文字と他の文字等と結合された商標(乙第13号証ないし乙第42号証)が、請求人以外の者によって登録されている事実をもって、本件商標がその指定商品について使用されても、請求人の業務に係る商品との間で出所の混同は生じないと述べている。
しかしながら、「PILOT」若しくは「パイロット」の文字等から構成される商標に係る指定商品は「食料品、手動利器」等であって、これらと本件商標に係る指定商品とは、その性質を異にするものである。
また、被請求人の挙げた登録商標は、商標法第4条第1項第15号に関する現行の審査基準の適用を受けて登録されているのであるから、請求人の商標「PILOT」が商品「筆記具・文房具」以外の商品について使用されても出所の混同は生じないとも述べている。
しかしながら、該審査基準は平成11年7月1日より実施された改訂審査基準であるから、同日以前に審査が終了し登録されている商標である乙第13号証ないし同第39号証は、そもそも証拠として成立しないものである。
したがって、被請求人の示す証拠によって、請求人の商標「PILOT」が本件商標に係る指定商品に使用された場合に、請求人の業務に係る商品であると誤信されるおそれがないとの被請求人の主張は失当である。
(9)むすび
以上述べたとおり、請求人の商標「PILOT」の周知著名度が極めて高く、これがハウスマークであり、請求人が多角経営企業であり、請求人の業務に係る商品「貴金属、宝飾品類・皮製小物類・かばん類」と本件商標に係る指定商品とが需要者、販売場所等において関連性の高い商品であり、かつ、本件商標の構成が請求人の商標「PILOT」と同一であること等を総合的に勘案すれば、被請求人が本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する需要者等は、それら商品が請求人又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録なされたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきものである。

4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由の要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第42号証を提出している。
(1)請求人は、商標「PILOT」は請求人が製造販売する商品「筆記具」をはじめとする「文房具」についてよく知られていると主張している。また、請求人は、多岐にわたる商品を取り扱っていると主張して甲第4号証を提出している。
甲第4号証として提出された有価証券報告書によれば、筆記具・文房具以外の取扱い業務は、「昭和36年にアルミ建材製造販売開始、昭和39年にコンピュータリボン製造販売開始、昭和48年に貴金属・宝節品類製造販売開始」との記載だけであり、この程度では請求人が多岐にわたる商品を取り扱っているとはいえない。また、連結小会社、関連会社の項において、関連企業が20社を超えることは認められるが、このうち、事業内容が「筆記具・文房具等の販売」以外の業務を取り扱う企業は、2社であることからすれば、請求人の関連企業が多種多様な事業を営んでいるともいえない。
(2)請求人は、「PILOT」が請求人のハウスマークとして使用されていると主張して甲第16号証を提出しているが、同号証においてハウスマークといえる裏表紙に表記された標章は、引用B標章及び引用C標章の防護標章と異なっている。
また、使用状況を立証するために提出された宣伝広告資料及びカタログに表記された標章は各々異なったものである。すなわち、同じ時期に4種類もの標章が使用されているのである。このことは、一般消費者は、「PILOT」の標章に接したときに、筆記具・文房具を取り扱う業者と宝飾品を取り扱う業者は別の会社であり、だからこそブランドを変えて区別しているのであろう、と誤解するおそれがある。
要するに、請求人の「PILOT」は、筆記具・文房具について著名な商標であることは認められるが、本件商標の指定商品については出所の混同を生じるには至っていないというべきである。
(3)請求人は、「PILOT」を本件商標の指定商品について請求人以外の者が使用すると請求人の業務に係る商品と出所の混同を生じるおそれがあると主張しているが、請求人以外の者が「PILOT」「パイロット」又は「PILOT」「パイロット」と他の文字又は図形と結合した商標の登録を受けており、現に有効に存続するものだけでも、乙第1号証ないし同第42号証に示すように、「PILOT/パイロット」登録第534201号商標(第45類)、「PILOT/パイロット」登録第1572069号商標(第33類)、「PILOT」登録第2049424号商標(第22類)、「PILOT」登録第4263981号商標(第25類)、「PILOT」登録第4263981号商標(第28類)など多数存在する。
(4)「PILOT」「パイロット」商標の指定商品又は指定役務は多岐にわたっていて、本件商標の登録査定時と相前後して登録されたものが多くみられることに鑑みれば、本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品との間で出所の混同を生ずるおそれはないものというべきである。
商標法4条1項15号に関する審査基準に、「他人の著名商標と類似しないと認められる場合において、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるときは、原則として、本号の規定に該当するものとする。」、「他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表わされているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して取り扱うものとする。」旨の定めがある。
上記登録例は、「PILOT」と非類似であったとしても、これらは、著名な「PILOT」商標を一部に有するか又は他の文字又は図形と結合したものであるから、前記審査基準によって審査を受けていることになる。そうであるとすれば、請求人が主張するように、「PILOT」が「筆記具・文房具」以外の商品について使用されると出所の混同を生じるというのであれば、上記した商標の登録は認められないものとなるのである。
したがって、請求人の「PILOT」商標が著名であるということは、商品「筆記具・文房具」についてのことであって、これ以外の商品については出所の混同を生ずるおそれがないと認定されているといえるのである。
(5)すなわち、本件商標の指定商品と筆記具・文房具とは商品の製造・販売・用途等が著しく異なるものである。また、請求人が「PILOT」商標を筆記具・文房具以外の「貴金属・宝飾品類・皮製小物類・かばん類」に使用しているとしても、これらの商品は本件商標の指定商品と関連のある商品とはいえない。ことに「皮製小物類・かばん類」は、事務用品ないしはビジネス用品として扱われているものであって、これらの商品は「筆記具・文房具」と同じ店舗で販売されているものであることからしても、請求人以外の者が本件商標を指定商品に使用したときに、その商品が請求人の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとはいえないものである。

5 当審の判断
(1)本件商標の構成は、前記のとおり「PILOT」の文字で表されているものであるところ、同じ綴りの英単語である「pilot」の語は、「水先案内人、航空機操縦者」などを意味する平易な語であって、この語を片仮名文字で表した「パイロット」の語と同様に日常語として一般に広く親しまれているものと解することができるものである。
(2)ところで、請求人は大正7年創業の筆記具をはじめとする文房具等を製造、販売している会社であって、請求人が使用する「PILOT」及び「パイロット」の文字からなる商標(以下「PILOT商標」という。)は、筆記具などの文房具について需要者の間に広く認識されているものと認められる。
請求人の提出に係る証拠によれば、請求人(子会社、関連会社等、請求人と関係を有する者を含む。以下同じ。)は、文房具のほかに玩具、宝飾品類、革製小物類、かばん類を取り扱っていることが認められる。
(3)請求人の文房具、玩具、宝飾品類、革製小物類、かばん類に現実に使用されている「PILOT商標」のロゴタイプをみると、これらは、太字で表された、仮名文字の「パイロット」及び欧文字の「PILOT」よりなるもの、「P」の文字を図案化した如き図形と該欧文字の「PILOT」の文字よりなるもの、或いは、該欧文字の「PILOT」の「P」のステムの上部に装飾を施したもの、より構成されているものである。そして、1998年10月13日付「日経産業新聞」(甲第29号証)によれば、その「企業ブランドスコア・ランキング」の記事中において、同ランキング68位であるとして掲載されている請求人のコーポレートブランドには、「P」の文字を図案化した如き図形と太字で表された欧文字の「PILOT」の文字からなる商標が、掲載されている。これについて請求人は、請求人の同ランクが68位であることは主張しているが、コーポレートブランドについては言及していない。
以上の事実からすると、請求人が現在ハウスマークとして使用する主要な商標は、上掲「日経産業新聞」の請求人のコーポレートブランドとして紹介されている商標とも推認し得るが、いずれにしろ、文房具について需要者の間に広く認識されている請求人の商標は、上記いずれのロゴタイプの「PILOT」商標であれ、特徴あるロゴタイプのものであるということができる。
(4)そこで、本件商標の前記した指定商品と「PILOT商標」の著名性が認められる文房具を対比すると、これらの商品は、商品の用途、機能、材質はもとより、製造者、販売者、取引経路等において関連性を有しないものということができるものである。
そうとすると、本件商標が「PILOT商標」のロゴタイプとは異なり、広く用いられている一般の活字体で表されているに止まることを併せ勘案すれば、請求人が玩具類、宝飾品類、革製小物類、かばん類を取り扱い、また、請求人における経営の多角化の傾向を考慮しても、本件商標がその指定商品に使用した場合、取引者、需要者は、これより「PILOT商標」を連想、想起するというよりは、「水先案内人、航空運転手」などを意味する英単語の「pilot」に由来する商標であろうと認識するものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
(5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとは認められないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
(1)登録第2177397号商標




(2)登録第2177397号商標の防護標章登録第1号


審理終結日 2001-08-10 
結審通知日 2001-08-15 
審決日 2001-09-13 
出願番号 商願平9-106157 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (Z25)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 加園 英明寺光 幸子 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 宮下 行雄
野本 登美男
登録日 1999-04-09 
登録番号 商標登録第4260535号(T4260535) 
商標の称呼 パイロット、ピロット 
代理人 村橋 史雄 
代理人 遠藤 祐吾 
代理人 中山 清 
代理人 石田 昌彦 
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