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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z09
管理番号 1045664 
異議申立番号 異議2000-90471 
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-12 
確定日 2001-07-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第4354891号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4354891号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4354891号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年8月18日に登録出願され、「アップルテレビ」(「標準文字」による)の文字を横書きしてなり、第9類「レコード,電子計算機用プログラムを記憶させた磁気ディスク・光ディスク・CD-ROM及びDVD,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、同12年1月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(A)
本件商標は、昭和53年4月4日に登録出願され、「APPLE」の文字を横書きしてなり、第11類「電子計算機、その他の電子応用機械器具」を指定商品として、同60年4月23日に設定登録されている登録第1758671号商標(以下、「引用商標」という。)と類似するものであり、かつ、両者の指定商品は抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、引用商標は、登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の業務に係る商品「パーソナルコンピュータ」に使用されて取引者・需要者の間に広く認識されている商標であるところ、これと本件商標は類似するものであって、本件商標をその指定商品に使用するときは、申立人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 登録異議の申立ての理由(B)
本件商標は、昭和45年7月23日に登録出願され、別記(1)に示すとおりの構成よりなり、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同47年11月30日に設定登録されている登録第990000号商標、同じく、昭和46年3月26日に登録出願され、別記(2)に示すとおりの構成よりなり、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年4月30日に設定登録されている登録第1509661号商標、同じく、昭和63年11月2日に登録出願され、「APPLE」の文字を横書きしてなり、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年3月31日に設定登録されている登録第2511520号商標、同じく、昭和63年11月2日に登録出願され、「APPLE」の文字を横書きしてなり、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年6月29日に設定登録されている登録第2676724号商標と類似するものであり、かつ、両者の指定商品は抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、本件商標をその指定商品に使用するときは、「ビートルズ」により設立された登録異議申立人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
さらに、本件商標は公正な取引秩序を害し不正の目的をもって使用されるものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

4 本件商標に対する取消理由
本件商標は、平成10年8月18日に登録出願され、標準文字により「アップルテレビ」の文字を横書きしてなり、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年1月28日に設定登録されたものである。
他方、申立人「アップル コンピューター インコーポレイテッド」が引用する、「APPLE」の文字を横書きしてなり、昭和53年4月4日に登録出願され、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和60年4月23日に設定登録されている登録第1758671号商標(以下、「引用商標」という。)は、本件商標の登録出願時には申立人の業務に係る商品「パーソナルコンピューター」の商標として取引者・需要者の間において広く認識されていたこと、当庁において顕著な事実である。
そして、本件商標の指定商品は、引用商標の使用に係る商品と生産・販売部門を共通にしたり、需要者層も同じくするなど一定の関連性が認められるものである。
そうとすれば、引用商標より生ずること明らかな「アップル」の称呼を同じくする「アップル」の文字を含む本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、申立人の業務に係る商品、若しくは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。

5 商標権者の意見
本件取消理由通知書において、「本件商標の指定商品は、引用商標の使用に係る商品と生産・販売部門を共通にしたり、需要者層も同じくするなど一定の関連性が認められるものである。」とされ、指定商品の全部について出所の混同を生ずるおそれがあるかのように認定されている。
本件商標は、もともと、引用商標との類似性もなく出所の混同を生ずるおそれもないものと考えるが、本件商標の指定商品中「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」以外の商品についての取消理由については、敢えて争わない。
そして、本件商標の指定商品中「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」については、引用商標との関係で商品の出所の混同を生ずるおそれがないことは、下記の理由により明らかである。
(1)引用商標は、コンピュータの商標として知られているものであり、本件商標の指定商品中前記「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」とは、生産部門、販売部門を共通にするというような性質のものではない。特許庁の商品の分類等において、「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」は、写真の概念に属するものとされている。
もともと、旧第26類の分類の定義では、「主として著作物をまとめた類である。」とされているもので、そのうち、写真の概念に属するものとして取り扱われている「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」は、ビデオディスクとかビデオテープを媒体とはしているが、生のビデオディスクとかビデオテープ自体を対象とするものではなく、いわばその内容である「録画」を商品対象とするものであるから、コンピュータなどとは商品概念が全く異なる。
(2)引用商標は、造語でもなく、ありふれた用語として、「リンゴ」等と共に商標にもよく使われているものである。本件商標は、「アップルテレビ」であって、「アップル」の文字を含んではいるが、これが単に「アップル」と称呼、観念されるようなものではない。「アップルテレビ」を「アップルテレビ」と称する内容のテレビ番組様の録画とみるか、その名で内容を変えて順次販売する定期刊行物の題号のようにみるかは別として、「アップルテレビ」と一連に称呼、観念されるもので、これが「アップル」と「テレビ」に分離して観察されるようなことにはならない。
本件商標の「アップルテレビ」と引用商標の「アップル」は、外観、称呼及び観念上紛れることのない非類似の商標である。
ちなみに、本件商標の審査時において、その構成中の「テレビ」の文字との関係から、商品の品質についての誤認を問題として指摘されたが、出願当初の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」を「電子計算機用プログラムを記憶させた磁気ディスク・光ディスク・CD-ROM及びDVD」とする補正で対応したという経緯がある。
もちろん、「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」については、そのおそれのある性質のものでもなく、そのような指摘もなく登録されているものであるから、「アップルテレビ」における「テレビ」が、指定商品との関係で分離観察されることもないことは明らかである。
(3)前述のとおり、両商標は、商標も非類似であり、また、その商品においても分野が全く異なる。
したがって、仮に引用商標がコンピュータについて周知とか著名であるとしても、本件商標を商品分野が全く異なる「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」について使用しても、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとは考えられないから、本件商標は、少なくとも、指定商品中「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」については、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

6 当審の判断
本件商標は、上記のとおり、「アップルテレビ」の文字よりなるところ、その構成からみて「アップル」と「テレビ」の文字を結合してなると容易に理解させるものであるばかりでなく、その全体をもって特定の意味合いを有する熟語を構成するともいい難いものである。そして、構成中後半の「テレビ」の文字が「テレビジョン」の略称であって、本件商標の指定商品中「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」が「テレビジョン受信機」を介して画像や音声を再生する関係にあることから、該文字部分は、自他商品の識別力が弱いものということができる。
そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その構成中後半の「テレビ」の文字部分を商品の品質、用途を表すにすぎないものとして理解し、前半の「アップル」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認識して、これより生ずる「アップル」の称呼をもって取引に当たる場合も決して少なくないと判断するのが相当である。
しかして、申立人「アップル コンピューター インコーポレイテッド」の引用商標「APPLE」は、同人の業務に係る商品「パーソナルコンピュータ」に使用されて、本件商標の登録出願時には、既に、取引者・需要者の間に広く認識されていたことは当庁において顕著な事実である。
そうとすれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、前半部の「アップル」の文字のみを捉え、これと同一の称呼及び観念を生ずる申立人の著名商標「APPLE」を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
なお、商標権者は、本件商標の指定商品中「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」と「パーソナルコンピュータ」は商品分野が全く異なる非類似の商品であるから、本件商標をその指定商品について使用しても、商品の出所について混同を生ずるおそれはない旨主張するが、本件商標の指定商品中「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」と「テレビジョン受信機」とは切り離せない商品であり、また、これら商品と「パーソナルコンピュータ」とは、その生産者・取引系統・需要者の範囲等を共通にする場合が多い比較的密接な関係にある商品というべきであるから、前記主張は採用の限りでない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとして、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 (1)引用登録第990000号商標


(2)引用登録第1509661号商標


異議決定日 2001-03-07 
出願番号 商願平10-70054 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (Z09)
最終処分 取消  
前審関与審査官 岩本 明訓 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 小池 隆
為谷 博
登録日 2000-01-28 
登録番号 商標登録第4354891号(T4354891) 
権利者 株式会社学習研究社
商標の称呼 アップルテレビ、アップル 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 大島 厚 
代理人 中村 稔 
代理人 松尾 和子 
代理人 関根 秀太 
代理人 中村 稔 
代理人 大島 厚 
代理人 加藤 建二 
代理人 加藤 建二 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 松尾 和子 

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