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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 024 |
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管理番号 | 1045337 |
審判番号 | 審判1999-2810 |
総通号数 | 22 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-02-22 |
確定日 | 2001-08-08 |
事件の表示 | 平成5年商標登録願第8069号拒絶査定に対する審判事件についてした平成11年11月24日付審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成12年(行ケ)第6号、平成13年2月15日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、別掲(1)に示した構成よりなり、第24類「織物(畳べり地を除く。),布製身の回り品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」を指定商品として、平成5年1月28日に登録出願されたものである。 第2 原査定の理由 原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の『ザ ポロ ローレン カンパニー』が商品『被服』等に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標『ポロプレーヤーの図形(例えば、登録第2691725号商標)』とその構成の軌を一にする図形を含むものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或いはこれと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して、その出願を拒絶したものである。 第3 審判請求の理由及びその理由補充における請求人の主張の要点 1 請求人(出願人)は、ポロプレーヤーの図形、及び「POLO/ポロ」の文字を含む商標が多数併存して登録されている事実があり、市場においても取引者、需要者は、それぞれ出所が異なる商品として認識しており、本願商標をその指定商品について使用しても、ラルフ・ローレンの「Polo」、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」と、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがないから、本願商標は登録されるべきである。 2 「POLO LEAGUE/ポロリーグ」の文字よりなる商標が、過去において旧17類、旧21類及び旧22類で登録を受け、請求人は長年使用しているが、ラルフ・ローレンの「POLO」とはもちろんのこと、他の「POLO/ポロ」の文字を含む登録商標とも出所の混同を生じたというようなことはかつてない。 3 本願商標は、「POLO LEAGUE」とポロプレーヤーの図形を組み合わせてなるものであって、前記したように、「POLO LEAGUE/ポロリーグ」の文字よりなる商標が過去に適法に登録された事実、これら登録商標を長年使用してきた事実、並びに本願商標とラルフ・ローレンの「POLO」及びポロプレーヤーの図形との間には、「POLO/ポロ」の結合態様及びにポロプレーヤーの図形の態様の相違があるから、ラルフ・ローレンの「POLO」及びポロプレーヤーの図形と出所の混同を生ずることはない。 第4 当審の判断 1 当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。 (1)株式会社講談社(昭和53年7月20日)発行「男の一流品大図鑑」(以下「書証1」という。)、サンケイマーケティング(昭和58年9月28日)発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(以下「書証2」という。)の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、かばんなどのデザインをはじめ、紳士物全般に拡大し、1971年には婦人服の分野にも進出した。1970年と1973年には、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を受賞し、1974年に、映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。 ラルフ・ローレンのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章(以下「ラルフ・ローレン標章」という。別掲(2)に示したものはその組み合わせの一態様を表す。)が使用され、これらは単に「ポロ」と略称されて紹介されていた。 (2)株式会社洋品界(昭和55年4月15日)発行「月刊『アパレルファッション店』別冊、1980年版『海外ファッション・ブランド総覧』」(以下「書証3」という。)、株式会社アパレルファッション発行(昭和57年1月10日)発行「月刊アパレルファッション2月号別冊 海外ファッション・ブランド総覧」(以下「書証4」という。)の「ポロ/POLO」の項、及び昭和63年10月29日付日経流通新聞(以下「書証5」という。)の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から「Polo」の文字よりなる標章をはじめ、ラルフ・ローレン標章などの使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、販売をしたことが認められる。 (3)前出「男の一流品大図鑑」(書証1)、「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(書証2)をはじめ、株式会社講談社(昭和55年1月20日)発行「男の一流品大図鑑’81」(以下「書証6」という。)、同社(昭和55年11月15日)発行「世界の一流品大図鑑’80年版」(以下「書証7」という。)、同社(昭和56年6月20日)発行「世界の一流品大図鑑’81年版」(以下「書証8」という。)、株式会社チャネラー(昭和53年9月20日)発行「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑’80年版」(以下「書証9」という。)、株式会社講談社(昭和60年5月25日)発行「FASHION SHOPPING BIBLE’85 流行ブランド図鑑」(以下「書証10」という。)によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士用品について、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題のもとに紹介されていることが認めらる。 (4)ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される標章を模倣した、偽物ブランド商品が市場に出回っている事実も少なくない。例えば、1989年5月19日付朝日新聞(以下「書証11」という。)には、「昨年二月ごろから、米国の『ザ・ローレン・カンパニー』社の・・・『Polo』の商標と、乗馬の人がポロ競技をしているマークをつけたポロシャツを・・・売っていた疑い。」なる記事が掲載された。また、1992年9月23日付読売新聞(東京版、朝刊;以下「書証12」という。)、1993年10月13日付読売新聞(大阪版、朝刊;以下「書証13」という。)、1999年9月9日付日本経済新聞(以下「書証14」という。)等にも同様の記事が掲載され、昭和63年には既に、我が国において「Polo」ないし「POLO」の文字、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形などを使用した偽物ブランド商品が出回っていた事実が存在していた。 (5)判決においても、「我が国において、遅くとも本件商標の登録出願がされた昭和59年までには既に、引用標章(Polo)がラルフ・ローレンのデザインに係る被服等及び眼鏡製品を表す標章であるとの認識が広く需要者及び取引関係者の間に確立していたものということができる。」旨認定している(東京高等裁判所 平成2年(行ケ)第183号 平成3年7月11日判決言渡)。 そのほか、東京地方裁判所 平成8年特(わ)第1519号(平成9年3月24日判決言渡)、東京高等裁判所 平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日判決言渡)、平成11年(行ケ)第268号、同第289号(以上平成11年12月21日判決言渡)、平成12年(行ケ)第5号(平成12年9月28日判決言渡)等々、ラルフ・ローレンの「Polo」ないし「POLO」標章の著名性を認定した一連の判決が存在する。 (6)上記(1)ないし(5)で認定した事実を総合すれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される標章は、「Polo」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(ラルフ・ローレン標章)は、我が国において、単に「Polo(ないし「POLO」)」、「ポロ」と略称され、その略称は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される標章として、本願商標の登録出願前には既に、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものであり、その認識の度合いは現在においても継続していると認めることができる。 (7)シャディサラダ館本部発行「シャディサラダ館 ギフトライフ ’93〜’94 FALL & WINTER」(以下「書証15」という。)、MISTUKOSHI新宿発行「三越のお中元 1997年、夏」(以下「書証16」という。)、(財)郵政弘済会東京地方本部・東京特選品センター編集「’97東京お中元特選品」(以下「書証17」という。)、西武百貨店発行「ご返礼品のしおり 2000〜2001 西武百貨店」(以下「書証18」という。)、1987年7月25日付け、1987年10月17日付け、1991年3月16日付け及び1996年6月18日付け日経流通新聞、1989年7月18日付け及び1990年7月12日付け日経産業新聞、1991年2月15日付け毎日新聞(以上の新聞記事をまとめて、以下「書証19」という。)によれば、本願の指定商品に含まれるハンカチ・タオル等布製身の回り品、布団、敷布、布団カバー、枕カバー、毛布、カーテンなどの商品に関して、被服等のデザイナーとして著名なデザイナーがデザインした商品に当該デザイナーの名前等を付し、これをブランドとした商品が市場に多数出回っている実情にあり、ラルフ・ローレンの扱った商品も多数存在することが認められる。 2 本願商標及びその指定商品について (1)本願商標は、別掲(1)に示したとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中に、前記1(6)で認定したラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、婦人服等の被服などについて使用され、我が国においても取引者、需要者の間に広く認識されている標章と同一綴り文字よりなる「POLO」の文字を有しているものである。さらに、その図形部分も、頭部を左に向け、前を向いて前足を上げた馬にポロプレイヤーが乗り、マレットを振り上げているという点において、ラルフ・ローレンの著名な馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形とその構成において極めて近似するものであり、いずれの図形も、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」という印象を与えるものである。 (2)本願の指定商品は、主として、織物、家庭用の織物製カバー製品をまとめた商品区分であるところ、織物は、被服等の原材料となるものであり、また、ハンカチ・タオル等布製身の回り品は、ファッション性の強いアクセサリー的要素を持つものであり、被服等と統一されたブランド名のもとで、同一のファッションメーカーより製造、販売される場合が少なくなく、また、ハンカチ・タオル等布製身の回り品をはじめ、敷布・布団カバー・枕カバー・カーテン・テーブル掛けなどにあっては、近時、一種ファッション性を持たせ、被服等で著名なデザイナーがデザインし、そのデザイナーの名前をブランドとした商品が市場に出回っている例が極めて多いことは、前記1(7)で示したとおりである。 3 出所の混同について 前記1、2で認定した事情よりすれば、本願商標をその指定商品について使用した場合は、これに接する取引者、需要者は、「POLO」の文字部分及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形部分に強く印象付けられ、「Polo(ないし「POLO」)」、「ポロ」とも呼ばれるラルフ・ローレンのブランドを連想、想起することは明らかであり、該商品が「Polo(ないし「POLO」)」(ポロ)のブランドの一種、ないし兄弟ブランドであるとの誤解を生ずるか、あるいはラルフ・ローレン、もしくはその関連会社と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように認識する蓋然性が極めて高いというべきである。 したがって、本願商標は、これをその指定商品について使用するときは、ラルフ・ローレンの「Polo(ないし「POLO」)」(ポロ)標章を使用した商品との間に、出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 4 請求人の主張について (1)審判請求の理由及びその理由補充(前記「第3」)について 「Polo(ないし「POLO」)」、「ポロ」の標章は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服及び眼鏡製品について使用される標章として、本願商標の出願前には既に、我が国の取引者、需要者の間に広く認識され、その著名性が現在においても継続していることは前記したとおりであり、ラルフ・ローレンの各標章を真似た偽物商品が市場に出回っている事実があることを考慮すれば、「POLO」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を有する本願商標をその指定商品について使用した場合は、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品、ないしその関連会社の取扱いに係る商品との間に、出所の混同を生じさせるおそれがないということはできず、このことは、過去において「POLO/ポロ」の文字を含む商標、及びポロプレーヤーの図形が多数併存して登録されている事実、及び請求人の「POLO LEAGUE/ポロリーグ」の文字よりなる商標が過去に登録された事実があるとしても、これら商標が需要者等によって明確に区別されて認識されていたということを認めるに足りる証拠も見あたらない。そして、ラルフ・ローレンの「Polo(ないし「POLO」)」、「ポロ」等の各標章の著名性が我が国において既に確立されている実情においては、これらの存在により前記認定が左右されるものではない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (2)職権でした証拠調べに対する意見について 請求人は、職権でした証拠調べについて、種々意見を述べているので、以下検討する。 ア 書証1、2について 請求人は、これらの書証から、ラルフ・ローレン標章が、単に「ポロ」と略称して紹介されていたとする認定は誤りである旨主張する。 しかしながら、書証1及び同2においては、ラルフ・ローレン標章とともに、「ポロというネーミング」、「わずか1年でポロ・ブランドを、」(いずれも書証1の184頁)、「友よ、きみこそポロにふさわしい。」、「ラルフ・ローレンのポロ」(いずれも書証1、頁なし)、「ラルフ・ローレン(ポロ)」(書証1の197頁)などの表示、あるいは黒塗り長方形内に白抜きで顕著に表された「ポロ」の文字(書証2の208頁)などが併記されていることからすれば、これを見る我が国の需要者は、ラルフ・ローレン標章が「ポロ」と略称されていると容易に理解するというべきである。請求人は、「『略称』とは、省略した名称が独立した名称として確立していることである」などと主張するが、そのように解すべき証左は見あたらない。 イ 書証3、4、5について 請求人は、これらの書証には、昭和51年に西武百貨店がポロ社からラルフ・ローレン標章を使用許諾を受けた事実の記載はない旨主張する。 しかしながら、書証4の25頁には、「ネクタイと服飾雑貨」の表示の下に、ラルフ・ローレン標章及び「ポロ・バイ・ラルフローレン」の文字が表示されており、その下に「菱屋(株)」の記載が認められるところ、同128頁、129頁の「製造・販売/発売元」欄の「菱屋(株)」によれば、「菱屋(株)」が取り扱う商品「ネクタイ、ハンカチ、マフラー」の「導入企業/輸入元」が「(株)西武百貨店」であり、使用する商標が「ポロ・バイ・ラルフローレン/PORO by RALPH LAUREN」(「PORO」は、「POLO」の誤植と思われる。以下同じ。)であることが認められる。このことからすると、129頁に記載の「ポロ・バイ・ラルフローレン/PORO by RALPH LAUREN」は、ラルフ・ローレン標章であることが容易に推認でき、128頁の「頁」欄に記載の「198、252」から、198頁、252頁に記載された「ポロ・バイ・ラルフローレン」の文字もラルフ・ローレン標章であることが容易に窺えるところである。そして、252頁には「発売開始五一年」等の記載が認められる。これらの記載を総合すれば、昭和51年にラルフ・ローレン標章の使用許諾を受けた西武百貨店が、「菱屋(株)」を製造・販売元として、「ネクタイ、ハンカチ、マフラー等の服飾雑貨」について、ラルフ・ローレン標章を使用していたことが認められるものである。そしてまた、同128頁、129頁に記載の「樫山(株),中央繊維工業(株)」、「(株)西武百貨店」が使用する商標「ポロ・バイ・ラルフローレン/PORO by RALPH LAUREN」、及び書証3の122頁、123頁に記載の「菱屋(株)、樫山(株),中央繊維工業(株)」、「(株)西武百貨店」が使用する商標「ポロ・バイ・ラルフローレン/PORO by RALPH LAUREN」についても、ラルフ・ローレン標章が使用されていたと容易に推認し得るところである。また、書証5には、「西武百は米国のポロ社から七七年に紳士服、七八年に婦人服の・・・日本国内でポロ・ラルフローレンのライセンスビジネスを手掛けてきた。」などの記載が認められ、これらの記載と上記書証3、4の記載を総合すれば、昭和51年にラルフ・ローレン標章の使用許諾を得た西武百貨店及び同店から再使用許諾を受けた者が昭和52年ころより、その取り扱う被服等について右標章を使用してきたということができる。 そして、書証3、4、5において重要な点は、「ポロ」と略称されるラルフ・ローレンの取扱いに係る商品が、我が国において昭和52年ころから販売された事実があったという点にあるのである。 ウ 書証1、2、6ないし10について 請求人は、書証1には「POLO」、「ポロ」の標章(証拠調べ通知には「表題」と記載した。)のもとに紹介されている記載はない。同6ないし8は、「POLO ポロ(アメリカ)」であり、単に「POLO」、「ポロ」として紹介されていない。まして、ラルフ・ローレン標章は全く記載されていないなどと主張する。 しかしながら、我が国においては昭和52年ころから西武百貨店等によりラルフ・ローレン標章が使用され、これが単に「ポロ」と略称されて使用されていることは、前記ア及びイで記載したとおりである。 また、書証6ないし8についてみれば、それぞれ12頁(書証6)、131頁(書証7)、87頁(書証8)には、ラルフ・ローレンのデザインした被服について、「POLO」の文字が大きく目立つように表示されているばかりでなく、「ポロ(アメリカ)」、「POLO ポロ(アメリカ)」の表示にしても、同じ頁に記載されている他の商品の紹介との関係からわかるように、「(アメリカ)」の文字部分は、商品の輸入先の国名を表したものと容易に理解できるものであるから、ラルフ・ローレンの取扱いに係る商品が単に「ポロ」、「POLO」と略称している事実があることに何ら変わりがない。 エ 書証11ないし14について 請求人は、これらの書証について使用されているものは、「Polo(ポロ)」(書証11、13、14)、「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」(書証12)である旨主張する。 しかしながら、ラルフ・ローレン標章を付した商品が昭和52年ころから我が国において販売されていたことは前記ア、イのとおりである。そして、書証11ないし14に記載された「『Polo(ポロ)』の商標で知られるラルフローレンブランドの・・」(書証11)、「アメリカの人気ブランド『ポロ』の・・」(書証12)、「ポロ競技のマークで知られる米国ファッションブランド『POLO(ポロ)』」(書証13)、「『ポロ』ブランドの偽物セーター」(書証14)の語は、ラルフ・ローレン標章が単に「POLO」、「Polo」、「ポロ」と略称されて使用されているという証拠に他ならない。 さらに、書証11ないし14において重要な点は、ラルフ・ローレン標章であれ、その略称の「POLO」、「Polo」、「ポロ」であれ、これらが我が国のファッション関連の商品分野において著名であるが故に、昭和63年ころには既にこれら標章を真似た偽物商品が横行していた事実を明らかにするところにあるのである。 オ 平成2年(行ケ)第183号判決及び他の9件の判決について 請求人は、これらの判決について、判決の結論を基礎づける事実の認定に関し、直接争ったものはなく、特に、ラルフ・ローレン標章を単に「ポロ」と略称して紹介していた事実があることについて争い、これについて裁判所が事実認定した判決は見いだせない旨主張する。 しかしながら、上記判決のうち、特に特許庁長官が被告となった審決取消訴訟事件(平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号、同第268号、同第289号、平成12年(行ケ)第5号)については、被告がラルフ・ローレン標章につき、これが単に「Polo(ないし「POLO」)」、「ポロ」と略称されて、それぞれの事件の出願に係る商標の出願日には既に我が国において著名となっていた旨を主張し、その主張を裏付ける証拠として本件とほぼ同一の証拠である書証1ないし14を提出したところ、裁判所は、被告の主張を認めたものである。 したがって、「ラルフ・ローレン標章を単に『ポロ』と略称して紹介していた事実があることについて争い」があるやなしやにかかわらず、これら判決において重要な点は、裁判所が本件とほぼ同一の証拠である書証1ないし14についての証拠調べをした結果、ラルフ・ローレン標章が単に「Polo(ないし「POLO」)」、「ポロ」と略称されて我が国において著名であったと認定したことにあるのである。そして、特許庁長官が被告となった訴訟事件を含めたいずれの判決においても、「Polo(ないし「POLO」)」、「ポロ」は、ラルフ・ローレンの使用に係る標章として著名であると認定判断をしているのである。 カ 書証15ないし19について 請求人は、これらの書証からは、「ポロ」が略称として著名であるという事実ではなく、「ラルフ・ローレン」が著名であるという事実しかない旨を主張する。 書証15ないし19は、被服等で著名なデザイナーがデザインし、そのデザイナーの名前をブランドとした商品が市場に出回っている事実、ラルフ・ローレンも本願商標に係る指定商品中の商品を取り扱っている事実などを明らかにするためのものであり、したがって、このようなこの種商品の取引の実情からすれば、「POLO」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を有してなる本願商標をその指定商品について使用したときは、ラルフ・ローレンの取扱いに係る商品との間に、出所の混同を生じさせるおそれがあることを示したものである。 キ 以上アないしカのとおりであるから、職権でした証拠調べに対する請求人の主張はいずれも理由がなく、採用できない。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(1)本願商標 (2)ラルフ・ローレン標章 |
審理終結日 | 1999-10-25 |
結審通知日 | 1999-11-12 |
審決日 | 1999-11-24 |
出願番号 | 商願平5-8069 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(024)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 正雄 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
茂木 静代 中嶋 容伸 滝沢 智夫 関根 文昭 |
商標の称呼 | ポロリーグ、リーグ |
代理人 | 伊藤 孝夫 |
代理人 | 小谷 悦司 |
代理人 | 宮崎 伊章 |
代理人 | 樋口 次郎 |