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審決分類 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 040
管理番号 1043519 
審判番号 無効2000-35037 
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-01-14 
確定日 2001-07-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第4063889号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4063889号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4063889号商標(以下「本件商標」という。)は、平成8年5月31日登録出願、別掲に示すとおり「メディアファクトリー グラフィカ」の片仮名文字と「MEDIA FACTORY GRAPHICA」の欧文字とを上下二段に横書きした構成よりなり、第40類「映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,写真の合成又は修正,コンピュータによる写真その他の画像情報の処理・編集又は加工」を指定役務として、同9年10月3日に設定登録がされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第107号証を提出している。
本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当し、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効にすべきものである。
(1)請求人とその略称について
本件審判請求人は、昭和61年(1986)12月1日に、株式会社リクルート出版部の書籍部門を分離・独立して設立された会社であり、各種出版物(電子出版を含む)の企画・制作及び販売を主とする他、ゲームソフトの販売、各種イベントの企画・立案及び運営等の事業を行っている(甲第3号証)。
請求人の名称は、当初、株式会社リクルート出版としていたが、ニューメディアへの進出等により、平成3年(1991)4月1日に、「株式会社メディアファクトリー」に変更し、現在に至っている。なお請求人の名称中「メディアファクトリー」は、「メディア」と「ファクトリー」の語を合成したものであるが、全体としては熟語的に親しまれて一般に使用されている用語ではなく、請求人が独自に案出した造語である。
而して請求人の名称中「株式会社」の部分は、法人の種類を示すよう法律上要求されているものであるから、請求人の名称は前記「メディアファクトリー」を主要部とすることが明らかであり、事実、請求人は「メディアファクトリー」と略称されている。
請求人は、本件商標が出願された平成8年(1996)5月31日以前から、新聞・雑誌等により「メディアファクトリー」の略称をもって広く紹介されている。
この事実を示すため、各種新聞・雑誌記事を、甲第4号証乃至甲第100号証として提出する。ここにおいて、例えば1995年3月6日付け日本経済新聞(甲第4号証)には、請求人がパソコン通信による電子出版事業を開始した報道にあたり、その見出しで請求人は「メディアファクトリー」と略称され、1994年8月4日付け通販新聞(甲第5号証)には、請求人が他社のカタログ制作に参画した報道にあたり、見出しで請求人は「メディアファクトリー」と略称され、1996年1月5日付け日経産業新聞(甲第6号証)には、請求人が刊行する図書の報道にあたり、同じく見出しで請求人は「メディアファクトリー」と略称されている。また、請求人の出版事業に関する報道(1991年3月14日付け日経産業新聞、他、甲第7号証乃至甲第14号証)、請求人のゲームソフト事業に関する報道(日経エンタテインメント1992年7月8日号、他、甲第15号証乃至甲第18号証)及び請求人のイベント企画事業に関する報道(1993年1月28日付け日刊工業新聞、他、甲第19号証乃至甲第25号証)において、請求人は「メディアファクトリー」と略称されている。さらにまた、請求人が出版した書籍はしばしばベストセラーになり、その書籍が請求人の前記略称とともに紹介された記事は、1991年6月12日付け日本経済新聞、週刊新潮1996年1月4日・11日新年特大号等(甲第26号証乃至甲第100号証)、枚挙に暇がない。
上記事実から、遅くとも本件商標の出願日たる1996年5月31日当時
には、「メディアファクトリー」が請求人の著名な略称として広く知られていたものであって、その状態は現在も同様と認められる。
(2)本件商標と請求人の著名な略称
本件商標の構成は、別掲のとおりであって、上段の片仮名文字部分において、「メディアファクトリー」と「グラフイカ」の間には1.5文字相当の顕著な間隔があり、下段の欧文字部分においては、「MEDIA」と「FACTORY」との間隔が1.5文字相当で、且つ前記「FACTORY」と
「GRAPHICA」の間には2.5文字相当の顕著な間隔が設けられている。
したがって本件商標は、外観上まとまりよく一体的に構成されているとは到底言い難いものであり、前半部の「メディアファクトリー」「MEDIAFACTORY」と、後半部の「グラフィ力」「GRAPHICA」とが分離して看取されるものと言うべきである。
また本件商標は、構成全体として特定の観念を生ずるものではないから、常に一体的にのみ認識されるものではない。
さらに本件商標は、「メディアファクトリーグラフィ力」と称呼されるものではあっても、この称呼は些か冗長と云うべきであり、このような冗長な称呼を生ずる商標のときには、後段を省き、前段部分より生ずる称呼、即ち「メディアファクトリー」の称呼をもって取引にあたるのが一般的である。
してみれば本件商標は、請求人の著名な略称「メディアファクトリー」を含む商標であることが明らかである。
(3)結び
以上に述べたとおりであり、本件商標は、請求人の著名な略称たる「メディアファクトリー」の文字を含む商標であって、しかも、被請求人は、本件商標の登録を受けるについて請求人の承諾を得ているものでないから、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁するところがない。

第4 当審の判断
1 請求人会社について
請求人の提出に係る甲各号証によれば、次の事実が認められる。
請求人は、昭和61年(1986)12月1日に、株式会社リクルート出版部の書籍部門を分離・独立して設立された会社であり、各種出版物(電子出版を含む)の企画・制作及び販売を主とする他、ゲームソフトの販売、各種イベントの企画・立案及び運営等の事業を行っていること(甲第3号証)。
請求人の名称は、平成3年(1991)4月1日に「株式会社リクルート出版」から「株式会社メディアファクトリー」に変更し、現在に至っていること(甲第7号証)。
1995年3月6日付け日本経済新聞には、請求人がパソコン通信による電子出版事業を開始した報道にあたり、その見出しで請求人は「メディアファクトリー」と略称され(甲第4号証)、1994年8月4日付け通販新聞には、請求人が他社のカタログ制作に参画した報道にあたり、見出しで請求人は「メディアファクトリー」と略称され(甲第5号証)、1996年1月5日付け日経産業新聞には、請求人が刊行する図書の報道にあたり、同じく見出しで請求人は「メディアファクトリー」と略称されていること(甲第6号証)。
また、請求人の出版事業に関する報道(1991年3月14日付け日経産業新聞、他、甲第7号証ないし甲第14号証)、請求人のゲームソフト事業に関する報道(日経エンタテインメント1992年7月8日号、他、甲第15号証ないし甲第18号証)及び請求人のイベント企画事業に関する報道(1993年1月28日付け日刊工業新聞、他、甲第19号証ないし甲第25号証)において、請求人は「メディアファクトリー」と略称されていること。
さらに、請求人の出版に係る書籍の紹介記事中に請求人は「メディアファクトリー」と略称されて記載されていること(甲第26号証ないし甲第100号証)。
以上の事実を総合勘案すれば、「メディアファクトリー」は、本件商標の出願日たる1996年5月31日以前においてすでに、出版業界を中心に請求人の著名な略称として広く知られていたものであって、その状態は現在も同様と認められる。
2 本件商標の構成について
そこで、本件商標についてみるに、本件商標は、別掲のとおり「メディアファクトリー グラフィカ」の片仮名文字と「MEDIA FACTORY GRAPHICA」の欧文字とを二段に表した構成よりなるところ、その構成上段の「メディアファクトリー」と「グラフイカ」の間には1文字程度の間隔があり、下段の「MEDIA FACTORY」と「GRAPHICA」の間にも同程度の間隔があることから、「メディアファクトリー」「MEDIA FACTORY」と、「グラフィ力」「GRAPHICA」とが視覚上自ずと分離して認識されるものである。
また、本件商標は、「メディアファクトリー グラフィカ」及び「MEDIA FACTORY GRAPHICA」の文字が構成全体として特定の観念を生ずるとの証拠もなく、ほかに、これら文字を常に一体不可分のものとして認識し、把握しなければならない格別の理由も見い出し得ないものである。
さらに、本件商標全体より生ずる「メディアファクトリーグラフィ力」の称呼も冗長であることから、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては前半部分の「メディアファクトリー」「MEDIA FACTORY」の文字部分をもって簡便に取引に資することも決して少なくないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標にあって、前半の「メディアファクトリー」「MEDIA FACTORY」の各文字部分は、それ自体が単独で自他役務の識別標識として機能し得るものであり、かつ、該「メディアファクトリー」の文字部分は前記認定の他人の名称の著名な略称と一致するものといわなければならない。
そうすると、本件商標は、請求人の著名な略称「メディアファクトリー」を含む商標であることが明らかであり、しかも、被請求人は、本件商標の登録を受けることについて請求人の承諾を得ているものではない。
そして、この点を述べる請求人の主張に対して、被請求人は反論するところがない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第8号の規定に違反して登録されたものと認められるから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【本件商標】



審理終結日 2001-05-15 
結審通知日 2001-05-25 
審決日 2001-06-11 
出願番号 商願平8-58607 
審決分類 T 1 11・ 23- Z (040)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 由美子 
特許庁審判長 原 隆
特許庁審判官 渡口 忠次
宮川 久成
登録日 1997-10-03 
登録番号 商標登録第4063889号(T4063889) 
商標の称呼 メディアファクトリーグラフィカ、メディアファクトリー、グラフィカ 
代理人 升本 喜郎 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 宮川 美津子 

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