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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117
管理番号 1041992 
審判番号 審判1999-30385 
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-03-31 
確定日 2001-03-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第0657678号の1商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第657678号-1商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和38年3月4日に登録出願され、下記に示す構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和39年11月10日に設定登録されたものである。指定商品については、その後、本件の分割移転により「溶接マスク、防毒マスク、防じんマスク、防火被服」については登録第657678号-2商標となり、さらに、指定商品の一部について商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し、指定商品中「たび、えりまき、マフラー、スカーフ、ネッカチーフ、ショール、ネクタイ、ゲートル、たびカバー、エプロン、おしめ」及び「手袋」については取り消されたものである。
2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「くつ下」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べている。
本件商標の原簿には、専用使用権者及び登録された通常使用権者は存在しない。そして、本件商標は、被請求人によって、本件商標の指定商品のうち「くつ下」について継続して3年以上日本国内において使用された事実は存しないから、本件商標は、指定商品中「くつ下」について、商標法第50条の規定により、その登録は取り消されるべきである。
(答弁に対する弁駁)
(1)乙第1号証ないし乙第15号証に対する認否は次の通りである。
乙第1号証については認否を留保する。乙第2号証ないし乙第15号証は不知であり、否認または争う。
(2)乙第2号証の口紙(台紙)に表れているものは、大文字の「SANKO」であり、「anko」が小文字ではなく、「S」,「AN」,「0」の上に同一直線上の細線と「0」の上に太い横棒がない。
乙第6号証,乙第7号証,乙第12号証の靴下の口紙(台紙)に表された「Sanko」の「S」,「an」,「o」の上に同一直線上の細線が無く、且つ「o」の上に太い「横棒」が無く、また箱の蓋の側面部のロゴ体の「サンコー」と分離されて用いられている。
乙第11号証の箱の蓋の側面部の「SANKO」は大文字であり、「ANKO」が小文字ではなく、「S」,「AN」,「O」の上に同一直線上の細線と「O」の上に太い「横棒」がない。
以上のような相違があるので、本件商標に対し、乙第2、6、7、11、12号証は、いずれも社会通念上、同一の商標と認めることは出来ない。
よって、乙第2、6、7、11、12号の各号証が仮に成立したとしても、本件商標は不使用に該当するので、請求の趣旨の通りの審決を求めるものである。
3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
(1)本件商標は横長円内に白抜きした「サンコー」の文字及び「Sanko」の文字を上下に配した態様の商標であり、請求人は本件商標の指定商品のうち「くつ下」について本件商標の取消しを請求した。
しかし、本件商標については、通常使用権者が本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において本件審判請求に係る指定商品「くつ下」に使用している。したがって、本件商標は取り消されるべきではない。
(2)本件商標についての使用許諾の契約及び通常使用権
本件商標の商標権者は、サンコー靴下株式会社(住所 名古屋市中村区太閤一丁目2番7号)に対して通常使用権の許諾をしており、本件審判の請求の登録前三年以内においてサンコー靴下株式会社は、本件商標の通常使用権者である。
乙第1号証は、商標権者とサンコー靴下株式会社との商標使用許諾の契約についての証明書である。
これにより、サンコー靴下株式会社は、本件審判の請求の登録前三年以内である平成10年6月8日〜平成11年4月27日の期間において、指定商品全部及び日本全国を範囲とする通常使用権であることが証明される。
(3)本件商標の使用の事実及び使用の証明
本件商標の通常使用権者であるサンコー靴下株式会社は、本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において指定商品「くつ下」について本件商標の使用をしている。以下、この使用の事実について述べるとともに、その使用を証明する。
イ.通常使用権者であるサンコー靴下株式会社は、本件審判の請求の登録前三年以内において、その取引先である株式会社池田商店(住所 新潟市礎町通り上一の町1929番地ノ2)に、本件商標を付した商品「靴下」を販売している。
a.乙第2号証は、上記本件商標の使用の事実があったことについての株式会社池田商店による証明書である。
乙第3号証ないし乙第5号証は、本件商標を使用した靴下の販売取引があったことを示すもので、乙第3号証は株式会社池田商店へ出張伺いに出向いた際に受けた靴下の注文内容を示す受注書、乙第4号証はこの受注した靴下の納品書(控)、乙第5号証はこの取引に関するサンコー靴下株式会社の得意先元帳である。
b.これにより、サンコー靴下株式会社が、平成10年10月28日に株式会社池田商店から「靴下(品番73-6FR)、30足」の注文を受けて(乙第3号証)、平成10年10月31日にこの靴下のうち20足を株式会社池田商店に納品し(乙第4号証)、平成10年11月27日にその代金を手形により受け取ったこと(乙第5号証)が証明される。
c.そして、上記の販売取引において靴下(品番73-6FR)の一足ごとに取り付けられた口紙(台紙)には、本件商標(横長円内に白抜きした「サンコー」の文字、及び「SANKO」の文字)が付されており、納品の際にこの靴下が収容されていた納品用の箱には本件商標のローマ字部分「SANKO」が付されていたことが証明される(乙第2号証の写真参照)。
また、かかる態様による本件商標の使用は、取引社会において通常用いられる手法であり、商標の同一性の範囲内である。
ロ.通常使用権者であるサンコー靴下株式会社は、本件審判の請求の登録前三年以内において、その取引先である室哲商店(住所 富山県高岡市三番町73)に、本件商標を付した商品「靴下」を販売している。
a.乙第6号証及び乙第7号証は、上記本件商標の使用の事実があったことについての室哲商店による証明書である。
乙第8号証ないし乙第10号証は、本件商標を使用した靴下の販売取引があったことを示すもので、乙第8号証は室哲商店からの郵便はがきによる注文書、乙第9号証はこれら受注した靴下の納品書(控)、乙第10号証はこの取引に関するサンコー靴下株式会社の得意先元帳である。
b.これにより、サンコー靴下株式会社が、室哲商店からの郵便はがきにより、平成10年11月15日に「靴下(品番55816)、10足」及び平成10円11月19日に「靴下(品番61303)、20足」の注文を受けて(乙第8号証)、平成10年11月21日にこれらの靴下を室哲商店に納品し(乙第9号証)、平成10年12月22日にその代金を受け取ったこと(乙第10号証)が証明される。
c.そして、上記の販売取引において靴下(品番55816及び品番61303)の一足ごとに取り付けられていた口紙(台紙)には、本件商標のローマ字部分「Sanko」が付されており、納品の際にこの靴下が収容されていた納品用の箱には本件商標の片仮名部分「横長円内に白抜きしたサンコー」が付されていたことが証明される(乙第6号証及び乙第7号証の写真参照)。
また、かかる態様による本件商標の使用は、取引社会において通常用いられる手法であり、商標の同一性の範囲内である。
ハ.通常使用権者であるサンコー靴下株式会社は、本件審判の請求の登録前三年以内において、その取引先である株式会社坂富商店(住所 栃木県佐野市若松町656)に、本件商標を付した商品「靴下」を販売している。
a.ここで被請求人は、乙第11号証及び乙第12号証として、かかる本件商標の使用の事実があったことについての株式会社坂富商店による証明書を提出する。
乙第13号証ないし乙第15号証は、本件商標を使用した靴下の販売取引があったことを示すものである。
乙第13号証は株式会社坂富商店からのFAXによる靴下の注文書、乙第14号証は受注した靴下の納品書(控)、乙第15号証はこの取引に関するサンコー靴下株式会社の得意先元帳である。
b.これにより、サンコー靴下株式会社が、平成10年11月11日に株式会社坂富商店からFAXにより「靴下(品番72920)、10足」及び「靴下(品番61303)、10足」の注文を受けて(乙第13号証)、平成10年11月13日にこれらの靴下を株式会社坂富商店に納品し(乙第14号証)、平成10年12月2日にその代金を手形により受け取ったこと(乙第15号証)が証明される。
c.そして、上記の販売取引において、靴下(品番72920)の一足ごとに取り付けられた口紙(台紙)には、本件商標の片仮名部分「横長円内に白抜きしたサンコー」が付されており、納品の際にこれらの靴下が収容されていた納品用の箱には本件商標のローマ字部分「SANKO」が付されていたことが証明される(乙第11号証の写真参照)とともに、靴下(品番61303)の口紙(台紙)には、本件商標のローマ字部分「Sanko」が付され、その納品用の箱には、本件商標の片仮名部分「横長円内に白抜きしたサンコー」が付されていたことが証明される(乙第12号証の写真参照)。
また、かかる態様による本件商標の使用は、取引社会において通常用いられる手法であり、商標の同一性の範囲内である。
(4)以上により、通常使用権者が本件審判の請求の登録前三年以内に日本国内において本件審判請求に係る指定商品「くつ下」について本件商標の使用をしていることが証明される。このため、本件商標は取り消されるべきではない。
よって、請求人は、請求の趣旨のとおりの審決を求めるものである。
4 当審の判断
被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第15号証をみるに、乙第1号証は、商標権者とサンコー靴下株式会社とが平成10年6月8日から及平成11年4月27日までを使用許諾の期間とする本件商標の使用許諾証明書であるところ、この書面によりサンコー靴下株式会社が本件商標の通常使用権者であることが認められる。
そして、乙第2号証は、商品「靴下」が紙製の包装箱に収納された写真及びその一足の商標部分を拡大した写真(2葉)を株式会社池田商店がサンコー靴下株式会社に注文し、納品書を受領し、その代金を支払ったことの証明書であって、この紙製の包装箱に品番として「73-6FR」と記載されており、靴下の口紙(台紙)の商標部分を拡大した写真に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表記されていることが認められる。
また、乙第3号証は平成10年10月28日付の注文書(写し)、乙第4号証は平成10年10月31日付の納品書(控・写し)及び乙第5号証はサンコー靴下株式会社が作成した株式会社池田商店の得意先元帳(写し)と認められるものであり、これらの書類には前記の日付けの他、品番「73-6FR」、品名「紳士毛スパンシモフリソックス」、単価「¥900」等と記入されていることが認められる。
さらに、乙第6号証及び乙第7号証は室哲商店が、乙第11号証及び乙第12号証は株式会社坂富商店が、それぞれ商品「靴下」をサンコー靴下株式会社に注文し、乙第8号証ないし乙第10号証及び乙第13号証ないし乙第15号証がそれぞれの品番の商品に対応する取引書類と認められるところ、これらの書類にも前記・株式会社池田商店と同様の項目が記載されており、靴下の口紙(台紙)の商標部分を拡大した写真に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表記されていることが認められる。
しかして、乙第6号証ないし乙第15号証の発注日又は納品日はいずれも平成10年11月から12月の日付であることが認められる。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により指定商品中の「くつ下」について使用されていたものと認めることができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
なお、被請求人より申請のあった証人尋問については、提出の各書面、書証により前記のとおり認定、判断し得るところであるから、これを行わない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2000-05-24 
結審通知日 2000-06-06 
審決日 2000-06-23 
出願番号 商願昭38-9026 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (117)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 大島 護
江崎 静雄
登録日 1964-11-10 
登録番号 商標登録第657678号の1(T657678-1) 
商標の称呼 1=サンコー 
代理人 岩田 哲幸 
代理人 池田 敏行 
代理人 中村 敦子 
代理人 岡田 英彦 

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