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審決分類 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117
管理番号 1041987 
審判番号 審判1991-22642 
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 1991-11-20 
確定日 1997-06-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第2288555号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2288555号商標の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1、本件登録第2288555号商標(以下、「本件商標」という。)は、「プリマーク」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和57年4月23日に登録出願、第17類「ずぼん、その他本類に属する商品(但し、寝具類は除く)」を指定商品として、平成2年12月26日に登録されたものである。
2、請求人が、本件商標の無効の理由として引用する登録第979486号商標(以下「引用商標」という。)は、「PRIMAL」の欧文字を横書きしてなり、昭和45年6月3日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同47年9月6日に登録されたものであるが、その後、平成4年9月6日商標権存続期間満了により権利消滅し、その抹消登録が同5年12月24日になされているものである。
3、請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第38号証(枝番号含む)を提出している。
(1)、本件商標は商標「プリマーク」からなり、自然に「プリマーク」の称呼を止じるものである。
一方、引用商標は、「PRIMAL」の欧文字よりなるものであるから、「プリマール」の称呼が生じることは明らかである。
そこで、「プリマーク」と「プリマール」とを対比してみるに、両者はともに同音数から成り、僅かに最後の音「ク」と「ル」において相違するだけである。しかも、「ク」と「ル」とは互いに母音を共通とする音であり極めて近似する。
したがって、「プリマーク」と「プリマール」は彼此聞き誤ることは明らかであり類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当する。
なお、請求人の関連会社Primark Limitedが以前に商標「PRIMARK」を第17類で出願した際、特許庁審査官は上記と同様に両者が類似すると認定し、該出願を拒絶査定としたので、請求人の主張は正当である。参考として、その出願経過を示す書類を甲第2号証として添付する。
一方、Primark Limitedが先に本件商標標に対して登録異議の中立てをした際には、逆に、特許庁審査官は「プリマーク」と「プリマール」は称呼上明確に区別できるとして両者は類似しないとの認定を下した(甲第9号証参照)。
このように、「プリマーク」と「プリマール」の類否に関しては特許庁審査官の間でも意見の相違がある。
したがって、ここに無効審判を請求し、審判官合議体の判断を仰ぐものである。
(2)、引用商標「PRIMAL」の称呼について、被請求人は「プリマル」という称呼を生じると主張している。
しかし、請求人が審判請求書において述べたように、「PRIMAL」は「プリマール」の称呼を生じるものである。
すなわち、引用商標は、甲第1号証の2に示されるように、そもそも商標登録第698449号(商公昭40-22088号公報)に係るカタカナ商標「プリマール」の連合商標として登録されたものである。
このように、引用商標「PRIMAL」はこれと連合関係にあるカタカナ商標「プリマール」のアルファベット表示として出願されたものであるから、同様に「プリマール」なる称呼が優先的に生じると考えることが自然である。
また、商標「PRIMAL」は英語的に発音すれば「プライマル」であるが、ドイツ語的に発音すれば「PRI」の部分から「プリ」、「MAL」の部分から「マール」なる称呼を生じるものであることは周知であるので、全体として「プリマール」なる称呼が自然に発生することは明らかである。
このような事情に鑑みれば、被請求人主張のような「プリマル」の称呼は極めて不自然であり、何等根拠のないものと言わざるを得ない。
(3)、被請求人は、「PRIMAL」の称呼は「プリマル」であり「プリマール」ではないと主張している。
しかし、「PRIMAL」の称呼として「プリマール」と「プリマル」を対比した場合、日本人にとっては、前者の方が5音節であり語呂が良いので、自然であるものと思料する。
しかも、前回の弁駁書(平成4年7月16日付け)で請求人が述べたように、引用商標「PRIMAL」は、商標「プリマール」の連合として登録されているのであることからも、「PRIMAL」から「プリマール」なる称呼を生じることは明らかである。
このような状況から、上述のように「プリマール」なる称呼が生じることを否定することはできない、被請求人は、「PRIMAL」の称呼が「プリマル」のみに限られ、「プリマール」なる称呼が生じ得ないことを何ら立証していない。
したがって、本件商標「プリマーク」が甲第1号証の1の商標「PRIMAL」に類似すると言わざるを得ない。
(4)、「PRIMAL」は英文字からなるものであって、その日本語による称呼を考える際には、個々の日本人により、多少語呂のズレが生じるのは当然である。特に外来語において、このような語呂のズレが生じることは広辞苑の解説でも認められているところである(甲第39号証)。
被請求人は、「PRIMAL」の後尾のLは万国音標文字(1)で表示され、音声学上は側音であり、所謂darklと呼ばれるものであるから、「プリマウ」と聴取されると主張する。この点に関しては、被請求人の主張のとおり尤もである。
しかし、だからと言って、「PRIMAL」が「プリマウ」のみの称呼しか有しないということにはならない。このdarklは、(ウ)に近い音であると同時に、長音(一)に近い音であるともされているのである(甲第40号証参照)。
したがって、被請求人の言う「プリマウ」は実際には、「プリマー」であり、「PRIMAL」の最後の「L」を意識すれば、「プリマーウ」あるいは「プリマール」とも聴取されるのである。
かかる状況に鑑みれば、被請求人の主張は、徒に「PRIMAL」の称呼を「プリマウ」のみに限定しようとするに過ぎないことは明らかである。
一方、被請求人は、たとえ「PRIMAL」を「プリマール」と発音したとしても、「PRIMARK」あるいは「プリマーク」とは完全に区別可能であり、両者は称呼類似ではないと主張している。
しかし、この主張は、特許庁のプラクティスを蔑にするものであり、到底認められるべきものではない。
すなわち、請求人関連会社のPrimark Limitedは、被請求人が本件商標を出願する以前の昭和57年10月27日に商標「PRIMARK」を本件商標と同じ(旧分類)第17類(被服等)において出願した(既提出の甲第2号証の1参照)。
その際、特許庁は当該商標「PRIMARK」は、先登録商標「プリマール」及びその他の商標に類似するとして拒絶査定した(既提出の甲第2号証の3及び甲第2号証の4参照)。
このように、甲第2号証の1、甲第2号証の3及び甲第2号証の4に示されるような過去の審査例において、「PRIMARK」が「プリマール」に称呼類似すると明確に認定されているのだから、両者が称呼類似でないとする被請求人の主張は失当である。
(5)、「PRIMARK」は、昭和52年1月11日以来、アイルランド国の法人である請求人及びその関連会社のPrimark Limited又はPrimark Holdingsの法人名称として知られている。(甲4号証の1訳文第2頁第2項参照)
請求人およびその関連会社は、商標「PRIMARK」をはじめとしてその他全ての商標に関して、全世界的に同一のポリシーの下に運営されており(甲第4号証の1訳文第3頁第5項参照)、いわば、「PRIMARK」グループなる企業群を構成している。
すなわち、「PRIMARK」の名称は、昭和52年1月11日以来現在に至るまで、請求人及びその関連会社であるPrimark Limited或いはPrimark Holdings Limitedを指称する法人名称として認識されていることは甲第4号証から明らかである。
これに対し、被請求人は、請求人等の名称はPrimark Limited又はPrimark Holdings LimitedであってPrimarkは当該法人名称の略称に過ぎないと反論し、請求人にPrimarkが法人略称として著名であることの立証を要求するかもしれない。
しかし、「Limited」及び「Holdings」の部分は日本で言う「株式会社」等の法律上要求される法人の種類の表示であり、これを除いたPrimarkが法人名称であると解すべきである。
このことは、甲第5号証として提出する昭和52年12月22日東高民六判、昭和52年(行ケ)第70号によって支持されるものと思料する。
したがって、本件商標は、請求人及びその関連会社の名称そのものを承諾なしに出願されたものであることは明らかであり、「Primark」の著名性の立証を要するまでもなく無効とされるべきである。
仮に、著名性を立証することが必要であれば、これは、下記のような事実によって十分支持されているものと思料する。
すなわち、甲第2号証に示す商標登録出願が請求人の関連会社「Primark Limited(プリマークリミテッド)」名義で昭和52年10月27日付けで日本に行なわれている。
すなわち、「PRIMARK(プリマーク)」が法人の名称であることは、上記出願が行われた昭和52年の時点で既に我が国特許庁内でも顕著な事実であり、このことは甲第2号証の1に示す願書、甲第2号証の2の出願番号通知書及び甲2号証の4拒絶査定謄本に見られる出願人「プリマーク リミテッド」の表示に徴して明らかである。
加えて、昭和52年頃から本件商標出願日である昭和57年頃に至るまで、商標「PRIMARK」がPrimak Limited及びその関連会社であるPrimark Stores Limited名義で世界各国で登録されており(甲第4号証の2参照)、また、同様に本件商標出願日(昭和57年4月23日)以前に、既に、Primark Limitedは日本の著名な商社「丸紅」と被服或いは繊維製品について例えば約1450万円、約300万円、約950万円、約400万円、約410万円といった多額の取引を行なっており(甲第4号証の3参照)、日本の実業界においても著名な法人名称であったことは明白である。
このように、本件商標出願日以前に既に法人名称であったことが明らかな「PRIMARK」及び「プリマーク」に係る本件商標登録は商標法第4条第1項第8号に該当し無効にされるべきである。
更に言えば、甲第2号証に示すPrimark Limitedの出願(昭和52年10月27日は、被請求人「熊倉三男」の所有に係る商標「プリン」(商標登録第1274899号)(甲第3号証参照)等を引用されて拒絶査定となり、その拒絶査定謄本は昭和56年7月6日に代理人に送達された(甲第2号証の4参照)。その後、Primark Limitedは、拒絶査定の理由を回避するために、被請求人「熊倉三男」に対しその代理人弁理士小林栄氏を介して昭和56年12月21日付け書簡で被請求人「熊倉三男」所有にかかる商標「プリン」(商標登録第1274899号)の譲渡交渉を開始し(甲第6号証の1参照)、その後代理人弁理士小林栄氏との電話連絡による交渉を経、昭和57年7月12日付け書簡にてその譲渡交渉が決裂し(甲第6号証の2参照)、昭和57年7月14日付け代理人弁理士小林栄氏からの書簡で被請求人「熊倉三男」が「プリマーク」及び「PRIMARK」をPrimark Limitedの承諾なしに出願していた旨連絡を受けた(甲第6号証の8参照)、という経緯がある。
即ち、被請求人「熊倉三男」自身も、甲第6号証の1及び2の書簡から、本件商標出願日以前に、「プリマーク」及び「PRIMARK」が「Primark Limited」の法人名称であることを承知していたことは紛れもない顕著な事実である。
要するに、被請求人「熊倉三男」は、「プリマーク」及び「PRIMARK」が本件商標出願以前に特許庁のみならず世界的に知られ、しかも自らにとっても著名な法人名称を、それと知りつつ、請求人およびPrimark Limitedの承諾を得ずに出願したものであることは明白である。
このように、自ら良く知る法人名称についてその者の承諾なしに出願する行為は当該法人の人格権を著しく損うことは明らかであり、そのような経緯によって行なわれた本件商標登録は商標法第4条第1項第8号に該当し、無効とされるべきである。
なお、商標法第4条第1項第8号は、人格権の保護を目的とするものであるから、その略称等の著名性の判断主体を必ずしも需要者とする必要はなく、むしろ、出願人が出願商標を法人の略称として知っていたかどうかを議論すれば足りるとすべきであり、本条項における著名性の立証においては上述のような証拠で足りるものと思料する。
(6)、被請求人は、「PRIMARK」は法人の名称の略称であると主張している。
たしかに、請求人関連会社の法人名称は「PRIMARK LIMITED」「PRIMARK HOLDINGS L1MITED」であるが、LIMITEDやHOLDINGS LIMITEDといった部分は「株式会社」「財団法人」と同様に会社の組織形態を表示する部分である。
したがって、他人がこれを除いた「PRIMARK」の部分について商標登録を受けることは他人の名称を含む商標についてしたものであることは、甲第5号証に示される通りである。
そもそも法人はその組織形態を改変することを許容されているものであるから、法人の名称について甲第5号証のような判断をすることが至極妥当であることは明白である。
仮に百歩譲って、「PRIMARK」が法人の名称の略称であったとしても、本件の場合は、甲第6号証の1〜3に示される請求人と被請求人との間の交渉経過から明らかなように、被請求人は本件商標「PRIMARK」を請求人の関連会社の名称の要部であることを知って出願したのである。
すなわち、被請求人にとっては、本件商標を出願する以前にPRIMARK L1MITEDのLIMITEDを除いた「PRIMARK」が法人名称の要部であることを知っていたのであるから、被請求人にとっては著名な略称と同等の認識が存在していたことは明らかである。
また、被請求人は著名性の立証についての判断主体は一般需要者であると主張しているが(答弁書第6頁第9行)、商標法第4条第1項第8号は当該判断主体が一般需要者であるとは明記していない。
すなわち、法はその判断主体を事件毎に具体的妥当性を以て決定することを許容しているのであり、本件のような法人の名称に関する場合であって、しかも、被請求人が本件商標の出願以前にPRIMARK LIMITEDなる法人を良く知っていた状況に鑑みれば、当該判断主体を一般需要者としなければならない必然性はないものと思料する。
一方、被請求人は、法令の許す範囲で自己所有の登録商標「プリン」の保護を計るために商標「PRIMARK」の出願手続を実施したと主張している(答弁書第7頁下から8〜1行)。
しかし、本件商標は被請求人の登録商標「プリン」の連合商標として登録されているわけではない。
すなわち、「プリン」と「PRIMARK」は非類似なのである。
したがって、本件商標「PRIMARK」を取得することは、被請求人の登録商標「プリン」の保護を計るために何の利益もないのである。
仮に、そのような本件商標を被請求人が維持し続けるとすれば、それは、外国商標を不当に取得する行為(近年、特許庁からもそのような行為を自粛するように指導が行なわれている)となることを被請求人においても十分留意されたい。
(7)、甲第4号証の2の一覧表に徴すれば、本件商標出願前に、商標「PRIMARK」が商品被服、寝具類等について請求人およびその関連会社によって既に各国で登録されていたことは明らかである。
すなわち、昭和49年に既に商標「PRIMARK」は寝具類について請求人およびその関連会社名義で英国で登録されている(甲第4号証の2訳文1頁参照)。その後、本件商標出願時(昭和57年4月28日)までに、ほとんどの国で、同様の商標が同様の商品について請求人およびその関連会社名義で登録されており、各国で請求人及びその関連会社によって商品被服、寝具類等について商標「PRIMARK」が使用されていたことは明らかである。
すなわち、本件商標出願時に商標「PRIMARK」が請求人及びその関連会社の被服、寝具等を指称するものとして周知であったことは、甲第4号証の2の一覧表に示す多数の登録例をもって十分明らかである。
また、甲第4号証の1宣誓書第8項(甲第4号証の1訳文第4頁第8項参照)に宣誓されているように、商標「PRIMARK」に係る商品の宣伝を英国及びアイルランド国の定期刊行物等に載せ、これら定期刊行物等が日本において頒布されていることも明らかである。
かかる周知商標が請求人又はその関連会社によって未だ登録されていないのは、日本国だけといってもよい。
仮にこのような状況下で本件商標を存続させれば、請求人及びその関連会社の商標として周知の商標「PRIMARK」と混同を生じることは明らかであり、我が国のみならず国際取引市場を著しく乱すことは明らかである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当し、無効にされるべきである。
(8)、甲第4号証の2の一覧表に示す登録商標に徴すれば、請求人およびその関連会社の商標「PRIMARK」の下での業務は、被服の他、繊維製品、装身具等まで多岐に渡っていることが明らかである。
また、甲第4号証の1宣誓書第8項(甲第4号証の1訳文第4頁第8項参照)からわかるように、これら被服以外の業務について請求人およびその関連会社は自社の宣伝を英国及びアイルランド国の定期刊行物等に載せ、これら定期刊行物等が日本において頒布されていることも明らかである。
しかも、本件商標出願日(昭和57年4月23日)以前に、既に、Primark Limitedは日本の著名な商社「丸紅」と被服の他、織物地等の繊維製品について例えば約1450万円、約300万円、約950万円、約400万円、約410万円といった多額の取引をPrimark Limitedの名の下に行なっており(甲第4号証の3参照)、本件商標出願前にPrimark Limitedの繊維製品に関する業務が「Primark」の名の下で行われていたことが日本の実業界においても著名であったことは容易に理解できる。
しかも、Primark Limitedは、我が国において、本件商標出願前に、商標「PRIMARK」について第17類以外の商品についても出願しており、第22類(はき物等)について商標登録第1464628号(甲第7号証参照)及び第16類(織物等)について商標登録第1883127号(甲第8号証参照)を既に取得済みである。
現在、商標「PRIMARK」の下での請求人またはその関連会社の広範な業務のうち、我が国で商標登録を未だ受けていないのは第17類のみであるといってもよい。
仮に、このような状況で本件商標を存続させれば、需要者は諸外国での商標「PRIMARK」の下での請求人およびその関連会社の業務に関する知識との関係から、被請求人「熊倉三男」の業務と請求人の第22類及び第16類の業務と彼此混同を起こすことは明らかである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、無効にされるべきである。
なお、被請求人が本件商標を合理的価格で請求人に譲渡するのであれば、請求人はこれを受入れる余地があることを付言しておく。
(9)、被請求人は、請求人が周知性及び著名性の立証をしていないと主張している。
しかし、甲第4号証の2に見られるように、請求人は商標「PRIMARK」について世界各国で多数の商標を登録しており、このような多数の登録商標を維持するためには多額の投資が必要であることは明らかである。
また、このように多数の登録商標を各国で取得している事実から、商標「PRIMARK」の下における請求人の事業が世界的に大々的に展開されていることは明らかである。
しかも、甲第4号証の1及び3から、請求人の取引が我が国にも及んでいることが示されている。
このような請求人の広範な事業に徴すれば、本件商標「PRIMARK」は需要者の間に広く認識されていることは明らか(法第4条第1項第10号)であり、仮に本件商標を被請求人が使用すれば請求人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある(法第4条第1項第15号)ことは明らかであるものと思料する。
(10)、「PRIMARK」は、請求人関連会社の「PRIMARK LIMITED」「PRIMARK HOLDING LIMITED」の法人の名称である。
LIMITEDやHOLDINGLIMITEDの語は、「株式会社」や「財団法人」と同様に会社の組織形態を表示する部分であり、このような部分を除いた「PRIMARK」の部分が法人の名称であることは、甲第5号証に示される通り明らかである。
法人の名称の略称と言う場合は、例えば、「新日本製鉄」に対する「新日鉄」、「川崎製鉄」に対する川鉄」、「住友商事」に対する「住商」、「東京急行電鉄」に対する「東急」のような態様を言うものと解すべきである。
一方、本件商標の出願以前から、アイルランド国、英国、その他の外国、そして我が国の取引者の間で、「PRIMARK」と言えば請求人会社を示すものと考えられていたことを示す証拠は提出すれば枚挙に暇がない。
既に提出した甲第4号証の1の宣誓書にあるように、請求人会社(その関連会社を含む)は、本件商標の出願以前から「PRIMARK」の名の下に事業を行なっていたことは明らかであり、このことは、その当時、既に、アイルランド国、英国など使用主義を採用する国々で商標の登録を取得している(甲第4号証の2参照)ことからも明らかである。
同様のことは、今回提出する甲第29号証(請求人会社の会社案内)からも明らかである。
甲第29号証には、請求人が1969年にアイルランド国ダブリンで事業を開始した後、アイルランド国及び英国を中心として、衣料品を中心とした所謂デパート型のチェーン店を多数展開し(甲第29号証第1〜2頁参照)、北アイルランドの6店舖及びイギリス国メインランドの11店舖を含む38店舖を展開しており、その平均店舗面積は約17500坪であり、1980年には北アイルランドのベルファストに12万坪の面積を有する店舗をも開店させたことが示されている(甲第29号証第3頁参照)。
また、甲第29号証には店舖の写真も示されており、大々的に「PRIMARK」の看板が架けられていることも理解できる(甲第29号証第1頁写真、第4頁写真参照)。
さらに、甲第29号証(会社案内)の中で、自社を「Primark」と呼んでいることからも、請求人会社が「Primark Limited」あるいは「Primark Stores Limited」ではなく、「Primark」という名の下に親しまれていることが理解できる。
また、請求人会社は、本件商標出願以前、既に世界各国と取引があり(甲第29号証第1頁参照)、そのことは、先に提出した甲第4号証の1にも宣誓されており、甲第4号証の2から明らかなように、世界各国で商標権を取得していることからも明らかである。
また、我が国においても、請求人会社が本件商標出願以前既に取引を行なっていたことは、先に提出した丸紅との取引書類(甲第4号証の3)から明らかであり、また今回提出する日本法人オムロン株式会社の宣誓書(甲第36号証)によっても証明されている。
甲第4号証の3に示される取引額は、総額で3500万円にも達し、十分、事業規模の取引であることは明らかであり、被請求人の言うような少額な取引では決してない。
かくして、現在でも、請求人会社は、益々大規模に店舗を展開しており、アイルランド国では「Penny’s」の名の下に、イギリス国では「PRIMARK」の名の下に展開している。それを示すために、甲第30号証として請求人の店舗リストを添付する。
甲第30号証によれば、請求人の店舗の分布は、アイルランド国及びイギリス国のほぼ全域にわたっていることが理解できる(参考資料1参照)。
また、「Primark」なる商標が、世界各国で使用されていることを示すために、検甲第1〜19号証(及びその写真である甲第10〜28号証)を提出する。これらの製品はさまざまな国々で製造されており、いかに世界中の各国で「Primark」の商標が付され使用されているか理解できる。
同様に、甲第33及び34号証として、実際、請求人会社に宛てられた手紙、及び甲第35号証として請求人が世界各国の会社に宛てた注文書の写しを添付する。
特に、甲第35号証の注文書には「PRIMARK」の語が大きく表示されており、請求人会社が、単に「PRIMARK」という名で通用していることを示す良い証拠であると思料する。
また、甲第31号証(ダブリン市観光案内)の表紙裏に、請求人経営の店舖PENNY’Sの広告が掲載されており、PENNY’Sの文字の下には、「OPERATED BY PRIMARK(PRIMARKによって経営されている)と記載されている。同様に、甲第32号証(スペイン国の広告)にも、PRIMARKの広告が掲載されており、これは、請求人会社がいかに「PRIMARK」の名の下に世界的に知られているかを示す格好の証拠であると思料する。
以上の証拠に示される事実から、「PRIMARK」は少なくとも英国及びアイルランド国では良く知られたデパートの名称として知られていることは容易に理解できるものと思料する。このことは、我が国でも、デパートは、正式に「株式会社伊勢丹」、「株式会社三越」、「株式会社そごう」、「株式会社ダイエー」、「株式会社イトーヨーカ堂」と呼ぶよりも、単に「伊勢丹」、「三越」、「そごう」、「ダイエー」、「イトーヨーカ堂」と呼ばれている実情を考えれば容易に理解できるものと思料する。
(11)、外国の商標の国内における周知性の判断に当たって、外国での周知性や数ケ国に渡って取引があることが十分に考慮されるものである。
実際、商標「PRIMARK」が、本件商標出願以前に外国、特にアイルランド国及び英国において周知であったことは、甲第4号証の1(宣誓書)や甲第29号証(会社案内)から既に前述のような大規模な店舖の展開が行なわれており、多数の国々と取引を行なっていたことが明らかであり、甲第4号証の2から前述のように使用主義を採用する国々(アイルランド国及び英国等)で既に商標登録されていたことから明らかである。
また、甲第4号証の3(丸紅との取引書類)及び甲第36号証(オムロン(株)の宣誓書)から、我が国とも、本件商標出願以前に既に取引が行なわれていたことは明らかである。
したがって、本件商標出願時における商標「PRIMARK」の周知性については十分立証されているものと思料する。
また、現在における商標「PRIMARK」についても、甲第10〜28号証(検甲第1〜19号証に同じ)、甲第30〜35号証から、疑いの余地はない。
(12)、請求人は、平成4年11月24日付け審判事件弁駁書において種々の証拠書類及び物件を提出したが、ここに、さらに甲第37号証及び甲第38号証を提出する。
甲第37号証は、請求人プリマーク ストアーズ リミテッド(PRIMARK STORES LIMITED)が、プリミシア エス.エイ.インダストリア エ コマーシオ(PRIMICIAS.A.INDUSTRIAE COMERCIO)の商標PRIMICIAに関する英国商標出願第1207618号に対して異議申立てを行なった事件の異議決定書であり、英国特許庁は上記商標PRIMICIAが請求人の商標PRIMARKと出所の混同を生じるものであるとして請求人の異議申し立てを容認し、英国商標法第11条に基づいて上記商標PRIMICIAの出願を拒絶したことが示されている(甲第37号証抄訳文第10頁第3〜20行、同号証原文第10頁第26行〜第11頁最終行参照)。
甲第37号証において英国特許庁が認定したように、請求人の商標PRIMARKが少なくとも海外(英国及びアイルランド国)において周知であることは明らかであるものと思料する。
また、甲第38号証は、請求人がこの英国での異議申立て事件において商標PRIMARKの周知性を立証するために英国特許庁に提出した宣言書(及びその添付証拠)であり、商標PRIMARKが周知であることの根拠が多数示されている。
すなわち、PRIMARK社は、英国(北アイルランドを含む)及びアイルランド国において百貨店あるいはスーパーマーケット型のチェーン店を展開しており、かかる店舗は上記の国々で53店舗にも及ぶことが示されている(甲第38号証抄訳文第3頁第14行〜第4頁第1行参照。同号証原文第2頁第9〜18行参照)。
かかる店舗の所在地を示した一覧表が同号証に添付の証拠P.B.P.1に示されており(当該証拠P.B.P.1は既に提出した甲第30号証と同等物である。)、店舗が英国及びアイルランド国の広範な地域に分散していることが示されている。
また、Primark社の1974年4月1日から1987年3月29日までの総販売額が英国及びアイルランド国あわせて814,926,111ポンド(約2000億円)にものぼることが示されている(甲第38号証抄訳文第4頁第12〜15行参照。同号証原文第2頁下から2行〜第3頁第1行参照)。さらに、1987年度の販売額が総額142,524,300ポンド(約280億円)にも達することが予想されている(甲第38号証抄訳文第4頁下から5行〜第5頁第1行参照。同号証原文第3頁第6〜9行参照)。
また、商標Primarkの使用開始時は、1974年4月であることも示されている(甲第38号証抄訳文第5頁第2〜4行参照。甲第38号証原文第3頁第10〜12行参照。)
上記店舗で売られている商品のほとんどにはPRIMARKの商標が付されているので(甲第38号証抄訳文第4頁第15〜20行参照。同号証原文第3頁第1〜6行参照。)、上記販売額は商標Primarkが付された商品の販売額と考えて差しつかえないものである。
また、甲第38号証には、P.B.P.2なる証拠が添付されているが、これは既に提出した甲第4号証の1と同等物である。既に提出した甲第10〜28号証及び検甲第1〜19号証から明らかなように、商標Primarkが付された商品は世界各国で製造されており、つまり世界各国においてPrimarkなる商標が商品に付され使用されており、かかる状況ゆえに、商標Primarkを世界各国で商標権によって保護する必要性が生じているのである。
また、請求人は、上述のPrimarkの名の下に営業されている店舗及び商品の宣伝広告を定期刊行物、業界新聞、ラジオ、テレビといった媒体を通じて精力的に行なっており、1974年度から1986年度までの宣伝費用は10,506,454ポンド(約21億円)にも達し、最近では一年間に1,793,907ポンド(約3.6億円)もの宣伝費が費やされていることが示されている(甲第38号証第6項参照。)
なお、数枚の広告サンプルがP.B.P.3として添付されているが、Primarkが百貨店またはスーパーマーケット型の店舗である以上、このような広告が日常的に大量に印刷され、新聞や雑誌に折り込まれて頒布されていることは想像に難くない。
また、Primark社は我が国の百貨店やスーパーマーケットと同様に買い物客に自社のマーク(Primark)が入った買い物バッグを提供しており、これは甲第38号証に添付の証拠P.B.P.4に示されている。また、同様の買い物バッグは既に提出した甲第28号証及び検甲第19号証にも示されている。かかる買い物バッグに費やされた費用は1974年度から1986年度迄で総額4,231,153ポンド(約8.5億円)にも達し、近年の1年間当たりの費用は707,481ポンド(約1.5億円)にも達することが示されている(甲第38号証抄訳文第7頁第8〜14行参照。甲第38号証原文第5頁第6〜11行参照)。かかるバッグにはPrimarkのマークが大きく示されており、消費者によって買い物時のみならず色々な目的で2次的に使用され点々流通するので、宣伝効果が大きいことは明らかである。
同様に、他の宣伝方法として、Primarkのマークは店舗の入り口に大きく表示され(甲第38号証添付証拠P.B.P.9参照)、店員はPrimarkのバッチを身に付けており(甲第38号証添付証拠P.B.P.7参照)、バスによる街頭広告も行なわれている(甲第38号証添付証拠P.B.P.11参照)。また、Primark社の取引書類には何れもPrimarkのマークが大きく表示されている(甲第38号証添付書類P.B.P.5及び6参照)。
この他、Primarkのマークは厳密な商標管理の下に使用されており(甲第38号証添付証拠P.B.P.12参照)、この管理下に実際の商品に付されている(甲第38号証添付証拠P.B.P.8及び10、既に提出の甲第10〜28号証及び検甲第1〜19号証参照)。
以上のように、甲第38号証は商標Primarkが請求人によって1974年に使用開始されて以来、アイルランド国及び英国の少なくとも2カ国における卒業規模の拡大と宣伝広告等によって周知となっていたことは明らかであり、甲第37号証の英国特許庁の異議決定によってそれが明確に認定されたものと考える。
なお、我が国での周知性については、平成4年11月24日付け審判事件弁駁書において請求人が述べたように、1981年頃に我が国の著名な商社丸紅と取引が行なわれていたという事実(既に提出の甲第4号証の3参照)や、我が国の著名な企業オムロン株式会社の宣誓書(既に提出の甲第36号証)によって示されている。
4、被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」と答弁し、その理由を次のとおり述べている。
(1)、本件商標「プリマーク」と引用商標「PRIMAL」との類似について、請求人は、「PRIMAL」は「プリマール」という称呼を生じると主張しているが、「PRIMAL」は一般的に「プリマル」という称呼を生じる。若し請求人の主張の如く「プリマール」という長音を有する称呼を生じるためには、英文字「PRIMAL」を例えば「PRIMARL」又は「PRIMAAL」と書き改めるか若しくは「マール」という称呼を発生するように英文の綴りを変更しなければならない。英文の綴りを変更すれば当然「PRIMAL」とは別の商標となる。
そこでカナ文字「プリマーク」と英文字「PRIMAL」とを比較すれば、本件商標「プリマーク」は「プリマーク」、引用商標「PRIMAL」は「プリマル」の称呼を生じることは明らかである。両者は「マーク」と「マル」の差を有するので、称呼上明確に区別できるものである。従って商標「プリマーク」と「PRIMAL」とは類似ではない。
依って本件商標「プリマーク」と引用商標「PRIMAL」とは称呼上非類似であり、商標法第4条第1項第11号に核当しない。
(2)、請求人は、引用商標「PRIMAL」(甲第1号証の1,2)が商標登録第693449号「プリマール」の連合商標として登録されているから、「PRIMAL」は「プリマール」なる称呼が優先的に生じると主張している。
しかし乍ら、商標「PRIMAL」の称呼は「プリマル」である。この称呼「プリマル」が商標登録第693449号「プリマール」と称呼類似であるから、「PRIMAL」は「プリマール」の連合商標として登録されたものである。
従って、「PRIMAL」の称呼が「プリマール」であるという請求人の主張は成り立たない。
日本における商標の称呼は、出願国日本に於て生じる称呼であり、外国に於ての称呼を基礎として判断すべきではない。英国、ドイツ国に於て「PRIMAL」なる文字が如何様に発音されて、如何様な称呼を生じるかは、英国、ドイツ国に於る出願について判断すべきであって、日本における出願に適用すべきではない。
日本において普及しているヘボン式ローマ字の発音によれば、「PRIMAL」は「プリマル」と発音されるのが自然である。
従って「PRIMAL」の称呼は「プリマル」であり、「プリマール」ではない。
(3)、音声学上より検討すれば、「PRIMALの後尾Lは万国音標文字(1)で表示される。この音標文字(1)は音声学上は側音と呼ばれ、有声、弾き音、歯茎音であり、特に(1)が後尾に存在するとき、、これを発音すれば、聴者には明瞭には聞きとりにくい弱音(t)となり、(ウ)に近い音声、「プリマウ」と聴取される(darklと呼ばれる)。請求人の主張するように「プリマール」とは聴取されない。「PRIMAL」が「プリマール」と長音を含んで発音するためには、綴字を変更追加して例えば「PRIMAAL」としなければならない。
一方「PRIMARK」の語尾(K)は万国音標文字で表示すれば、(K)である。(K)は音声学上無声の口蓋音であり、咽喉をつまらせて発音する。従って、「PRIMARK」を「プリマーク」と発音したときは、極めて強い音感を聴者に与え、「マーク」と一語一語明瞭にききとられるから、「PRIMAL」「プリマル」とは発音上明瞭に区別できる。
又請求人の主張するように、たとえ「PRIMAL」を「プリマール」と発音したと仮定しても、「プリマール」と「PRIMARK」「プリマーク」とは、前述の万国音標文字についてのべた原則(darkl)、つまり「PRIMAL」の語尾(1)と「PRIMARK」の語尾(K)と音声学上の法則により「プリマール」と「プリマーク」とは完全に区別可能であり、両者は称呼類似ではない。
尚本項は、「PRIMAL」自体の称呼に関連するもので、「PRIMAL」から何様な称呼を発生するかの、点を問題としている。「PRIMAL」が「プリマール」の連合として登録されているか否かとは何等関係のないものである。
既に被請求人の主張したように、「PRIMAL」には「プリマル」という称呼が発生するものであり、「プリマール」という称呼は生じない。
(4)、請求人関連会社の法人名称は「PRIMARK LIMITED」又は「PRIMARK HOLDINGS LIMITED」であり、「PRIMARK」ではない。「PRIMARK」は「PRIKARK LIMITED」又は「PRIMARK HOLDINGS LIMITED」の略称である。略称が商標法第4条第1項第8号に該当するためには、少なくとも法人名称が著名でなければならない。
請求人はこの著名性の立証として;
(イ)、甲第2号証に示す商標登録出願が行われたこと(甲第2号証の1〜4)
(ロ)、商標「PRIMARK」が日本国以外の外国において登録されていること(甲第4号証の1及び2)
(ハ)、特許庁内でも顕著な事実(甲第2号証の1、甲第2号証の2、甲第2号証の4、)
(ニ)、日本商社丸紅との僅かな輸入取引(甲第4号証の3)
(ホ)、被請求人と本件商標の譲渡交渉経過
等をあげているが、これらは、何等法人名称の著名性を立証するものではない。
すなわち、外国商標「PRIMARK」が日本国以外において登録されていても、日本国において著名商標であるとの証明にはならない。著名商標とは、それが表示する商品と競業関係にない非類似の商品に使用されても出所の混合を生じるような虞れあるものをいい、その判断は一般需要著にある。
外国に登録されている事実だけでは、何等著名商標であるとの証明にはならない。
請求人の商標「PRIMARK」が著名ないし周知商標であるためには、その商標が日本国内の需要者の間に広く認識され著名ないし周知でなければならない。従って請求人は商標「PRIMARK」が日本国内の需要者の間に認識され著名又は周知となるに至った事実、例えば、請求人の商標「PRIMARK」の日本国内における宣伝方法、商標の使用期間、出産、加工、証明又は譲渡の数量その他の事実を立証しなければならない。
しかるに、請求人は何等これらの立証を行っていない。
又請求人は、特許庁内でも顕著な事実の主張や日本商社丸紅より、請求人が僅かな量の衣料を輸入することをもって日本実業界においても著名な法人名称であると主張しているが、この主張は成りたたない。
又被請求人は商標プリン(商標登録第1274899号)の所有者であり、(甲第3号証の1、甲第3号証の2)、新宿歌舞伎町、中野ブロードウエイ等の繁華街に多数のブティックを経営し、第17類に属する衣料品を販売している.従って請求人より商標プリン(甲第3号証の1)の譲渡の申立があっても、これを承諾した場合には、被請求人は企業を継続することができず、壊滅となるので、使用権の設定を提示した所、請求人がこれを拒否し、交渉を決裂したものである。
被請求人は法令の許す範囲で自己所有の登録商標「プリン」の保護を計るために商標「PRIMARK」の出願手続を実施したまでであり、請求人の主張のように、「当該法人格権を損う」ことを企画したものではない。
次に法人名称の略称に関する甲第5号証の判決は「日本美容医学研究会」という名称は、それ自体活動内容が明白であるから、その団体もしくは社会的存在としての特定の必要上、法人に付する有限会社、株式会社、財団法人等の法人の区別を特に必要としないことを判断したまでのものである。
本件「PRIMARK LIMITED」又は「PRIMARK HOLDINGS LIMITED」のように営業活動を行う法人については、法人の区別を示すLIMITEDを付して法人名称とすることが社会的存在として他の法人と区別するために必要とされるものである。
要するに、本件商標は請求人の法人名の著名な略称ではないから、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(5)、「PRIMARK」は「PRIMARK LIMITED」「PRIMARK HOLDING LIMITED」の称呼であり、請求人の主張する「新日本製鉄」を「新日鉄」、「川崎製鉄」を「川鉄」という場合の態様とは異なるものである。「PRIMARK」は企業法人名自体の略称である。
略称が商標法第4条第1項第1第8号に該当するためには、「PRIMARK」は日本国内においても著名でなければならない。
請求人の提出した証拠方法、甲第4号証の1、甲第4号証の2、甲第4号証の3、甲第29号証甲第36号証、甲第30号証、検甲第1〜19号証、(甲第10〜28号証)、甲第33号証及び34号証、甲第35号証、甲第31号証、甲第32号証並びに参考資料1によっては、商標「PRIMARK」が日本国内においても、著名であることを証明していない。
(6)、商標「PRIMARK」は「PRIMARK LIMITED」の略称である。商標法第4条第1項第8号に該当するためには、商標「PRIMARK」が本件商標出願日である昭和57年4月23日現在、日本国内において、著名でなければならない。そもそも商標が日本国内において、著名乃至周知であるか否かの判断は、通常その商標について(イ)、日本国内における使用期間、(ロ)、商標を付した商品の販売量、(ハ)、商標の広告実施の具体的情況を示す事実に基づいてこれらを考慮に入れて決定されるものである。
然るに請求人の提出した証拠方法を検討するに、商標「PRIMARK」は昭和57年4月23日現在において前記(イ)、(ロ)、(ハ)項に列挙した事実を何等言正明していない。
依って本願商標「PRIMARK」は商標第4条第1項第8号に該当しない。
(7)、請求人は商標「PRIMARK」が商品、被服、寝具類等について外国に於て登録されていること(甲第4号証の2)及びこの商標が外国に於いて商品被服、寝具類に使用されていることをもって、直ちに日本において周知であると主張している。
日本国の需要者間に、一般的に衣料関係において、広く知られている商標例えば「シャネル」や「サンローラン」と同様に、商標「PRIMARK」が日本の需要者間に周知であると認定されるためには、請求人関連会社所有に係る商標が日本国内において周知であることの事実を証明しなければならない。
ところが、請求人は単に外国における登録、使用のみを立証しているだけで、周知性の事実を証明していない。
依って本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(8)、請求人は、本件商標「PRIMARK」は請求人及びその関連会社の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあると主張し、その理由として、 (イ)、請求人関連会社所有の商標「PRIMARK」は外国において被服その他繊維製品、装身具等にまで多岐に渉って登録されていること、(甲第4号証の2)(ロ)、自社の宣伝を英国及びアイルランド国の定期刊行物にのせ、これらが日本に頒布されているとの推定 (ハ)、日本商社丸紅より僅かの量の繊維製品を輸入していたこと(甲第4号証の3) (ニ)、日本において、第22類(はき物等)、第16類(繊維等)について商標PRIMARKが単に登録されていること(甲第7号証、甲第8号証)等を列記している。
これらの理由は、いずれも請求人所有に係る商標PRIMARKが、それが表示する商品と非類似の商品に使用されたときに出所の混同を生じるおそれがある程、日本において著名である事実を証明するものではない。
依って本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。
要約すれば、本件商標出願日前に「PRIMARK」が請求人の著名な略称あるいは被服等の周知、著名な商標であったかについては、請求人提出の甲第4号証ないし同第8号証によって確認することは不可能である。
(9)、請求人は、商標「PRIMARK」について世界各国で多数の商標を登録しており、このような多数の登録商標を維持するために、多額の投資が必要であることは明らかであるから、「PRIMARK」が法第4条第1項第10号、法第4条第1項第15号に該当する、と主張している。
外国に於て、多数の商標を登録して、それらの登録商標維持のために、多額の投資を実施しても、日本国に於て、商標「PRIMARK」が他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されるに至り、又は他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるものとはならない。
(10)、「PRIMARK」が商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するためには、請求人の使用に係る「PRIMARK」が日本国内においても周知又は著名でなければならない。
然るに請求人が提出した証拠方法、甲第4号証の1、甲第4号証の2、甲第4号証の3、甲第29号証、甲第10号証〜28号証(検甲第1〜19号証)、甲第30号証〜35号証等は、「PRIMARK」が日本国内においても周知又は著名であることを立証していない。
(11)、請求人は、本件商標「PRIMARK」を取得することは、被請求人の登録商標「プリン」の保護を計るために何の利益もないものである。と主張しているが、登録商標の保護のための利益の有無については、出願人である被請求人の判断によるもので、第三者の判断に左右されるものではない。
何人も、自己の判断に基づいて法令の規定に従い、商標登録出願手続を行うことが許されている。
(12)、請求人が提出した甲第37号証、甲第38号証は、PRIMARK STORES LIMITEDが商標PRIMICIAに関する英国商標出願第1207618号に対して異議申立を行った事件の異議決定書及び前記異議申立の際に英国特許庁に提出した宣言書である。
前記第37号証、第38号証は、商標「PRIMARK」はアイルランド国及び英国の少なくとも2国において、周知であることを証明するにすぎず、日本国で周知であることを何等証明するものではない。
又既に請求人の提出した甲第4号証3、甲第36号証によっても、商標PRIMARKが日本国においても周知であることを何等証明するものではない。
依って本件商標は商標法第4条第1項第8号、第10号、第11号または第15号に該当し、無効とされるべきであるとの請求人の主張は成り立たない。
(13)、請求人は商標「PRIMARK」が本件商標出願日である昭和57年4月23日現在、日本国内においても周知乃至著名であるとしてこれらに関する証拠を提出して、周知乃至著名であることを証明しようとしているが、請求人の今までに提出した証拠方法によっては、商標「PRIMARK」が日本国内においても、周知であり、著名であることを証明しているものと認定するに足る事実を提示していない。すなわち、商標「PRIMARK」が日本国内において周知、著名であるか否かの判断の基準となるべき、(イ)、第17類の指定商品についての「PRIMARK」商標の日本国内における使用期間 (ロ)、商標を付した商品の販売量(ハ)、広告実施の具体的情況等を示す事実を立証していない。
依って本願商標は商標法第4条第1項第10号及び同第15号には該当しない。
又請求人は「商標法第4条第1項第10号及び同第15号は、同法32条第1項、同法第33条第1項及び同法第60条第1項の規定ぶりと異なり、周知著名性について『日本国内において…商標の使用した結果』という文言を欠いており、もとより日本国内における商標の使用を要件としていない。」と主張している。
各条文に規定するところは、法理と判例等に基づいて解釈すべきものであり、単に法文の文字通りに解釈すべきではない。周知性の解釈については、国内に於て周知でなければならない。外国で使用されたため外国で周知となっても、我が国の需要者、取引者間において広く知られていなければ、わが国の商標上周知商標として保護せられないことはもとよりであるという趣旨の判決がなされている。(大判大正3年5月12日大正2年(オ)513民録20輯382頁)
5、よって按ずるに、本件商標は、「プリマーク」の片仮名文字よりなるものであるが、該商標の欧文字表示と認められる「PRIMARK」より成る商標(以下「請求人商標」という。)が、本件商標出願前よりアイルランド国及び英国において、商品「被服、布製身回品」に永年使用され周知著名である事実を請求人提出の甲各号証及び検甲各号証により認め得るものである。
そして、請求人商標は、我が国においても、第16類、第22類において登録(登録第1883127号及び登録第1464628号)されており、両商標の登録出願日はそれぞれ、昭和52年10月27日であって、本件商標の登録出願日(昭和57年4月23日)より5年半も前である。
また、請求人は、請求人商標を本件商標と同じ第17類に、昭和52年10月27日付で登録出願(これは、請求人が請求人商標を、第16類、第22類に出願した日と同日である。)したところ、被請求人を商標権者とする登録第1274899号商標外を引用されて拒絶理由通知書を発せられたので、請求人は、該引用商標の譲渡交渉を開始したが、その譲渡交渉は不調に終わった。
しかるところ、被請求人はその譲渡交渉中に請求人の承諾なしに、本件商標である「プリマーク」の商標及び、その欧文字表示に該当する「PRIMARK」(登録第2288554号商標)の商標を出願し、その登録を得たことは、甲第2号証の1〜4及び甲第6号証の1〜3により知り得る事実であり、このような行為は国際信義上好ましくない行為であるといわざるを得ない。
しかして、上記事実によれば、被請求人は本件商標出願前に請求人商標の存在を熟知していたものと認め得るものである。
さらに、甲第4号証の3によれば、本件商標出願前に、請求人と日本の商社「丸紅」との間に商品「被服、その他の繊維製品」について商取引があった事実がある。
そこで、請求人提出の甲各号証及び検甲各号証並びに上記事実を総合勘案するに、請求人商標は本件商標出願前より我が国において、「被服、布製身回品」を取り扱う業者間においては、既に広く知られていたものとみるのが相当である。
また、請求人が、請求人商標を付して販売している商品「被服、布製身回品」は、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品であると認められるものである。
そして、本件商標は、請求人商標の字音表示であること明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違背して登録されたものといわざるを得ず、請求人のその余の主張について論及するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1997-02-21 
結審通知日 1997-03-04 
審決日 1997-03-14 
出願番号 商願昭57-34360 
審決分類 T 1 11・ 25- Z (117)
最終処分 成立 
前審関与審査官 川津 義人小松 英世 
特許庁審判長 川崎 義晴
特許庁審判官 江崎 静雄
山口 烈
登録日 1990-12-26 
登録番号 商標登録第2288555号(T2288555) 
商標の称呼 1=プリマーク 2=プリ 
代理人 三宅 正夫 
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