• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 125
管理番号 1041959 
審判番号 審判1997-17818 
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1997-10-17 
確定日 2001-06-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第1015861号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1015861号商標の登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1015861商標(以下、「本件商標」という。)は、「HERTZ」と「ハーツ」の文字を2段に横書きしてなり、昭和46年4月7日登録出願、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、同48年6月1日に設定登録され、その後2回に亘り、商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
(1)本件商標について請求人が調査したところ、本件商標はその登録に係る指定商品について、被請求人もしくは被請求人により使用許諾を受けた使用権者によって、過去3ヶ年の間に、日本国内において使用された事実を認めることができない。よって、本件商標は、商標法第50条の規定に該当し、その登録に係る指定商品中の上述の商品について登録を取消されるべきである。
(2)被請求人は、株式会社日本ハーツ(以下、単に「日本ハーツ」という。)なる会社が本件商標の通常使用権者であると主張しているが、この事実を示す資料、証拠などは無く、従って、仮に、同社が本件商標を使用していたとしても、この使用が本件商標の使用権者によって行われたものであるかどうか不明である。
被請求人提出の乙第1号証の1〜4には「ハーツ宣材:プラチナボールペン」「ハーツ宣材:書類ホルダー」などの記載があるが、「ハーツ宣材」とは具体的には何のことか不明であり、従って、これらの証拠物件を以てしては、少なくとも、本件商標が「プラチナボールペン」若しくは「書類ホルダー」なる商品に使用されていたかどうかは特定できない。
また、仮に、「ハーツ宣材:プラチナボールペン」が乙第2号証の上方の写真に示されたもの、「ハーツ宣材:書類ホルダー」が乙第2号証の下方の写真に示されたものであると主張するのであれば、この主張は乙第2号証と前記の乙第1〜4との関連を裏付ける資料の提出若しくは立証が全く無いという事実に徴し、極めて信憑し難い。
乙第2号証の写真に示されている各商品にはその出所(製造業者、取扱業者など)の表示が無く、他にこれが被請求人の主張する日本ハーツの商品であることを示す資料、証拠も無いので、これが同社のものであるかどうかは全く不明である。乙第2号証の下方の写真に示されている商品は「ゼムクリップ」であって、乙第1号証の1〜4記載の「書類ホルダー」では無い。
乙第2号証の写真の台紙には「撮影者加藤智子」とあり捺印もあるが、写真と台紙間には同人の割印の押捺が無く、従って、この写真は撮影著が不明ということになり、証拠能力に欠けるものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第5号証(枝番4号を含む。)を提出している。
(1)本件商標は、指定商品中文房具類、特にボールポイントペン、書類ホルダー(クリップ)に、本件審判請求の登録前3年間に、本件商標の通常使用権者である日本ハーツによって使用されていた。その事実は、本書と共に提出する乙第1号証及び同第2号証によって立証される。
請求人は、日本ハーツが本件商標の通常使用権者であることについて争っているので、この点について立証する。
日本ハーツは、本件商標権者である被請求人ハーツシステムインコーポレーテツドの親会社であるハーツインターナシヨナルリミテツドとマツダ株式会社との合弁事業として1990年(平成2年)設立された会社であって自動車のレンタルの事業を商標「HERTZ/ハーツ」を用いて日本で行うことをその目的としている。
この事実は、本書に添付して提出する乙第3号証(合弁契約書、フランチャイズ契約書)、同第4号証(パンフレットHertz)及び同第5号証(封筒によって立証される。
請求人は、乙第1号証のないし4の記載内容は不明であるという。しかし、その成立を争っていないので、成立自体は認めたものということができる。
「ハーツ宣材」は文字通り、これに続いて記載されているプラチナボールペン(ボールポイントペン)及び書類ホルダーを総称した表現であって、事業の宣伝用材を意味する。その商品がそれぞれ具体的に如何なる商品であるかについては、乙第2号証の写真に示すとおりである。これらの商品はフランチャイジー(例、南九州レンタリース株式会社・・・乙第1号証の1)が顧客にサービス品として頒布するものであるが、日本ハーツ(通常使用権者)との関係においては、売買取引契約の下に商品の受渡し(譲渡)が行われている。
従って、本件商標がその指定商品(ボールポイントペン、書類ホルダー等)に使用されていることは、乙第1号証及び乙第2号証によって立証されている。乙第2号証の写真に示されている商品ボールポイントペン及び書類ホルダー(クリップ)は、その証拠説明に記載したとおり、日本ハーツから当代理人あて、乙第1号証に記載されている商品であるとして請求書(報告書)(乙第1号証)と共に送付されてきたものである。
従って、これら商品の現実の製造者が誰であろうと、本件商標の通常使用権者である日本ハーツが、「譲渡」する商品であることは乙第1号証によって証明されている。
また乙第2号証の写真は、当代理人事務所所員である写真撮影者が当代理人の指示に基づいて、当代理人事務所において、当代理人あてに送られて来た上記商品を撮影したものである。
請求人は写真と台紙との間に撮影者の割印のないことを理由に証拠能力に欠けると主張しているが、割印は必須の要件ではないので、この点についての請求人の主張は論拠がない。
更に請求人は、写真下段に示される商品はゼムクリップであって、書類ホルダーでないと主張する。しかし写真下段に示される商品は関係書類を一括してクリップする(綴じる)ために用いるものであるから、高級感をもたせるために書類ホルダーと称することは何ら差し支えなく、本件通常使用権者が、写真下段の商品を書類ホルダーと自ら称して譲渡することに矛盾はない。商標の使用とは「商品又は商品の包装に商標を付したものを譲渡し、引き渡し、…する行為」をいう(商標法第2条第3項)。
従って本件商標権者の上記した行為は本件商標の使用に該当する。

4 当審の判断
被請求人が提出した乙第1号証及び乙第2号証(枝番号を含む。)によれば、日本ハーツが、商品「ボールポイントペン」及び「クリップ(書類ホルダー)」に「Hertz」の文字を付して、そのフランチャイジーである南九州レンタリース株式会社等に販売したものと認められる。
しかしながら、該商品は、日本ハーツ並びにフランチャイジーである南九州レンタリース株式会社等が実施しているレンタカーリースによる売上げ促進のための宣伝サービス用品であって、しかも、これを購入できるものはフランチャイジーに限定されると推認できるところである。そして、フランチャイジーは、自己の営業の目的であるレンタカーリースの利用促進のための宣伝サービス用品として、顧客に無償配布するものと認められる。
そうとすれば、これを入手する者が限定されており、取引の流通過程におかれていたとは言い難いものであるから、それ自体が独立の商取引の対象物たる商品ではなく、カーリースの単なる広告媒体にすぎないものであり、商標法上の商品とは認められない。
なお、販売促進のための宣伝サービス用品に使用した商標に関し判示した東京高裁平成元年(行ケ)第139号(平成元年11月7日言渡し)がある。
してみれば、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を総合勘案するも、本件商標が継続して3年以上日本国内において通常使用権者によって、その指定商品について使用されていたものとは認めることができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-03-13 
結審通知日 2000-03-24 
審決日 2000-04-12 
出願番号 商願昭46-34755 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (125)
最終処分 成立  
特許庁審判長 佐藤 敏樹
特許庁審判官 板垣 健輔
上村 勉
登録日 1973-06-01 
登録番号 商標登録第1015861号(T1015861) 
商標の称呼 ハーツ、ヘルツ 
代理人 木村 三朗 
代理人 佐々木 宗治 
代理人 杉山 泰三 
代理人 小林 久夫 
代理人 大村 昇 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ