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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z0928 |
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管理番号 | 1041899 |
審判番号 | 審判1999-21047 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-12-24 |
確定日 | 2001-06-13 |
事件の表示 | 平成10年商標登録願第102872号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、商標の構成を別掲に示すものとし、第9類「自動販売機,液晶表示器」及び第28類「おもちゃ」を指定商品として、平成10年11月30日に立体商標として登録出願されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、「本願商標は、その指定商品中「液晶表示器,おもちゃ」との関係においては、その商品若しくは商品の液晶表示部分の表装の一形態を表したものと容易に認識される立体形状を表す3面の俯瞰写真よりなるものであるから、多少の意匠が施されてなるとしても、指定商品の形状の一形態を認識させるに止まるものであり、これを本件の表装に照応する商品に使用しても、単にその商品の形状、表装を表すものとして直観し認識されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たすことができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入した。 立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状を含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。 そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。 また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用をする必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。 そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。 立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。 (2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲に示した構成のとおり、漫画チックな形状の両目と口を有し、両手をあげて喜んでいるかのようにみえる人形の上半身の形態を表してなり、その胸部のほぼ一杯に、内部にモノトーンのドット模様を有する黒色横長長方形図形を配してなるものであるところ、その構成中の横長長方形図形内に表されたドット模様は、液晶表示器の表示部分であるピクセル(画素)の配列を容易に看取させるものであるから、これを本願指定商品中の「液晶表示器」及び「おもちゃ」に使用したときには、それぞれ、上記の人形の形状をした液晶表示器、或いは液晶表示器付きの人形型おもちゃを表したもの、すなわち、指定商品の形状の一形態を表したものであって、取引者、需要者は、単に商品の形状を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。 (3)請求人は、「本願商標のような簡素化された愛嬌ある人形グッズは、いまだかつて液晶表示器の形状や表装に採用された事実はなく、ましてやこのような特殊な形態は、液晶表示器の機能とは全く無関係であるから、本願商標は商品の機能に付随し液晶の表示装置部位等に賦されてその商品の形状自体として容易に推認できる意匠構成からなる立体的形状からなるものではない。」旨主張する。 しかしながら、本願商標に係る液晶表示器、或いはおもちゃの形状が他社の製品のものとは異なる新規な形状を示してはいても、それは専ら、商品の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであることは前記(1)で述べたとおりであり、それをもって直ちに本願商標に関し自他商品の識別性に影響を与えるものとは認め難く、これに接する取引者、需要者もまた、液晶表示器、或いはおもちゃの形状の範囲のものと認識するにすぎないというべきであって、結局、本願商標は、液晶表示器、或いはおもちゃの形状を表示したものであると認識されるに止まるものといわなければならない。 請求人は、本願商標は、その特異な形状から「にこにこ人形」というべき立体商標として十分に自他商品識別力を有するものであるから、不二家の「ペコチャン人形」やケンタッキー・フライドチキンの「カーネル・サンダース人形」と同様に登録されるべきである旨主張する。 しかしながら、請求人の主張する2件は、登録第4157614号商標及び登録4153602号商標と考えられるところ、これらの2件の登録商標は、何れも、商標を構成する立体形状と何ら関連性のない指定商品について登録されたものであって、本件とは事案を異にするものである。 したがって、請求人の前記主張は採用することはできない。 4 結論 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
本願商標 |
審理終結日 | 2001-03-27 |
結審通知日 | 2001-04-06 |
審決日 | 2001-04-19 |
出願番号 | 商願平10-102872 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Z0928)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 八木橋 正雄 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
小林 由美子 宮川 久成 |
代理人 | 山口 巖 |