ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z16 |
---|---|
管理番号 | 1039810 |
審判番号 | 審判1999-780 |
総通号数 | 19 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-01-07 |
確定日 | 2001-01-30 |
事件の表示 | 平成 9年商標登録願第130511号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲した構成からなり、第16類「写真アルバム」を指定商品とし、平成9年6月23日に立体商標として登録出願されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、『本願商標は、指定商品であるところの「写真アルバム」との関係からみると、該商品の一形態を認識させる立体的形状からなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品そのものの形状を普通に用いられる方法をもって表示してなるにすぎないものと認める。したがって、商標法第3条第1項第3号に該当する。」と認定、判断して、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1) 平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的に表された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入し、その中には商品若しくはその包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含まれるとしても、商品等の形状は、それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであって、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。 そして、この商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品・役務を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないというのが相当である。 また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。 そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係ない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。 立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。 (2) これを本願についてみれば、本願商標は、その構成から明らかなように、2枚の表紙の間に台紙を挟み込み、2本のストラップで綴じてなる帳簿状のものを表示してなるものである。 しかして、これを指定商品「写真アルバム」との関係において観察すれば、いずれもその商品・写真アルバムの機能を果たすため、すなわち、2本のストラップで綴じられた表紙及び台紙からなり、その中の台紙に写真を貼り付けるなどにより、写真を整理・保管するためにのみ採択された形状を表してなるものと認められる。 してみれば、本願商標を指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に、指定商品「写真アルバム」自体と認識するに止まるといわざるを得ない。 したがって、本願商標は、その指定商品の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというべきである。 (3) (イ)請求人は、本願商標に係る前示の形状中、ストラップが特徴的で、他のアルバムには採用されていないため、識別性を有する旨主張するが、その特徴は当該商品の機能を果たすため、すなわち、アルバムの台紙を綴じ込むためのものであって、アルバムの一部分を形成しているに過ぎない上に、アルバムが請求人主張の背表紙に熱で固着したもの、リベット、リング、スパイラル又は紐で綴じたものに限られているとは認められず、そして、全体としては、指定商品の形状と認識されることは前示認定のとおりである。 したがって、請求人の主張は採用することができない。 なお、立体的形状からなる商標であっても、商品又はその包装の形状をもって構成されるものについては、本来的又は直接的には他の知的財産制度で保護されるものであることなど、平面的な商標とは明らかに異なるものであるため、商標法においては、立体商標制度導入に当たって、商標法第4条第1項第18号等が設けられ、前掲工業所有権審議会答申でも、「・・・指定商品やその容器の形状そのものの場合には不登録とする運用を厳しくすること・・・」としている(前掲答申P31参照)。 (ロ)請求人は、本願商標について商標法第3条第2項の適用を主張し、甲第1号証ないし同第21号証を提出している。 しかしながら、提出に係るパンフレットには本願商標と同一の写真アルバムが見当たらないばかりでなく、いずれも英語のものであって、我が国で広く頒布されたものとは認め難い。したがって、その他の使用状況について認定するまでもなく、本願商標が商標法第3条第2項の要件を満たすものと認定することは困難というべきである。 4 結論 以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、正当であって取り消す限りでない。 よって結論のとおり審決する。 |
別掲 |
本願商標 |
審理終結日 | 2000-08-22 |
結審通知日 | 2000-09-01 |
審決日 | 2000-09-13 |
出願番号 | 商願平9-130511 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Z16)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 土屋 良弘、泉田 智宏 |
特許庁審判長 |
工藤 莞司 |
特許庁審判官 |
宮川 久成 久保田 正文 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 渡邊 隆 |