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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Z16
管理番号 1038200 
異議申立番号 異議2000-90464 
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-08 
確定日 2001-03-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第4354070号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4354070号商標の商標登録を維持する。
理由 1.本件商標
本件登録第4354070号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年6月21日に登録出願され、別記(1)に示すとおりの構成よりなり、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年1月21日に設定登録されたものである。

2.登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の異議理由
本件商標は、平成9年2月14日に登録出願され、別記(2)に示すとおりの構成よりなり、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年8月6日に設定登録されている登録第4303343号商標(以下、「引用商標」という。)と類似するものであり、かつ、両者の指定商品は抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 当審の取消理由
当審では、申立人の異議理由に基づき、商標権者に対し、「本件に係る商標は、申立人の引用する登録第4303343号商標(以下、「引用商標」という。)と同一又は類似であって、その指定商品も同一又は類似の商品のものである。
したがって、指定商品中、第16類『紙製包装用容器,紙製ブラインド,印刷物,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機』については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから取り消すべきものとする。」旨の取消理由を通知した。

4 当審の取消理由に対する商標権者の意見
(1)本件商標は、次に述べるような事情により、日本電信電話株式会社名義で登録を受けているものであり、もっぱら、西日本電信電話株式会社が使用するものであるから、本件商標に接する取引者又は需要者は、その使用者との関係から、「NTT/WEST」の文字部分が漢文名社名の略称を表すものと認識するのが普通であり、その構成中の下段の「WEST」の文字部分のみが分離して観察されるとか、この部分から生ずる「ウエスト」の称呼によって取引に当たられるということは考えられず、文字部分を一体と見て、「エヌティティウエスト」と一連に称呼されるものである。「NTT WEST」とか「NTT EAST」が日本電信電話株式会社分割後の西日本電信電話株式会社とか東日本電信電話株式会社を表すものであるということは、既に周知されている状態にあり、本件商標のような「NTT」「WEST」を2段に表したものであっても、図形(ダイナミックループと称している。)と共に、まとまりよく構成されているものであるから、これが「NTT」と「WEST」に分離観察されるということにはならない。これを社標として使用する場合も、指定商品の商標として使用するときも、これが一体としてみられることに変わりがあるものとは思えない。
したがって、本件商標が単に「ウエスト」とのみ称呼、観念されることはないので、「ウエスト」と称呼、観念される引用商標とは、外観、称呼及び観念上類似するものではない。
(2)本件商標は、もっぱら、西日本電信電話株式会社が使用するものとして採択したものであり、西日本電信電話株式会社の社標的な位置付けにある標章からなる。本件商標権者は、純然たる持株会社であり、本件商標権者が本件商標をその事業について使用することはない。西日本電信電話株式会社における商標としての採択と使用については、マニュアル(乙第1号証)に示すとおりである。文字部分を2段にではなく「NTT WEST」と表したものも使用している。
(3)これを西日本電信電話株式会社名義の出願とすると、日本電信電話株式会社の登録商標との類似関係で登録を受けられないことになるため、日本電信電話株式会社を出願人としているものである。本件商標の商標権者である日本電信電話株式会社は、西日本電信電話株式会社の発行済株式の総数を保有する持株会社である(日本電信電話株式会社等に関する法律 昭和59年法律第85号 第1条及び第5等参照)。
実質的に支配している子会社の業務についての商標を親会社の名で取得することは、解釈上、一般的に認められていることであり、持株会社の場合にも同じである。
(4)日本電信電話株式会社は、従来から、いわゆるNTTグループの中心として、本件商標にみられる図形(ダイナミックループと称している。)及び「NTT」の文字(ロゴ)の組み合わせからなる商標の登録を受け、自社が使用していたほか、子会社あるいは関連会社に使用許諾する形式での全体的な商標管理を行ってきた。子会社、関連会社の使用する商標がけり合いで登録を受けられないため、親会社(分割後は、持株会社)である日本電信電話株式会社名義で出願し、登録を受けて、その保護を図ってきたもので、分割により、業務を東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社に引き継がせた後も、この商標管理の方法は同じようにしている。
(5)なお、商標登録異議理由には、審決例等を挙げ、本件商標の構成中の「WEST」が、ペットマークとして認識されることがあるかのように主張しているが、前記のような事情にある本件商標にあっては、「WEST」の部分が要部であるかのように把握、認識されるということにならないことは明かなところであり、挙げられる審決例等とは事案を異にする。
もともと、「WEST」は造語でもなく、特にわが国では、地域的な東西による分け方が比較的多く、「西日本○○○」のような表示は、ありふれて使用され、「WEST○○○」「○○○WEST」のように表示されることでもなじまれているので、本件商標の文字部分がそのような部類のものであると認識されることになることは疑いないところである。また、引用商標が周知のものとも思えないので、このような通常の認識を超えて(外れて)、「WEST」のみが特に識別標識として機能することにはならないことは明かである。
(6)したがって、本件商標は、引用商標と類似するものではなく、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(7)本件商標権者は、上記(1)〜(6)において本件商標と引用商標とが類似しないということを主張立証したが、さらに、理由を補足する。
(イ)本件商標に接する者は、その構成中の「NTT/WEST」の文字が、西日本電信電話株式会社を表す略号的なものと把握し、「エヌテイテイウエスト」のように称呼するのが普通である。
(a)日本電信電話株式会社は、東日本電信電話株式会社と西日本電信電話株式会社に分割され、持株会社としての(現)日本電信電話株式会社とによって、郵政大臣の監督の下に電気通信役務の提供を行つていくこととされたものである。このことは、平成9年6月20日公布の法律第98号(乙第2号証)による日本電信電話株式会社等に関する法律の改正により実現しているものであるが、東日本と西日本に分割することはその数年も前から国会等においても議論され、広く報道されてきたものであり、したがって、いわば、全国民的規模で知られている事実である。そして、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社又は、略称的なNTT東日本、NTT西日本のような名で、電話等の契約、料金請求、領収証の発行あるいは広告宣伝を行っており、それぞれの管轄地域の個人の家庭を始め事業所等のほとんどすべてが顧客であるから、その浸透度は極めて高いものである。言い換えれば、知らない者はいないという状態といえるものである。かかる状況であるから、本件商標のような構成のものであっても、これに接する取引者又は需要者・利用者は、「NTT/WEST」の部分に着目し、この商標が西日本電信電話株式会社の取扱に係る商品とか役務を表すものと容易に認識することは明らかなところである。
(b)引用商標の構成中の「WEST」は、造語でもなく、周知とも思えないことと、本件商標をもっぱら西日本電信電話株式会社が使用するものであるところから、本件商標の構成中の「NTT/WEST」を一体とみることとなることは、さきにも述べたとおりであり、「WEST」部分が本件商標の要部とみられることはない。
なお、本件商標を西日本電信電話株式会社以外の者が使用すれば、西日本電信電話株式会社の取り扱いに係る商品とか役務を表すものと認識されるような性質のものであり、日本電信電話株式会社は勿論、他の関連会社が使用するということもない。
その辺の事情は、乙第1号証として提出した西日本電信電話株式会社の商標マニュアル等で説明するとおりである。
(c)本件商標は、現在のところ、企業広告宣伝の一助ともなっている企業スポーツのユニホームなどに表示して使用しているが(乙第3号証)、順次、商品、役務の商標としての使用を広げていくつもりである。
(ロ)本件商標と同じ態様の商標を他の類にも出願しているが、乙第4号証の1乃至第7号証の2の如く、「ウエスト」「WEST」又はこれらを含む先願登録商標とは類似しないものとして、登録されている。

3.当審の判断
よって判断するに、本件商標の権利者である「日本電信電話株式会社」が「日本電信電話株式会社等に関する法律」(平成9年6月20日公布の法律第98号)によって、「東日本電信電話株式会社」と「西日本電信電話株式会社」に分割され、前者が「NTT東日本」、後者が「NTT西日本」と略称されていることは、需要者間に広く知られているところである。そして、本件商標は、別掲(1)に表示したとおり図形の下に「NTT」「WEST」の欧文字を二段に表してなるものであるが、該図形は商標権者が自己の役務に使用するものとして著名であり、かつ、上述の如き「東日本電信電話株式会社」が「NTT東日本」と略称され、また、「西日本電信電話株式会社」が「NTT西日本」と略称されて周知であることを併せ考えれば、本件商標中の「NTT」「WEST」の文字部分は、容易に本件商標権者と密接な関係を有する「西日本電信電話株式会社」の略称である「NTT西日本」を欧文字で表したものと看取されるものである
そうとすれば、申立人が主張する如く、需要者が本件商標中の「WEST」の文字部分を捉え、これを「ウエスト」(西、西部)とのみ称呼、観念することはあり得ないとみるのが相当である。
してみれば、本件商標より「ウエスト」の称呼も生ずるものとして、その上で、本件商標と引用商標とが「ウエスト」の称呼において類似するという申立人の主張には理由がないものといえる。
さらに、本件商標の「NTT」「WEST」の文字部分よりは、「NTT西日本(西日本電信電話株式会社)」を観念させるものであるのに対して、引用商標は単に「西」の観念を生じさせるものであるから、両商標は観念において類似するものではなく、また、それぞれの構成よりみて、両商標は外観上も明らかに相違するものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれにおいても相違する商標と認められるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでない。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 (1)本件商標

(注、色彩については原本を参照されたい。)
(2)引用商標(登録第4303343号商標)

異議決定日 2001-03-07 
出願番号 商願平11-54206 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (Z16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 為谷 博
小池 隆
登録日 2000-01-21 
登録番号 商標登録第4354070号(T4354070) 
権利者 日本電信電話株式会社
商標の称呼 エヌテイテイウエスト、エヌティーティーウエスト、エヌテイテイ、エヌティーティー、ウエスト 
代理人 加藤 義明 
代理人 石川 義雄 
代理人 鈴江 武彦 

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