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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項12号他人の登録防護標章 無効としない 037 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 037 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない 037 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない 037 |
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管理番号 | 1037925 |
審判番号 | 審判1999-35785 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-06-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-12-24 |
確定日 | 2001-04-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3370001号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第3370001号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月30日に登録出願、第37類「建築一式工事,土木一式工事,大工工事,とび・土工工事」を指定役務として、同10年8月14日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張の要点 1 請求の趣旨 「本件商標の登録は、無効とすべきものとする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決。 2 請求の理由 (1) 請求人の引用商標 請求人所有に係る登録第248571号商標(以下、「引用1商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、第1類「化学品、薬剤及医療補助品」を指定商品として、昭和8年4月22日に登録出願、同8年11月16日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録が昭和28年3月26日、同49年5月27日、同58年12月21日及び平成5年10月28日にされ、現に有効に存続しているものである。 同じく登録第647377号商標(以下、「引用2商標」という。)は、「SANKYO」の文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、昭和35年3月16日に登録出願、同39年7月13日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録が昭和59年9月17日及び平成6年9月29日にされ、現に有効に存続しているものである。 同じく登録第647378号商標(以下、「引用3商標」という。)は、「三共」の文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、昭和35年3月16日に登録出願、同39年7月13日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録が昭和59年9月17日及び平成6年9月29日にされ、現に有効に存続しているものである(以下、まとめて「引用商標」という。)。 (2) 請求人は、同人の提出に係る、平成9年4月5日、株式会社ぎょうせい第21版発行の「日本会社録」、請求人により発行された「三共株式会社定款」及び「会社案内」の各記載に徴し、請求人会社は、明治32年三共商店創業、同40年三共合資会社に改組改称、大正2年3月1日株式会社に改組し、平成10年3月現在、資本金552億円、従業員数6,807名、年間売上高4,600億円を示し、株式も東京、大阪、名古屋の各証券取引所第1部上場、札幌、新潟、福岡の各証券取引所にも上場し、全国的に多数の支社、営業所、出張所及び工場を有するほか、海外の多数の有数企業と技術提携をしているところの、我国有数の製薬を主業務とする一流大企業であることは、特許庁においても顕著なる事実であると確信をするところである。 (3) 請求人の提出に係る、昭和34年1月15日、商標研究会編修・発行の「日本商標大事典」、同47年9月5日、商標研究会編集・発行の「新版日本有名商標録」、同51年9月27日、商標調査会編集・発行の「日本商標名鑑」、同55年12月20日、同上「日本商標名鑑’80」、同59年10月20日、同上「日本商標名鑑’84」、同63年6月20日、同上「日本商標名鑑’88」、平成3年9月21日、同上「日本商標名鑑’91」、同6年11月20日、同上「日本商標名鑑’94」及び同9年10月1日、同上「日本商標名鑑’97」及び1970年及び1998年社団法人日本国際工業所有権保護協会(AIPPI・JAPAN)発行の「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN日本有名商標集」の各記載に徴するも、請求人の所有に係る上記各登録商標が、請求人の業務に係る商品「薬剤」等を表示するためのものとして、取引者及び需要者の間において、古くより広く認識されているものであることが明らかなところである。 (4) 本件商標は、その構成、上述の通り、幾何図形と「SUNKYO」及び「CONSTRUCTION」のローマ字より成るところ、該幾何図形部分からは、何ら特定の称呼及び観念を生ずることがなく、また、やや小さく表した「CONSTRUCTION」の文字は、「建築、建設」等の意味を有する英語であって、本件商標の指定役務を端的に表示したにすぎない部分であって、自他役務を識別するための識別力を有しない部分であるといわなければならず、本件商標における自他役務を識別するための機能を発揮する最も重要な部分、所謂、商標の要部は、商標の中央に顕著に表された「SUNKYO」の文字部分にあるというを相当とするところであるから、これより単に「サンキョウ」のみの称呼を生ずる場合も決して少なくないものといわなければならないところである。 (5) 一方、請求人の所有に係る、引用商標は、それぞれの構成上、これらよりは、いずれも「サンキョウ」(三共)の称呼及び観念を生ずるものであること明らかなところであるばかりでなく、請求人の業務に係る商品を表示するためのものとして、極めて周知、著名なものであるから、称呼において同一の本件商標を、その指定役務について使用をするときは、その役務が、請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、これらに接する取引者及び需要者をして、その出所につき、誤認、混同を生じさせるおそれの充分にある商標であるといわなければならないところである。 (6) 請求人の名称は、「三共株式会社」であるところ、「株式会社」は法人の種類を表示する部分であって、自他名称を識別するための主たる重要な部分は、「三共」の文字部分にあり、これが、請求人の名称を表示するための実質的な部分であって、請求人は、「三共」(サンキョウ)とのみ略称されて、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識され、著名なものであることは、特許庁においても、顕著なる事実であると確信するところである。 一方、本件商標は、請求人の名称の実質的な部分の略称として著名な「サンキョウ」と同一称呼を生ずる「SUNKYO」の文字を、商標中央部に顕著に含んでいるのにも拘わらず、本件商標は、その登録について、請求人の承諾を得ている事実はないものである。 (7) 請求人の上記主張理由の正当性を立証すべく、著名商標(名称)を保護するべき旨の判決例を次に挙げて、請求人は、これを自己の主張理由に、有利に援用をすることとする。 (a) 平成4年(ワ)第22500号(平成5年9月24日判決言渡) (b) 平成4年(ワ)第906号(平成4年10月29日判決) (c) 昭和53年(行ケ)第126号(昭和55年2月19日判決) (d) 昭和63年(ネ)第1527号(平成2年1月25日判決) (e) 平成2年(ワ)第5143号(平成3年10月30日判決) (f) 昭和38年(ワ)第1415号(昭和41年8月30日判決) (8) 請求人の提出に係る、商標登録原簿謄本及び商標公報の記載に徴すれば、請求人の所有に係る引用1商標を原商標登録とする防護標章が、第35類、第39類、第41類、第36類、第38類、第40類、第42類及び第37類の各役務を指定役務として、それぞれ登録されている事実がある。 ということは、請求人は、製薬業務を主とする多角経営の法人会社であって、該登録商標を上記の各類の役務について、第三者が使用をするときは、その役務が、請求人の業務若しくは取り扱いに係る役務であるかの如く、その役務の出所につき、誤認、混同を生じさせるおそれが充分にあるということを、特許庁が認めたことの証左に外ならないところである。 更には、本件商標は、請求人の所有に係る引用1商標の防護標章登録第38号と、「サンキョウ」の称呼を同一とした商標であり、両者は、実質的に同一商標であって、請求人の防護標章登録に係る指定役務について使用をするものであるといわざるを得ないところである。 (9) そして、その具体的な改正内容としては、次のようになっている。 商標法第4条第1項第10号について (a) 本号でいう「需要者の間に広く認識された」他人の未登録商標と他の文字又は図形等とを結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その未登録商標と類似するものとする。 (b) 本号でいう「需要者の間に広く認識されている商標」の認定に当たっては、防護標章登録を受けている商標又は審決若しくは判決で需要者の間に広く認識された商標と認定された商標については、その登録又は認定に従い需要者の間に広く認識された商標と推認して取り扱うものとする。 (10)商標法第4条第1項第15号について (a) 他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとする。 (b) 著名性の認定に当たっては、防護標章登録を受けている商標又は審決若しくは判決で需要者の間に広く認識された商標と認定された商標については、その登録又は認定に従い需要者の間に広く認識された商標と推認して取り扱うものとする。 (11)請求人の所有に係る引用1商標、引用2商標及び引用3商標は、いずれも第37類において、登録第248571号商標の防護標章登録第38号、登録第647377号商標の防護標章登録第26号及び登録第647378号商標の防護標章登録第31号として、防護標章登録がなされており、また、特許庁ホームページに「日本国周知・著名商標検索」として掲載されているばかりでなく、「日本有名商標集」にも掲載されていることを、総合勘案するとき、請求人の所有に係る各登録商標が、著名商標であることに疑いの余地はないところである。 (12) してみれば、本件商標は、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている、請求人の所有に係る、上記各登録商標と称呼において、彼此相紛らわしい商標であるといわなければならないので、これをその指定役務について使用をするときには、その役務が請求人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る業務であるかの如く、その出所について、取引者及び需要者をして、誤認、混同を生じさせるおそれの充分にある商標であるばかりでなく、請求人の所有に係る防護標章登録と実質的に同一の商標であって、同一の指定役務について使用をするものであり、かつ、請求人の名称の著名な略称を含んでいる商標であるのにも拘わらず、その登録について、請求人の承諾を得ていないものであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同法第4条第1項第10号、同法第4条第1項第12号及び同法第4条第1項第15号の各規定に違反して登録されたものである。 したがって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号の規定に基づいて、その登録は、無効とされるべきものである。 3 証拠方法 請求人は、証拠として甲第1号証ないし同第39号証を提出した。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、請求人の主張に対し何ら答弁していない。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第15号について (1)請求人の提出に係る甲各号証によれば、請求人がわが国において、著名な製薬会社であること、また、請求人の所有に係る引用商標が、請求人の業務に係る商品「薬剤」等を表示するものとして、取引者、需要者間において、広く認識されていることが認められる。 (2)次に、本件商標の登録出願時を基準として本件商標と引用商標との類否を検討する。 本件商標は、別掲に示すとおり図形と文字の組み合わせからなるところ、「▲SUNKYO▼」の文字より「サンキョウ」の称呼を生ずるものであるが、「サンキョウ」の称呼を生ずる文字自体は、「三共」、「三協」、「山峡」、「三強」、「三京」等の字音に対応するものであり、それ程特異なものではなく、比較的一般に採択使用されやすいものといえる。 しかして、下段に顕著に書された「▲SUNKYO▼」の文字及び「CONSTRUCTION」の文字部分は、本件商標権者の会社の名称と認識し得るものであり、その上部に書された図形部分は、左上に赤色の円を、その右に空色の楕円形を右上から左下に斜めに3つ並べて書したものであり、請求人の使用に係る引用商標とも、その構成を異にするものである。 そうすると、かかる構成にあつては、請求人の主張のように「▲SUNKYO▼」の文字部分のみが格別に著者の注意を引くものともいえず、また、請求人の使用に係る「Sankyo」の文字とも書体が相違するものであって、係る構成においては、本件商標は、全体として、「▲SUNKYO▼」の文字及び「CONSTRUCTION」の文字の組み合わせもって、自他役務の識別標識としての機能を果たすものというべきであって、引用商標とは別異の印象を与えるものというのが相当である。 そうとすれば、本件商標よりは、「サンキョウコンストラクション」の称呼のみを、「三共建設」の観念を生ずるものである。 他方、引用商標は、構成前記のとおりであって、各構成文字に応じて、「SANKYO」及び「三共」の各文字より、いずれも「サンキョウ」の称呼を生ずるものであり、また、特段の観念を生じないものと認められる。 その上、本件商標と引用商標との外観が全く異なることは明白である。 したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念において非類似であり、結局、称呼、外観及び観念を総合的に考察して、互いに非類似の商標であるというべきである。 (3)以上によれば、本件商標の登録出願時において、本件商標をその指定役務「建築一式工事,土木一式工事,大工工事,とび・土工工事」について使用したとしても、引用商標の指定商品である「薬剤」等とは、取引者、需要者を異にする点を併せて考慮すると、これに接する取引者、需要者が、本件商標によって請求人又は請求人の引用商標を想起し、あるいは本件商標と引用商標とを混同するというようなことがあるものとは到底認められず、したがって、当該役務が、請求人又は請求人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、当該役務の出所を混同するおそれがあるものと認めることはできないから、本件商標が商標法4条1項15号に該当するということはできない。 2 商標法第4条第1項第10号及び同法第4条第1項第12号について 前記1で認定したとおり、本件商標と引用商標とは、本件商標が「サンキョウコンストラクショウ」の称呼、「三共建設」の観念を、請求人の引用商標が「サンキョウ」の称呼を、また、特段の観念は生じないものであり、指定商品も同一又は類似の商標でないから、商標法第4条第1項第10号及び同法第4条第1項第12号に該当事由があると認めることはできない。 3 商標法第4条第1項第8号について 本件商標は、前記1及び2で認定したとおり、本件商標は、引用商標と構成態様を異にするものであり、請求人の著名な略称を含んでなるものとはいえないから、商標法第4条第1項第8号に該当事由があると認めることもできない。 4 以上のとおり、請求人の審判請求は、理由がないから成り立たないものとし、審判費用の負担については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
本 件 商 標 (注)色彩については、原本を参照されたい。 引 用 1 商 標 (注)審決文中、「▲SUNKYO▼」の部分は、下記の文字を示す。 |
審理終結日 | 2001-01-12 |
結審通知日 | 2001-01-26 |
審決日 | 2001-02-21 |
出願番号 | 商願平4-246747 |
審決分類 |
T
1
11・
23-
Y
(037)
T 1 11・ 271- Y (037) T 1 11・ 28- Y (037) T 1 11・ 25- Y (037) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 為谷 博、柴田 昭夫 |
特許庁審判長 |
廣田 米男 |
特許庁審判官 |
江崎 静雄 大島 護 |
登録日 | 1998-08-14 |
登録番号 | 商標登録第3370001号(T3370001) |
商標の称呼 | サンキョーコンストラクション、サンキョー |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 高梨 範夫 |
代理人 | 浅村 肇 |
代理人 | 宇佐美 利二 |