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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない 025 |
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管理番号 | 1037490 |
審判番号 | 審判1998-35598 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-06-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1998-11-30 |
確定日 | 2001-03-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4122402号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4122402号商標(以下、「本件商標」という。)は、「FORD MUSTANG」の欧文字を横書きしてなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成8年10月4日登録出願、同10年3月6日に設定登録されたものである。 2 請求人の引用商標 請求人の引用する登録第744049号の2商標(以下、「引用商標」という)は、「ムスタング」の片仮名文字と「MUSTANG」の欧文字を上下二段に書してなり、第17類「被服、布製身回、寝具類」を指定商品として、昭和40年10月7日登録出願、同42年5月31日に設定登録された商標権を「被服」について分割移転されたものである。 3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 (1)請求人は、「MUSTANG」の文字からなる商標を第16類に登録出願(商願平9-28744)をしたところ、この商標は本件商標と類似すると認定した拒絶理由通知書を受けた。したがって、本件商標は引用商標と類似であると考える。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、本件商標は、無効とされるべきものである。 (2)答弁に対する弁駁 イ)平成11年異議第91366号事件において、「MUSTANG」の文字は我が国において造語と理解されるものである、と断じている(甲第3号証)。したがって、本件商標の「MUSTANG」の部分も造語として扱うのが至当であるが、「FORD」の文字は被請求人の名称として極めて著名であるし、アメリカ人、イギリス人の姓としてもありふれている(甲第4号証)。そうとすれば、「FORD」という名称のアパレルメーカーやスポーツ用品メーカーが存在しても不自然ではない。つまり、「FORD」はネーミングとしてはありふれており、「MUSTANG」のほうが遙かにマークとして識別力、訴求力がある。 そうとすれば、本件商標は「MUSTANG」によって略称されて当然である。 ロ)被請求人は、「MUSTANG」は被請求人の著名商標である、と主張しているが、これは否認する。「MUSTANG」は乗用車関連分野における被請求人の周知商標であって、著名商標ではない。前記の異議決定において、「MUSTANG」は我が国においては造語と理解されるもの、と認定され、「MUSTANG」について確立された著名性、周知性、知名度については一切ふれられていない(甲第3号証)。このことは「MUSTANG」が被請求人の著名商標ではないことを裏付けている。 よって、被請求人の著名性の主張、及びこれに基づく主張は認められない。 4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。 本件商標は「FORD」と「MUSTANG」の語からなるが、二語は同大一連にいずれの語にも軽重の差なく書かれており、自然に生ずる称呼「フォードマスタング」も格別冗長ということもない。よって、本件商標は無理なく一体の商標として把握できるものである。したがって、「ムスタング」の称呼のみが生ずる引用商標と称呼上非類似であることは明らかである。 商標の類否判断に当たっては、比較されるべき商標をそれぞれ全体的に観察して行うのが原則であり、本件商標のように二語を一商標として登録した商標を任意に分離して観察するのは、商標の観察方法から外れたものである。 被請求人であるフォード・モーター・カンパニー(FORD MOTOR COMPANY)は、著名な米国の自動車メーカーである(乙第1号証)。また、「MUSTANG/マスタング」はフォード社製の著名な車種名である。よって、本件商標からは全体として「フォード社のマスタング(型車)」という観念が生ずるものであり、観念上も引用商標とは明確に識別できるものである。 以上のとおり、本件商標は引用商標と類似するものではなく、無効とされるべき理由もない。 4 当審の判断 本件商標は「FORD MUSTANG」の文字よりなり、「FORD」と「MUSTANG」の文字間を半文字程度の間隔をもって構成されているものであるが、該二語は同書、同大、一連に軽重の差なく表示され、構成上一体なものと看取され、該二語を殊更分離観察してみなければならない特段の理由も存しないばかりか、全体の文字より生ずると認められる「フォードムスタング」若しくは「フォードマスタング」の称呼も格別冗長ということもなく淀みなく一気に称呼し得るものである。 してみれば、本件商標は、「FORD MUSTANG」の文字に相応し、「フォードムスタング」若しくは「フォードマスタング」の一連の称呼をもって商取引に資するものというのが相当である。 他方、引用商標は、「ムスタング」と「MUSTANG」の文字を上下二段に書してなるものであるから、「ムスタング」称呼を生ずること明らかである。 そうして、本件商標より生ずる称呼「フォードムスタング」、「フォードマスタング」と引用商標より生ずる称呼「ムスタング」とは、「フォード」の音の有無により明らかに聴別し得るものである。 さらに、観念、外観についてみるに、本件商標は、全体として特定の意味を有しない造語よりなるものというのが相当であるから、観念においては比較することができない。また、外観上も区別し得る差異を有するものである。 そうとすれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念、外観のいずれにおいても非類似の商標といわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、商標法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する |
審理終結日 | 2000-09-11 |
結審通知日 | 2000-09-22 |
審決日 | 2000-10-12 |
出願番号 | 商願平8-111740 |
審決分類 |
T
1
11・
26-
Y
(025)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩浅 三彦 |
特許庁審判長 |
小松 裕 |
特許庁審判官 |
高野 義三 芦葉 松美 |
登録日 | 1998-03-06 |
登録番号 | 商標登録第4122402号(T4122402) |
商標の称呼 | フォードムスタング、フォードマスタング、フォード、ムスタング、マスタング |
代理人 | 石川 義雄 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 小出 俊實 |
代理人 | 岡田 稔 |
代理人 | 曾我 道照 |
代理人 | 黒岩 徹夫 |