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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て不成立) 036
管理番号 1033562 
判定請求番号 判定2000-60129 
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2001-05-25 
種別 判定 
2000-09-25 
確定日 2000-11-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4319979号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 「建物の貸借の代理又は媒介」の役務に使用するイ号標章は、登録第4319979号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 1.本件商標
本件判定請求人(以下、「請求人」という)が所有する登録第4319979号商標(以下「本件商標」という。)は、下記(1)に示すとおりの構成よりなり、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引、有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理、外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理、有価証券の引受け、有価証券の売出し、有価証券の募集又は売出しの取扱い、株式市況に関する情報の提供、生命保険契約の締結の媒介、生命保険の引受け、損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,当せん金付証票の発売,企業の信用に関する調査,税金に関する情報の提供,慈善のための募金」を指定役務として平成6年4月28日に登録出願、同11年10月1日にその登録がされたものである。

2.イ号標章
第三者が「建物の貸借の代理又は媒介」の役務に使用する商標として請求人が示す標章(以下、「イ号標章」という。)は、下記(2)に示すとおりの構成よりなるものである。

3.請求人の主張
「建物の貸借の代理又は媒介」の役務に使用するイ号標章は、登録第4319979号商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由について次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至同第4号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、「APAMAN」の文字よりなるものであるから、「アパマン」の称呼を生ずる。これに対し、イ号標章は、上段に「アパマン」、下段に「ショップ」と表示してなる二段に表示された物理的に分離した構成の商標である。また、下段の「ショップ」(=shop)は、「店」の別称として世人に親しまれている言葉であるから、「アパマンの店」との観念が生じ、イ号標章は、「アパマン」を中心観念とする商標である。
したがって、イ号標章は、「アパマン」と称呼されるものである。
よって、両標章は、「アパマン」の称呼を共通にする類似の商標である。 また、本件商標にかかる指定役務中、「建物の貸借の代理又は媒介」とイ号標章の使用役務「建物の貸借の代理又は媒介」とは同一である。
(2)判定請求の必要性
請求人は、本件商標の商標権者である(なお、商標権者の住所は変更登録申請済みである。)。
現在、本件商標を使用する権原なき以下の第三者がイ号標章を使用している。
(a)東京都新宿区歌舞伎町1-2-1ナインティー新宿4階に所在の株式会社ヤマタク(甲第1号証)
(b)千葉県松戸市上本郷2-3786エドケンビル内に所在の株式会社コムズ(甲第2号証)
(c)東京都国分寺市西恋ヶ窪2-6-8に所在の株式会社グリーンボックス(甲第3号証)
(d)埼玉県大宮市大成町1-212-3に所在の株式会社アップル(甲第4号証)
上記の商標の使用が本件商標の商標権の効力範囲に属するのであれば、請求人は、これら使用者等に対し権利行使を予定しているが、慎重を期すべく本判定を求める次第である。なお、これらの使用は日々増加する傾向にあり、特許庁の早急なる判定の結論を求める緊急性を要しているものである。
(3)イ号標章が商標権の効力範囲に属するとの説明
イ号標章は、甲第1号証乃至同第4号証より明らかなとおり、上段に「アパマン」、下段に「ショップ」と表示してなる二段に表示された商標であり、物理的に分離した構成であることから、上段の「アパマン」部分は分離して認識され、単に「アパマン」と称呼されるものである。仮に、「アパマン」及び「ショップ」の二段構成でも、「アパマンショツプ」と分離せずに認識されたとしても、下段の「ショップ」(=Shop)は、「店」の別称として「建物の貸借の代理又は媒介」などの役務の提供場所として世人に親しまれている言葉であるから、「アパマン/ショップ」(或いは「アパマンショップ」)の表示より「アパマンの店」との観念が生じ、イ号標章は、「アパマン」を中心観念とする商標である。そうであるとすると、イ号標章より生じる「アパマン」の称呼と本件商標「APAMAN」の称呼「アパマン」は、称呼を共通にする類似の商標であり、イ号標章に接した場合に自然に認識される「アパマンの店」の観念と本件商標「APAMAN」は、共に「アパマン」を中心観念とする商標であり、観念においても類似の商標である。また、簡易迅速を尊ぶ取引の実際において、イ号標章は、単に「アパマン」と認識され、誤認、混同を生じさせる虞れ十分であるから、両商標は、この点でも類似する商標と認められるものである。イ号標章の「アパマン/ショップ」の使用は、自他役務識別の目印(標識)として表示され、併せて「アパート・マンション/お部屋さがしは」との役務の説明と共に併記され、該看板全体としての営業的な表示は、商標法第2条第3項第7号の「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。役務に関する取引書類にイ号標章が表示されれば、商標法第2条第3項第7号の「役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」にも該当する。
イ号標章に併記の「アパート・マンション/お部屋さがしは」との役務の説明からして、イ号標章の使用者は、少なくとも「建物の貸借の代理又は媒介」をなしていることは明らかである。かようにイ号標章が「建物の貸借の代理又は媒介」の役務に使用されている商標であることは明らかであり、該役務は、本件商標の指定役務中に包含されるものであるから、イ号標章が、「建物の貸借の代理又は媒介」の役務に使用される場合においては、その行為は、商標法第37条第1号の規定に該当するものといわざるを得ない。
(4)したがって、イ号標章の使用は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

4.当審の判断
そこで、本件商標とイ号標章との称呼・観念上の類否を判断するに、本件商標は、下記(1)に表示したとおり図案化した欧文字を書してなるものであるが、該文字は容易に「APAMAN」の欧文字を表したものと看取されるものである。そうとすれば、本件商標よりは書された文字に相応して「アパマン」の称呼を生じさせ、特定の観念を生じさせない造語を表してなるものというのが相当である。
他方、イ号標章は、下記(2)に表示したとおり、黒色の長方形内に白抜きにした「アパマン」と「ショップ」の片仮名文字を二段に表してなるものである。そして、該「アパマン」「ショップ」の両文字は、同書・同大にまとまりよく表してなり、殊更、これを「アパマン」と「ショップ」とに分離して称呼しなければならない特段の事由が存するとも認め得ないところである。そうとすれば、イ号標章は「アパマンショップ」の一連の称呼のみを生じさせ、特定の観念を生じさせない造語を表してなるものと判断するのが相当である。
そして、本件商標より生ずる「アパマン」の称呼とイ号標章より生ずる「アパマンショップ」の称呼とは、前半部において、「アパマン」の音を同じくするものの、後半部において「ショップ」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから、称呼上明らかに相違するものである。また、観念については、いずれも造語よりなる商標と認められるものであるから、両者はこの点において比較すべくもないところである。
この点について、請求人は、イ号標章は「アパマン」と「ショップ」の片仮名文字を二段に書してなるところ、下段の「ショツプ」語は「店」を意味し、役務の提供場所を表すにすぎない語であるから、イ号標章は「アパマン」と略称され、かつ、「アパマンの店」の観念を生じさせるものであると主張している。しかしながら、イ号標章は、上記のとおり、「アパマン」と「ショップ」の両文字を、同じ書体でまとまりよく一体的に表してなるばかりでなく、この種の業界において「ショップ」の語が役務の提供場所として普通に使用されているものとも認められないものであるから、これを「アパマン」と「ショップ」とに分断して称呼・観念されるものであるという請求人の主張は認め難い。
さらに、本件商標とイ号標章は、下記(1)(2)に表示したとおりの構成よりなるものであるから、外観上は互いに区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標とイ号標章とは、称呼、観念及び外観のいずれについても相紛れるおそれのない非類似の商標と言わなければならない。
したがって、本件商標とイ号標章とが上記のとおり非類似の商標であると認められる以上、本件判定請求に係る役務「建物の貸借の代理又は媒介」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものといわざるを得ない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
(1)本件商標


(2)イ号標章


判定日 2000-10-19 
出願番号 商願平6-44303 
審決分類 T 1 2・ 9- ZB (036)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 佐藤 久美枝
小池 隆
登録日 1999-10-01 
登録番号 商標登録第4319979号(T4319979) 
商標の称呼 アパマン 
代理人 萼 経夫 
代理人 村越 祐輔 
代理人 館石 光雄 

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