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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z30
管理番号 1033382 
異議申立番号 異議2000-90513 
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-22 
確定日 2000-12-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第4358648号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4358648号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4358648号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年7月17日に登録出願、下記に表示したとおりの構成よりなり、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年2月4日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人(以下、「申立人」という。」)の異議理由
本件商標は、平成4年3月27日に登録出願され、「草桜」「クササクラ」の各文字を上下二段に書してなり、商品の区分第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同6年4月28日に設定登録されている登録第2649212号商標(以下、「引用商標」という。)と「クササクラ」の称呼において類似し、かつ、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標法第43条の2第1号の規定により、その登録は取消されるべきものである。

3 当審の取消理由
当審では、申立人の登録異議申し立てに基づき、商標権者に対して、「本件商標は、登録第2649212号商標と類似し、かつ、その指定商品も同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨の取り消し理由を提示した。

4 当審の取消理由に対する商標権者の意見
本件商標と引用商標の称呼について検討すると、引用商標は、「草桜/クササクラ」と書されてなり、そこからは「クササクラ」の称呼が生ずるものである。
一方、本件商標から生ずる識別力ある称呼は「ハルウイロ」のみである。よって、本件商標と引用商標とは、称呼において非類似である。
なお、本件商標から生ずる識別力ある称呼は「ハルウイロ」のみであるとする理由は、以下の通りある。
本件商標の指定商品である「草餅風味または桜餅風味のういろ」と本件商標との関係、及び本件商標の全体構成からも明らかなように、本件商標は、本来なら「春ういろ」の横に本件の品質を示す語として「桜餅ういろ」「草餅ういろ」と2行に書すべきところ、それでは文字数が多くなり過ぎて一見して読みづらく、また、パンフレットや包装に用いると美的でないので、重複している「餅ういろ」の部分を重ねて一行としたものである。このように、重複した文字は一行だけ書いて、重複しない部分については二段(二列)に書するというのは、一般のパンフレット・看板・包装紙などにおいてしばしば用いられる手法である。
一方、本件商標に接した需要者は、次のように看取するものである。すなわち、菓子、特に和菓子の世界では、季節感が大切にされており、「春の季節感が味わえるういろ」を暗示する「春ういろ」の横に書かれた「桜/草餅」の文字は、春だけに販売される伝統的和菓子の「草餅」「桜餅」を直接的に想起させ、その次の「ういろ」の文字と組み合わせて、当該商品が本件指定商品「草餅風味または桜餅風味のういろ」であることを示す語として理解されるものである。
以上のように、本件商標中「草/桜 餅ういろ」の部分は、本件商標の指定商品である「草餅風味または桜餅風味のういろ」を直接的に示す部分、言い換えれば識別力を有しない部分であって、本件商標の指定商品中、識別力を有し、称呼を生ずるのは「ハルウイロ」の部分だけであるから、本件商標と引用商標「草桜/クササクラ」とは、称呼において非類似である。また、本件商標と引用商標とは、その観念・外観においても、明らかに非類似である。
よって、本件商標と引用商標とは、外観・称呼・観念の、いずれもが非類似である。
なお、上記は、本件商標の審査の過程において、今回の取消理由通知と同様の趣旨の拒絶理由通知を受けた際に、審査官に述べた意見であって、審査官は上記意見により、本件商標と引用商標とが非類似であるとして登録したものである。
さらに、申立人の主張に対して、次の通り意見を述べる。
今回の異議申し立てにおいて、申立人は、本件商標中の「草桜」部分のみが分離観察される理由の一つとして、「餅ういろ」部分が品質表示的語句又は普通名称として解される点を上げているが、その点について「『ういろう』が『ういろうもち』とも呼ばれることから、『餅ういろ』の文字部分が上記意味合いの品質表示的語句又は普通名称であることは明白である。」と述べ、証拠として甲第3,4号証を提出している。しかし、「ういろう」がたとえ「ういろうもち」と呼ばれることがあっても、「ういろうもち」=「餅ういろ」と断定した上で、本件商標中から「餅ういろ」部分のみが分離観察され、さらにそれが「ういろうもち」と同一の語義を有するものとして需要者に看取されるとするのは、極めて不自然である。2つの語を組み合わせて構成された単語において、その順序を入れ替えても同一の語義となるのは、むしろごく一部であって、たとえば「かがみ餅」と「餅かがみ」、「バタークリーム」と「クリームバター」、「アイスコーヒー」と「コ一ヒーアイス」のように、大多数は意味が通じなくなるか、異なった意味となってしまうものである。その他、草花の名称で「桜草」について、これが「桜」と「草」の順序を入れ替えて「草桜」と称呼されることはない。
一つの語の順序を入れ替え、さらにそれが同一の語義と解されることは稀であるから、一般需要者が、本件商標中「餅ういろ」部分を分離観察し、さらに実際には存在しないその「餅ういろ」という語が、「ういろ餅」の意であると解するとするのは極めて不自然である。むしろ本件商標に接した需要者は、まず「草餅」「桜餅」という、なじみ深い商品名を看取し、そして、それに続く「ういろ」の文字を看取することによって、当該商品が本件指定商品「草餅風味また桜餅風味のういろ」であることを理解するものである。以上の通り、本件商標と引用商標とは、外観・称呼・観念の、いずれもが非類似であって、全体として、時と場所を異にして接したとしても紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号には該当しないものである。

5 当審の判断
本件商標は、下記に表示したとおり、暖簾記号と「春ういろ」の文字を縦書きで右側に、「草桜」の文字を横書きで中央上方に、「餅ういろ」の文字を縦書きで中央下方にそれぞれ配置してなるものである。そして、これを構成する暖簾記号及び「春ういろ」「草桜」「餅ういろ」の各文字は常に一体不可分のものとして把握し称呼しなければならないとする特段の事由が存するものとも認められないものである。そうとすれば、本件商標に接する取引者・需要者は、構成中、顕著に表され、かつ独立して自他商品の識別機能を有すると認められる「草桜」の文字部分を捉え、これより生ずる「クササクラ」の称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないものというのが相当である。
したがって、本件商標よりは構成中の「草桜」の文字部分より、単に「クササクラ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
一方、引用商標は、「草桜」「クササクラ」の各文字を横書きしてなるものであるから、これよりは、「クササクラ」の称呼を生ずること明らかである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「クササクラ」の称呼を同じくした類似の商標と認められ、かつ、その指定商品も同一又は類似のものであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものと認めざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第43条の3第2項の規定により、結論のとおり決定する。
別掲
本件商標(登録第4358648号商標)


異議決定日 2000-11-02 
出願番号 商願平10-61258 
審決分類 T 1 651・ 262- Z (Z30)
最終処分 取消  
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 為谷 博
滝沢 智夫
登録日 2000-02-04 
登録番号 商標登録第4358648号(T4358648) 
権利者 合資会社餅文総本店
商標の称呼 ハルウイロ、サクラモチウイロクサモチウイロ、ハル、ブン、クササクラモチウイロ、クササクラ 
代理人 岡村 信一 
代理人 飯田 堅太郎 
代理人 小林 十四雄 
代理人 飯田 昭夫 

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