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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) 018
管理番号 1029740 
異議申立番号 異議1999-90915 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-13 
確定日 2000-10-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第4260224号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4260224号商標の登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4260224号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり平成9年12月9日に登録出願、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として平成11年4月9日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、別掲に表示したとおりの構成からなる次の登録商標を引用している。
登録第1923947号商標(以下「引用A商標という。」)、昭和48年6月8日に登録出願、第21類「バンド類、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花」を指定商品として昭和62年1月28日に設定登録されたもの。
登録第2412502号商標(以下「引用B商標という。」)、平成1年8月22日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として平成4年5月29日に設定登録されたもの。
登録第4055271号商標(以下「引用C商標という。」)、平成6年2月7日に登録出願、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として平成9年9月12日に設定登録されたもの。
登録第4086012号商標(以下「引用D商標という。」)、平成6年4月14日に登録出願、第18類「スーツケース,アタッシュケース,書類入れかばん,手提げかばん,肩掛けかばん,ハンドバッグ,その他のかばん類,財布(貴金属製のものを除く。),札入れ,小銭入れ,キーケース,その他の袋物,携帯用化粧道具入れ」を指定商品として平成9年11月28日に設定登録されたもの。
登録第4055272号商標(以下「引用E商標」という)、平成6年2月7日に登録出願、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として平成9年9月12日に設定登録されたもの。
なお、これら引用A商標ないし引用E商標をまとめていう場合は単に「引用商標」という。

3 登録異議の申立理由
申立人は要旨次のように主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出している。
本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念において類似するものであって、その指定商品も同一又は類似のものである。また、引用商標は、申立人の商標として需要者の間に広く認識されている商標であるから、本件商標は申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあり、著名な商標の出所表示機能が希釈化される点で、不正の目的をもって使用するものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号又は同第19号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

4 当審において通知した取消理由
申立人の提出に係る甲各号証によれば、引用商標は、申立人がバッグ類などの商品に長年使用した結果、本件商標の登録出願前において既に需要者の間に広く認識されるに至ったものと認められる。
しかして、本件商標は、別掲のとおり黒塗りの象の図形を表してなるところ、引用商標も別掲のとおり黒塗りの象の図形と文字よりなるものであるから、これを申立人のバッグ類と同種の商品「かばん類」を含む指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、前記した実情よりして、容易に引用商標ないしは申立人を想起させるといえるものである。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、申立人又は申立人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

5 商標権者の意見
申立人は、要旨次のように意見を述べた。
(1)商標権者は、既に第18類において、申立人から「象のマーク」(登録第4092165号商標)に対して同種の異議申立を受けたが、「理由がない」との異議決定がされた。本件商標は上記商標と類似する「象のマーク」であるから、本件商標も同一の判断をすべきである。
(2)同様に「象」のマークに「HUNTING SPIRIT」の文字を組み合わせた同種商標(登録第4095409号商標)に対して、申立人より異議申立を受けたが、特許庁より「理由がない」としてその異議は退けられた。
(3)その他、商標権者の「HUNTING」の関連商標が申立人のものであるとの理由で異議申立を受けたが、「理由がない」として、異議が退けられた例(13例)、「HUNTING」関連商標について商標権者が、他の類で登録を得た例(19例)があり、これ程までに、登録商標が存在し、申立人の異議が退けられることからしても、申立人の主張は妥当でない。
(4)また、取消理由通知書で「本件商標は黒塗りの象の図形を表してなるところ、引用商標も黒塗りの象の図形と文字よりなるものであるから、容易に引用商標ないし申立人を想起させる」と指摘するが、そもそも両商標ともに「象」を描いたのであるから、同じ観念を生ずるのは当然である。
しかし、引用商標が申立人の創作した動物であったり、「ミッキーマウス」程の具象化された動物(ねずみ)であれば、申立人の主張も理解出来るが、ただ単に誰もが知る「象」の絵柄をそれも自然に描いたものに、特定の個人や法人に所有権が発生するとは考えられない。
そうすれば一般に全ての良く知られた動物は何も使用出来なくなる。
「象」を含めた一般の各種「動物」の絵柄の登録商標が、多数存在している例の現状を考えると、「動物」を自然に描いたものは「特徴性が無い」ものといえる。
よって、本件商標は、取り消されるべきものではない。

6 当審の判断
本件商標は、商品「かばん類」を含む指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は容易に引用商標ないしは申立人を想起させるから、申立人又は申立人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。したがって、商標法第4条第1項第15号に該当するとの理由により、本件商標の登録を取り消すべきものとした取消理由は妥当なものであって、これについて述べた商標権者の意見は、以下の理由により、採用することができない。
(1)商標権者の上記5の(1)ないし(3)の意見について
引用商標は、申立人がバッグ類などの商品に長年使用した結果、本件商標の登録出願前には需要者の間に広く認識されるに至っている。本件のように「象」をモチーフとした商標が引用商標と出所の混同を生じさせるおそれがあるか否かは引用商標の強い自他商品の識別力を前提として、引用商標の特徴及びそこから受ける印象等を考慮して個別具体的に判断するほかないものである。
提示された事案は、本件商標と同一構成の商標はないから、本件の判断を拘束するものとはいえない。
(2)商標権者の上記5の(4)の意見について
引用商標は、鼻を振り上げ、前足の一本を上げるなど、躍動している象を側面よりシルエット風に表現した図形が顕著に表されているものである。
言い換えれば、同図形は象の自然な動作をシルエット風に表現したものともいえるが、引用商標は、前記したとおり需要者の間に広く認識され、強い自他商品の識別力を有するものである。
そうすると、象の自然な動作をシルエット風に表現したともいえる引用商標の図形部分の特徴も強い自他商品の識別力を有しているのは当然である。
上記引用商標の例からみても、「ただ単に誰もが知る『象』の絵柄をそれも自然に描いたものに、特定の個人や法人に所有権が発生するとは考えられない。」、「『象』を含めた一般の各種『動物』の絵柄の登録商標が、多数存在している例の現状を考えると、『動物』を自然に描いたものは『特徴性が無い』といえる。」という商標権者の主張は妥当なものでないことは明らかである。
以上のとおりであって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標



引用A商標


引用B商標


引用C商標


引用D商標


引用E商標



異議決定日 2000-03-28 
出願番号 商願平9-183742 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (018)
最終処分 取消  
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 平松 和雄
茂木 静代
登録日 1999-04-09 
登録番号 商標登録第4260224号(T4260224) 
権利者 ジャス・インターナショナル株式会社
代理人 河野 昭 

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