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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない 030 |
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管理番号 | 1029622 |
審判番号 | 審判1998-8979 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-06-08 |
確定日 | 2000-10-12 |
事件の表示 | 平成8年商標登録願第53380号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別紙に示すとおり「八雲」の文字を縦書してなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成7年5月22日登録出願されたものであるが、その後、平成10年7月3日付け手続補正書をもって指定商品を「菓子及びパン(羊羹を除く。)」と減縮補正したものである。 2 原査定の引用商標 本願商標は、商標法第4条第1号第11項に該当するとして引用した登録第298415号商標(以下、「引用商標」という。)は、別紙に示すとおり「出雲名菓」と「八雲小倉」の文字を二列に縦書きしてなり、第43類「小倉羹」を指定商品として 昭和12年4月7日登録出願、同13年2月4日に設定され、その後同32年5月31日、同53年8月2日、同63年2月26日及び平成10年1月6日に商標権存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。 3 請求人の主張 請求人は、かって、▲1▼「八雲」なる登録第445744号商標が、指定商品「菓子類(但し煎餅及び飴を除く。)」として昭和29年5月31日に登録され平成6年5月31日に存続期間が満了して消滅するまであったこと。▲2▼「錦小倉」なる登録第2500265号商標は、その指定商品が「小倉羹」でも「小倉羹を使用する菓子」でもなく「和菓子、その他本類に属する商品」となっていることからすると、「小倉」は「小倉羹」を略したものでないこと明らかであること。▲3▼昭和63年審判第20732号のように「むすび豆」と「豆」を判断する際、当該「豆」が商品の品質を意味する場合があるけれども、常に構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である旨を示している審決例があること。▲4▼引用商標では、「出雲名菓」の部分は、「出雲地方の有名な菓子」を意味する品質表示であると判断することも可能であろうが、この「出雲」と「八雲」との関連からすれば、和歌の世界では「八雲さす」や「八雲たつ」という「出雲」にかかる枕詞として知られており、「出雲」と「八雲」との密接な関係を考慮すれば、二列併記であるという構成上の理由によって、分離すべきでなく、全体を一体的に判断すべき場合があり得るのである。 このように、全体を一体的に判断するならば、個別の相違点を列挙することなく明らかに、外観、称呼、観念の三点においていずれも類似するところがなく、両商標は類似しない。旨述べている。 4 当審の判断 本願商標と引用商標との類否について判断するに、 本願商標は、別紙に示すとおり「八雲」の漢字を横書きしてなり、これよりは「ヤクモ」の称呼及び「幾重にも重なっている雲」の観念を生ずるものと認められる。 他方、引用商標は、別紙に示すとおり「出雲名菓」と「八雲小倉」の文字を二列に縦書きしてなるところ、「出雲名菓」の文字部分は、「出雲地方の有名な菓子」を意味する商品の品質乃至生産地を表す語と認められ、また、「小倉」の文字部分は小豆の意味合いを有し、しかも、その指定商品「小倉羹」は、「赤小豆または隠元豆などの蜜煮を粒のまままぜた練羊羹」(新村 出編書「広辞苑」株式会社岩波書店、1998年11月11日第五版第一刷発行)の意味合いを有する語であるところ、請求人の提出した甲6第号証(黒川光朝・加藤正一・鈴木宗康監修「和菓子技法 第五巻」株式会社主婦の友社、平成二年七月十一日第二刷発行、115頁下段)によれば、「八雲小倉」は、『「八雲立つ」とうたわれた出雲の雲の美しさを焼き肌に映した棹物菓子。カステラ風の生地を手すきの出雲和紙に流して一文字鍋で焼くと、あたかも雲のような焼き目ができる。出雲小豆をつややかに煮上げた小倉羹とたくみに調和している。」』と解説文の記載があり、その終わりより二行目に「小倉羹」を誉めたたえる言葉を見出すことができ、これらより引用商標「八雲小倉」中の「小倉」の文字部分は、取引者、需要者をして、指定商品の「小倉羹」を表したものと理解、認識されるものと認められる。 そうすると、引用商標をその指定商品に使用するときは、引用商標に接する取引者、需要者は、引用商標の構成中の「八雲」の文字部分に着目し、これより生じる称呼、観念をもって取り引きにあたる場合も少なくないものといわざるを得ず、これより「ヤクモ」の称呼及び「幾重にも重なっている雲」の観念を生ずるものと認められる。 そこで、本願商標と引用商標を比較するに、両商標は、「ヤクモ」の称呼及び「幾重にも重なっている雲」の観念を生じるものであるから、外観の点において相違するとしても、全体として出所の混同を生ずるおそれのある類似のものと判断するのが相当であり、本願商標の指定商品は、「菓子及びパン(羊羹を除く。)」と減縮補正されたものではあるが、未だ引用商標の指定商品と類似する商品を含むものである。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、本願商標が上記法条に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別記 |
審理終結日 | 1999-12-10 |
結審通知日 | 2000-01-04 |
審決日 | 2000-01-07 |
出願番号 | 商願平8-53380 |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(030)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 啓之、山本 良廣 |
特許庁審判長 |
工藤 莞司 |
特許庁審判官 |
大島 護 江崎 静雄 |
商標の称呼 | 1=ヤグモ |
代理人 | 柴田 肇 |