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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 016
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない 016
管理番号 1029621 
審判番号 審判1997-16486 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-09-30 
確定日 2000-10-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第3326183号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3326183号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙に示すとおり「花療法」の漢字を横書きし、その下に「フラワーセラピー」の片仮名文字を小さく横書きした構成のものであり、平成6年10月24日登録出願、第16類「雑誌,新聞,写真,写真立て,文房具類,紙製ハンカチ,紙製タオル,紙製手ふき,衛生手ふき,紙製テーブルクロス」を指定商品として、同9年6月27日登録されたものである。
2 請求人の主張
請求人は、「登録第3326183号商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由を概要次のように主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証を提出した。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び第4条第1項第7号に該当するから、本件商標の登録は、同法第46条第1項により、無効とすべきものである。
(2)本件商標は、「花療法」及び「フラワーセラピー」を上下2段に配してなる。
その構成から明らかなように、本件商標において、「フラワーセラピー」は本件商標の要部であり、本件商標からは、「フラワーセラピー」の称呼及びこれに対応した観念(花を用いた、又は花による治療)が生ずる。
請求人の代表者田村喜久子(筆名 田村記子)は、生花とドライフラワーの中間の性質を持ち、半年間も水なしで生きている、オーストラリアに野生するワイルドフラワーが水を使わず手軽に扱え、かつ清潔であり、これを用いた活花が年寄のリハビリに有効であることを発見し、これを「フワーセラピー」と名付け、「フラワーセラピー研究会」というボランティアの組織を主催し、代表者として幅広く積極的に活動し(甲第26号証)、「フラワーセラピー」及び「フラワーセラピー研究会」は広く報道され、本願の出願当時、「フラワーセラピー」の語は、請求人の代表者である田村喜久子が考案した「ワイルドフラワーを使用した年寄や心障者のリハビリのための療法」を意味するものとして周知であり、請求人が請求人の組織した「フラワーセラピー研究会」を通じて「フラワーセラピー」の活動に従事していることも周知であった(甲1ないし25号証)。
即ち、「フラワーセラピー」は本件商標の出願当時、請求人の行う活動の一環である「フラワーセラピー研究会」を通じて行う「ワイルドフラワーを用いた活花によるリハビリのための療法」を意味するものとして周知であった。
被請求人は、フラワーセラピー研究会の理事であった者であり、請求人の代表者がフラワーセラピーを考案し、請求人が「フラワーセラピー研究会」を発足させ、「フラワーセラピー」を実践し普及させていることを知りながら、その周知性に着目してこれに便乗せんとして本件商標の出願をし、同出願をするや、フラワーセラピー研究会の理事を辞任したものである。
したがって、本件商標をその指定商品に使用するときは、その商品が請求人又は請求人と何らかの経済的関係を有する者の製造販売に係るものであるとの誤認混同を需要者に生じさせるおそれのあるものであり、特に、被請求人が請求人の主催するフラワーセラピ一研究会」の理事であった者であるから、そのおそれはより大きいものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)被請求人は、本件商標の出願前より、請求人の活動の一環である「フラワセラピー研究会」の創設時から理事であった(甲26ないし31号証)。即ち、被請求人は、請求人の主催する「フラワーセラピー研究会」の創設時からの理事として、「フラワーセラピー」という用語の冒用を排除し、「フラワーセラピー」の用語及び「フラワーセラピー研究会」を通じての活動の擁護、保全、発展を図るべき立場にあったにも拘らず、理事としての請求人に対するかかる忠実義務を踏みにじり、「フラワーセラピー」を要部とする本件商標を無断で出願したものである。
本件商標は、「フラワーセラピー研究会」の理事であった請求人において、請求人の地道な「フラワーセラピー研究会」の活動の結果、「フラワーセラピー」が普及したことに目を付け、「フラワーセラピー」の周知性に便乗せんとして、かつ、理事としての職責に全く反して、出願され登録されたものであり、法の維持せんとする商標秩序を破壊するものであり、公の序秩又は善良の風俗に反するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を概要次のように主張し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第90号証を提出した。
(1)請求入の主張する商標法第4条第1項第10号又は第15号について
まず、本件商標の構成について触れると、本件商標は、その要部である「花療法」を漢字表記にて大きく表示すると共に、この漢字表記に付記的あるいは飾り的に極めて小さく表記された「フラワーセラピー」から構成されている。この「フラワーセラピー」の語自体の識別力が少々問題である。それは、「フラワーセラピー」の語は欧米なかんずく英語圏においては普通に使用されている語であり、少なくとも日本における特定人が考案した語ではないからである。したがって、このような構成態様を直ちに無視して、本件商標の要部である「花療法」を度外視し、論ずることは当を得ない。
ちなみに、本件被請求人たる商標権者は、上記の点等に鑑み、「フラワーセラピー」について、当初より権利行使する意図はないことを申し添える。
請求人は、本件商標登録出願前に「フラワーセラピー」が周知著名であったと主張するが、後述する被請求人の証拠並びに請求人の証拠等から明らかなように、その時期においては周知・著名の域に達していなかった。もし百歩譲って、周知の事実が存在していたとしても、それは、当時既に花療法家として著名で、個人的活動を盛んに行っていた本件被請求人である片桐本人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして認識され、広く知られていたものである。なぜならば、そもそも請求人は、「プリザーブフラワー」(現在は、「ワイルドフラワー」と呼んでいる)として活動しており、その内容は、各甲号証にあるように、生花とドライフラワーの中間の性質を持つ花(プリザーブ加工)を利用したフラワーアレンジメントとして活動しているのに対し、被請求人は、これと全く本質を異にした生花を利用、即ち、自然の「花の気」を利用した療養活動である点で大きく相違するからである。このように、趣旨・目的・内容の相違故に、全く形式的なもので講師としてのみ参画していた無意味な理事を離れ(乙第90号証)、個別の道を歩くに至った訳である。
上記の点や甲各号証からも明らかなように、商品や役務をも異にすることから、法第4条第1項第10号にいう「他人の商品若しくは役務」を表示するものとして使用される商標ではなく、同号の適用の余地は無い。また、双方の証拠からも明らかなように、活動の仕方(例えば、テレビ、出版物、講演等)が全く異なるのである。むしろ、被請求人自らの商品や役務を表示するものとして極めて広く使用された結果、本件出願時には既に商標「花療法」や「花の気療法」が、片桐義子の名とともに広く知られるようになっていた(乙第1号証、第2号証、第10号証、第11号証、第26号証の一部、第27号証〜第32号証、第89号証の一部、第90号証)。したがって、本件請求人の活動の内容や程度により識別力の疑わしい「フラワーセラピー」の語が周知化されるわけはなく(甲各号証参照)、ましてや非類似商品まで混同を生ずるような著名の程度に至るはずもない。
加うるに、請求人は、主として当該「フラワーセラピー研究会」の名称にて活動しているのみであり、また現在に於いても、上述の如く、被請求人の趣旨・目的とする活動と本質を全く異にするもので、第16類の商品関係についての商標的使用も全く見られない。即ち、甲各号証は、本件商標登録に係る指定商品と同一若しくは類似のものが示されていず、証拠力が否定される。
よって、被請求人自ら案出した独自の活動を否定される故はなく、ましてや、本件商標登録出願前からの知る人ぞ知る活発な活動による「花の気」を利用した独特の研究・促進活動が、上記の種々の見地から請求人の業務を阻害することはあり得ず、法第4条1項第10号若しくは第15号に該当しない。
(3)請求人の主張する商標法第4条第1項第7号について
結論として、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
その理由は、まず第1に、被請求人は、本件商標登録出願前から、主として新聞、講演等において「花療法」のみならず、「フラワーセラピー」等を使用してきており、その後も大々的に信用(グッドウィル)を形成すべく努力してきたこと(乙第3号証〜第9号証、第12号証〜第25号証、第26号証の一部、第83号証〜第88号証、第89号証の一部)。
第2に、被請求人は確かに「フラワーセラピー研究会」の理事であったが、全く形式的なもので、該研究会のムードを高めるためのものであったが、これは、添付の乙第90号証の「講師依頼書」等からも明らかである。
第3に、商標においては、発明、考案、意匠と異なり、独創性が問題とならず、先願主義の下で先に出願した者が登録を受けうることが原則であるが、造語商標たる「花療法」はともかく、「フラワーセラピー」は、識別力において多少問題なしとしないので、本件商標の構成態様において「花療法」に比し極めて小さく付記し、上述の如く、被請求人は、権利も行使しないこととしたこと等に基づく。
なお、ましてや真にボランティアとして活動されるのであれば(乙第90号証p2「講座案内書」等)、被請求人は、「フラワーセラピー」を以て権利を主張ないし行使することはない。
4 当審の判断
甲第10号証ないし甲第28号証を総合すると、請求人の代表者田村喜久子(筆名 田村記子)は、平成6年4月23日に設立された任意団体「フラワー・セラピー研究会」の設立当時の会長であり、同研究会は、高齢者や体の不自由な人のリハビリに役立つフラワーアレンジメント教室を開催するなどの活動をして、その活動については、全国紙などの新聞紙上において本件商標が登録出願される前に紹介された事実が認められる。また、同研究会の名称中の「フラワー・セラピー」という語は、あまりなじみのない語ではあるが、「フラワー」が「花」、「セラピー」が「治療、療法」を意味する語として使われ知られていることからすると、「花を用いた治療、療法」「花による治療、療法」というほどの意を認識させるものということができる。そして、甲第11号証の新聞記事中の「花を使って心のリハビリを行う『フラワーセラピー研究会』がこのほど、東京都内に発足した。」との記述、甲第14号証の記事中の「『フラワーセラピー』-余り聞き慣れない言葉だが、要は『花を活ける』作業を活用するリハビリ。」との記述及び甲第18号証の記事中の見出しの「花とのふれあいでリハビリ」「フラワーセラピー」との記載からみても、これらの記事においては、「フラワーセラピー」は、前記した「花を用いた治療、療法」「花による治療、療法」というほどの意味を表す言葉として紹介あるいは使用されているものと認められる。しかしながら、請求人が提出した全証拠を検討しても、「フラワーセラピー」という言葉(語)が、前記の任意団体「フラワー・セラピー研究会」又は請求人の代表者田村喜久子の活動や業務を象徴する識別標識として使用された事実は認められず、まして、これが前記の者の識別標識として周知であったとは認められない。前記の「フラワー・セラピー研究会」の名称中の「フラワー・セラピー」の語は、前記認定の意味を認識させるものであり、同研究会の研究対象を表すにすぎないものであって、これのみでは同研究会あるいは請求人の代表者田村喜久子の活動や業務を象徴する識別標識ということはできない。
そうすると、本件商標は、その構成中に「フラワーセラピー」の文字を有しているが、これをその指定商品について使用した場合に、請求人の代表者など他人の業務に係る商品であるとの誤認混同を需要者に生じさせるおそれがあるとすべき相当の根拠はないものいわざるをえない。
また、「フラワーセラピー」の文字は、これのみでは前記の「フラワー・セラピー研究会」あるいは請求人の代表者田村喜久子の活動や業務を象徴する識別標識とはいえないし、かつ、被請求人は、甲第26号証によれば、同研究会の理事であったと認められるが、「フラワーセラピー」という語を商標登録しない義務を理事としての職責上負っていたことを示す証拠はない。
そうすると、本件商標は「フラワーセラピー」の周知性に便乗し、かつ、被請求人が理事としての職責に反して出願して登録されたもので、法の維持しようとする商標秩序を破壊するものであり、公の序秩又は善良の風俗に反するものである旨の請求人の主張は、根拠がないものであって、採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
なお、平成9年10月30日付の審判請求理由補充書第3頁第14行中に「10号」とあるのは「15号」とすべきところを誤記したものと認められるから、請求人は、商標法第4条第1項第10号違反を登録無効の理由として主張していない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別記

審理終結日 1999-04-06 
結審通知日 1999-04-20 
審決日 1999-04-28 
出願番号 商願平6-107483 
審決分類 T 1 11・ 22- Y (016)
T 1 11・ 271- Y (016)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 酒井 福造大森 友子 
特許庁審判長 板垣 健輔
特許庁審判官 杉山 和江
上村 勉
登録日 1997-06-27 
登録番号 商標登録第3326183号(T3326183) 
商標の称呼 1=ハナリョ-ホ- 2=フラワ-セラピ- 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 古木 睦美 
代理人 小島 高城郎 
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