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審決分類 審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 121
管理番号 1029620 
審判番号 審判1995-27344 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1995-12-19 
確定日 2000-09-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第2579042号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2579042号商標の指定商品中「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、化粧用具」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件審判に係る登録第2579042号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ポロカントリー」の片仮名文字と「POLO COUNTORY」のローマ字とを二段に横書きし、商標法施行令第1条別表(平成3年政令第299号による改正前もの)に定める商品区分(以下、「旧第○○類」という。)第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、平成2年11月2日に登録出願、同5年9月30日に登録されたものである。
2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至同第41号証を提出している。
(1)本件商標に含む「POLO」の文字は、請求人が既に1981年、すなわち、昭和56年以前から(甲第40号証)、アパレル、眼鏡、その他ファッション商品について使用している著名商標である。この事実は特許庁の審査例、異議決定例及び東京高等裁判所の判決例が示すところである。
(2)前記著名商標はファッション商品について使用されてきたところ、請求の趣旨に掲げた商品にはファッションと密接に関連する商品又はファッション性のある商品が含まれている。これらの商品について、本件商標が使用されれば前記著名商標との間に商品の出所の混同の虞があるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証乃至同第34号証を提出している。
(1)請求人は、甲第1号証乃至同第41号証を提出し、本件商標が商標法第4条第1項第15号の規定に該当し、その登録は無効とされるべきであるとの主張を行っているが、請求人の主張は不当なものであり、本件商標の登録は無効理由を有しないものである。
(2)請求人は、請求の理由を要約すると以下の主張を行っている。
▲1▼ 「POLO」の文字は、請求人が昭和56年以前から、アパレル、眼鏡、その他のファッション商品に使用している著名商標である。
▲2▼ そして、本件商標の指定商品にはファッション商品が含まれている。
▲3▼ したがって、本件商標を指定商品に使用すれば、出所の混同が生ずる虞がある為、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当する。
しかし、前記の主張は、本件商標の審査段階において、請求人が申し立てた登録異議申立理由と同趣旨のものである。
(3)したがって、被請求人は、請求人の主張に対する反証として、先ず登録異議申立事件の申立書、理由補充書及び異議決定謄本を提出する(乙第1号証及び同第2号証)。
前掲登録異議決定謄本を一読すれば明らかな様に、該登録異議申立事件においては、「POLO」、[ポロ」の文字が請求人の商号又はその略称として著名であるとしても、本件商標が一連一体に「ポロカントリー」とのみ称呼されるものである以上、これを指定商品に使用しても、商品の出所について混同を生ずる虞はないと明確に判断されている。
そして、前掲登録異議決定における考察の正当性は、被請求人が登録異議答弁書において指摘した事実、すなわち、旧第21類においては、「POLO」の文字を含み、且つ、請求人の所有でない商標が既に多数登録されているという事実が裏付けともなっている。
(4)そこで、被請求人は、再度[POLO」の文字を含んだ商標について旧第21類における登録例を乙第3号証乃至同第17号証(商標公報)として提出する。
乙第3第乃至同第17号証は以下の通りである。
▲1▼ 乙第3号証 登録第2022245号 商公昭62-46784号 商標:「Santa Barbara/Polo&Racquet Club」
▲2▼ 乙第4号証 登録第2220378号 商公昭62-99719号 商標:「BEVERLY HILLS/(図形)/POLO CLUB」
▲3▼ 乙第5号証 登録第2458157号 商公平2-33832号 商標:「POLOHOUSE」
▲4▼ 乙第6号証 登録第2459863号 商公平2-99993号 商標:「POLO LEAGUE/ポロリーグ」
▲5▼ 乙第7号証 登録第2349714号 商公平3-5416号商標:「MarcO’POLO」
▲6▼ 乙第8号証 登録第2511052号 商公平3-22546号 商標:「POLOMAX」
▲7▼ 乙第9号証 登録第2511053号 商公平3-22547号 商標:「POLOMASTER」
▲8▼ 乙第10号証 登録第2511054号 商公平3-22548号 商標:「I LOVE POLO」
▲9▼ 乙第11号証 登録第2703890号 商公平3-28193号 商標:「SANTA BARBARA/(馬図形)/POLO&RACQUET CLUB」
▲10▼ 乙第12号証 登録第2547305号 商公平3-49082号 商標:「U.S.POLO/ユーエスポロ」
▲11▼ 乙第13号証 登録第2589909号 商公平3-71818号 商標:「(図形)/ROYAL POLO SPORTS CLOB」
▲12▼ 乙第14号証 登録第2570515号 商公平3-118869号 商標:「US POLO ASSOCIATION」
▲13▼ 乙第15号証 登録第2455941号 商公平3-118934号 商標:「LANCEL POLO CUP」
▲14▼ 乙第16号証 登録第2686345号 商公平4-93844号 商標:「ROYAL PRINCE POLO CLUB」
▲15▼ 乙第17号証 登録第2679520号 商公平5-52818号 商標:「POLO SPORTS/OF MANCHESTER」
一見して明らかな様に、乙第3号証乃至同第17号証に係る商標は、いずれも「POLO」、「ポロ」の文字をその構成中に含む商標であり、しかも、本件商標と同じ旧第21類の「かばん、袋物」等の商品を指定商品とする商標である。すなわち、請求人の主張からすれば、前記各商標は当然に請求人の業務に係る商品と出所混同を生ずる虞があると解さざるを得なくなる商標である。
しかし、実際には、前記各商標が審査にパスし登録され、現に、「かばん、袋物」等の商品に使用されている実情から判断すれば、旧第21類の商品に本件商標を使用すれば商品の出所の混同が生ずるとする請求人の主張は、根拠のない不当なものであることは明らかである。
(5)更に、被請求人は、追加資料として乙第18号乃至同第34号証(商標公報)を提出し、旧第17類、旧第22類及び旧第23類において、「POLO」の文字を含む商標の登録例を示す。
乙第18号乃至同第34号証は、本件商標の指定商品がアパレル、時計等のいわゆるファッション商品であることを根拠として、商品の出所の混同が生ずるとした請求人の主張に対する反証である。
乙第18号証乃至同第34号証は以下の通りである。
《旧第17類》
▲1▼ 乙第18号証 登録第1617024号 商公昭56-53807号 商標:「Polo Club」
▲2▼ 乙第19号証 登録第1558114号 商公昭57-11979号 商標:「POLO MALLET」
▲3▼ 乙第20号証 登録第1766345号 商公昭59-59688号 商標:「POLO HORSE」
▲4▼ 乙第21号証 登録第1968406号 商公昭61-34851号 商標:「WATER POLO CLOB」
▲5▼ 乙第22号証 登録第2354810号 商公昭64-9676号 商標:「POLO LEAGUE/ポロリーグ」
▲6▼ 乙第23号証 登録第2295501号 商公平1-32756号 商標:「POLO HOUSE」
▲7▼ 乙第24号記 登録第2649563号 商公平3-1227号 商標:「US POLO ASSOCIATION」
《旧第22類》
▲8▼ 乙第25号証 登録第2260821号 商公昭61-37664号 商標:「BEVERLY HILLS/(図形)/POLO CLUB」
▲9▼ 乙第26号証 登録第2150487号 商公昭63-85425号 商標:「Santa Barbara/Polo&Racquet Club」
▲10▼ 乙第27号証 登録第2571113号 商公平3-22770号 商標:「POLO LEAGUE/ポロリーグ」
▲11▼ 乙第28号証 登録第2709950号 商公平4-22593号 商標:「US POLO ASSOCIATIOn」
▲12▼ 乙第29号証 登録第2535073号 商公平4-84816号 商標:「LANCEL POLO CUP」
▲13▼ 乙第30号証 登録第2657720号 商公平5-84917号 商標:「ROYAL PRINCE POLO CLUB」
《旧第23類》
▲14▼ 乙第31号証 登録第2685137号 商公平4-53708号 商標:「(図形)/WORLD POLO/CHAMPIONSHIPS」
▲15▼ 乙第32号証 登録第2608691号 商公平3-91号 商標:「POLO MALLET」
▲16▼ 乙第33号証 登録第2531968号 商公平4-79875号 商標:「LANCEL POLO CUP」
▲17▼ 乙第34号証 登録第2581475号 商公平4-145922号 商標「POLO」
乙第18号証乃至同第34号証に係る商標は、請求人の言ういわゆるファッション商品(被服、時計、眼鏡、靴)を指定商品とする商標であり、しかも、「POLO」の文字をその構成中に含むにも拘わらず、請求人以外の者が権利者となっている登録商標である。すなわち、請求人は、「POLO」の文字が著名である故に、ファッション商品について、「POLO」の文字を含む商標を使用すれば商品の出所の混同が生ずると主張しているが、旧第21類の商品よりも更にファッション性が高いと考えられる「被服」及び「靴」の分類においてさえ、前記のように「POLO」の文字を含む商標が多数登録されているのが実情である。
したがって、これら旧第17類、旧第22類及び旧第23類における過去の審査例に照らしてみても、本件商標の指定商品がいわゆるファッション商品である故に商品の出所の混同が生ずるとする前記請求人の主張も、根拠のない不当なものであることは明らかである。
(6)前記各理由により、請求人の主張が全て不当なものであり、本件商標が商標法第4条第1項第15号の規定に該当しないものであることは明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項の無効理由を有しないものである。
4 当審の判断
(1)本件審判請求は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであることを理由とするものであるところ、請求人が「アパレル、眼鏡等」に使用する商標「POLO」(以下、「引用商標」という。)が本件商標の出願前から著名性を有していることについては当事者に争いが無く、本件商標が指定商品について使用された場合、出所の混同の虞の有無、すなわち、請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品の如くその出所について混同を生ずる虞があるか否かについては、被請求人は、本件商標に係る登録異議決定を援用して本件商標が一連一体に「ポロカントリー」とのみ称呼されるものである以上出所の混同の虞はない旨(乙第1号証及び同第2号証)主張し、また、本件商標に係る指定商品分野及びファッション関連商品分野における先登録例を多数挙げて、登録例が被請求人の主張を裏付けていると答弁し、乙第1号証乃至同第34号証を提出している。
(2)本件商標に係る取引の実情について本件商標は、「ポロカントリー」及び「POLO COONTRY」の文字を上下二段に表して成るものであるところ、これを抽象的に観察したときは、一連一体に表されてなるものであることから登録異議決定のような認定判断も首肯されようが、引用商標「POLO」がアパレル(被服)、眼鏡等に使用されて、周知、著名な商標に至っているものであるから、具体的取引の実情の下において、すなわち、他人の引用商標「POLO」が著名となっている事実を踏まえて、本件商標を観察する必要がある。また、引用商標「POLO」が使用されている「アパレル(被服)、眼鏡等」と本件審判請求に係る指定商品についても、同様であって、抽象的にみたときは非類似乃至は関連性が薄い商品と言えるとしても、被服、装身具からかばん類まで一人のデザナーによるデザインなどによるトータルファッションが確立され、同一の商標の下にこれらの商品を製造し、販売して需要者の嗜好に応じている実情がある一方で、被服において周知、著名性を獲得した商標が順次、装身具、かばん類等にまで使用の範囲を拡大する傾向は顕著である。そしてこれらの商品は、いわゆるブランド商品乃至はファッション関連商品と呼ばれるものの範囲に含まれ、そこで使用される前記の商標は同一の出所を表示するものと認識されているものであり、引用商標もその一つと認められる(甲第39号証)。
(3)出所の混同の虞について 前記(2)の実情を踏まえて本件商標を観察すると、本件商標は、「ポロカントリー」及び「POLO COUNTRY」と表してなるものではあるが、「ポロ」「POLO」と「カントリー」「COUNTRY」とをそれぞれ結合したものと容易に理解されるものであるところ、全体として熟語を表したものではなく、また、これより生ずるとみられる「ポロ競技の国」の如き意味合いも特に知られたものではないから、常に一体不可分のものとみられる事情はないものと認められる。また、引用商標の使用商品「アパレル(被服)、眼鏡等」と本件審判請求に係る指定商品「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、化粧用具」とは、先に述べたいわゆるブランド商品乃至はファッション関連商品と呼ばれるものの範囲にあるものである。
してみれば、本件商標は、本件審判請求に係る指定商品「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、化粧用具」に使用したときは、他人の著名商標と同一構成からなる「POLO」及びその片仮名表示「ポロ」の部分が特に印象付けられ、「POLO」及び「ポロ」の文字に着目されて取引に供される場合も少なくないと言うべきである。
したがって、本件商標は、これを「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、化粧用具」について使用したときは、引用商標を想起乃至は連想し、請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品の如く、その出所について混同を生ずる虞があると判断するのが相当である。
(4)被請求人の主張について被請求人が主張、立証するように、「POLO」を含む登録が多数あることは確かである。しかしながら、その一方で、登録異議決定例として「OLD POLO STORY」(旧第17類、甲第8号証)、「POLOCHAMPS」(旧第17類、甲第10号証)、「POLOMATE」(旧第17類、甲第11号証)、「SHIRPOLO」(旧第17類、甲第12号証)、「ROYAL POLO SPORTS CLUB」(旧第17類、甲第13号証)、「POLOFIELD」(旧第22類、甲第14号証)、「POLOCOUMRY」(旧第17類、甲第15号証)、「PoLo Club」(旧第32類、甲第16号証)、「THE KING OF SPORTS/(図)/CROWNS POLO」(旧第21類、甲第17号証)、「POLO/(図)」(旧第17類、甲第18号証)、「CANTER POLO」(旧第17類、甲第20号証)、「The Polo Cup Challenge」(旧第19類、甲第21号証)、「The Polo Cup Challenge」(旧第21類、甲第22号証)、「ROYAL QUEENS/TEAM/POLO」(旧第21類、甲第23号証)、「Team/Polo」(旧第21類、甲第24号証)、「Polocirrcle」(旧第21類、甲第25号証)、「POLOFIELD」(旧第22類、甲第26号証)、「POLO FANTASY」(旧第23類、甲第27号証)、「U S POLO ASSOCIATION」(旧第23類、甲第28号証)、「Polocross」(旧第24類、甲第29号証)、「PoLo Club」(旧第29類、甲第31号証)、「PoLo Club」(旧第28類、甲第32号証)、「UNITED POLO」(旧第21類、甲第33号証)、「POLOTEAM」(旧第22類、甲第34号証)、「(図)/POLO」(旧第21類、甲第35号証)、「POLOCROSSE CLUB」(旧第24類、甲第36号証)、「BRITISH TRAD/(図)/POLOCLUB」(旧第21類、甲第37号証)、審決例として「PoLo Club」(旧第23類、甲第38号証)、また、判決例として「PoLo Club」(旧第23類、甲第39号証)の各商標に係る事案があり、そこではいずれも本件請求人又は同請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品の如くその出所について混同を生ずる虞があると判断されて、商標法第4条第1項第15号が適用されたものである。そして、これらの中には、被服(旧第17類)、眼鏡(旧第23類)及び靴類(旧第22類)に係る分野のみならず、本件審判請求に係る指定商品(旧第21類)に関する分野の事案も含まれ、更には食品分野(旧第28類、同第29類、同第32類)に係る事案まで出所の混同の虞があるとされている。
また、最近の東京高裁の判決例においても、他人の著名商標を含む構成に係る商標の事案として、著名商標「セゾン」を引用した商標「ギフトセゾン」に係る事案(東京高裁平成8年(行ケ)第202号 同10年3月31日判決)及び著名商標「VOGUE」を引用した商標「NOELVOGUE」に係る事案(東京高裁平成9年(行ケ)第278号 同10年9月29日判決)については審決を取り消して、また、著名商標「スーパーセブン」を引用した「スーパー7バーキン」に係る事案(東京高裁平成10年(行ケ)第335号 同11年5月19日判決)については審決を維持して、いずれも出所の混同の虞があるとして、商標法第4条第1項第15号が適用されている。
してみれば、前記3(4)及び(5〉に被請求人が挙げる登録例の存在のみでは先の認定、判断を左右することが出来ないと言うべきであり、被請求人の主張は採用できない。
5 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、化粧用具」については、商標1法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものであるから、その登録は無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-07-06 
結審通知日 1999-07-23 
審決日 1999-08-09 
出願番号 商願平2-123656 
審決分類 T 1 12・ 271- Z (121)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小宮山 貞夫 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 江崎 静雄
野上 サトル
登録日 1993-09-30 
登録番号 商標登録第2579042号(T2579042) 
商標の称呼 1=ポロカントリ- 2=ポロ 
代理人 黒岩 徹夫 
代理人 辻本 一義 
代理人 曾我 道照 

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