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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない 042
審判 全部無効 外観類似 無効としない 042
管理番号 1029617 
審判番号 審判1998-35202 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-05-08 
確定日 2000-10-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第3189080号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3189080号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機による計算処理その他の情報の処理,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守のコンサルティング,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープの貸与」(以下「本件役務」という。)を指定役務として、平成4年9月30日に使用に基づく特例の適用を主張し登録出願、同8年8月30日に特例商標として設定登録がなされたものである。
2 請求人の引用商標
(1)登録第2269853号商標(以下「引用A商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、昭和61年5月15日に登録出願、平成2年9月21日に設定登録がなされたものである。
(2)登録第2698382号商標(以下「引用B商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、平成2年2月28日に登録出願、同6年10月31日に設定登録がなされたものである。
(3)登録第4071826号商標(以下「引用C商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、平成1年10月27日に登録出願、同9年10月24日に設定登録がなされたものである。
(4)登録第2269854号商標(以下「引用D商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、昭和62年7月20日に登録出願され、平成2年9月21日に設定登録がなされたものである。
(5)登録第2269852号商標(以下「引用E商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、昭和61年5月15日に登録出願、平成2年9月21日に設定登録がなされたものである。
そして、(1)〜(5)の指定商品は、いずれも第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」とするものである。
(6)登録第912916号商標(以下「引用F商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和44年6月19日に登録出願、同46年7月29日に設定登録がなされたものである。
(6)登録第2593221号商標(以下「引用G商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、第11類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、同磁気デイスク、同磁気テープ、同光デイスク」を指定商品として、平成1年12月20日に登録出願、同5年10月29日に設定登録がなされたものである。
3 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第19号証を提出した。
(1) 本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
本件商標と引用A商標〜引用D商標、引用F商標とは、その指定役務と指定商品とが類似するものであって、商標も類似するものである。
▲1▼役務と商品の類否に関して
本件商標に係る役務、例えば「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」が提供される場合は、磁気ディスクやCD-ROM等のプログラム記憶媒体を介して提供されることが一般的である。
従って、本件商標の指定役務が提供されるときに用いられるプログラム記憶媒体と、引用A商標〜引用C商標の指定商品中の「電子応用機械器具である電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスク、磁気テープその他の周辺機器)」とは類似するものである。
また、第9類「プログラムを記憶させた磁気ディスク」と第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務は、添付した新聞・雑誌の記事等(甲第12号証)に見られるように、商品としての電子応用機械器具もしくは電気通信機械器具の記事と、役務としての電子計算機のプログラムに関する記事は、共通の新聞の紙面もしくは共通の雑誌に掲載されることが多い。例えば、コンピュータ技術者向けの月刊誌である「インターフェース」誌のソフトウエアに関する特集記事が掲載された別冊付録に、本件請求人の広告記事が掲載されている。
また、マイクロコンピュータ総合誌なる月刊誌「ASCII」にはアマチュア無線のハムフェアに関する記事が詳細に紹介されている。そこには、本件請求人を始めアマチュア無線関係の各社の商品等が紹介されている。また、会社人事・機構改革の紹介記事や役員人事の紹介記事においては、本件請求人である「アイコム株式会社」は「情報・通信」の分類もしくは「電機」の分類に掲載されている。また、システムハウス関連や各種ソフトウエアの紹介記事と同一紙面に本件請求人である「アイコム株式会社」の新商品の紹介記事が掲載されている。
このようなことからも、商品「電子応用機械器具もしくは電気通信機械器具」と、役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」は、相互に類似する商品・役務といえる。
現に、請求人が、旧第11類(新第9類)において出願した、引用G商標は登録されている。即ち、電子計算機のプログラムを想起する「ソフト」なる用語は、旧第11類(新第9類)の分野においても、商品として極めて一般的に流通しているものであり、旧第11類(新第9類)の「電子応用機械器具」、「電気通信機械器具」と、第42類の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」とは、商品と役務の用途が一致する等、明確には分離できない類似する商品・役務であると言わざるをえない。
即ち、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」なる役務が提供される場合も、「電子計算機による計算処理その他の情報の処理」なる役務が提供される場合も、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守のコンサルティング」なる役務が提供される場合も、「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープの貸与」なる役務が提供される場合も、電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、同磁気ディスク、同磁気テープ、同光ディスクを介して提供されることが一般的である。
従って、本件商標の指定役務は、引用A商標乃至引用D商標、引用F商標の指定商品と類似するものである。
▲2▼外観・称呼・観念の類否について
本件商標は、折れ線で区分された前半部分の「AIcom」なる部分からは「アイコム」もしくは「エイアイコム」なる称呼を生ずる。本件商標は、折れ線によって前半と後半とに分離されているので、本件商標は、外観上その前半が後半より注目されることは明らかである。
従って、本件商標からは「アイコム」なる称呼を生ずると認定できる。
他方、引用A商標〜引用D商標、引用F商標からは、いずれも「アイコム」の称呼が生ずる。
したがって、本件商標と引用A商標〜引用D商標、引用F商標は、称呼上類似する。
また、本件商標と引用A商標〜引用D商標、引用F商標は、外観上類似する。
従って、本件商標は引用A商標乃至引用D商標及び引用F商標と類似するものである上に、本件商標の指定役務は前記引用各商標の指定商品と類似するものである。
(2)本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
引用E商標、引用D商標は、本件商標の出願の日前において既に周知の商標である。
▲1▼周知性について
引用E商標、引用D商標は、添付した新聞・雑誌の記事等(甲第10号証)によれば、本件商標の出願の日前において既に周知の商標である。
甲第10号証は、何れも本件商標の出願前の日付であり、電波新聞や日刊工業新聞に限らず、日本経済新聞や朝日新聞等の一般的な日刊紙にも頻繁に引用E商標、引用D商標、および「アイコム株式会社」の関連記事が記載されおり、本件請求人の商号商標である引用E商標、引用D商標は、本願商標の出願前から既に周知であったことを証明している。
特に、大阪証券取引所の2部上場にあたっては、頻繁に「アイコム株式会社」に関する記事が掲載され、当業者に限らず広く一般社会に認知されるに至った。また、本件請求人の代表者が日本アマチュア無線機器工業会(JAIA)の会長に選任されたこともあって、さらに、広く認知されるに至った。2部上場の後は、甲第11号証に示すように、今日に至るまで、各紙の株式欄には継続して株価が紹介されていることはいうまでもない。
また、甲第14号証によれば、1994年(平成6年)1月号から1997年(平成9年)1月号のアマチュア無線に関する月刊誌「CQ Ham Radio」、および1998年(平成10年)3月号のマイクロコンピュータに関する月刊誌「DOS/V magazine」には、本件請求人のアマチュア無線機器に関する広告記事が、引用E商標、引用D商標とともに掲載されている。また、1997年(平成9年)8月号、及び1998年(平成10年)3月号のマイクロコンピュータに関する月刊誌「DOS/V magazine」には、本件請求人のアマチュア無線機器に関する広告やそれらの機器を制御するためのプログラムを記憶させた磁気ディスクの広告記事が、引用E商標、引用D商標とともに掲載されている。また、1997年(平成9年)9月号、及び1998年(平成10年)3月号のアマチュア無線に関する月刊誌「CQ Ham Radio」には、本件請求人のアマチュア無線機器に関する広告やそれらの機器を制御するためのプログラムを記憶させた磁気ディスクの広告記事が、引用E商標、引用D商標とともに掲載されている。
従って、引用E商標、引用D商標は、本件商標の出願前から現在に到るまで、需要者の間に広く認識されていることが明らかである。
そして、本件商標は、これらの周知の商標と類似する商標である。
4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次ぎのように答弁した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標の指定役務と引用A商標乃至引用D商標及び引用F商標の指定商品は非類似であり、当該役務と当該商品との間には、何れも類似関係がないから、出願・登録の前後関係或いは商標の類似関係を検討するまでもなく、本件商標が商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものとすることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標の指定役務と、請求人が掲げる引用D商標及び引用E商標の指定商品は、明らかに非類似である。従って、その余の点を検討するまでもなく、本願商標が、同一類似の商品・役務に対して適用される商標法第4条第1項第10号の規定に該当しない。
引用D商標及び引用E商標が周知か否か、被請求人は不知であり、仮に周知であるとしても、指定商品中如何なる商品について周知なのか、請求人はこれを示すことがなく、又、何れの証拠によっても、周知性を認めることができず、請求人主張は、失当である。
5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
▲1▼本件商標は、平成4年9月30日に出願されたものであるが、商標法等の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第4条第2項によれば、この法律の施行の日(平成4年4月1日)から6月間にした役務に係る商標登録出願については、新法第4条第1項(第11号及び第13号に係る部分に限る。)及び第8条第1項の規定は、適用しない、とされているから、本件商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとする請求人の主張は、無効事由にならない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、別紙に示すとおり、「AIcom」と「AI&communication」の欧文字を折れ線によって左右に区切った構成よりなるところ、構成中の「AIcom」の文字も独立して自他役務の識別標識の機能を有し、これより「アイコム」の称呼が生じるものである。
他方、引用E商標は、「アイコム」の文字よりなり、また、引用D商標は、別紙に示すとおり、「ICOM」の「I」の文字の上に「○」を付した態様よりなるものであり(以下、「引用D商標」及び「引用E商標」をまとめて「引用商標」という。)、これより「アイコム」の称呼が生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標は、外観及び観念の点を考慮しても、「アイコム」の称呼を共通にする類似の商標である。
しかしながら、請求人が提出した甲第10号証〜甲第12号証、甲第14号証及び甲第19号証をみると引用商標が「通信機器」に使用して周知であると認められるとしても、本件商標の指定役務と「通信機器」は、非類似のものである。また、請求人は、本件役務と請求人の業務に係る「プログラムを記憶させた磁気ディスク」等との類似性を主張するが、両者は、取引の対象、取引の形態、流通経路等を異にする非類似のものというのが相当である。
(3) したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第10号に違反して登録されたものとはいえないから、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別記


審理終結日 1999-08-23 
結審通知日 1999-09-07 
審決日 1999-09-17 
出願番号 商願平4-267424 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (042)
T 1 11・ 251- Y (042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 芦葉 松美鈴木 幸一 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 平松 和雄
大渕 敏雄
登録日 1996-08-30 
登録番号 商標登録第3189080号(T3189080) 
商標の称呼 1=アイコム 2=アイアンドコミュニケーション 3=エイアイアンドコミュニケーション 4=エイアイ 
代理人 杉本 巌 
代理人 北村 仁 
代理人 杉本 勝徳 
代理人 松田 雅章 

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