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審決分類 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) 111
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) 111
管理番号 1029187 
審判番号 審判1998-35545 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-11-07 
確定日 2000-11-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第1743013号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1743013号の指定商品中、「『AVMシステム(車両位置等自動表示システム)用の商品、その部品及び附属品』以外の商品」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1743013号商標(以下「本件商標」という。)は、「AVM」の文字を横書きしてなり、昭和50年3月9日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同60年1月23日登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を概要以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第38号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)無効事由
(イ)本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
(ロ)本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当し、同法第46条第1項第5号により、無効にすべきものである。
(ハ)本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
(二)本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、同法第46条第1項第5号により、無効にすべきものである。
(2)無効原因
本件商標を構成する「AVM」の文字は、「タクシー会社などで電波を利用して、運行中の車両の位置と動態(実車・空車などの活動状況)を配車センターで自動的に把握し、効果的な運行、適切な配車指令で業務の合理化・効率化を図るシステム」である「車両位置等自動表示システム」の「車両位置等自動表示(Automatic Vehicle Monitoring;AVM)」を意味する語として広く一般的に使用されているので、本件商標をその指定商品中「車両位置等自動表示システム」について使用するときは、単に商品の品質、用途、使用の方法を表示するにすぎず、前記商品以外の「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)、電気材料」について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるので、本件商標は、商標法第4条第1項第16号の規定に該当する。
また、本件商標を商品「車両位置等自動表示システム」について使用するときは、単に商品の品質、用途、使用の方法を表示するにすぎず、このような商標は、通常、商品を流通過程または取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めるのは妥当ではなく、また、多くの場合に一般的に使用されるものであるから、このような商標に自他商品の識別力を認めることはできないものである。すなわち一私人に独占を認めることが妥当ではなく、自他商品の識別力を認められない本件商標についての商標登録が存在する事実は、需要者の利益を損なうものであるので、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
いずれにしても、本件商標に係る商標登録は、同法第46条第1項第1号又は第5号の規定に基づき、登録無効を免れないものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を概要以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
本件商標は、指定商品によっては、商標法第3条第1項第3号に該当する場合がありうるものと思料します。しかし、商標法第3条第1項第3号は、設定登録の日から5年を経過した後は、除斥期間(第47条)に該当するため、無効審判の請求理由とすることが認められない規定であります。したがって、本件商標が、仮に商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、登録無効の請求は認められないものであると思料します。なお、商標法第47条の規定は、商標登録が過誤によってなされたときでも、一定の期間無効審判の請求がなく、平穏に経過したときは、その既存の法律状態を尊重し、維持するために無効理由たる瑕疵が治癒したものとしてその理由によっては無効審判の請求を認めないとするものであります。これに加え、添付の平成7年8月31日付「Multi AVM System操作マニュアル」の目次(写し)(乙第2号証)及び平成9年1月17日付御見積書(乙第3号証)にて明らかなとおり、被請求人は本件商標を継続して使用しており、本件商標には、保護すべき業務上の信用が化体しているものであると思料します。また、本件商標を維持することが、公序良俗に反することとなることの特別な事情の存在については、被請求人は不知であります。

4 当審の判断
甲第2号証ないし甲第37号証によれば、タクシー会社などで電波を利用して、運行中の車両の位置と動態(実車・空車などの活動状況)を配車センターで自動的に把握し、効果的な運行、適切な配車指令で業務の合理化・効率化を図るシステムのことを「AVMシステム【Automatic Vehicle Monitoring System】(車両位置等自動表示システム)」と称して広く普通に使用している事実、また、「AVM」の表示だけでも「AVMシステム」と同じ意味を表すものとして普通に使用している事実が認められる。そして、甲第2号証ないし甲第11号証によれば、本件商標が登録された当時、既に「AVMシステム」及び「AVM」は、前記の意味の語として広く普通に使用されていたものと認めることができる。 そうすると、本件商標は、その指定商品中に含まれている「AVMシステム(車両位置等自動表示システム)用の商品、その部品及び附属品」について使用しても、商品の用途、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであって、自他商品の識別機能がなく、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標とするのが相当であり、商標法第4条第1項第16号に該当し、登録できないものとすべきところ、過誤により登録されたものということができる。
次に、請求人は、本件商標はその登録時において商標法第4条第1項第7号に該当していた、また、その登録後に同号に該当するものとなっているので、その登録を無効とすべき旨主張しているので判断する。
この点の主張について請求人が示している登録を無効とする根拠は、結局、本件商標は、商品の品質、用途、使用の方法を表示するにすぎず、自他商品の識別力がないものであって、一私人に独占を認めることが妥当ではないという理由及び自他商品の識別力がない本件商標が登録されていることにより、需要者の利益が損なわれるという理由であると認められる。しかし、最初の理由は、実質的には本件商標が商標法第3条の規定(商標法第3条第1項第3号該当)に違反して登録されたことを理由としているというほかないものである。ところが、商標法第3条の規定違反を理由とする商標登録の無効審判の請求は、商標法第47条の規定により、商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は、請求することができないところ、本件審判請求は、本件商標が登録されてから5年を経過した後になされているものである。また、第2の理由については、請求人は、具体的に需要者の利益が損なわれている事実又は損なわれるおそれがあるとすべき格別の事由を示すことなく、このように主張するのみである。
したがって、この点の請求人の主張は、採用できない。
以上のとおりであり、本件商標は、その登録時において、その指定商品中の「AVMシステム(車両位置等自動表示システム)用の商品、その部品及び附属品」以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生ずるおそれがあったものであり、商標法第4条第1項第16号に該当し登録できないとすべきところ登録されたものであるから、その指定商品中、「AVMシステム(車両位置等自動表示システム)用の商品、その部品及び附属品」以外の商品についての登録は、同法第46条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。
その余の指定商品については、本件商標の登録を無効とすべき理由はないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-08-23 
結審通知日 2000-09-05 
審決日 2000-09-19 
出願番号 商願昭57-19041 
審決分類 T 1 11・ 22- ZC (111)
T 1 11・ 272- ZC (111)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 青木 俊司 
特許庁審判長 佐藤 敏樹
特許庁審判官 村上 照美
上村 勉
登録日 1985-01-23 
登録番号 商標登録第1743013号(T1743013) 
商標の称呼 エイブイエム 
代理人 廣瀬 峰太郎 
代理人 西教 圭一郎 
代理人 杉山 毅至 
代理人 竹内 三喜夫 

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