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審決分類 審判 全部無効 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 無効としない 042
管理番号 1029183 
審判番号 審判1998-35580 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-11-20 
確定日 2000-11-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4089480号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第第4089480号商標(以下、「本件商標」という。)は、「JAPAN OUTSOURCING INC.」の文字を横書きしてなり、第42類「求人情報の提供,建築物の設計,測量,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,通訳,翻訳,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,機械・装置若しくは器具又はこれらの機械(装置)等により構成される設備の設計(建築・土木に係る設計を除く。),電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするための高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,社会保険に関する手続の代理,製図用具の貸与」を指定役務として、平成7年10月12日登録出願、同9年12月5日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第27号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、「JAPAN OUTSOURCING INC.」の欧文字を横書きしてなるものである。しかしながら、「INC.」の語は「INCORPORATED」の略語であって英語において法人格を表わす語として普通に用いられているから、「INC.」は「Co.」や「Co.,Ltd.」などと同様に扱われるべきものである。また、「JAPAN」が「日本」を意味する英語であり、著名な地理的名称(行政区画名)であることは明らかである。そして、「OUTSOURCING」の語は、我が国でも「(業務の)外部委託」といった意味合いで「アウトソーシング」の片仮名表記とともに普通に用いられている。
(2)「OUTSOURCING」は英語であって、我が国では「アウトソーシング」と片仮名表記され、「業務の一部を他社に委託すること」という意味で使用されている(甲第2号証)。
そして、甲第3号証は通産省作成の資料「我が国におけるアウトソーシングの現状とその背景」であり、甲第4号証は社団法人ニュービジネス協議会作成の資料「アウトソーシングに関するアンケート調査結果報告書」、甲第5号証は財団法人雇用情報センター作成の資料「アウトソーシング等社外資源の活用に関する調査研究報告書」である。即ち、官庁や公益団体がその資料中で「アウトソーシング」の言葉を上記した意味合いで用いている。
また、これらの事業は「アウトソーシング産業」(甲第3号証)、「アウトソーシング・ビジネス」などと呼ばれている(甲第5号証)。これらは、「アウトソーシング」がいわゆる業種名を表示するものとしても用いられている例である。
更に、他の企業が外部に委託する業務を受託して処理することを専門とする事業所が増えるに伴い、「アウトソーシングサービス」「アウトソーシング会社」といった用語も普及してきている(甲第9号証、甲第10号証、甲第11号証の1、甲第11号証の3、甲第11号証の7、甲第11号証の9、甲第15号証の1、甲15号証の2、甲第20号証)。
上記各甲号証の記載は、「アウトソーシング」が外部委託業務を受託して処理することを専門とする事業についての業種名となっていることを示している。
(3)本件商標の指定役務には、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を典型として、外部委託の対象となるものが多く含まれている。したがって、それらの役務について「OUTSOURCING」(アウトソーシング)の語は「業種名」に相当し、単に当該役務に関する外部委託を受託して処理する者であることを認識させるに止まるものである。
したがって、業種名に著名な地理的名称(JAPAN)と法人格を表す語(INC.)を結合してなるにすぎない本件商標は、全体として、ありふれた名称であるから、商標法第3条第1項第4号にいう、ありふれた名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当する。
また、仮に「OUTSOURCING」、「アウトソーシング」の語が業種名として通用するまでには至っていないとの前提に立ったとしても、業務の外部委託を意味する言葉として定着していることは上述のとおりであるから、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」等の役務に使用しても、単に受託により当該役務を提供することを認識させる(即ち、役務の提供の方法を認識させる)に過ぎず、識別力がないことは明らかである。
そうとすれば、本件商標はいずれにしても識別力のない言葉を単に組み合わせたものに止まり、ありふれた名称というほかない。
(4)答弁に対する弁駁
被請求人は「JAPAN」を含む商標の登録例を挙げているが、被請求人が指摘する登録例は、その殆どが全体として識別力のあることが明らかな商標であって、本件商標のように、行政区画名と業種名とを結合してなる会社名とは著しく事情が異なる。
被請求人は、「特許庁商標課編『商標審査基準』で、ありふれた名称でないものとして『日本タイプライター株式会社』や『日本鉱業株式会社』等が挙げられている。」と主張しているが、これらの名称は、「行政区画名と業種名とを結合してなる会社名については、普通に採択されうる名称である場合でも、他の同一のものが現存しないと認められるときは、この限りでない。」との但し書きに該当する場合の例として示されているものである。とすれば、被請求人は、本件商標もこの但し書きに該当するものであると主張しているのに他ならず、その前提として、「アウトソーシング」、「OUTSOURCING」が業種名であるとの請求人の主張を認めていることになる。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決をを求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
(1)本件商標には十分な識別力があり、商標法第3条第1項第4号に該当しない。特許庁商標課編「商標審査基準」にも、ありふれた名称でないものとして、「日本タイプライター株式会社」や「日本鉱業株式会社」等が挙げられている。
また、本件商標と同じ第42類において「JAPAN」を含む商標が数多く登録されている。これらの商標も識別力が認められ登録された登録例からも本件商標に識別力があることが裏付けられる(乙第1号証ないし乙第9号証)
(2)請求人は、本件商標について登録異議申立てを行っている。
その申立理由は本件の請求理由とほぼ同様であった。
そして、特許庁における審理の結果、本件商標は十分に識別力を有するものと判断され、本件商標の登録を維持する旨の決定がされている(乙第10号証参照)。
このことからも、本件商標が識別力を有し、登録を受けられるものであることが裏付けられる。
以上のように、本件商標は、識別力を有している。

4 当審の判断
(1)本件商標は、「JAPAN OUTSOURCING INC.」の欧文字を横書きしてなるものである。
しかして、請求人の主張するように、その構成中「JAPAN」が「日本」を指称する英語であって、著名な地理的名称(国名)であり、「INC.」が「INCORPORATED」の略語であって、法人格を表す英語として、我が国においても普通一般に使用されていることは認め得るところである。
次に、請求人の提出した各甲号証を徴するに、「OUTSOURCING」、「アウトソーシング」の語は、「(業務の)外部委託、業務の一部を他社に委託すること」等の意味合いで用いられていることが認められる。
さらに、上記した外部委託業務を受託して処理することを専門とする事業を「アウトソーシング産業、アウトソーシング・ビジネス、アウトソーシングサービス、アウトソーシング会社」等の名称を使用し、業務内容を表示するものとして使用されている事実も認められる。
ところで、商標法第3条第1項第4号でいう「ありふれた名称のみからなる商標」とは、業種名、著名な地理的名称(行政区画名、国名を含む。)等に「INC.」、「Co.」、「Co.,Ltd.」等を結合してなる商標は本号に該当するものとしても、行政区画名と業種名とを結合してなる会社名については、普通に採択されうる名称でも、他に多数同一のものが現存しないときは本号に該当しないものと解するのが相当である。
しかして、本件商標は、行政区画名(国名)である「JAPAN」の文字と業種名と理解され得る「OUTSOURCING」の文字と法人格を表す「INC.」の文字とを結合してなる会社名であり、かつ、請求人の提出した各甲号証をみるも、本件商標と同一の名称が存在する証左も見あたらない。
そうとすれば、本件商標は、ありふれた名称のみからなる商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第4号に違反して登録されたものでないから、本件商標の登録は、商標法第46条第1項の規定により無効とすべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-08-10 
結審通知日 2000-08-22 
審決日 2000-09-05 
出願番号 商願平7-105948 
審決分類 T 1 11・ 14- Y (042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 芦葉 松美
高野 義三
登録日 1997-12-05 
登録番号 商標登録第4089480号(T4089480) 
商標の称呼 ジャパンアウトソーシングインコーポレーテッド、ジャパンアウトソーシング、アウトソーシング 
代理人 中村 敦子 
代理人 村瀬 裕昭 
代理人 鈴木 知 
代理人 岩田 哲幸 
代理人 池田 敏行 
代理人 一色 健輔 
代理人 原島 典孝 
代理人 小玉 秀男 
代理人 岡田 英彦 
代理人 長谷川 哲哉 

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