• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 112
管理番号 1029180 
審判番号 審判1999-30260 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-03-01 
確定日 2000-10-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第2629317号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2629317号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和62年12月7日に登録出願され、別掲に表示したとおりの構成よりなり、 第12類「カヤック」を指定商品として、平成6年2月28日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
商標法第50条第1項及び同法第53条の2の規定により、本件商標の登録を取り消すとの審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
(1)本件商標は、その指定商品「カヤック」について、今日に至るまで継続して3年以上にわたり、被請求人によって使用されていない。また、本件商標の登録原簿には専用使用権或いは通常使用権の設定登録がなされていないことのみならず、他に被請求人の許諾を受けて前記商品について本件商標を使用している者も見出し得なかった。したがって、本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、前記商品について使用をしていないものである。
(2)さらに、請求人は、アメリカ合衆国等において、本件商標と同一又は類似の商標について同一又は類似の商品に関し、商標権を有する者である。そして、被請求人は、請求人の代理人であったところ、正当な理由もないのに、請求人の承諾も得ずに、本件商標について商標登録出願をしたものである。
この点、宣誓供述書(甲第1号証)によれば、1971年から1997年半ばまでオーシャン カヤックインコーポレイテッドの共同経営者であったティモシー アルバート ニミヤーは、1987年半ばから少なくとも1989年まで、被請求人が商標「OCEANKAYAK」を付した製品の日本における代理人であったと証言している。被請求人は本件商標の出願の時点又は出願日前1年以内に日本における代理人の地位を有していたことは明らかである。因みに、オーシャン カヤックインコーポレイテッドは現在では請求人に買収されている。
(3)被請求人は、本審判請求の請求日は平成11年3月1日であり、商標法第53条の2に基く審判請求に関する除斥期間後の請求であるから不適法である旨主張するが、本件商標に関する商標法第53条の2の審判請求期間は、該登録商標にかかる商標権の設定登録日である平成6年2月28日から5年後の平成11年2月28日であるところ、この日は行政機関の休日に関する法律第1条第1項各号に掲げる日に該当し、請求期間の末日は同年3月1日となる。したがって、商標法第53条の2に基く本審判請求は適法なものである。
(4)被請求人は、乙第1ないし第3号証を提出し、本審判の請求の登録前3年以内に本件商標を使用している旨主張するが、これら乙各号証によっては、本件商標がその指定商品に使用されている事実は立証されていないと言うべきである。
まず、乙第1号証の1の「株式会社横浜商会発行のオーシャンカヤックの販売パンフレット」は発行年月日が記載されておらず、これを本件商標の使用の証拠として採用することはできない。
次に、乙第2号証の1は、川崎三菱自動車販売株式会社港北営業所による証明書であり、乙第2号証の2は同社ショールーム内を撮影した写真の写しであると答弁書に記載されている。そして、乙第2号証の2にある写真には、平成11年6月26日及び同年7月6日に撮影されたものであることの記録があり、これは本審判請求の登録日(平成11年3月23日)以降に該当し、また、答弁書によれば、該写真は、川崎三菱自動車販売株式会社港北営業所内を撮影したものであるとあるが、該写真からは、撮影されているショールームが該営業所のものであるとは特定できない。したがって、該写真を本件商標の使用の証拠として採用することはできない。
さらに、乙第3号証の1ないし3は、答弁書によれば本件商標を付した商品の物品受領書と代金受渡記録とあるが、これらの物品受領書には「オーシャンカヤック」と記載されているのみであり、「オーシャンカヤック」の表示のみをもって本件商標を使用しているとの主張は到底認めることができない。
(5)以上より、本件商標の登録は、商標法第50条第1項及び同法第53条の2の規定により取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第3号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)商標法第53条の2の審判は、除斥期間があり、商標権の設定登録の日から5年を経過した後は審判請求できないこととなっている。
ところが、本審判請求の請求日は、設定登録日より5年を経過している。したがって本審判請求は、除斥期間後の請求であるから不適法であって、棄却されるべきものである。
(2) 被請求人は、自己が経営する株式会社横浜商会に対しカヤックについて登録商標の使用を許諾しており、同社は本件商標の通常使用権者に該当する。
しかして、株式会社横浜商会(以下「使用権者」という。)は、平成6年2月28日に本件商標の登録後、日本国内において、本件商標をカヤックについて継続して使用しており、この使用の事実を立証するために、乙第1ないし第3号証を提出する。
使用権者は、平成10年6月ごろに都内、川崎、横浜の各自動車販売会社の本社及びその各営業所に対し、使用権者の販売商品であるカヤック(商品名;オーシャンカヤック)のショールームでの展示販売を依頼するために、同商品のパンフレットを添付したダイレクトメールを郵送した。
その際に使用権者が用いたパンフレットが乙第1号証の1であり、ダイレクトメールの本文が乙第1号証の2である。そして上記パンフレットには、本件商標が明瞭に付されている。なお、郵送先は100以上あった。
本件商標を付したカヤックは、平成10年9月ごろより現在に至るまでの間、使用権者の販売依頼に基づき、川崎三菱自動車販売港北営業所(横浜市都築区桜並木20-15)のショールームにおいて宣伝販売のために展示されており、その間に同商品が販売された事実がある。
乙第2号証の1は、それらの事実を立証するために川崎三菱自動車販売港北営業所長が発行した2通の証明書であり、また乙第2号証の2は、同社のショールーム内のカヤックを撮影した写真であり、更に乙第2号証の3は、同社から使用権者へのカヤックの注文書の写しである。
乙第2号証の2の写真Aには、展示車両のルーフに搭載されるカヤックが、また写真Bには、ショールームのガラス越しに展示されるカヤックがそれぞれ認められ、また写真Cには、カヤックの船体上面に付された本件商標が明瞭に認められる。
上記ショールームでのカヤックの展示販売に際しても、乙第1号証の1のパンフレットが使用された。
また、使用権者は、本件商標を付したカヤックを商品名「オーシャンカヤック」として平成9年3月、同年6月、同10年8月に販売した。
乙第3号証の1ないし3は、それらの販売の際の物品受領書と代金受渡し記録(領収書控え又は銀行口座の出納記録)の写しであり、上記物品受領書にはそれぞれ購入者の受領の際のサイン又は印鑑が付されており、また、商品名が「オーシャンカヤック」と明記されている。これらのカヤックの販売に際しても、乙第1号証の1のパンフレットが使用された。また、その販売商品のカヤックは、乙第2号証の2の写真A〜Cに撮影されたものと同じものであり、その船体上面には本件商標が明瞭に付されていた。
以上の証拠から明らかなように、本件商標の使用権者である株式会社横浜商会は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を指定商品、カヤックについて使用した事実がある。
したがって、商標法第50条の規定による取消請求も、また、棄却されるべきものである。

4 当審の判断
(1)まず、本件審判請求が商標法第53条の3に規定する除斥期間経過後の請求であるか否かについてみるに、商標法第53条の2に規定する審判請求については、同法第77条において準用する特許法第3条第2項の規定が適用されるものと解される。そして、本件商標に係る商標権は平成6年2月28日に設定登録されたこと上記のとおりであって、本件商標に関する商標法第53条の2に規定する商標登録取消審判請求の除斥期間の末日は、平成11年2月28日であったところ、同日は日曜日であって、特許法第3条第2項に規定する行政機関の休日に関する法律第1条第1項各号に掲げる日に当たるから、その日の翌日、平成11年3月1日が該審判請求の除斥期間の末日と認められる。本件審判請求は平成11年3月1日に請求されたものであり、その除斥期間内に請求されたものといわなければならない。
しかしながら、請求人は、本件商標は商標法第53条の2に該当するとして宣誓供述書(甲第1号証)を提出したものの、本件商標が同条の規定により取り消されるべき要件、例えば、「パリ条約の同盟国において商標に関する権利を有すること」、「本件商標の登録出願前1年以内に被請求人が請求人の代理人であったこと」等について客観的かつ具体的に立証する証拠を提出していないので、上記宣誓供述書のみによって、本件商標の登録が同条の規定に該当するものであるとすることはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第53条の2の規定により取り消すべき限りでない。
(2)被請求人の提出に係る乙第2号証「証明書」によれば、平成10年9月より、川崎三菱自動車販売株式会社港北営業所(以下「港北営業所」という。)のショールームに、本件商標と社会通念上同一性を有する商標の付されたカヤック(カヌー)が宣伝、販売のために展示されている旨証明がされ(乙第2号証の1)、かつ、平成10年9月に通常使用権者と認められる株式会社横浜商会(以下「横浜商会」という。)は港北営業所から「オーシャンカヤック」の注文を受けた(「注文書」乙第2号証の3)ことからすると、「カヤックと自動車」を撮影した写真(乙第2号証の2)は、港北営業所のショールームを撮影したものであって、平成10年9月よりこれに類した方法によりショールームに展示されていたものと推認することができる。
また、乙第3号証(枝番を含む)によれば、横浜商会は、オーシャンカヤックを、平成9年3月及び6月並びに平成10年8月に販売した事実が認められ、かつ、取引書類に記載されている「オーシャンカヤック」の文字は、「OCEAN KAYAK」の欧文字を含む本件商標と社会通念上同一性を有するといえるものである(商標法第50条参照 )。
以上の事実を勘案し、商品カタログ(乙第1号証の1)に「OCEAN KAYAK」「オーシャンカヤック」と記載され、また、乙2号証の2の写真(C)のカヤックに付されている文字と図形からなる商標と同一性を有する商標が掲載されている点を考慮すれば、該商品カタログは、平成9年ないし同10年の取引の際に、或いは、平成10年6月のダイレクトメールを送付する際に使用されたものと解しても何ら不自然な点はない。そして、該商品カタログは、カヤックについて本件商標と同一性を有する商標が使用されていることが認められるものである。
そうすると、本件商標は、審判請求の登録前3年以内に我が国において、通常使用権者によりその指定商品について使用されていたものといわざるを得ないから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本件商標

審理終結日 2000-05-17 
結審通知日 2000-05-26 
審決日 2000-06-08 
出願番号 商願昭62-136152 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (112)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 江崎 静雄高山 勝治 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 寺光 幸子
関根 文昭
登録日 1994-02-28 
登録番号 商標登録第2629317号(T2629317) 
商標の称呼 オーシャンカヤック、オーシャン 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 仁木 一明 
代理人 大賀 眞司 
代理人 落合 健 
代理人 田中 克郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ