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審決分類 審判 一部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z09
管理番号 1029064 
審判番号 審判1999-35609 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-10-29 
確定日 2000-10-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4295999号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4295999号の指定商品中「消防車,自動車用シガーライター」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4295999号商標(以下「本件商標」という。)は、「FINE」の欧文字(標準文字による商標)を横書してなり、平成9年12月5日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,レコード,メトロノーム,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,潜水用機械器具,家庭用テレビゲームおもちゃ,電動式扉自動開閉装置」を指定商品として、平成11年7月16日に設定登録され、現在有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標は指定商品中「消防車,自動車用シガーライター」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第5号証を提出した。
(1)無効事由
本件商標の指定商品中「消防車,自動車用シガーライター」は、商標法第3条第1項第3号もしくは第6号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
(2)無効原因
本件商標は、その指定商品中の「消防車,自動車用シガーライター」の品質もしくは形状を普通に用いられる方法で表示するに過ぎないものであるとともに、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である。
本件商標は、英文字「FINE」を横一連に書した構成よりなる(甲第2号証)。英文字「FINE」は日常「ファインプレー」「ファインアート」等のように使われており今日の英語教育の普及度から考えて広く一般に知られている語で半ば日本語化した語といえる。その辞書的な語義は、「すばらしい、立派な、快晴の」等を意味する形容詞であるとともに、工業技術の分野においては「細かい、精巧な」の意味でも用いられている(甲第3号証)。
このような語義を有する本件商標を、指定商品中の「消防車,自動車用シガーライター」に使用した場合、需要者・取引者は当該商品の性能がすばらしいものであり、その精度が高いものであると容易に認識するものと考えられる。商標使用者が、本件商標を商品に使用する場合は、その商品が優れていることを表わすために用いるのが自然であることから、当該商標を付した商品に接した需要者等が上記のように性能が優れ高い精度を有している商品であると認識することは当然のことである。
したがって、本件商標は単に商品の質を表示するに過ぎないものであることから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
「FINE」は商品の内容、性能を具体的に特定するものではないから、商標法第3条第1項第3号には該当しないとの反論も考えられ得る。
しかしながら、「FINE」は性能の優れていることを一般に表わすことから、性能を具体的に特定するものではないとしても、商品の形状を表示するものといえる。
したがって、仮に商標法第3条第1項第3号に該当しないとしても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといえるので、商標法第3条第1項第6号に該当する。
次に、本件審判請求に係る商品「消防車,自動車用シガーライター」は、特許庁商標課編に係る「類似商品・役務審査基準」によると第12類の「自動車並びにその部品及び附属品」に類似する商品とされている。
この「自動車」が属する産業分野においては、「FINE」、「ファイン」は、前記のように「細かい、精巧な」の意味で用いられている(甲第3号証)。
これらの商品において、その性能・精度は購入に際して極めて大きな役割を果たすことから、それを端的に表わす語として「FINE」「ファイン」が広く使われている。
このように、「FINE」「ファイン」の語は、自動車及びその関連する業界においては誰しもかその使用を望む語であり、広く使用が欲せられているものといえる。
したがって、かかる性質の語の登録を自動車に関連する商品に対し一個人に認めることは、商標法第3条第1項第3号もしくは第6号の趣旨からも許されるべきものではないと考える。
以上に述べたように、本件商標の指定商品中「消防車,自動車用シガーライター」は、商標法第3条第1項第3号もしくは第6号に該当するものであり、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。

3 被請求人の答弁
被請求人(商標権者)は、本件審判の請求に対して、何ら答弁するところがない。

4 当審の判断
本件審判の請求は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号該当を理由に本件商標の登録に係る指定商品中の一部の商品(「消防車,自動車用シガーライター」)について、その無効を求める請求である。
そして、無効請求に係る「消防車,自動車用シガーライター」は、その用途、機能又はその生産、流通等の取引事情からみて、いずれも輸送を主目的とする各種自動車又はその部品・附属品というべき機械器具類に包摂されるものと認められる。
そこで、本件商標(「FINE」)をこの種商品の取引事情に照らし検討するに、請求人の提出に係る甲第3号証(株式会社山海堂平成8年発行自動車用語中辞典「ファイン(fine)」の項)の用語解説に示されているとおり、該語は当業界において「立派な、細かい、精巧な」の意味合いで普通に用いられる語と認められる。
また、「FINE」の語は、「見事な、すばらしい、立派な、優秀な」等の意味合いをもって世人一般に親しまれている平易な英語であって(株式会社研究者1983年発行「新英和中辞典」等より)、「ファインプレー」(選手の演じる妙技や美技)等の如く優れたものであることを表す語として社会一般において常用される状況にあることはすでに顕著な事実と認められる。
そうすると、本件商標をその指定商品中の「消防車,自動車用シガーライター」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該商品が精巧で優れたものであること、すなわちその品質(機能)を誇示したものと理解するに止まり、それをもって、自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、商標法第3条1項3号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
そして、この点を述べる請求人の主張に対して、被請求人は何ら反論するところがない。
したがって、本件商標の登録は、結論掲記の商品について、商標法第46条第1項により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-08-07 
結審通知日 2000-08-18 
審決日 2000-08-30 
出願番号 商願平9-183306 
審決分類 T 1 12・ 13- Z (Z09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 原 隆
特許庁審判官 宮川 久成
野口 美代子
登録日 1999-07-16 
登録番号 商標登録第4295999号(T4295999) 
商標の称呼 ファイン 
代理人 小田 治親 

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