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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない 003
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない 003
管理番号 1028756 
審判番号 審判1998-9708 
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-06-22 
確定日 2000-09-26 
事件の表示 平成 8年商標登録願第 12161号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、下記に示すとおりの構成よりなり、第3類「香料類,化粧品(香料を含む),せっけん類,歯磨き,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,つや出し布,靴クリーム,靴墨」を指定商品として、平成8年2月13日登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、『本願商標は、フランス国パリに存在する「サン-ジェルマン大通り」に沿う同名の教会前広場を表す「SAiNT GERMAiN DES PRES」の文字の構成よりなるものであるが、当地は観光地として広く知られていることから、本願商標が付された商品に接する需要者には「商品の産地、販売地の表示」であると認識されるに止まるとするのが相当であるから、本願商標をサン-ジェルマン大通り及びその近郊で製造・販売された商品に使用したときは、単に、商品の産地、販売地を表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1号第3項に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1号第16項に該当する。』として、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張
1)本願商標は、デザインした欧文字「SAiNT GERMAiN DES PRES」よりなる。欧文字からなる商標は、ローマ字読みを原則とする。我が国のフランス語の普及度に照らせば、本願商標に接した通常の需要者が、本願商標を「サンジェルマンデプレ」を表すフランス語であると理解することは出来ない。フランス語は、表記と発音が一致しない言語であって、通常人には発音の難しい言語である。
従って、本願商標がパリ市内の地域である「サン-ジェルマン-デ-プレ」を意味するものと理解されることはない。
よって、本願商標がパリ市内の地域である「サン-ジェルマン-デ-プレ」を意味するものと容易に理解されるという前提判断は誤りである。
2)加えて、甲第2号証の示すとおり、「Saint Germain des Pres(サンジェルマンデプレ)」は、修道院及び教会の名前であり、また、パリ市内の地区(第6区)の名前であるが、同地区は、「新医学校及び芸術学校、また、実存主義の時代に有名となったカフェを含む」地区であり、1950年代及び1960年代には文学の世界においてのみ評判を有していたものであり、フランスにおいて、化粧品特に香水の生産地又は販売地として認識されていたことは一度もないものである。尚、甲第2号証は、フランスで最も大きな「ラルース大百科事典」であり、最も権威のあるものである。即ち、「サン-ジェルマン-デ-プレ」は、本願商標の指定商品に属する商品の産地又は販売地ではないし、我が国においても、かかる商品の産地又は販売地として認識されているものではない。「サン-ジェルマン-デ-プレ」は、我が国においては、パリの一地域として認識されているに過ぎない。「ボルドー」がワインの生産地であると認識されているような意味で、産地又は販売地として認識されているものではない。
従って、本願商標は、本願商標の指定商品の産地又は販売地を示したものではない。
3)事実、フランスにおいて、本願商標と同一態様の商標が、第3類に、化粧品等を指定商品として、本願出願人の出願に基づき、何ら拒絶理由通知を受けることなく、登録されている(甲第3号証)。従って、本願商標が、フランスにおいてすら、本願の指定商品の産地、販売地を表示するものと認識されてはいない。
従って、本願商標が産地販売地を表示するものではないことは、明らかである。
4)加えて、本願商標は、書体に特徴があり、かつ、頭文字の「S」、「G」、「D」及び「P」のみ著しく大書し、「i」のみ小文字を用いている。従って、本願商標は「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる標章」でもない。
5)更に、パリ条約第6条の5は、「本国において正規に登録された商標は、本条に別段の規定のある場合を除き、他の同盟国においても、そのままその登録を認められかつ保護される」(A(1))と規定しており、このパリ条約の規定に照らしても、本願は登録さるべきものである。旨主張している。

4 当審の判断
よって判断するに、本願商標は、下記に示すとおりの構成よりなるところ、フランス国パリ市のパリ最古のサン-ジェルマン-デ-プレ教会を中心とした地域を表すもので、界隈には、歴史のあるカフェー、ブティック、化粧品店等が集まり、芸術家が住んでいる街、また、流行のファッションを身につけたマダムたちがさっそうと行き交うところでもあり、有名なことから日本人には著名な観光地として広く知られているところである。
そうとすれば、下記に示すとおりの構成よりなる本願商標をその指定商品中、例えば「化粧品」に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、「サン-ジェルマン-デ-プレ」において、生産された商品または販売されている商品と、その商品の産地、販売地を認識させるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められる。
請求人は、デザインした欧文字で表したもので、同文字は、ローマ字読みを原則とする、旨主張するが、昨今、広告技術の進展に伴って、いわゆるロゴタイプの英文字を図案化するなどして顕著に表現する手法は決して珍しいことではなく、それをもって直ちに特殊態様のものとはいい難く、また、上記のように日本人や外国人観光客の観光コースに取り入れられことも少なくなく、よく知られている地域であり、また、本願商標の指定商品である「化粧品」等に係る取引者、需要者においては、フランス語で読まれることも、決して少なくないものと認められる。
また、日本人や外国人の観光客等の観光コースの一つであることを考慮すれば、洋服や化粧品等をフランス国観光のお土産等にすることも少なくないものと認められるから、日本人よりみれば産地、販売地と認められる。
さらに、パリ条約第6条の5A(1)は、「本国において正規に登録された商標は、この条で特に規定する場合を除くほか、他の同盟国においても、そのままその登録を認められかつ保護される」と規定されておるが、本願商標に同条が適用されるか否かは別としても、同第6条の5A(1)は、その例外としての規定「この条で特に規定する場合を除く」とあり、これを同第6条の5B2に、「当該商標が、識別性を有しないものである場合又は商品の種類、品質、数量、用途、価格、原産地若しくは生産の時期を示すため取引上使用されることがある記号若しくは表示のみをもって、若しくは保護が要求される国の取引上の通用語において若しくはその国の公正な確立した商習慣において常用されるようになっている記号若しくは表示のみをもって構成されたものである場合」と設けられているものである。
したがって、請求人の主張は採用できない。

5 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、パリ産の化粧品等の商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1号第16項に該当するとして拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本願商標


審理終結日 2000-04-06 
結審通知日 2000-04-18 
審決日 2000-05-08 
出願番号 商願平8-12161 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (003)
T 1 8・ 13- Z (003)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 江崎 静雄
大島 護
商標の称呼 サンジェルマンデプレ 
代理人 佐藤 睦美 
代理人 佐藤 雅巳 

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