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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない 025
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない 025
審判 全部無効 称呼類似 無効としない 025
審判 全部無効 商3条柱書 業務尾記載 無効としない 025
審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない 025
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない 025
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 025
管理番号 1025515 
審判番号 審判1999-35106 
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-03-09 
確定日 2000-09-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4113386号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1本件商標
本件登録第4113386号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ROCK DIESEL」の欧文字を書してなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成8年9月20日に登録出願、同10年2月13日に設定登録がなされたものである。

2請求人の引用商標
引用登録第2273385号商標は、「DIESEL」の欧文字を書してなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和63年4月18日に登録出願、平成2年10月31日に設定登録がなされたものである。同じく、引用登録第3252866号商標は、「DIESEL」の欧文字を書してなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴 」を指定商品として、平成5年10月27日に登録出願、同9年1月31日に設定登録がなされたものである(以下、まとめて「引用商標」という。)。

3請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第10号証を提出した。
(1)請求人の調査した範囲においては、本件商標の商標権者が本件商標の指定商品に係る業務を行っている事実は発見できなかった。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品について使用する商標」の要件を具備しない。
(2)本件商標は、引用商標と類似し、指定商品も抵触する。本件商標は、「ROCK」と「DIESEL」の語を単に羅列した商標であり、「ロックディーゼル」と一連にのみ称呼すべき特別の理由はないから、簡易迅速を尊ぶ商取引の場においては、本件商標からは、「ディーゼル」の称呼が生ずる可能性があると言える。特に、引用商標が世界的に著名になっている点を考慮すれば、その可能性は極めて高いものといえる。
そうとすれば、本件商標は、引用商標と「ディーゼル」の称呼を共通にする称呼上類似の商標といえる。
したがって、本件商標は、引用商標と称呼上類似する商標であり、指定商品も抵触するから、法第4条第1項第11号に該当する。
(3)請求人は、イタリアで設立された会社で、「かばん、靴、被服」等のファッション関連商品に、引用商標を10年以上に亙り世界的に使用している。日本では、1990年より三菱商事株式会社及び株式会社ワールドとの提携により、引用商標を付した「かばん、靴、被服」等のファッション関連商品が販売され、現在では、大阪市中央区南仙波2-7-11に住所を有する株式会社パンドラを通じて日本で販売されており、新聞や雑誌にも頻繁に広告・宣伝・紹介されている。
引用商標は、日本では、国際分類に基づく新分類3,9,14,16,17,18,25類、日本分類に基づく旧分類17,21,25類において出願公告又は登録されており、外国では、英国、米国、カナダ、韓国、台湾、フイリピン、シンガポールで登録されている。
以上より、請求人の引用商標が、本件商標の出願日前より、我が国において、「かばん、靴、被服」等のファッション関連商品の商標として著名になっていたことは明らかである。
本件商標と引用商標が称呼上類似することは、(2)で述べたように明らかである。
また、引用商標の使用商品も本件商標の指定商品とファッション関連商品という意味で抵触・近似するものである。
よって、本件商標は、請求人の著名商標と類似し、その商品も抵触・近似し、本件商標は請求人の商標のただ乗りに該当するから、法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当することは明らかである。
(4)本件商標は、請求人の著名な略称である「DIESEL/ディーゼル」を含むから、法4条1項8号に該当する。
(5)本件商標は、請求人の使用する引用商標の名声にただ乗りするものであるから、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する。
(6)以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備せず、同法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同19号、同8号及び同第7号に該当する商標でありその登録は無効とされるべきである。

4被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次ぎのように答弁し、証拠方法として乙第1号証乃至乙第5号証を提出した。
(1)請求人は、被請求人の所有する本件商標及び登録第4113385号商標(DIESELVOX)に対し、本件無効審判請求と同一理由及び同一甲号証でもって、商標登録異議の申立を行っており、これに対して、請求人の異議の申立は理由がないものとして、本件商標及び前記登録商標は、登録を維持する旨の決定を受けているものである。
したがって、請求人の請求はその前提において理由がないものである。
(2)請求人の引用商標は、元来ドイツの発明家の略称として、又「ディーゼルカー」「ディーゼルエンジン」として、古くから我が国において一般大衆に親しまれておるうえに、永年、我が国の世界に冠たる大企業が社名の略称及びその商標として、「ヤンマーデイーゼル」「日産ディーゼル」「ディーゼル機器」なる標章を使用し、これが著名周知性を獲得していることは明らかである。
したがって、独自性がなく、自他商品識別力が乏しい引用商標が、個別的商品の商標としてその周知性を確立するためには、継続的かつ強力な広告宣伝と一定規模以上の販売量が確保されない限り、既に存在している著名周知の同一又は類似の標章を超越し、引用商標が、我が国において、需用者をして周知ならしめることは極めて困難であるといわざるを得ない。
しかし、本件商標の出願日前における、請求人の広告宣伝とその販売数量は、これを充足せしめるに至っていないことは明らかである。
(3)請求人は、引用商標が、本件商標の出願日前より、我が国において、「かばん、靴、被服」等のファッション関連商品の商標として著名になっていたと主張しているが、しかし、引用商標は、1999年7月14日現在においても、特許庁ホームページ「日本国周知、著名商標検索」掲載の商標として掲載されていないものである。
(4)さらに、請求人は、本件商標の商標登録異議申立事件の平成10年9月14日付手続補正書(乙第4号証)において、引用商標を使用したかばん、靴、被服等の我が国での売上は、下記のとおりであることを述べているが、かかる微少の販売量と売上高では、引用商標が本件商標の出願時に取引業者間のみならず一般消費者間においても、その周知性を確立していたとはいえないものである。

1995年 1000個 7百万円
1996年 8000個 5千万円
(5)してみれば、請求人の引用商標は、本件商標の出願時及び登録査定時のいずれの段階においても、我が国において、「かばん、靴、被服」等の商標としてその周知性を確立していないことは明らかである。
よって、本件商標は商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第19号、同第8号、及び第7号のいずれの規定にも該当しないものである。

1 当審の判断
(1)商標法第3条第1項柱書について
請求人は、請求人の調査した範囲においては、本件商標の商標権者が本件商標の指定商品に係る業務を行っている事実は発見できなかったとしているが、この主張のみよっては、商標権者が本件商標を自己の業務に係る商品について使用をしないとまでは認定し得ないし、本件商標に係る出願の願書の出願人の業務欄に出願人が本件商標を使用する意思として指定商品に関する業務を記載しているのであるから、この主張は、採用できない。
したがって、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとはいえない。
(2)引用商標の著名性について
請求人提出の甲第1号証の新聞記事の写しには、新聞名、発行日が表示された部分が表されていないか、あるいは、それらが手書きで記載されたものであり、甲第1号証が請求人の主張するとおりに発行されたものであるとしても、いずれも、本件商標の出願日以降のものであり、さらに、これらには、「ディーゼル」「伊・ディーゼル社」の文字は表されているが、「DIESEL」の文字の記載はみられない。
また、甲第2号証の雑誌広告の写しは、広告等が掲載された頁に雑誌名と何月号かを記載したものであって発行年が明らかでない(1997年9月号「FINE BOYS」を除く)。
さらに、甲第2号証が請求人の主張するとおりに発行されたものであるとしても、本件商標の出願日前の雑誌広告は、1996年のみであり、その中の1996年4月号「POPEYE」、1996年5月号「SMART」、1996年4月号及び7月号「ASAYAN」、1996年4月号「CAZICAZI」は、引用商標の使用が明らかでなく、1996年7月号「LIGHTNING」は、「ディーゼル」の文字の使用であり、出願日以前で引用商標が使用されているのは、1996年8月号「VIVI」の広告のみである。
してみれば、甲第1号証及び甲第2号証によっては、「ディーゼル」、「DIESEL」、「Diesel」の標章が「被服、かばん、靴」について使用されていることが認められるとしても、引用商標が、本件商標の出願時に我が国において、請求人の業務の係る商品を表示するものとして広く認識されていたものとも認められないし、また、請求人の著名な略称であるとも認められない。
さらに、甲第3号証乃至甲第5号証を併せみても、引用商標が本件商標の出願時に外国における需要者の間で広く認識されていたものとは認められない。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上記のとおり、まとまりよく一連一体に書してなり、これより生ずると認められる「ロックディーゼル」の称呼も冗長でなく、かつ、上記(2)で認定の如く、引用商標が本件商標の登録出願時に、請求人の業務に係る商品「かばん、靴、被服」等を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであるから、ことさら本件商標の後半部「DIESEL」の文字部分を捕らえ、これより生ずる「デーゼル」の称呼をもって商取引に資するものとはいえない。
そうとすれば、本件商標よりは、「ロックディーゼル」の称呼のみが生ずるものであり、「デーゼル」の称呼が生ずる引用商標とは、称呼上類似しない。
また、本件商標と引用商標は、上記のとおりであるから外観上区別し得るものである。観念においても、本件商標は、特定の観念を有しない造語よりなるものであるから、観念においては比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標は、その称呼、外観及び観念のいずれにおいても類似しないものである。
(4)商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号について
引用商標が本件商標の出願前より我が国又は外国において広く認識されていることを前提とする、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号に関する請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(5)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、出願前に広く認識されていたとは認められない引用商標にただ乗りしたとも考え難く、請求人は、本件商標は、請求人の使用する引用商標の名声にただ乗りするものであると主張するのみで、なんらの立証もなされていないから、これを採用することができない。
(6)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備しないものではなく、さらに、同法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号の規定に違反して登録されたものではないから、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-03-06 
結審通知日 2000-03-21 
審決日 2000-04-13 
出願番号 商願平8-106709 
審決分類 T 1 11・ 23- Y (025)
T 1 11・ 18- Y (025)
T 1 11・ 271- Y (025)
T 1 11・ 25- Y (025)
T 1 11・ 22- Y (025)
T 1 11・ 262- Y (025)
T 1 11・ 222- Y (025)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 平松 和雄
大渕 敏雄
登録日 1998-02-13 
登録番号 商標登録第4113386号(T4113386) 
商標の称呼 ロックディーゼル 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 
代理人 中田 和博 

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