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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z09
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z09
管理番号 1025467 
審判番号 審判1998-18605 
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-11-24 
確定日 2000-08-18 
事件の表示 平成 9年商標登録願第181610号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別掲に示すものとし、第9類「火災報知機、ガス漏れ警報器、盗難警報器、消火栓、スプリンクラー消火装置、消火器、誘導灯、電気通信機械器具、電子応用機械器具」を指定商品として、平成9年12月2日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、「本願は、その指定商品中に例えば『火災報知機』などの商品を含んでいるが、その種の商品の中には建築物の天井等に設置され、煙などの感知により火災を知らせるタイプもあるところ、これらの商品には円形を基調としたものも多数存在することをも勘案するならば、この本願商標は、このような商品のひとつの形状と認識し得るものであることから、これをその指定商品中、例えば、『火災報知器』などの商品に使用したときは、その商品の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
また、特許法等により保護されている技術的思想の創作等に係る形状について重ねて又はその権利消滅後商標登録することにより保護することは知的財産制度全体の整合性に不合理な結果を生ずることとなる。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲に示した構成のとおり、上部に取付ネジを有し、防虫網を備え、その防虫網を介して進入した煙を感知することのできるスポット型煙感知器の形状の一形態を表したものとみるべきであって、これを指定商品中「煙感知器」について使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状を表示したものと認識するにすぎないと判断するのが相当である。また、これを前記以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
(3)請求人は、本願商標は、いわゆるUFO型のような2段構造ではなく、煙感知器に必要不可欠な形状とは非常に異なる旨主張する。
しかしながら、本願商標に係る煙感知器の形状が他社の製品のものとは異なる新規な形状を示してはいても、それは専ら、商品の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであることは前記(1)で述べたとおりであり、それをもって直ちに本願商標に関し自他商品の識別性に影響を与えるものとは認め難く、これに接する取引者・需要者もまた、煙感知器の形状の範囲のものと認識するに止まり、前示の形状をもって同種商品との自他商品の識別標識として機能するとは認め難いと言うべきである。

4 結 論
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標

審理終結日 2000-06-07 
結審通知日 2000-06-20 
審決日 2000-07-03 
出願番号 商願平9-181610 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Z09)
T 1 8・ 13- Z (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 林 栄二 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 寺光 幸子
宮川 久成
代理人 黒岩 徹夫 
代理人 曾我 道照 
代理人 岡田 稔 

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