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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 016
管理番号 1021251 
審判番号 審判1997-18725 
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-10-29 
確定日 2000-06-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第3100976号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3100976号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3100976号商標(以下「本件商標」という。)は、後記のとおりの構成よりなり、第16類「印刷物」を指定商品として、平成5年2月2日に登録出願され、同7年11月30日に設定登録がなされたものである。
第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、「本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第15号証(枝番号を含む)を提出している。
2 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同法第4条第1項第7号、同法第4条第1項第8号、同法第4条第1項第10号及び同法第4条第1項第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効とすべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性
請求人所有に係る登録第673178号商標(以下、「引用商標(イ)」という。)は、後記のとおりの構成よりなり、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品、ただしこの商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く。」を指定商品として昭和38年2月4日出願、同40年4月12日登録、その後同52年1月18日、同60年5月15日、平成8年3月28日の三回に亘り商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく、同第673179号商標(以下、「引用商標(ロ)」という。)は、後記のとおりの構成よりなり、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品、ただしこの商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く。」を指定商品として昭和38年2月4日出願、同40年4月12日登録、その後同52年1月18日、同60年5月15日、平成8年3月28日の三回に亘り商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく、同第944088号商標(以下、「引用商標(ハ)」という。)は、後記のとおりの構成よりなり、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として昭和44年7月8日出願、同47年1月14日登録、その後商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「写真」についてはその登録を取り消す旨の審決(平成9年審判第16893号)が確定(平成11年3月18日)、昭和57年4月30日、平成4年10月29日の二回に亘り商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく、同第3091527号商標(以下、「引用商標(ニ)」という。)は、後記のとおりの構成よりなり、第41類「人材能力開発の技術と知識の教授」を指定役務として平成4年9月30日出願、同7年10月31日登録されたものである。
同じく、同第3091528号商標(以下、「引用商標(ホ)」という。)は、後記のとおりの構成よりなり、第41類「人材能力開発の技術と知識の教授」を指定役務として平成4年9月30日出願、同7年10月31日登録されたものである。
同じく、同第3138449号商標(以下、「引用商標(ヘ)」という。)は、後記のとおりの構成よりなり、第41類「人材能力開発の技術と知識の教授」を指定役務として平成4年9月30日出願、同8年3月29日登録されたものである。
同じく、同第3174259号商標(以下、「引用商標(ト)」という。)は、後記のとおりの構成よりなり、第41類「人材能力開発の技術と知識の教授」を指定役務として平成4年9月30日出願、同8年7月31日登録されたものである(以下、これらをまとめて「引用各商標」という。)。
引用商標(イ)、同(ロ)、同(ハ)は、いずれも「デールカーネギー」の称呼を有し、いずれもその指定商品中「印刷物」を含むものである。これに対して、本件商標の前半は「ディル・カーネギー」であって、「ィ」は長音としてみることができるから、この部分は引用商標(イ)〜(ハ)と同一の称呼ということができる。そして後半の「プログラム」は、「(a)物事の予定、番組などをしるしたもの(b)組合せ・順序、計画・筋など書いたもの(c)電子計算機に処理させる仕事の手順や計算方法を一定の形式に従って特定の言語で書いたもの」等を意味する。本件商標は印刷物を指定商品とするが、例えば書籍について上記「プログラム」の文字は(a)および(b)の語義のとおりの内容をもつ書籍であることを示すに過ぎないものであり、(c)の語義についてもその内容を記載した書物であることを示すに過ぎない。さらに、「プログラム学習」との用語があることから、学習方法の一である。この点は、能力開発のための講座を提供し、この講座に関連する書籍を刊行する被請求人の業務がまさに学習方法を提供することそのものである。従って、「プログラム」の文字は商品印刷物について単にその内容を表示するもので、自他商品識別機能を有しない文字ということができる。してみれば本件商標の要部は「ディル・カーネギー」の部分にある。従って、本件商標は引用商標(イ)〜(ハ)に類似し、その指定商品は引用商標の指定商品に含まれる。
引用商標(ニ)は「DALE CARNEGIE COURSE」よりなるが、請求人は人材能力開発の技術と知識の教授を指定役務とし、このため各種講座を提供することを業務としている。「COURSE」の文字はこのような講座そのものを示す文字であり、それ自体指定役務についての普通名称であって、その要部は「DALE CARNEGIE」にある。引用商標(ホ)は、「デール・カーネギー」の片仮名文字、同(ヘ)は「Dale Carnegie」の欧文字よりなる。また同(ト)の署名体の部分は同商標の一独立要素となる。上記いずれの商標も「デールカーネギー」の称呼を有し、本件商標はこれら引用商標(ニ)〜(ト)とも類似する。引用商標(ニ)〜(ト)の役務である各種講座において、教科書、参考書、指導書、問題集等の印刷物は必須の商品であって本件商標の指定商品である印刷物は、引用商標(ニ)〜(ト)の指定役務に類似する。
従って、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するにも拘らず登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性
請求人会社を創設したアメリカ合衆国市民、故デール・カーネギーは人材能力開発を目指した教室教育方法を創案し、1912年頃からアメリカ合衆国において各種の講座を開設した。講座で取り上げる主題は、「効果的なコミュニケーション」「効果的な話し方」「記憶力の増進」「効果的なプレゼンテーション」「問題の解決法」「ストレスの克服」「時間の管理」「職員と消費者の関係」「経営管理」「勇気の持ち方」「自己信頼と指導力」「販売技術」等であった。これらの講座は、強く支持され、高く評価され、今日ではアメリカ合衆国の主要都市に請求人会社の教室が常設されるに至っている。さらに海外からも同様の講座に対する要望が寄せられ、現在世界70か国以上の国で請求人会社の講座が開かれるに至っており、これらの講座は「デール・カーネギー・コース」として知られている。1912年以来、数百万人の人がこれらの講座を終了している。請求人の講座は、その卓越した内容と品質の故にアメリカ合衆国で非常に高く評価された。アメリカ合衆国における高い評価に伴って、日本国を含む他の国々においても高い評価を受ける結果となり、これらの国々においても「DALE CARNEGIE」の表示は名声を得るに至った。日本においては、1962年に株式会社ジャバンインスチチュートがライセンスド・スポンサーになり講座が開設され、1994年9月にライセンスド・スポンサーがバンボテンシア株式会社に変更され現在に至っているものであるが、30数年間継続して活動が行われてきた。この間、講座を無事終了した者は60,000名以上にのぼる。
被請求人は、請求人と同じく、人間能力の開発のための教育及び方法を提供し、さらにこの主題に関係する書籍その他の図書を刊行するという事業活動を行ってきたことが明らかである。即ち、被請求人は請求人と競業関係にある。被請求人は「Dale Carnegie」の表示が、請求人創業者であり、その事業を示す表示であり、同表示が創設者の正当な承継人である請求人によって承継されている事実を知っていたことが十分に推論することができる。さらに、被請求人は、明らかに、請求人の前記表示が世界的に著名な商標であることを知っており、そうであれば、被請求人は不正の目的をもって本件商標を登録したものといわざるを得ない。被請求人は「Dale Carnegie」の表示を含む、さらに、すべて例外なく「CARNEGIE」の表示を含んだ多くの商標登録出願を行っている。これらの商標を採択するに当たり、被請求人は著名な「DALE CARNEGIE」の名称を意識していたことは明らかである。何故ならば、被請求人自身自己の発行に係る前記小冊子の中で故DALE CARNEGIEにつき述べており、DALE CARNEGIEによる能力開発のノウハウに言及し、更にDALE CARNEGIEの著作物の翻訳にも言及している事実が認められるからである。そして当然被請求人は、請求人が前記Dale Carnegieの商標および著作物の正当な承継人であることを知っていると推論することができる。このような状況下で本件商標の登録出願並びに商標の登録出願を行ったのである。このような行為は、DALE CARNEGIEの名声を無償で利用して利益を得ようとする行為であって、不正の目的をもって本件商標を登録したことに他ならない。上に詳述した事実から、本件商標は不公正な競争を目的として登録されたものというべきであり、このような行為は公正な競争によって産業の発展を目指す商標法の目的に沿わないものである。このような行為は、公の秩序を害するおそれがあり、商標法第4条第1頃第7号に該当するにも拘らず登録されたものである
(3)商標法第4条第1項第8号該当性
請求人の名称は“Dale Carnegie & Associates,Inc.(デール カーネギー アソシエーツインコーポレーテツド)であり、このうち 「&」「Associates」(仲間の意)および「Inc.」(法人であることを示す文字)はいずれも多くの会社がその企業形態等を示すために常時用いる通有性のある文字であって、残余の「Dale Carnegie」にのみ独自性の特色がみられる。従って、「Dale Carnegie」は、その名称の略称となるものである。この略称は本件商標の出願のあった1993年当時、すでに請求人の略称として著名であった。しかしデール・カーネギーの事業の承継者である請求人は、この名称の被請求人による使用を承諾した事実はない。
(4)商標法第4条第1項第10号該当性
請求人がその事業内容である各種講座について、すなわち効果的な話し方等の方法についての教授という役務について、長年「DALE CARNEGIE」の表示を日本を含む世界の国々で使用したこと、その結果、同表示は請求人の業務である役務を表示するものとして、本件商標の登録出願のあった平成5年当時それらの国ですでに著名であったことが明らかである。ところで、前記役務の提供にあたって、教材、書籍、参考書等の印刷物が必須の資料であることは、一般人の経験するところである。実際に、請求人も教材としての印刷物を発行している(第4号証及び同第5号証)し、被請求人も同様に各種印刷物を発行するとともに、関連会社を通じて多くの書籍を刊行している(甲第6号証の1及び2)。
上記事実に基づき、請求人は、刊行物が各種講座を提供する役務と類似すると主張したい。そうとすると、本件商標は引用商標に類似し、請求人の役務と類似する刊行物について使用するものであり、しかも引用商標は世界的に著名である事実により、商標法第4条第1項第10号に該当するものといわなければならない。
(5)商標法第4条第1項第15号該当性
請求人は、その引用商標が人材能力開発の技術と知識を提供する役務について、本件商標の登録出願前より世界的に著名であった事実を指摘し、甲第7号証によりこれを立証した。請求人はさらに商品印刷物が上記役務に深く関連し、同役務と類似することを指摘した。請求人は、さらに被請求人が請求人と同様の業務に従事すること、そして「Dale Carnegie 」又は「Carnegie」又はそれらの片仮名表現を同人の業務について用いていること、請求人創設者に言及したり、その創設者についての著作の翻訳をしていること、これらの文字を含む商標登録出願をしたこと、等の事実を指摘した。これらの事実から、被請求人が本件商標をその指定商品印刷物に使用すると、需要者はその商品が請求人により扱われたものか、請求人の許諾を得て扱われたものであるかのように誤認し、その結果、商品出所の混同を生ずるおそれがあると言わざるを得ない。被請求人代表者は請求人の「Dale Carnegie」の表示が著名であることを認め、その上で「本書を読まれ、さらに成功を収めたいという方には、自己開発プログラム(ナポレオン・ヒル・プログラム)の活用をおすすめする。」と述べている。前記プログラムは被請求人の販売するものであるから、他人の名声を利用して自己の利益を得ようとする被請求人の意図が明示されている。換言すれば、被請求人は商品或いは役務の出所の混同を創出する行為を行っており、本件商標の登録はその意図に沿うものと解される。
3 請求の理由補充
請求人は、さらに件外、平成9年(ヨ)第22024号仮処分命令申立事件において、東京地方裁判所が平成10年4月8日付で仮処分決定をなした事実につき述べる。前記仮処分命令申立は、債権者ドロシー・カーネギー(本件請求人の設立者デール・カーネギーの相続人)他(本件請求人を含む)と債務者株式会社エス・エス・アイ(本件被請求人)他を当事者とし、債権者の有する著作権及び著作権法に基づく差止請求権並びに不正競争防止法に基づく差止請求権によって求められた。裁判所は、債務者がその営業上の施設又は活動に、「SSI D・カーネギー・プログラムス」その他「デール・カーネギー」、「D・カーネギー」「カーネギー」、「DALE CARNEGIE」、「Dale Carnegie 」、「D・CARNEGIE」、「D .Carnegie」、「CARNEGIE」、「Carnegie」を含む表示を使用してはならない旨命じた。前記決定は、請求人が有する不正競争防止法に基づく差止請求権を裁判所が認めたことに他ならない。この決定は、請求人の有する「DALE CARNEGIE」、「CARNEGIE」などの表示の著名性を裁判所が認めた結果である。したがって、この決定は本件審判事件において請求人が主張する著名性を裏付けるものである。
4 答弁に対する弁駁
本件審判請求は、商標法第46条の規定する無効理由に従ってなされたものであり、デール カーネギーの著作権はすでに消滅している旨の被請求人の主張によっては影響を受けるものではない。
(1)著作権については被請求人の主張は明らかに誤っている。本件商標は「デール・カーネギー」ではなく「ディル・カーネギー」を含むものである点は認めるが、いずれも称呼はほとんど同一であり、互いに類似する。何より、両者が、同一の著名米国人を意味するものであることは明白であり、被請求人は本件商標の出願にあたり、ことさら称呼の一部に差異を設けたものと推測される。識別力が強くないのは「プログラム」の部分である。したがって、本件商標「ディル・カーネギー・プログラム」は引用商標(イ)〜(ハ)に類似する。各種講座において使用する必須の商品である印刷物等との間に同一又は類似の商標が使用されており、しかも印刷物の提供者も、役務の提供者もともに出版物を扱い、講座を行い、さらに出版物や講座の内容が人間能力の開発という共通のものであるという条件がそろっている場合において、需要者は前記商品は前記役務の提供者によって頒布されたものと思うものである。
本審判事件は商標法第46条の規定により行っているもので、著作権を理由とするものではないが、被請求人の主張は明らかに誤りである。請求人が申立てた東京地裁平成9年(ヨ)第22024号仮処分命令甲立事件においては、平成10年4月8日付けで、仮処分決定が下されている。なお、この仮処分決定に対し、被請求人は保全異議の申立てを行ったが(東京地裁平成10年(モ)第5120号)、平成10年9月21日付けで、被請求人は自ら保全異議を取下げている。
(2)被請求人は「DALE CARNEGIE」の表示が印刷物の商標としても、著作権者名としても殆ど知られていないと述べている。しかし、被請求人代表者によって訳され、騎虎書房発行の書籍「運命を動かした男、デール・カーネギー」の訳者あとがきに、「彼(デール・カーネギー)はそれらのノウハウを基にして、今では世界的にその名を知られている「話し方コース」という講座を開講し、多くの受講生がそこで学んだ。」と述べているのである。「その名」というのは他ならぬ「Dale Carnegie」「デール・カーネギー」なのではないのか。請求人は「世界的にその名を知られている」ことを著名であると理解するものである。そして、「講座」というのは他ならぬ請求人が現に世界70数か国で行っている講座そのものを指すものと理解する。講座の名が知られている、ということは請求人の役務が知られているということであり、該役務に密接に関連して用いられるパンフレット、教材「小冊子等に同じ表示が使用されるときは、前記表示は直ちに需要者の記憶に留められ、このような表示は印刷物についても周知・著名となる。つまり、本件商標を登録する行為は、商業倫理に欠けるという視点からなされた問題である。
(3)被請求人は請求人名称を「Dale Carnegie’s & Associates,Inc.」として論じているが、「Dale Carnegie’s」ではなく「 Dale Carnegie」である。「 Dale Carnegie & Associates,Inc.」は、著作権者であった故デール・カーネギーの氏名を営業に関する表示として使用する権利を承継したのであり、同表示を使用して「デール・カーネギー・コース」等の教室教育事業を承継し、自ら実施し、日本を含む世界70数か国のライセンシーを通じて実施してきたのである。請求人がすでに提出した甲第4号証、同第5号証は、請求人の日本における使用権者により日本語で作成された資料であり、長年多数の受講者や受講希望する可能性ある顧客に配布されたもので、そこに表示されている「デール・カーネギー」の片仮名文字は創始者デール・カーネギーを示すばかりでなく、講座および講座で使用される教材の商標として、さらに、これらを提供する主体を指すものとして理解されるものである。よって、日本国においては、「DALE CARNEGIE」のローマ字表示のみならず、これに相応する「デール・カーネギー」の片仮名表示も本請求人の略称として使用されてきているというべきである。営業主体がその名称中に同じ表示を使っているのであるから、それが同名称の著名な略称となることは、極めて自然な成り行きというべきである。
(4)被請求人は、本件商標の指定商品「印刷物」は引用商標の「知識の教授」を含む役務とは非類似であるとの立場に基づき答弁するが、この点請求人の主張と異なるものである。前記「教授」等の役務を提供する際に、役務の目的とする内容を説明したり、関連する内容を含む教材、参考書等を用いてなされなければ満足にはなされない。高校や大学の授業や、各種講習会の講習等においても同じであることは、日常一般に経験するところである。また、被請求人の印刷物である書籍等でとり上げる内容は、人間能力の開発方法に関するものであり、請求人の業務と同一又は類似のものである点も考慮されることが望ましい。その場合に混同のおそれが増大するであろうことは、被請求人目身、「デール・カーネギー アンド アソシエイツ社の商品と区別するため本件商標等を採択使用している」と述べている程である。さらに、被請求人たる商標権者と請求人たる引用商標使用者の業務の類似性も検討されなければならない。これらを総合的に考察するならば、引用商標と類似する本件商標を「印刷物」に使用したときも、引用商標を使用する「知識の教授」と出所の混同を生ずるおそれがあることは認められなければならない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。
引用商標(イ)〜(ハ)は、使用されていないので、現在商標法第50条第1項の規定による審判を請求中のものであるし、またデール・カーネギーの著作権は既に消滅しているものであるから、申立人の上記主張は、全くの失当と言うほかはない。
(1)引用商標(イ)〜(ハ)は、いずれもデール・カーネギ一の称呼が生ずるが、「デール・カーネギー」自体は、後記するように既に33年以上前に消滅した著作権の著作者の名前であり、デール・カーネギーの著作権であることを明らかにするための目的であるなら、何人も使用できるものであるから、識別力がそれほど強いというものでもない。本件商標は、「デール・カーネギー」を含むものではなく、「ディル・カーネギー」を含むものである。また請求人は、「デール・カーネギー」という使用の仕方はしているが、「ディル・カーネギー」という使用の仕方は全くしていない.しかも、本件商標は、「ディル・カーネギー・プログラム」であり、「デール・カ-ネギー」自体それほど識別力が強くないことを考慮すれば、引用商標(イ)〜(ハ)とは十分区別できるものであるから、両者は非類似の商標である。
また、引用商標(ニ)は、「DALE CARNEGIE COURSE」であり、本件商標の「ディル・カーネギー・プログラム」とは非類似の商標であること明らかであるが、更に指定役務も本件指定商品とは非類似である。この点に関して請求人は、各種講座において、教科書、参考書、指導書、問題集等の印刷物等は、必須の商品であるから、本件商標の指定商品は、引用商標の指定役務に類似すると主張しているが、これは全くの暴論というほかはない。飲食物の提供の役務が、飲食物の指定商品と類似すると主張しているのと同じである。同様に引用商標(ホ)〜(ト)は、第41類を指定役務とするものであるから、本件第16類の指定商品印刷物とは、指定商品が非類似である。従って、本件商標と引用商標(イ)〜(ト)とが非類似の商標であること明らかである。被請求人の調査によれば、引用商標(イ)〜(ハ)は、その指定商品について、継続して3年以上現在に至るまで、日本国内において.使用された事実は存しない。従って、本件被請求人は、平成9年9月29日付けで、引用商標(イ)〜(ハ)について、商標法第50条第1項の規定による審判を請求した。
デール・カーネギーの著作物の著作権が既に33年以上前に消滅し、現在では公産であり、誰でも実施できる状態のものである。本件被請求人は、デール・カーネギーの著作権は消滅していると確信しているが、この解釈を巡って現在東京地裁で裁判になっている。
(2)商標が著名であるというためには、どういう標章がどういう指定商品について使用されたのかが問題となる筈である。請求人の主張は、講座に使用しているということであるが、これは「知識の教授」であり、本件商標の指定商品「印刷物」とは非類似である。また、デール・カーネギーは、「人を動かす」という本を書いたということで著名であると主張しているようであるが、これは商標として、著名ということではなく、著作権者として著名と主張していることである。日本において著作権者としても商標権者としても著名でないことは、「DALE CARNEGIE」が本件「印刷物」の日本における指定商品の取引者、需要者に殆ど知られていないことから、明らかなことである。また請求人は、被請求人の代表者自身、「DALE CARNEGIE」の表示を著名なものとして認めていると主張しているが、これは誤りである.被請求人の代表者は、「DALE CARNEGIE」の著作物を評価しているにすぎない。更に、請求人は、被請求人が「DALE CARNEGIE」の表示を含む商標出願を行っていると主張しているが、これも誤りである。「DALE CARNEGIE’S」を含む商標出願は行っているが、「DALE CARNEGIE」を含む出願は行っていない。また、請求人は、「あたかも被請求人が「DALE CARNEGIE」「デール・カーネギー」等の表示を使用する権利を所有しているかのようにみせる行為をしている」旨主張している。本件被請求人は、既に33年以上前に著作権の消滅したしたデール・カーネギ一の著作物の実施をしているものであるが、デール・カーネギーの著作物であることを間接的に表示すると共に、デール・カーネギー アンド アソシエイツ社の商品と区別するために、本件商標等を採択使用しているものである。要するに著作権は消滅しているし、登録商標を使用しているわけであるから、何ら問題のないこと明らかである。被請求人は、既に著作権の消滅した「Dale Carnegie」の著作物を翻訳し、これを教育目的に使用しているに過ぎないのであるから、本件商標は何ら不正な競争を目的として登録されたものではない。従って、本件商標が、商標法第4条第1項第7号に該当しないこと明らかである。
(3)「Dale Carnegie」というのは、著作権者の名前であり、請求人の名称の略称であるとは認められないし、ましてそれが著名な略称であるとは、到底認めることができない。しかも、「&」「Associates」「Inc.」を全て除いたとしても「Dale Carnegie’s」であって、「Dale Carnegie」になるわけでもない。更に、本件商標は「ディル・カーネギー」は含むが「Dale Carnegie」は含まない。従って、本件商標が、商標法第4条第1項第8号に該当しないこと明らかである。
(4)請求人の行って来た講座は、本件指定商品「印刷物」とは、非類似の第41類の「知識の教授」に属するものであるから、その他のことを問題とするまでもなく、商標法第4条第1項第10号に該当しないこと明らかである。商標法第4条第1項第10号は、同一若しくは類似の商品若しくは役務にしか適用されないからである。しかも、デール カーネギー コース等の講座名自体周知であるとは到底認められないが、仮に百歩譲って周知であると仮定しても、「DALE CARNEGIE」が出願人の商標として周知ということにはならない。
(5)「DALE CARNEGIE」というのは、著名な商標とは到底認められないし、既に33年以上前に消滅した著作権者の名前であり、誰でもDALE CARNEGIEの著作物であることを表示するために使用できるものであるから、著名な商標になどなり得る筈のないものでもある。この点に関して、請求人は、刊行物と「知識の教授」とが類似する旨主張しているが、これが全く理由のないことは、前記した通りである。しかも、デール カーネギーの著作権は既に消滅しているものであるから、著作権者に承諾を受ける必要など全くないものでもあるし、何人も使用できるものでもあるから、著作権を明らかにするために「デール カーネギー」を含む商標を使用しても、出所の混同など生じる筈ないものでもある。従って、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当しないこと明らかである。
(6)被請求人提出の乙第1号証から明らかなように、本件被請求人は、裁判所の仮処分決定には到底承服し得ないので、現在仮処分異議で争っているところである。
(7)請求人は「なお、この仮処分決定に対し被請求人は保全異議の申立てを行ったが、平成10年9月21日付けで被請求人は自ら保全異議を取り下げている。被請求人の行為は問題があると被請求人自身認めていることといわねばならない。そうでなければ、仮処分決定に対する保全異議の取下げなどする訳がない。」旨主張している。この主張からは、本件被請求人は、仮処分決定に承服したという誤解を与えるが、これは事実に反する。即ち、本案訴訟(平成10年(ワ)第21141号損害賠償請求事件)が提起されたので、本案訴訟によって解決をはかれば良いから、訴訟経済の理由から保全異議を取り下げたまでであって、当然のことをしたにすぎない。請求人のこの主張こそ、まさに誤導的である。
被請求人が主張しているのは、「デール・カーネギー」自体は、消滅した著作権の著作権者の名前であるが、著作権者の名前としてなら何人も使用できるものであるから、識別力がそれほど強いというものではない旨主張しているものである。また、本件商標は、「デイル・カーネギー」であるが、申立人も認めているように「デール・カーネギー」とは相違する。「デール・カーネギー」は、著作権者の名前であり、申立人の言うように仮に著名であると仮定すると、取引者等は「デイル・カーネギー」とは相違することに気がつく筈である。有名な人の名前であるなら、徴差でも気が付くからである。
プログラムが識別力が弱いことは認めるが、著作権者の名前であることから、「デール・カーネギー」も識別力が弱いことと本件商標が「ディル・カーネギー」を含むものであることから、「ディル・カーネギ-・プログラム」を印刷物に使用しても「デール・カーネギ-」を使用した印刷物と出所の混同など生じる筈がない。
各種講座においては、必ずといって良いほど、印刷物を配布するが、この場合の印刷物は、講座に付随するものであり、商標法上の商品ではない。このような印刷物は、講座についての費用を支払えば、無償で配布されるものであるからである。従って、商標法上の商品でないものが各種講座において使用する必須のものであったとしても、商標法上の商品たる印刷物(有償で頒布する)は、必須のものではないので、請求人の主張は理由がない。
日本においては、30数年間で6万名程度の受講者がいたということであるが、仮にこれが正しいとしても、この程度の受講者がいたからといって、著名であるということにはならない。しかも、請求人は裁判所では、37年間で受講者4万人と主張している。これからは、年間1081人、月間90人、1コース当たり月間15人しか受講者がいなかったことになる。この程度の受講者では到底著名と認められないこと明らかである。ちなみに、被請求人の98年度のセミナー受講者数は、有料の受講者数だけでも、1894人であり、上記受講者数よりも遥かに多い。これに関して被請求人は、本件被請求人代表者もデール・カーネギーの講座の著名性を認めている旨の主張をしている。本件被請求人の代表者は、商標については専門家ではなく素人であるから、宣伝文句としてどういったとしても、それほど大きな意味はない。本件被請求人の代表者は、著名という意味で言ったのではないが、仮に著名という意味でいったと仮定しても、商標法上の著名の意味を知らない素人が著名という意味のことをいっても、商標法上著名と認められる訳ではないからである。
(8)「デール・カーネギー」を知っているものが、本件商標を見ても、「ディル・カーネギー」ではあるが、「デール・カーネギー」の著者の名前と似ていると感じたとしても、「Dale Carnegie’s & Associates,Inc.」の略称に似ていると考えるものは皆無の筈である。「Dale Carnegie’s & Associates,Inc.」が、「デール・カーネギー」と略称されると考えるものが皆無の筈であるからである。
本件の場合は、請求人は「知識の教授」の役務は実施しているが、印刷物については実施していない。講座に付随するものとして、無償で配布しているが、印刷物単独で有償配布していない。従って、「知識の教授」についても著名とは到底認められないが、仮に著名であると仮定しても、印刷物については、使用しているとも認められないので著名でないこと明らかである。従って、いずれにしても印刷物については、「著名な略称」に当たらないこと明らかである。
以上述べた如く、本件「デール・カーネギー」の著作権は既に消滅しているので、請求人の主張は全く理由がないものである。
第4 当審の判断
よって、本件商標の登録を無効にすべき理由の有無につ
いて判断する。
1 「DALE CARNEGIE(デール・カーネギー)」の周知、著名性についてみるに、請求人が提出し、被請求人においてもその成立を否定していない甲第4号証ないし同第14号証によれば、以下の事実が認められる。
(a)請求人の主催する人材能力開発講座の案内書及び申し込み書に、引用商標(ニ)と社会通念上同一と認められる「Dale Carnegie Course」の文字と講座の内容及びデール カーネギーの組織について、「1912デール・カーネギー氏により、ニューヨークに設立以来、80年の実績を持ちます。」「1963年本邦に開講されてから、東京・大阪・・・・・京都等で開催されました。約30年の実績です。」と記載されている(甲第4号証)。
(b)請求人の主催する講座「デール・カーネギー・トレーニング」のパンフレットに、引用商標(ヘ)と同一と認められる「Dale Carnegie」の文字及び引用商標(ハ)、同(ホ)と同一と認められる「デール・カーネギー」の文字と当該講座の内容と我が国を含め、世界24ケ国語、74ケ国で開催されている(甲第5号証)。
(c)被請求人会社の代表者による著作物に関して、被請求人も請求人と同様な人材能力開発講座を主催している(甲第6号証)。
(d)ACCET(アメリカ合衆国保健教育省によって指定された審議会)の書簡及び認可証明書、ニューヨーク公立図書館発行(1995年)の「世紀の本」と題する小冊子、雑誌「LIFE」掲載の特集記事「20世紀の最も重要なアメリカ人」、ニューヨークタイムズ(1991年11月20日発行)の「市民生活に最も影響を与えた本」と題する記事、雑誌「BUSINESS MAGAZINE」(1989年11月5日発行)の記事、「INVESTOR’S BUSINESS DAILY」(1994年11月25日発行)の記事、「AMERICAN HERITAGE」(1985年4-5月号)掲載の「アメリカ人の性格を形成した10冊の本」と題する記事、季刊誌「LEADERS」(1987年10-12号)掲載の請求人代表者による「企業のイメージと最低線」と題する記事、「USA TODAY」(1990年5月23日発行)の「デール・カーネギー 技術なお健在」と題する記事、「NEWSDAY」(1986年発行)の「人を動かす50年」と題する記事に、引用商標(ロ)、同(ト)と同一と認められるデール・カーネギーの肖像とデール・カーネギーに関する内容が紹介或いは掲載されている(甲第7号証)。
(e)被請求人会社の代表者による著作物に、被請求人においても、デール・カーネギーが「話し方コース」という講座を開講し、多くの人に影響を与えたことを述べている(甲第10号証)。
(f)請求人を債権者とし、被請求人を債務者とする不正競争防止法に基づく差止請求権(著作権に基づく差止請求権、著作権法に基づく差止請求権)に対して、東京地方裁判所が、仮処分決定を行った(甲第11号証ないし同第14号証)。
以上の事実からすると、請求人は1912年に設立された人材能力開発講座の役務業者であって、我が国においても1962年に講座が開設され、現在に至っているもので30数年間継続して活動が行われており、「DALE CARNEGIE(デール・カーネギー)」の文字を書してなる引用各商標は、請求人の創業者の名が使用され、「人材能力の開発講座」等の役務について使用してきた結果、少なくとも本件商標の登録出願日である平成5年2月2日以前にはアメリカ本国のみならず、我が国においても、既に取引者、需要者に広く認識されるに至っていたものであると判断するのが相当である。
2 本件商標についてみるに、本件商標は、その構成後記のとおり、「ディル・カーネギー・プログラム」の片仮名文字よりなるところ、構成中の「プログラム」の文字は「計画予定」を意味する外来語として日常語化するほど一般に親しまれているものであり、本件商標の指定商品中「書籍、雑誌」等の印刷物に使用するときは、自他商品識別力の弱い語であるというべきである。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は「ディル・カーネギー」の文字部分に注意を惹かれ商品の出所の識別標識として強く支配的な印象を受けるものというべきである。
してみれば、本件商標は、「ディル・カーネギー・プログラム」の称呼の他「ディル・カーネギー」の称呼をも生ずるものであるといわなければならない。
被請求人は、本件商標は「ディル・カーネギー」であり、「デール・カーネギー」の使用の仕方はしていない。また、請求人も「デール・カーネギー」という使用の仕方はしているが、「ディル・カーネギー」の使用の仕方はしていない旨主張している。
確かに、請求人の使用商標(ハ)、同(ホ)「デール・カーネギー」と本件商標「ディル・カーネギー・プログラム」は語頭音を「デー」と長音とするか、「ディ」と発音するかの相違があり、外観上も「デー」と「ディ」と表記するかの違いがあることが認められる。
しかしながら、特に外来語については、原音が「ディ」と発音するべきものは「デー」と長音に発音されやすく、表記上も「デー」と表記される場合があるものとみるのが相当である。
また、引用商標(イ)(ロ)(ニ)(ヘ)(ト)の「DALE」「Dale」に由来する外来語についても、「デール」と発音或いは表記されるものと見るのが相当である(「デイル」と発音或いは表記される場合があるが、「イ」は前音「デ」の母音「エ」とともに「エイ」の二重母音となる関係上、転化して前音の母音「エ」の長音として発音される場合が少なくない)。
そうとすれば、請求人の使用商標中の「デール」と、本件商標中の「ディル」とは、長音と短音の差異があるとしても、いずれも前音「デ」に吸収されやすい音であるから、これらの差異が全体に及ぼす影響は少ないものというべきであって、本件商標中の「ディル・カーネギー」と引用商標中の「デール・カーネギー」とは、その称呼及びその構成において酷似しているものである。
そして、本件商標中の「ディル・カーネギー」の文字は、前記の実情を考慮すれば、偶然の一致とは認め難く、また被請求人において創造した語とも認め難いものである。
3 本件商標の指定商品である第26類中の「書籍、雑誌」等と、請求人が引用商標を使用する「人材の能力開発の技術と知識の教授」が商標法上類似するものとはいえないものであるとしても、企業における多角経営の進展や経営規模の拡大の傾向が著しいという実情があることに加えて、知識の教授とテキスト・問題集等の書籍等は流通経路や需要者層を共通にする場合も少なくなく、比較的密接な関係を有するものといい得るものである。そうすると、本件商標の出願時及び登録(査定)時において、被請求人が引用商標と同一又は類似の構成よりなるものであること明らかな本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、請求人又は請求人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ぜしめるおそれのある状態になっていたものといわなければならない。
4 被請求人は「デール・カーネギー」は33年以上前に消滅した著作権の著作権者の名前であり、デール・カーネギーの著作権であることを明らかにするための目的なら、何人も使用できるものである旨主張する。
しかしながら、商標法は、不正競争防止法と並ぶ競業法であって、登録商標に化体された事業者の信用の維持を図ると共に、商標の使用を通じて商品又はサービスに関する取引秩序を維持し、もって産業の発達に寄与することを目的とするものである(商標法第1条)。そして、商標法第4条第1項第15号は、この目的を具現する条項の一つとして「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は商標登録を受けることができない旨を規定している。その立法の趣旨は、「著名商標へのフリーライド等への対処から著名商標の使用者と無関係な者が著名商標を使用することによって、著名商標の使用者と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品又は役務ではないかと誤認させる場合も本号の出所の混同をも含むもの」と解すべきである。そうすると、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれが、証拠等により具体的に認定することができるならば、上記規定に該当することは明らかと言うべきであり、そして、他人の業務に係る商品又は役務と当該商標の指定商品又は指定役務との親近性の程度、及び他人の業務に係る商品又は役務を表示する商標と当該商標との類似性の程度によっては、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれを肯定すべき場合がありうるものといわなければならない。また、商標の持つ対世的効力よりみて本件商標の使用がもたらす社会一般への影響を考慮するとすれば、前記判断を相当とするものであるから、被請求人の主張は認めることができない。その他、被請求人の主張を認めるに足りる証左は見出せない。
5 したがって、請求人の主張するその余の無効事由について論及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標

引用商標(イ)

引用商標(ロ)

引用商標(ハ)

引用商標(ニ)

引用商標(ホ)

引用商標(ヘ)

引用商標(ト)

審理終結日 2000-03-17 
結審通知日 2000-04-07 
審決日 2000-05-01 
出願番号 商願平5-8552 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (016)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野本 登美男薩摩 純一 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 小池 隆
小林 和男
登録日 1995-11-30 
登録番号 商標登録第3100976号(T3100976) 
商標の称呼 ディルカーネギープログラム 
代理人 小沢 慶之輔 
代理人 稲垣 仁義 

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