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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z09
審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z09
管理番号 1019167 
異議申立番号 異議1999-90545 
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-21 
確定日 2000-05-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第4223706号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4223706号商標の指定商品中「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機」についての登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4223706号商標(以下、「本件商標」という。)は、標準文字により平成9年7月10日に登録出願、「オフィス盤」の文字を横書きしてなり、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年12月18日に設定の登録がされたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件登録異議の申立ての理由を要旨つぎのように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
本件商標は、分電盤や配電盤を意味する普通名称または略称である「盤」の前に、その用途または使用場所「オフィス」を付したにすぎない標章であって、単にオフィス用の分電盤(配電盤)を意味し、何等自他商品の識別力を有するものということができないものであって、その指定商品中「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電子応用機械器具及びその部品,火災報知器,ガス漏れ警報器,盗難警報器」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標はその指定商品中の「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、商標権者に対して通知した取消理由は、つぎのとおりである。
<取消理由>
本件商標は、「オフィス盤」の文字よりなり、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。
申立人の提出に係る社団法人建設電気技術協会、平成5年1月22日発行「電気設備工事標準図」(甲第2号証)によれば、各種電気設備器具に関して「…盤」と称されるものには、「分電盤、実験盤、制御盤」等があり、同じく、財団法人日本規格協会、平成7年4月30日発行「JIS住宅用分電盤」(甲第3号証)によれば、住宅用分電盤(住宅盤)として住宅用分電盤を「住宅盤」と略称している事実が認められる。また、甲第5号証ないし同第10号証は電設資材メーカー各社の製品カタログと認められるところ、これらのカタログには「盤用ボックス、盤組込型タイムスイッチ、盤用アルミフレーム、大型盤用ボックス、屋外盤用ボックス、盤用温度調節器、盤用ボックス露出型」等と称して「盤」の文字(語)を分電盤等の略語として取引上普通に使用している事実が認められる。
さらに、同カタログ(甲第5号証ないし同第10号証)には、「テナント用分電盤」、「テナント用電灯分電盤」等の用例が認められるほか、「住宅盤」(甲第3号証)、「テナント盤」(甲第7号証)等と称して、その種類又は用途向きを表示するものとして、当該用途向きまたは設置場所(建物種類)を示す文字に「盤」の文字を付して表示することが普通に行われている状況が認められる。
以上によれば、「分電盤、配電盤」等の電気器具にはいくつかの型式(種類)のものがあり、これら電気設備又は電気機械器具を取り扱う業者間においては、その用途適性または設置適性を示すものとして、当該用途・設置場所(建物種類)を示す文字に「盤」の文字を付して、その用途向きを端的に表示することが普通に行われていて、取引者・需要者は該意味合いを容易に理解し認識し得るものと認められる。
しかして、本件商標は、「オフィス盤」の文字を普通に用いられる方法を用いて表してなるものであるから、これを指定商品中「分電盤,配電盤」について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、前記事情よりして、「オフィス用の分電盤・配電盤」であること、すなわち、該商品の用途(品質)を表示したものと理解するに止まり、商品の出所を示す識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。また、これを、前記以外の「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機」について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定商品中の上記商品について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
本件商標「オフィス盤」は、用途向きまたは設置場所(建物種類)を示す文字に「盤」の文字を付して、その用途向きを端的に表示することが普通に行われていて、取引者・需要者は該意味合いを容易に理解し認識し得るものとのことであるが、「テナント用分電盤」、「テナント用電灯分電盤」、「テナント分電盤」の用例から用途向きまたは設置場所(建物種類)を示す文字に「盤」の文字を付して表示することが普通に行われていると認定するのには余りにも早計というべきで、添付された各社のカタログ等には上記用例以外このような思想で表現された商品名は見出せず、一般的に確立されたものではない。
よって、本件商標をこの指定商品に使用した場合、その商品の品質誤認を生ずるおそれはなく、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないものと確信する。

5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由(上記3)は妥当であって、その認定の誤りを述べる商標権者の意見は、以下の理由により、採用することができない。
すなわち、本件商標は、「オフィス盤」の文字よりなるところ、構成中の「オフィス」の文字部分は、一般に「事務所、事務室」の意味合いで容易に理解される語であり、かつ、それら建物施設で用いられる分電盤等の電気設備について電設資材メーカー各社がそれぞれに「住宅用分電盤」、「住宅盤」、「テナント盤」、「テナント用ホーム分電盤」等の表示をもってその建物(施設)用途を表示していることは、先の取消理由において認定したとおりである。そして、このような施設・建物には、その規模、容量に応じた「配電盤,分電盤,制御盤」等の集中管理・制御方式の電気設備が必要とされるものであることは顕著な事実であり、また、いわゆる住宅盤について「住宅・都市整備公団向け」、「雇用促進事業団向け」、「東京都住宅局向け」等の表示をもって当該分電盤の用途向きや設置適性(箇所)を表示していること(甲第3号証ほか)、さらに、商標権者に係る電気設備機器の製品カタログにおいて分電盤等の用途向き表示と容易に認識される「公団型」等の表示を用いていること(甲第8号証)等の事実に照らし、これら分電盤等の電設資材を取り扱う事業者、同電気工事に関わる事業者又はそれら電気設備機器の取引者・需要者間においては、この種表示は、当該取り扱いに係る商品の用途(用途種別・用途適性)又はその品質を示すものと理解されるに止まり、それ以上に商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが取引の実情よりみて相当である。
してみれば、分電盤・配電盤の適性設置場所(建物種類)を表す文字(語)や分電盤・配電盤の用途適性を表す文字(語)に「盤」の文字を付して表示することが普通に行われていると認定するのは早計である旨述べる商標権者の主張は、前記各事情に照らし採用の限りでない。その他、商標権者の主張を認めるに足りる証拠はない。
そして、本件商標を前記商品以外の「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機」について使用するときは、あたかも該商品がオフィス型のもの(分電盤、配電盤等)であるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、指定商品中の「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとし、その余の指定商品については、取り消すべき理由はないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-03-27 
出願番号 商願平9-137383 
審決分類 T 1 652・ 13- ZC (Z09)
T 1 652・ 272- ZC (Z09)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 吉田 静子 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 原 隆
高野 義三
登録日 1998-12-18 
登録番号 商標登録第4223706号(T4223706) 
権利者 河村電器産業株式会社
商標の称呼 オフィスバン 

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