• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 017
管理番号 1018840 
審判番号 審判1998-2002 
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-02-09 
確定日 2000-08-03 
事件の表示 平成 8年商標登録願第 71138号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1.本願商標
本願商標は、「ハイポール」の片仮名文字を書してなり、第17類「ゴム(「熱可塑性エラストマー」を除く。) 」を指定商品とし、平成8年改正前商標法(以下、「旧法」という。)第10条第1項の規定による分割出願として、平成8年6月26日に登録出願(原出願:商願平3-3175号(商標出願公告平5-107995号)、出願日:平成3年1月16日)されたものであり、その後補正により、商品の区分を第34類としたものである。
2.原査定の理由
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、その出願の拒絶の理由に引用した登録商標は次のとおりであって、「出願の分割をする場合には、商標法施行規則第6条第4項(特許法施行規則第30条準用)の規定する原出願についての必要な補正が分割出願と同時になされなければならないが、本願は、同法第68条の2ただし書きの規定により、該補正をすることができず、分割出願とは認められないので、出願日は遡及されない。」旨認定し、その出願を拒絶したものである。
引用に係る登録第3313806号商標(以下、「引用商標」という。)は、「ハイポール」、「HIPOL」の各文字を上下二段に書してなり、平成6年1月7日登録出願、第17類「ゴム,糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),化学繊維(織物用のものを除く。),ゴム製又はバルカンファイバー製のバルブ(機械要素に当たるものを除く。),ゴムひも,石綿ひも,ゴム製包装用容器,ゴム製栓,ゴム製ふた,プラスチック基礎製品,石綿網,石綿の板,石綿の粉,電気絶縁材料,オイルフェンス,ガスケット,管継ぎ手(金属製のものを除く。),パッキング,消防用ホース,石綿製防火幕,床用・壁用又は天井用の音響吸収材 」を指定商品として、平成9年5月23日に設定登録されたものである。
3.当審の判断
(1) 本願は、旧法第10条第1項の規定により、商願平3-3175号の出願をその拒絶査定後確定前に分割したものである。
そして、請求人は、本願商標の分割出願に際し、もとの商標登録出願について補正書(指定商品の減縮補正)の提出をしなかったものである。
ところで、旧法第10条第2項の規定では、商標登録出願の分割は、商標登録出願について査定又は審決が確定した後はすることができないと定められており、これは、第三者に対して不当に不測の損害を与えるおそれのない限り出願人の利益を保護するという分割出願制度の趣旨からすると、商標登録出願について査定又は審決が確定するまでこれをすることができると解するのが相当である。
しかし、商標登録出願の分割をしようとする場合、もとの商標登録出願について分割すべき指定商品を削除する補正書を新たな商標登録出願と同時にしなければならない(旧法施行規則第6条第4項で準用する特許法施行規則第30条)ところ、手続の補正については、旧法第68条の2の規定により、事件が審査、審判又は再審に係属している場合に限ることとされ、さらに、出願公告をすべき旨の決定の謄本の送達があった後は、拒絶理由通知に対する意見書提出期間又は登録異議申立てに対する答弁書提出期間の補正をすることができる時期を除いてはすることができないとされている。
そもそも前記旧法施行規則第6条第4項で準用する特許法施行規則第30条は.出願の分割を行った結果、もとの商標登録出願において分割出願に係る商品と同一の商品が残ってしまうと、重複した権利が発生するという不都合が生じるのを防ぐため、もとの商標登録出願から分割出願に係る商品を削除する補正を必要とすることに起因した規定であると解される。
そこで、本願についてみると、その分割出願時には、すでにもとの商標登録出願は拒絶査定がなされており、本願の出願後、所定期間の経過により拒絶査定が確定するまでの間は、事件が審査に係属していないため、必要な指定商品を削除する補正ができないことにより、本願ともとの出願との間に指定商品について重複する場合があったとしても、もとの出願の拒絶査定が確定したことにより、もとの出願には先願権が認められないことになるから(旧法第8条第3項)、もはやもとの商標登録出願から本願と重複する指定商品を削除する補正がなくても、重複権利が発生したりすることはなくなったものである。
してみれば、もとの商標登録出願が未だ審査、審判等に係属している場合とは異なり、本願分割出願時におけるもとの商標登録出願についての補正は、その有無によって何ら別異の法的効果を生じるものではないから、準用する特許法施行規則第30条は、そこにおける「補正する必要があるときは」という規定振りからすれば、このような場合にまで補正を要求する趣旨ではないと解される。
したがって、本願のように、もとの商標登録出願の拒絶査定後確定前にした分割出願であって、その後もとの商標登録出願について審判を請求することなく拒絶査定が確定したものについては、補正の制限規定である旧法第68条の2の規定により分割出願と同時に補正ができないことを理由に、本願が適法な分割出願とは認められないとするのは、出願分割制度の趣旨を没却し、該制度により得られる請求人(出願人)の利益を害する結果となるから、許されないと解すべきである。
そうとすれば、本願は正当な分割出願として取り扱うべきものであるから、その出願日は、旧法第10条第3項の規定によって、もとの商標登録出願の出願日(平成3年1月16日)に遡及するものである。
(2) 他方、引用商標は、その登録出願日が平成6年1月7日であること明かである。
(3) そうすると、本願商標と引用商標とは商標の類否について判断するまでもなく、本願は、引用商標との関係では先願の地位を有するものということができる。
(4)したがって、本願を不適法な分割出願であるとしてその出願日の遡及を認めず、本願商標を引用商標の後願に相当するとして、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定した原査定の拒絶理由は適当でなく、その理由をもって拒絶すべきものとすることはできない。
その他、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2000-07-14 
出願番号 商願平8-71138 
審決分類 T 1 8・ 262- WY (017)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平松 和雄飯山 茂廣田 米男 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 小池 隆
関根 文昭
商標の称呼 ハイポール 
代理人 森 廣三郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ