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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない 117
管理番号 1018701 
審判番号 審判1998-35487 
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-01-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-10-06 
確定日 1999-11-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第2598654号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第2598654号商標(以下「本件商標」という。)は、「ニスク」の片仮名文字を横書きしてなり、平成3年9月12日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同5年11月30日に設定登録されたものである。
2.請求人が引用する商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2719138号商標(以下「引用商標」という。)は、「NYSC」の欧文字を横書きしてなり、平成3年7月3日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)その他本類に属する商品」を指定商品として、同9年1月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3.請求人の主張
請求人は、「登録商標第2598654号の登録はこれを無効とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第3号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、カタカナ3文字で構成された「ニスク」であり、その指定商品は「第17類 被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」である。
(2)請求人は、「NYSC」の文字よりなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)その他本類に属する商品」を指定商品とする引用商標の権利者である。
(3)本件商標と引用商標とを対比してみるに、引用商標「NYSC」からも、本件商標と同じ「ニスク」の称呼が生じる。
引用商標「NYSC」の文字群は、特定の成語を形成したものではなく、請求人の造語であること明らかである。このような造語を発音するには、各構成文字1字1字に即応して「エヌワイエスシー」と称呼するか、又は、我が国において良く知られた英単語の発音の知識から推察して発音される称呼が自然な称呼とされるべきである。
語頭に「NY」が位置する英単語としては、nyctal

「ny」の部分の発音は、発音記号に示すとおり全て「ni/ニ」の音である。
又、scale[skeil]、sky[skai]、slip[slip]、sprin

と発音されるということは、我が国の英語普及率に伴う発音の知識を持ってすれば容易に理解することができる。
よって、「ニ」と発音される「NY」と、「ス」と発音される「S」と、「ク」と発音される「C」からなる商標「NYSC」の称呼は、通常は「ニスク」以外には考えられない。
(4)請求人は、商願平9-117361号(甲第3号証)を出願したが、本件商標に類似するという理由で拒絶された。
この出願に係る商標は、3条の平行な横線の上方右寄りに、この横線よりも短い3条の横線をさらに平行に付すとともに、その左側に判読困難な程度にデザイン化された英文字「NYSC」を配してなる図形と、その下方に付された「NYSC SPORTS WEAR」の文字とから構成されたものである。
審査官は、この商標の構成文字中「NYSC」の文字部分から、「ニスク」の称呼が生じるとし、同じ称呼が生じる本件商標と類似すると判断している。
このように、英文字「NYSC」の自然な称呼は「ニスク」である、ということは特許庁の基準の一つである。
(5)上述したように、「NYSC」から、本件商標と回じ「ニスク」の称呼が生じることは否定することはできない。又、指定商品についても、本件商標と引用商標とは類似している。よって、両商標は相互に類似する商標である。
そして、両商標の出願日を考察すると、引用商標の方が先願商標である。
(6)したがって、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定によって、無効とされるべきである。
なお、本件商標の登録日は平成5年11月30日であり、除斥期間も過ぎていない。
4.被請求人の答弁
被請求人は何等答弁していない。
5.当審の判断
(1)本件商標は、上述したとおり「ニスク」の文字を横書きしてなり、特定の語義を有さない造語と認められるものであって、「ニスク」の称呼を生ずるものである。
(2)引用商標は、上述したとおり「NYSC」の文字を横書きしてなり、特定の語義を有しない造語と認められるものである。
称呼についてみると、一般に、引用商標のように造語であって欧文字からなる標章は、その構成文字を英語風の読みで無理なく自然に称呼できる場合は英語風の読みで、また、そうでない場合は一文字ずつをアルファベット読みで称呼されるという実情がある。
これを引用商標に当てはめてみると、一般的な英和辞典といえる「小学館 プログレッシブ英和中辞典」(株式会社小学館 1990年4月20日発行)には、語頭が「NYSC」で始まる語は見あたらず、「NYS」で始まるものは「nystagmus」の1語があるが、これは親しまれた語とは言えないものであり、また、「NY」で始まるものは14語と少ない。さらに、「英語逆引辞典」(開文社出版株式会社 昭和62年3月25日改訂版第10刷)には、語尾が「NYSC」で終わる語はもとより、「YSC」や「SC」で終わる語も見あたらない。
そうとすれば、引用商標を構成する「NYSC」の文字は、これが英語風の読みで称呼されるとみるのは自然でなく、一文字ずつをアルファベット読みで「エヌワイエスシー」と称呼されると判断するのが相当であるから、引用商標の自然な称呼は「エヌワイエスシー」であると言うべきであり、他にこれを覆すに足る証左は発見できない。
(3)してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼において「ニスク」と「エヌワイエスシー」という明らかな差異を有し、外観及び観念においても相紛れるおそれのないこと明らかであるから、両者は非類似の商標と、言わなければならない。
(4)また、請求人は、語頭の「NY」が「ニ」と発音される英単語を例示し、引用商標は「ニスク」の称呼を生ずると主張しているが、それらの英単語はいずれも我が国において親しまれたものとは言えないこと、語頭が「NY」で始まる親しまれた英単語としては「nylon」があり、これは「ナイロン」と発音され本件の指定商品とも関連深いものであること、上述のとおり引用商標の自然な称呼は「エヌワイエスシー」であることから、請求人が主張する「ニスク」の称呼は不自然なものといわなければならい。
さらに、引用商標がまれに「ニスク」と発音されることがあるとしても、本件商標と引用商標とが外観上顕著な差異を有すること及び観念上紛れるおそれのないことをあわせみれば、両者は互いに相紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当であるから、請求人の上記主張は、上述の判断に影響を及ぼすものではない。
(6)したがって、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-08-03 
結審通知日 1999-08-20 
審決日 1999-09-01 
出願番号 商願平3-95898 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (117)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾原 静夫前山 るり子 
特許庁審判長 金子 茂
特許庁審判官 森吉 正美
茂木 静代
登録日 1993-11-30 
登録番号 商標登録第2598654号(T2598654) 
商標の称呼 1=ニスク 
代理人 坂上 好博 
代理人 羽立 幸司 
代理人 葛西 ▲泰▼二 

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