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審決分類 |
審判 Z0305 |
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管理番号 | 1015543 |
審判番号 | 審判1998-17875 |
総通号数 | 11 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2000-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-11-09 |
確定日 | 2000-04-14 |
事件の表示 | 平成 9年商標登録願第102089号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、商標の構成を別掲に示すものとし、第3類「便器洗浄剤、香料類」、第5類「除菌剤、殺菌剤、消臭剤、防臭剤、脱臭剤」を指定商品として、平成9年4月1日に立体商標として登録出願されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、「本願商標は、植物の図形が付された形状からなるものであるが、これをその指定商品との関係よりみると、この種商品の収納容器には、その市場における流行や需要者の用途、嗜好等に合わせた各種の特徴的な変更、装飾等が施されている実状が認められるところから、本願商標についても、その形状はその商品の収納容器の一形態を表したものと容易に認識させるものであり、また、植物の図形は外観上の美感の向上もしくは魅力的な形状にするために施された、この種商品の収納容器に採用し得る範囲での変更・装飾であると認識するに止まるものであって、未だ全体としてその商品を入れる収納容器の形状の一形態の範囲を出ないものと認識される立体的形状よりなるものといわざるを得ない。してみれば、本願商標をその指定商品について使用しても、単に商品の収納容器(包装)の形状を普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定して本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。 立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。 そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。 また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。 そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。 立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。 (2) これを本願についてみれば、本願商標は、固形の便器洗浄剤を収納する容器の形状としての一形態を表すものであるから、これを指定商品「便器洗浄剤」に使用しても、取引者、需要者は、単に便器洗浄剤の収納容器と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。 請求人は、本願商標の形状・模様は、どこからどこまでが容器本体部分で蓋体はどれなのか全く不明瞭であり、また、受け皿状部から下方に突出する複数本の突片からなる足部を有する形態ならびにドーム状部に形成された小孔を有するのが単にその商品を入れる通常一般の収納容器の形状の範囲を脱したものであり、取引者・需要者の注意を喚起する外観特異性を有しており、自他商品識別力、品質保証機能を発揮し得る商標を構成している旨主張する。 しかしながら、請求人主張の前記特異性は、便器洗浄剤を収納した本願商標に係る容器の形状において、タンク手洗い部の排水口に固定できるように足部を有し、小孔は洗浄剤が溶けるためのタンク手洗い水が入り易いようにするための機能を果たすために採用された形状であることは明らかである。 したがって、前記特異性をもって、便器洗浄剤の収納容器の一形態を表示するものであるとの認定及び本願商標に対する取引者、需要者の認識に係る判断を覆すには足りないというべきである。 (3) さらに、請求人は、立体商標の登録制度の主旨と、商標法第3条第1項第3号の解釈について縷々主張するが、立体的形状からなる商標であっても、商品又はその包装の形状をもって構成されるものについては、本来的又は直接的には他の知的財産制度で保護されるものであるから、請求人の主張は採用できない。加えて、商品又はその包装の形状をもって構成される立体的形状からなる商標は、平面的な商標とは明らかに異なるものであるため、商標法においては、立体商標制度導入に当たって、商標法第4条第1項第18号等が設けられ、また、前掲工業所有権審議会答申でも、「・・・指定商品やその容器の形状そのものの場合には不登録とする運用を厳しくすること・・・」としている(前掲答申P31参照)。 そして、商品又はその包装の形状であっても、使用により自他商品の識別力を取得する場合があり、そのときに、識別力を認めて登録することは前示のとおりであるが、請求人は、本願商標について、この点の立証をしていない。 4 結 論 以上のとおり、本願商標は、指定商品の包装(収納容器)の形状を表示するものとし、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本願商標 この商標は写真によって表されているから細部については原本を参照されたい。 |
審理終結日 | 2000-01-27 |
結審通知日 | 2000-02-15 |
審決日 | 2000-02-28 |
出願番号 | 商願平9-102089 |
審決分類 |
T
1
80・
13-
Z
(Z0305)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小川 有三 |
特許庁審判長 |
金子 茂 |
特許庁審判官 |
宮川 久成 寺光 幸子 |
代理人 | 稗苗 秀三 |
代理人 | 後藤 誠司 |
代理人 | 大島 泰甫 |