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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 117
管理番号 1015180 
審判番号 審判1994-11801 
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1994-07-12 
確定日 2000-01-05 
事件の表示 平成1年商標登録願第75862号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として平成1年7月6日に登録出願されているものである。
2 原査定の理由
原査定は、登録異議の結果「本願登録異議の申立の全趣旨を総合勘案するに、登録異議申立人(ザ ポロ/ローレン カンパニー)がポロシャツ,トレーナーなどの衣服について使用している『Polo』の標章及び馬に乗りステッキをおどらせているポロ競技者の標章(以下『ポロプレーヤー標章』という)の各標章は、本願商標の出願前我国の衣服等の需要者間において広く認識せられたいわゆる周知、著名な商標と認められる。しかして、本願商標は、その構成中に2騎のポロ競技者を顕著に表してなるものであって、前記ポロプレーヤー標章とは1騎と2騎の違いこそあれ、ともにポロ競技者を描いてなる点において両者は相通ずるものといわなければならない。そして、本願商標は、その指定商品中に前記ポロシャツ,トレーナーなどの衣服を含むものである。そうとすると、本願商標をその指定商品中のポロシャツ,トレーナーなどの衣服について使用した場合、需要者は前記事情よりして恰も該商品が申立人業務に係るもののごとく商品の出所について混同を起こすおそれが少なからずあるとみるのが相当である。よって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨、認定判断した平成6年5月18日付け登録異議の決定に記載した理由により、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
請求人は、「本願商標は、2本の小枝を左右対称に冠状に表わした図形の中央部にスティックを持つ位置を異にした2騎によるポロ競技の球をとり合う様を躍動感あふれる独特の描出方法で表わしたものを配してなる、全体としてまとまりよく構成された不可分一体の他に類例のない特徴を有するもの。その構成中2騎のポロ競技者の図形と小枝の図形とを分離して観察し、両者をそれぞれ本願商標の要部のように認識しなければならない理由は見い出せない。これに対してザ・ポロ/ローレン・コムパニー社の使用にかかる『ポロプレーヤーの図形』は極めて独創性に富み、かつ非写実的なもので『ポロゲーム』をしている人を彷彿とさせる程度にすぎない特異性をもった『ポロプレーヤーの図形』で競技者一騎のみからなり、しかもスティックを振り上げた状態を静止的に描いたものであって、本願商標と使用商標との図形部分のみを対比しても、両者は、その外観において顕著な差異が存する。『ポロプレーヤー標章』がラルフローレンのデザインによる被服等を取り扱う業界において著名であることを前提としても、本願商標は前述のとおり別異のものであるから、本願商標をその指定商品に使用しても、ザ・ポロ/ローレン・コムパニー社の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれがあるということはできない。本願商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものではない。」旨を主張して、証拠方法として甲第1号証を提出した。
4 当審の判断
本願商標は、別紙に表示したとおり2騎のポロ競技者の図形部分とそれを囲むようにして左右対称に描いてなる枝葉状の図形部分よりなる構成のものである。
そして本願商標の前記枝葉状の図形部分は、中央の2騎のポロ競技者の図形部分を飾っている図形としてみられ、これ自体、見る者に強く印象を与えるものではないと認められる。それに対して、中央の2騎のポロ競技者の図形部分は、前記枝葉状の図形部分で飾られて、該図形部分が強調されて印象に強いものと認められる。
他方、原査定の理由に記載されている「登録異議申立人(ザ ポロ/ローレン カンパニー、以下『申立人』という。)がポロシャツ,トレーナーなどの衣服について使用している馬に乗りステッキをおどらせているポロ競技者の標章(以下『ポロプレーヤー標章』という。)」は、別紙に表示したとおりの構成のものである。
そこで、本願商標の2騎のポロ競技者の図形部分と申立人のポロプレーヤー標章の図形の構成をみるに、線で描かれたマレット棒、黒塗りの馬及びポロ競技者を表した図形の描写方法が類似しているものと認められる。
さらに、申立人のポロプレーヤー標章については、以下により、申立人の「ザ ポロ/ローレン カンパニー(アメリカ合衆国ニューヨーク所在)」が、商品「被服、装身具、香水、眼鏡」等に長年使用し、本願商標に係る登録出願前には、既に周知、著名な標章となっていたものと認められる。
すなわち、(株)講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞しており、1974年には映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。
また、(株)洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
そして、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されている。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、本願商標中の2騎のポロ競技者を表してなる図形部分より、前記周知、著名になっている申立人が使用のポロプレーヤー標章を連想し、該商品が申立人又は申立人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるをえない。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとした原査定は妥当であり、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別記


審理終結日 1999-05-31 
結審通知日 1999-06-15 
審決日 1999-06-25 
出願番号 商願平1-75862 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (117 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原 隆須藤 昌彦 
特許庁審判長 佐藤 敏樹
特許庁審判官 山田 忠司
上村 勉
代理人 高田 修治 

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