• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 117
管理番号 1015175 
審判番号 審判1992-11166 
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1992-06-08 
確定日 2000-01-04 
事件の表示 平成1年商標登録願第75863号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ROYAL POLO SPORTS CLUB」の欧文宇を横書きしてなり、平成1年7月6日に登録出願され、旧第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成3年4月15日に出願公告されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
これに対して、登録異議申立があった結果、原査定は、「登録異議申立人(ザ ポロ/ローレン カンパニー)の『POLO』の文字よりなる商標が取引者、需要者間に広く認識されていることは、本願商標の出願前より、その提出に係る証拠によっても認めることができる。そして、本願商標は『POLO』の文字を有してなるから、出願人が本願商標をその指定商品に使用するときは、恰も登録異議申立人の製造販売に係り、あるいは、これと何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと判断する。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)「POLO」の文字からなる商標について
▲1▼ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)と「ポロ・ファッションズ社」について
「男の一流品大図鑑」(株式会社講談社昭和53年7月20日発行)、及び、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」(サンケイマーケティング(サンケイ新聞データシステムマーケティング事業部)昭和58年9月28日発行)によれば、以下の事実が指摘できる。
(ア)ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして迎えられ、幅が広いネクタイをデザインし、これが若者に支持され、世界に広まったこと。
(イ)ラルフ・ローレンは、翌年独立し、社名を「ポロ・ファッションズ」として、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、カバンなどのデザイン製作を開始し、1971年には婦人服デザインにも進出したこと。
(ウ)ラルフ・ローレンは、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、他にも賞を受賞し高い評価を受け、そのブランドを世界に通用させたこと。
(エ)そして、ラルフ・ローレンは、自己の取り扱いに係る商品に使用する商標を「ポロ競技」にヒントを得て採択したこと。
(なお、当審が職権を持って調査したところ、ラルフ・ローレンが関係する会社は、現在では、「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」であることが認められる。)
▲2▼「POLO」及び「Polo」の文字からなる商標について
原査定が引用した「POLO」の文字からなる商標は、その配列すべてを大文字で表示したものであるところ、前掲の「男の一流品 大図鑑」、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、及び、「世界の一流品大図鑑’80年版」(株式会社講談社昭和55年6月20日第二刷発行)、によれば、「Polo」と、第2文宇目以降を小文字で表示した商標が、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして使用されていることが認められ、これは、「POLO」の文字からなる商標と、相互に同一の称呼(「ポロ」)及び観念(「ポロ競技」)が生ずるものと認められ、本願の出願時においても、両者は社会通念上同一の商標であったとみなして差し支えないといえるものである。
▲3▼そこで、以下、本件審判請求事件を審理するにあたり、「POLO」、「Polo」の文字からなる商標を一括して「POLO商標」という。
▲4▼「POLO商標」の我が国での使用・紹介について
「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」(株式会社洋品界昭和55年4月15日発行)の「ポロ」の項、「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」(ボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行)の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項、及び、原審において登録異議申立人が提出した甲第1号証(昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事)を総合すれば、我が国においては、ポロ・ファッションズ社(あるいは、ラルフ・ローレン)との契約に基づき、西武百貨店が昭和52年にラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴の取り扱いを、同53年からは婦人服の取り扱いを開始したことが認められる。
また、前掲の書籍・新聞の外、「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑’80」(株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行)、「男の一流品大図鑑’81年版」(株式会社講談社昭和56年4月25日第二刷発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(株式会社講談社昭和56年6月20日第二刷発行)、「流行ブランド図鑑」(株式会社講談社昭和60年6月25日第2刷発行)によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、ジャケット、シャツ、ネクタイ、眼鏡に「POLO商標」が使用されていることが認められる。
▲5▼「POLO商標」の著名性について
以上、認定の事実を総合して検討すれば、「POLO商標」は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するもの、あるいは、ポロ・ファッションズ社または、原審における登録異議申立人の取り扱いに係る商品に使用する商標として、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ、著名になっていたものと判断され、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。そして、他にこの判断を覆すに足りる証拠はない。
(2)本願商標の構成について
本願商標は、前記のとおり、「ROYAL POLO SPOTRS CLUB」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして、本願商標を構成する文字が「王室の(あるいは「高貴な」)ポロスポーツクラブ」の意味合いが認識される場合があるとしても、我が国において「ポロ競技」が盛んに行われて一般に親しまれているとはいえないばかりでなく、「ROYAL POLO SPOTRS CLUB」の欧文字が、特定のポロ競技団体などを表示するものとして具体的に知られているとの証左は認められない。
(3)出所の混同のおそれについて
本願商標は、その構成中に「POLO」の文字を有するものである。
一方、前記認定のとおり、「POLO商標」が、我が国において、遅くとも本願商標の登録出願前である本願出願時までには、「ラルフ・ローレン」のデザインに係る商品、あるいは、原審における登録異議申立人の取り扱いに係る商品である被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品を表示するものとして、当該商品に関する取引者、需要者の間において著名となっていたといい得るものである。
しかして、本願指定商品は「被服、布製身回品、寝具類」であって、「POLO商標」が使用されている商品と同一または類似し、ファッション性を有する関連の深い商品であることから、これに係わる取引者、需要者が、本願商標に接した場合には、「POLO商標」との構成上の相違があったとしても、その著名性ゆえ「POLO」の文字部分に着目することで、「POLO商標」を連想・想起し、それがあたかも、原審における登録異議申立人(現在は、「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」)」の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
なお、請求人は、「本願商標を構成する『ROYAL POLO SPOTRS CLUB』の欧文字は、同書、同大、等間隔に書されていて外観上まとまりよく一体的に看取され、これより生ずる『ローヤルポロスポーツクラブ』の称呼も一気一連に称呼し得るものである。そして『ROYAL POLO SPOTRS CLUB』の文字分はポロ競技のクラブ名称の意味合いをもって世上に一般に親しまれ、馴染まれている英語といえるから、これを殊更『POLO』と他の文字部分とに分離して考察しなければならない特段の事情はなく、一定の団体等を表現したポロスポーツクラブ名称の一を想起させ、『ザ ポロ/ローレン カンパニー (リミテッド パートナーシップ)』の会社を想起することはできず、本願商標は、商品の出所について混同を生ずるおそれはない」旨の主張をしてる。
しかしながら、本願商標は、これをその指定商品に使用するときには、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標と判断されること前記のとおりであって、さらに、「ラルフ・ローレン」の「POLO」、「Polo」の商標について、原審において登録異議申立人が提出した甲第8号証に係り、本件判断とほぼ同様の判断がされている東京高等裁判所の判決の内容をもあわせみれば、請求人の上記主張が本件の結論を左右するものとは認められないから、請求人の前記主張は採用できない。
4 結語
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、この理由をもって本願を拒絶した原査定の内容は妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-06-28 
結審通知日 1999-07-16 
審決日 1999-07-26 
出願番号 商願平1-75863 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (117 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小畑 恵一小松 英世 
特許庁審判長 秋元 正義
特許庁審判官 宮川 久成
芦葉 松美
商標の称呼 1=ロイヤルポロスポ-ツクラブ 2=ロイヤルポロスポ-ツ 
代理人 高田 修治 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ