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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) 036
管理番号 1013398 
異議申立番号 異議1998-91484 
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2000-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-07-15 
確定日 2000-02-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第4126798号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4126798号商標の登録を取消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4126798号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ダイレクトライン」の片仮名文字と「DIRECT LINE」の欧文字を上下に横書きしてなり、平成8年6月7日に登録出願、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」を指定役務として、平成10年3月20日に登録されたものである。
2 取消理由の通知
平成11年1月11日付で、商標権者に下記の取消理由を通知した。
本件商標は、「ダイレクトライン」「DIRECT LINE」の文字を書してなるものである。
そして、登録異議申立人 ダイレクト ライン インシュアランス パブリック リミテッド カンパニー(以下「申立人」という。)の提出に係る証拠を総合勘案すれば、「ダイレクトライン」及び「DIRECT LINE」の文字は、申立人の名称の略称として取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められる。
そうとすれば、本件商標は、申立人の名称の著名な略称よりなるものと認めざるを得ず、しかも、商標権者は、本件商標の登録を受けるについて、申立人の承諾を得ているものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものと認める。
3 商標権者の意見
商標権者は、意見書を提出して概要次のように主張し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(商標権者は、甲各号証として提出しているが乙各号証として扱う。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号に規定する「著名な」の文字を如何に解すべきかであるが、他人の承諾を得ないことにより、人格権の毀損が客観的に認められる程の著名性、稀少性等を要求されると解すべきである。そして、この著名性の程度にあっても登録出願時の需要者・取引者層、地域性、業種、経済環境等を考慮すべきものと解される。すなわち、本号が人格権保護の立場をとりつつも、商標法の目的から逸脱しない範囲で規制が行われると解すべきものであり、当該略称の著名性について上記した種々の事情を捨象して判断することは、法目的は勿論のこと、本号の趣旨からも逸脱するといわざるを得ない。
(2)理由補充書第11頁中段に「…異議申立人もまもなく我が国での営業活動を開始する予定である。」と記載されているように、申立人は現時点においてさえも我が国での営業活動はしていないものであるから、そもそも広告宣伝活動は一切していないことは明らかであり、ましてやほぼ2年前の本件登録出願時においては我が国において広告宣伝活動はしていないのは明白な事実である。外国保険業者は、日本国内に支店等を設けて大蔵大臣の免許を受けなければ広告宣伝活動を行い得ないことから支店や日本法人が存在していない以上、本件商標登録出願時はおろか現在でも広告宣伝活動は一切していないことは明らかであり、よって、「DIRECT LINE」「ダイレクトライン」が申立人の略称として著名性を獲得していることはあり得ないものである。したがって、申立人の引用商標は、本件商標の出願時において、本号に規定するところの申立人の名称の「著名な略称」として需要者、取引者の間において広く認識されていたものとは到底認められるものではない。
(3)「DIRECT LINE」「ダイレクトライン」が我が国において何も特異なネーミングではなく実際の商取引の場において普通に各種商品・役務に採択使用されている具体例を乙第1号証ないし乙第6号証として提出する。これら事実からも明らかな如く、「DIRECT LINE」「ダイレクトライン」はそもそも広く採択使用され得る可能性をもった商標といえるものである。
4 当審の判断
申立人が提出した甲第2号証、甲第21号証ないし甲第44号証を総合すると、申立人は、1985年(昭和60年)に設立された英国の保険会社であり、保険の直接販売を成功させた会社として欧米では極めて著名であると認められる。また、申立人は、「ダイレクトライン社」、「ダイレクト・ライン社」、「ダイレクト・ライン」、「ダイレクトライン」、「Direct Line社」などの略称をもって、本件商標の登録出願前に、我が国においてもしばしばその事業活動が業界新聞や業界誌上で紹介されていた事実が認められる。
そうしてみると、少なくとも本件商標の指定役務に係る業務を行っている保険業界においては、本件商標の登録出願の時に、申立人及びその前示略称は既に著名となっていたもの判断できるから、本件商標を構成する「ダイレクトライン」、「DIRECT LINE」の文字からは申立人が直ちに認識されるものであって、本件商標は、申立人の著名な略称を表す商標といわざるをえない。
ところで、商標権者は、「DIRECT LINE」「ダイレクトライン」が我が国において何も特異なネーミングではなく、普通に各種商品・役務に採択使用されており(乙第1号証ないし乙第6号証)、これら事実からも、「DIRECT LINE」「ダイレクトライン」は広く採択使用され得る可能性をもった商標といえる旨主張する。
しかし、商標権者が、本件商標を採択した意図がどのようなものであったかにかかわりなく、少なくとも保険業界においては、前記認定のとおり本件商標からは申立人が直ちに認識されるものであって、本件商標は、申立人の著名な略称を表すものということができる。
したがって、通知した前記取消理由は妥当なものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであるから、本件商標登録は、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-05-06 
出願番号 商願平8-61644 
審決分類 T 1 651・ 23- Z (036 )
最終処分 取消  
前審関与審査官 山下 孝子 
特許庁審判長 金子 茂
特許庁審判官 上村 勉
佐藤 敏樹
登録日 1998-03-20 
登録番号 商標登録第4126798号(T4126798) 
権利者 株式会社エアーリンク
商標の称呼 1=ダイレクトライン 
代理人 飯島 紳行 
代理人 加藤 建二 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 松尾 和子 
代理人 大島 厚 
代理人 中村 稔 

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