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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 審決却下 124
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 審決却下 124
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 審決却下 124
管理番号 1013117 
審判番号 審判1998-35463 
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-10-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-09-30 
確定日 1999-11-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第2578716号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 本件は、別紙に示すとおりの構成よりなり、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード、これらの部品および付属品」を指定商品として、平成3年7月15日商標登録出願され、平成5年9月30日設定登録された登録第2578716号商標(以下「本件商標」という。)に関する商標法第46条の規定に基づく商標登録の無効審判請求(以下「本件請求」という。)である。
第1 請求の趣旨等
(1)本件請求人(以下「請求人」という。)は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨つぎのように述べ、証拠方法として甲第1号証〜甲第8号証を提出している。
(2)本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に該当し、無効にすべきものである。
(3)本件商標は、甲第1号証の商標公告公報にみられるように、欧文字の小文字で、左側に「am」と「pm」を上下二段に書し、その右側に「mini」と「market」を、これまた上下二段に配した商標より成るものである。
(4)請求人は、本件商標に対し、別紙に示すとおりの構成よりなり、第24類「おもちゃ、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和56年9月22日商標登録出願され、昭和59年3月22日設定登録された登録第1670162商標及び別紙に示すとおりの構成よりなり、第24類「おもちゃ、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成1年5月8日商標登録出願され、平成5年9月30日設定登録された登録第2573771商標を引用する(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)。本件商標は、上記引用商標と類似するものである。
(5)本件商標は、「am」と「pm」と並びに「mini」と「market」を、それぞれ二段に表示した商標であるが、「am」と「pm」は上下に密接に縦列されており、「mini」と「market」も、その語頭の「m」が揃えられ、上下に密接して縦列されている。従って、本件商標においては、「am」と「pm」並びに「mini」と「market」がそれぞれ一体を成し、「am pm」及び「mini market」として把握されるのが自然である。
そして、日本における英語教育の現状からみて、本件商標における「mini market」は、「小さな市場」を意味する語として極めて容易に把握されるものである。「am pm」は、日本においても「エーエム」「ピーエム」と発音されて、「午前」「午後」を意味する英語として容易に看取され得るものである。
このように、本件商標は、その商標の構成・態様並びに英語としての意味・観念から、「am pm」及び「mini market」の2つのブロックに分離・把握され得るものであり、全体として「エーエムピーエム・ミニマーケット」との意味・観念を極めて容易に与える商標である。そして、「mini market」は、上述のように、「ミニマーケット」(小さな市場)を意味し、商品の販売場所を指称する語であるので、本件商標の商標としての要部は「ampm」部分にあるものであり、本件商標は「エーエムピーエム」の称呼・観念が生ずるものである。
(6)他方、引用商標は、その文字部分が欧文字「AMPM」と片仮名文字「エーエムピーエム」とを二段に表示してある商標で、「エーエムピーエム」の称呼・観念が生ずるものであり、本件商標から生ずる称呼「エーエムピーエム」と同一である。
そして、引用商標と本件商標とは、同一または類似の商品を指定商品としている。従って、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(7)本件商標の権利者は、その関連会社として日本においてコンビニエンス・ストアを展開し、その店名表示として「ampm」を使用している。その「ampm」の表示は、「am」と「pm」とを横一列状に表示したものである(甲第4号証及び甲第5号証)。そして、そのコンビニエンス・ストア「ampm」での広告や商品陳列場等では、「am」と「pm」とを上下二段に密接表示したものも使用している(甲第6号証〜甲第7号証)。そして、そこで発行されているレシートにおいては、本件商標の態様と非常に似た態様、つまり、「am」と「pm」を大きく二段に表示し、その右側に、「am/pm」とは異なる書体で、「mini」と「market」を二段に表示している(甲第8号証)。このことは、「am pm」と「mini market」とをより明確に画定し、「mini market」は店の形態を表すものであることをより明確化させるためのものであることは明白である。
このことから見ても、本件商標をその指定商品に使用された場合には、「am pm」として認識され、「エーエムピーエム」と称呼されることは明白である。
(8)請求人会社は、スーパーマーケットを営むものであるが、その傘下にコンビニエンス・ストアも有しており、それらスーパーマーケット及びコンビニエンス・ストアにおいて、すでに引用商標「AMPM」商品を広く販売しているものであり、それら商品は「エーエムピーエム」商品と称呼され、一般に親しまれているものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同第15号にも該当するものである。
第2 被請求人の主張
(1)甲第1号証の登録原簿から明らかなとおり、本件商標は平成5年9月30日に登録されたものであるから、商標登録の無効審判の除斥期間について定める商標法第47条によれば、本件商標が商標法第4条1項11号、同第10号及び同第15号等に該当することを理由とした当該登録の無効審判は平成10年9月30日までに請求しなければならない。
本件において、請求人は平成10年9月30日付で審判請求書を提出したが、当該審判請求書には本件商標の登録を無効にすべき理由を何ら明らかにせず、上記除斥期間経過後の平成10年12月3日付で審判請求理由補充書を提出し、はじめてその理由を明らかにしている。
したがって、実質的な無効理由が除斥期間経過後に提出され、主張された本件請求は違法であるというべきであるから、本件請求は却下されるべきである。
(2)仮に、本件における上記の不適法な理由補充が認められるとしても、本件商標と引用商標とは、何ら混同するおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条1項11号には該当しない。
すなわち、本件商標は同一の書体で英文字「am mini」「pm market」」を2段に横書きした構成であるから、一般人が本件商標のこのような構成を縦に二分して認識し称呼することは通常あり得ず、本件商標は当然に「am mini/pm market」横二列の語としてのみ認識されるものであり、これを縦に二分して、「am pm」が一個のまとまりを持って認識され、これが本件商標の要部であるとするのは、極めて不自然である。したがって、本件商標は「エーエムミニ/ピーエムマーケット」という称呼を生ずるものであり、「エーエムピーエム」という称呼のみが生ずる引用商標とは称呼上明らかに非類似である。
また、外観においてはすべてアルファベットの小文字で、「am mini/pm market」と二段書きしてなる本件商標と引用商標は混同するおそれはない。
また、観念の点からも本件商標は、何ら特定の意味を有しない造語商標であることから、これが引用商標の観念と比較する余地もないから、これらが観念上類似しないことは明らかである。
以上の理由により、本件商標は引用商標とは外観・称呼・観念のいずれにおいても非類似であるから、商標法第4条1項11号には該当しないものである。
請求人は、引用商標を使用した商品が広く販売され引用商標が周知著名であることの立証を何らなしていない。したがって、引用商標が周知著名であるとは到底認められないから、本件商標が商標法第4条1項第10号及び同第15号に該当しない。
第3 当審の判断
そこで判断するに、商標登録が商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号の規定に違反してなされた(同第10号及び同第15号については不正の目的で商標登録を受けた場合は除く。)ことを理由とする商標登録無効の審判は、商標権の設定の登録の日から5年を経過したあとはすることができない(商標法第47条)。そして、無効審判請求後に新たな無効理由を追加主張することは新たな無効審判の請求を追加することになるものと解するのが相当であるから、除斥期間の経過後の無効理由を除斥期間経過後に追加して主張することはできないものと解するのが相当である。
これを、本件についてみると、本件商標は、平成5年9月30日設定登録されたものであるから、商標登録が商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号の規定に違反してなされた(同第10号及び同15号については不正の目的で商標登録を受けた場合は除く。)ことを理由とするときは、平成10年9月30日までに、その無効とすべき理由を明らかにし、審判請求しなければならない。
しかして、請求人は、平成10年9月30日付けで審判請求書を提出したが、当該審判請求書には本件商標を無効にすべき理由を何ら記載しておらず、除斥期間経過後の平成10年12月3日付審判請求理由補充書においてはじめて、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に該当するという、無効にすべき理由を明らかにしている。そして、同第10号及び同第15号に該当する理由に、本件商標が、不正の目的で商標登録を受けたものであるとは主張していない。
したがって、本件請求は、商標法第47条除斥期間経過後に無効理由を主張した不適法なものであるから、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定によって却下すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別記



審理終結日 1999-08-16 
結審通知日 1999-08-31 
審決日 1999-09-16 
出願番号 商願平3-73413 
審決分類 T 1 11・ 26- X (124 )
T 1 11・ 271- X (124 )
T 1 11・ 25- X (124 )
最終処分 審決却下  
前審関与審査官 半戸 俊夫伊藤 三男 
特許庁審判長 板垣 健輔
特許庁審判官 内山 進
杉山 和江
登録日 1993-09-30 
登録番号 商標登録第2578716号(T2578716) 
商標の称呼 1=エイエムミニピイエムマ-ケ+ツト 2=アムミニピイエムマ-ケ+ツト 3=エイエムミニピイエム 4=アムミニピイエム 5=エ-エムピ-エムミニマ-ケ+ツト 6=エ-エムピ-エム 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 下坂 スミ子 
代理人 大島 厚 
代理人 加藤 建二 
代理人 中村 稔 
代理人 松尾 和子 

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