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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない 123
審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない 123
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 123
管理番号 1011014 
審判番号 審判1997-17389 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-09-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-10-03 
確定日 1999-11-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第2707543号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2707543号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙に表示するとおりの構成よりなり、第23類「時計、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年3月1日に登録出願され、同7年5月31日に設定登録がなされているものである。
第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第86号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第8号、同第10号及び同第15号、同第7号、同第19号に該当し、その登録は同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号に関する主張
本件商標よりも先願に係る自己の所有するとして請求人が引用する登録第1984481号及び同第2466875号の商標は、別紙に表示する構成よりなり、いずれも「第23類 時計、眼鏡、これらの部品および附属品」を指定商品とするものである(以下「引用商標」という。)。そして、本件商標が「バリーズ」、引用商標が「バリー」と称呼されることは明らかである。
これらの称呼は前者の語尾音「ズ」が後者には存在しないだけであり、語頭の2音は共通している。すなわち本件商標の称呼は引用商標の称呼「バリー」をそのまま語頭部に含み、これに語尾音「ズ」を付加したに過ぎない。しかも、ズの音は英語の語尾に位置すると一般的にはその前の語の複数形もしくは所有格(・・・の)を表す意味であることはわが国でも広く知られているから、比較的弱くあるいはあいまいに発音され聴取されることになり、これが称呼全体に与える影響は極めて小さい。その上、請求人の商標「バリー」が世界的に著名な商標であることと相挨って、本件商標は語頭の「バリー」の部分が一般人に強い印象を与えるというべきである。
したがって、本件商標は称呼上引用商標と混同するおそれが高いから、これらは称呼において類似する商標である。
また、本件商標中の「BALISE」は「航路標識、航空標識」又は「カンナの実」を意味するフランス語であり(甲第11号証参照)、英語には同一の綴りを有する語は存在しない(甲第12号証)。しかしながら、「BALISE」はフランス語としても使用頻度の低い語であり(甲第11号証によれば、基本語彙であることを示す「*」印が「BALISE」の項に付されていない)、「航路標識、航空標識、カンナの実」等の言葉も日常一般的に使用されることは極めて少なく、また、本件商標の指定商品との関係で使用される語でもない。
したがって、わが国において、本件商標に接する者は、これを上記の意味を有するフランス語として理解し認識する者はほとんど存在せずむしろ単なる造語と認識するのが普通である。しかも、わが国における英語の普及度を勘案すれば、一般人は本件商標を英語であろうと推測するといえる。そうであれば、上述のように一般に英語において語尾音「ズ」は複数形又は所有を意味する「S」である場合が多いから、本件商標の称呼「バリーズ」からは「バリー」(複数)もしくは「バリーの」の意味が容易に想起される。
しかるに引用商標から生ずる称呼「バリー」は後述のように請求人の著名な略称及び商標であるから、本件商標は観念においても引用商標に類似し、あるいは少なくとも引用商標と関連づけて認識されるというべきである。
よって、本件商標は、引用商標に称呼及び観念において類似し、同一の商品を指定商品としている。
(2)商標法第4条第1項第8号に関する主張
請求人バリー シューファブリケン アクチェンゲゼルシャフトは、1851年にスイス国シェーネンヴェルトにおいて、カール フランツ バリー(Carl Franz Bally)がそれまでの家内工業とは違った本格的な製靴工場を設立したことに起源を有し、靴については世界中でも最も長い歴史と伝統を持つ企業である。同社の140年を越える発展の歴史はそのまま世界における靴の歴史である。同社は、現在スイスを中心に世界各国に関連会社を有する国際的企業であり(甲第17号証)、皮製品の製造、ファッション関連の分野においても世界的な名声を得ている企業の一つである。
商品を販売する販売店は直営店を含めて全世界で506店、販売総額はグループ合計で1988年には15億スイスフラン(当時の換算で1290億円)に達していた(甲第17号証)。
請求人及びその関連会社は、靴以外にも、被服類、かばん類、ベルト等の商品を、わが国において35店舗の直営店及び多数の有名デパート等において広く販売している。
「BALLY」は、現在では請求人が所有するヨーロッパの代表的なブランドとしてわが国において一般にも広く知られていることは明らかであり、その名声はわが国でも確立しているといえる(甲第64号証乃至甲第75号証)。
以上の事実から、「BALLY」「バリー」の表示はわが国においても本件商標の出願日である平成3年3月1日のはるか以前から、請求人の靴をはじめとする上記各種の商品について使用する商標として周知著名であったことは疑いなく、同時に「BALLY」「バリー」の表示がそれらの製品の出所としての請求人の名称の略称としても広く知られていることは明らかである。
本件商標は、その構成中に「バリー」の文字を含んでいるにもかかわらず、商標権者は請求人から本件商標の登録について何ら承諾を得ていない。
(3)商標法第4条第1項第10号に関する主張
「BALLY」「バリー」が請求人及びその関連会社の扱う各種製品の著名な商標であることは前述の通りである。また、本件商標は称呼及び観念において請求人の商標「BALLY」「バリー」に類似する。
したがって、本件商標は請求人の周知著名な商標「BALLY」「バリー」と関連付けて認識されるおそれが高い。さらに、請求人は欧米のみならず、世界各国にBally Groupと呼ばれる多数の関連会社を有しており、また、わが国においても上述のような関連会社が現実に存在している。また、商標「BALLY」「バリー」が使用され請求人の製造に係る被服類、かばん類、ベルト等の商品が我が国において広く販売されている。
他方、本件商標の指定商品も請求人自身によって扱われているものもあり、また、それらは請求人の扱うファッション関連商品の分野に属するものである。
以上述べたように、本件商標は請求人の有する著名な商標と紛らわしく、その指定商品も請求人の商標が著名性を獲得している商品を含んでいるか、あるいは密接な関連を有するものである。
(4)商標法第4条第1項第15号に関する主張
本件商標がその指定商品について使用されれば、当該商品はあたかも請求人あるいは少なくとも請求人と関連を有する(Bally Groupに属する)企業によって製造販売された商品であるかの如く、その出所が誤認混同されることは明らかである。
(5)商標法第4条第1項第7号及び第19号に関する主張
請求人の商標「BALLY(バリー)」は、我が国の一般的な英和辞書にも「(靴、革小物、香水、服飾品などの)商標」として掲載されている。このように世界的に著名な商標をそのままその構成中に含み当該商標と類似する本件商標の使用・登録を容認することは、請求人の著名商標が有する出所表示機能(指標力)を稀釈化するばかりでなく、請求人の著名商標に化体した業務上の信用すなわち莫大なグツドウイルに“ただ乗り”することを認めることとなり、国際信義上極めて穏当でない。また、被請求人は、そのことにより不正の利益を得ることになる。
さらに、本件商標が請求人の商標「BALLY(バリー)」と無関係に選択されたとは考えられず、その顧客吸引力を利用しようとするものであることは容易に看取されるというべきである。
したがって、請求人がその製造・販売について何らの関連性もしくは責任を持たない商品について、本件商標が使用されれば、商標「BALLY(バリー)」に対して有する請求人の業務上の責任及び信用が損なわれ、他方、同商標に寄せる需要者・取引者の信頼を失う結果を招来することは明らかである。
すなわち、本件商標の使用は、客観的に不正の利益を得、若しくは請求人に損害を加える目的を持つものというべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第11号について
引用商標「バリー(BALLY)」は、靴、服飾品、革小物、香水などについて世界的に著名な商標である。
本件商標「バリーズ(BALISE)」は、そのような他人の周知・著名な商標「バリー(BALLY)」が語頭にあり、しかも、第一音「バ」が濁音で強く発音されることと相まって、「バリー」の2音が聴者に対し強い印象を与えることは疑いない。
したがって、一般需要者・取引者は、本件商標の語頭の2音「バリー」から引用商標「バリー(BALLY)」を想起することは必至である。すなわち、本件商標中の語頭の「バリー」が聴覚的及び視覚的に一般人に与える印象は強いから、本件商標が引用商標と外観及び称呼上何らかの関連性があるものとして認識されるおそれのあることは明白である。さらに、本件商標「バリーズ(BALISE)」も引用商標「バリー(BALLY)」もアクセントは語頭の「バ」に置かれるため、両者は、語頭が最も強く大きく発音され、本件商標中の「ズ」は、商標全体に影響を及ぼしにくい末尾音に位置することとも相まって、曖味に発音され、明瞭に聞き取りにくい音となっている。加えて、昨今では携帯電話等の普及により口頭による取引が一段と多くなっており、手短に要件を伝える場合が多いから、本件商標と引用商標の称呼上の唯一の差異音である本件商標の末尾音「ズ」が、両商標の称呼の全体に与える影響は極めて少ないということができる。
(2)商標法第4条第1項第8号について
請求人の正式名称である「バリー シューファブリケンアクチェンゲゼルシャフト(BALLY Schuhfabriken AG)」の「シューファブリケン(Schuhfabriken)」とは「製靴工場」又は「製靴職人」を、「AG」は「株式会社」を意味するドイツ語であるから、日本語でいえば「バリー製靴株式会社」ということになる。
したがって、「バリー」の表示は、その製品の出所を表す請求人の「名称」そのものであり、少なくとも請求人の「略称」であることは明白である。このように、本件商標は、その構成中に請求人の著名な名称若しくは略称である「バリー」の文字を明白に含んでいるにもかかわらず、商標権者は請求人から本件商標の登録について何ら承諾を得ていない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
被請求人の答弁書における主張は、周知商標の保護という観点からみれば本末転倒の議論であることはいうまでもない。
このような論理に従えば、周知・著名商標の類似範囲、あるいはそれらと混同する範囲は極めて狭いものとなり、商品又は役務の出所の混同を防止することにより商標使用者の業務上の信用を維持し、併せて需要者の利益を保護することを目的とする商標法の趣旨に合致しない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
請求人及びその関連会社が「靴」以外にも「かばん類、婦人服、服飾品」などの各種製品を取り扱っており、それらについても著名な商標となっていることは請求人の提出した証拠全体からも明らかである。
「シャネル」「グッチ」「カルティエ」といった著名ブランドの例を挙げるまでもなく、一般の新聞・雑誌、特にファッション雑誌等には、靴や皮製品を主として製造するメーカーが同時に時計も扱っている記事や広告が頻繁に掲載されている。特に、時計ベルトには皮製品が使用されるため、時計本体は取り扱わなくても時計ベルトを扱う業者は当然に存在する。
したがって、靴・皮製品等と時計とが全く無関係の商品ということはできず、むしろ、これらは共通して身につける商品としてのファッション性を有するという点に類似性を有している。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。
1 第4条第1項第11号に該当するとの理由について
請求人の引用商標は、それぞれ「BALLY」及び「バリー」の文字を書してなり、第23類「時計、眼鏡、これらの部品および附属品」を指定商品として登録されているものであり、「バリ」及び「バリー」のように称呼されるものと認められるものである。
これに対し、本件商標は、前記構成から「バリーズ」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、両者がその構成から外観上見誤られるようなものでないことは明らかであり、また、観念上の共通性もないものである。
次に称呼についてみると、本件商標の前記「バリーズ」の称呼と引用商標の「バリ」又は「バリー」の称呼は、長音を含めても僅かに4音、2音(3音)という少ない音構成にあって、末尾の「ズ」の音の有無という際だった差があり、これが全体の称呼の聴別に与える影響は極めて大きく、両者の一連の称呼は、取引きにおける通常の注意力の下にあっても、このような両者の音数音構成の差により明瞭に聴別することができ、彼此聞き誤られる虜のあるようなものではない。
本件商標の前記「バリーズ」における「ズ」の音が比較的弱くあるいはあいまいに発音されるようなことになる性質のものではない。濁音である「ズ」は明瞭に発音され、明瞭に聴取される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
2 第4条第1項第8号に該当するとの理由について
本件商標の構成中には、「バリー」の片仮名文字がある。しかし、本件商標の前記構成からみて、全体が一塊に認識され、全体構成の中から「バリー」の文字部分が分離して観察されることになるようなものではないから、「バリー」を独立した一個の名称として把握認識されるような性質のものではなく、商標法第4条第1項第8号にいう「略称を含む」というような概念のものではない。
3 第4条第1項第10号に該当するとの理由について
本件商標と引用商標とが類似しないことは前述のとおりであるから、本件商標が商標法第4条第1頃第10号に該当するものでないことは明らかなところである。
引用商標が周知とか著名というのであれば、引用商標についての認識が明確であろうから紛れる要素が少なくなり、余計に識別し易くなる筈のものである。
商品「靴」についての商標の周知・著名性をここに持ち込むものとすれば、筋違いである。
4 第4条第1項第15号に該当するとの理由について
商標「BALLY」が主として「靴」について著名であることを挙げている。しかし、我が国にあっては、靴とか革製品が時計メーカー等を兼ねるというような事情にはなく、したがって、仮に商標「BALLY」が商品「靴」について著名であるとしても、取引者、需要者が商品の出所について混同するということは考えられない。ましてや、本件商標と商標「BALLY」が非類似のものであり、また引用商標が周知とか著名というのであれば、引用商標についての認識が明確となるため紛れる要素が少なくなり、余計に識別し易くなることは前述のとおりであるから、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものであるとする請求人の主張も理由がないことは明白である。
5 第4条第1項第7号、同第19号に該当するとの理由について
何らの証拠も示されないこれらの主張は、とても理由があるものとは思えない。被請求人は、同じことを繰り返し反論するつもりはないが、本件商標「バリーズ/BALlSE」は、航路標識などを意味するフランス語そのものであり(乙第1号証)、請求人はこれを商標として採択したものであって、その際、使用分野が異なり、同一でもない被請求人の商標は、全く念頭にはなかった。
そして、さきにも述べたように、請求人商標が国際的に著名といわれるものであれば、称呼、観念が曖昧になることはなく、ましてや、これがフランス語の成語である「バリーズ/BALlSE」と混同されるようなことにはならないものと思量するものである。
第4 当審の判断
よって、本件商標の登録を無効にすべき理由の有無について判断する。
1 商標法第4条第1項第11号及び同第10号該当性
本件商標及び引用商標(請求人が使用し、周知商標であるとする商標は、引用商標と同一の構成態様のものであるので、請求人の使用商標も含めて、以下「引用商標」という。)は、それぞれ別紙に表示するとおりの構成よりなるものであるところ、両者はその文字構成、態様において明らかな差異を有するから、外観において互いに紛れるおそれはないものである。
次に、称呼についてみるに、本件商標は、別紙に表示するとおり、上段の「バリーズ」の片仮名文字と下段の「BALISE」の欧文字は同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で外観上まとまりよく一体的に表わされてなるもので構成文字全体をもって把握、認識され、構成中の片仮名文字部分が欧文字の称呼を表示したものと無理なく把握され、該片仮名文字部分に相応して生ずる称呼によって、取引に資されるものと判断するのが相当であり、しかもこれより生ずる全体の称呼である「バリーズ」にしても淀みなく一連に称呼し得るものである。
この点につき、請求人は、「ズ」の音は英語の語尾に位置すると一般的にその前の語の複数形若しくは所有格(・・・の)を表す意味であると我が国でも広く知られているから、比較的弱くあるいは暖昧に発音され聴取されることにより、称呼全体に与える影響は極めて小さいこと、また、英語において複数形を意味する「S」である場合が多いから「バリー」(複数)若しくは「バリーの」の意味が容易に想起され、称呼及び観念において類似する商標である旨主張している。
しかしながら、請求人が主張するように、英語における「S」の文字が名詞の複数形を示す語或いは名詞の所有格を示す語であるとしても、本件商標は、その称呼が長音を除き僅か3音と短く一気に称呼し得ること、片仮名文字部分が、請求人の主張するように、「バリー」と複数形或いは所有格を表す「ズ」の結合語として観察しなければならないほどの強い理由までは認められないことを考慮すれば、「バリー」と「ズ」に分離されて認識されるものともいえないものである。
また、欧文字部分「BALISE」中の「SE」の文字が「Z(ズ)」と発音されるとしても、これが直ちに英語における複数形或いは所有格を表す語「S(ズ)」と同義語として広く知られているものとは認められないものである。
むしろ、構成する欧文字及び片仮名文字の全体が一体不可分のものとして認識し把握されるものとみるのが相当であって、当該文字に相応して、「バリーズ」の称呼のみを生ずるものと認められる。
更に、他に本件商標を、「BALI」と「SE」及び「バリー」と「ズ」の文字部分に分離して称呼しなければならない格別の事情を請求人の提出した証拠によっても認めがたい。
したがって、請求人の主張する「BALLY」「バリー」が、請求人の商号の著名な略称又は著名な商標であると一般世人に認識されているとしても、本件商標の係る構成にあっては、外観上、上記のように一体の造語よりなる商標と認識されるものというのを相当とするから、請求人の主張は採用することができない。
他方、引用商標は、別紙に表示するとおりの構成よりなるものであり、その構成文字に相応して、「バリー」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「バリーズ」と引用商標より生ずる「バリー」の称呼を比較するに、本件商標が、その前半部において「バリー」の音を有するとしても、語尾の「ズ」の音に顕著な差異を有するものであり、この音の差異が比較的短い音構成よりなる両称呼の全体の語調、語感に及ぼす影響は大きく、両称呼をそれぞれ一連に称呼するも、両者は、その語調、語感が異なり、称呼上互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。
さらに、本件商標は、フランス語で「航路標識、カンナの実」等の意味を有するとしても、比較的親しまれた語とはいえないものであるから、これに接する取引者、需要者において、特定の語義を認識しないものと判断するのが相当であり、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないものである。
してみれば、両商標は、その外観、称呼及び観念のいずれの点よりみても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第10号に違反して登録されたものではない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性
請求人の提出に係る甲第13号証ないし同第75号証によれば、同人が引用する「BALLY」の文字が同人が商品「靴」について使用する商標として、本件商標の登録出願前に我が国において、取引者、需要者の間に広く認識されていることが認められるとしても、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であること前述したとおりであり、かつ、本件商標は、「BALISE」「バリーズ」の各文字が「BALI」と「SE」及び「バリー」と「ズ」の部分に分けて称呼、観念しなければならない格別の事情もない一体不可分のものとして認識し把握されるものであるから、その構成中の「BALI」「バリー」の部分のみがことさら分離して観察され、請求人の広く認識されている前記引用商標の「BALLY」「バリー」を認識されることはないものである。
そして、本件商標は、引用商標と前記判断したとおり、称呼、観念及び外観において明らかに区別し得る別異な商標であって、他に商標の点において出所の混同を生じさせる事由を見いだせないから、本件商標の登録出願時において、被請求人が本件商標をその指定商品に使用しても、これが請求人の業務に係る商品あるいは請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあったということはできない。
したがって、本件商標の登録が商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものということはできない。
3 商標法第4条第1項第7号、同第8号及び同第19号該当性
本件商標は、前述のとおり、構成する片仮名文字及び欧文字の全体が一体不可分のものとして認識し把握されるものであって、「BALI」「バリー」の部分のみがことさら分離、抽出されて他人の名称を表すものとして認識されるとは認め難いばかりでなく、甲第13号証ないし同第75号証は、「BALLY」及び「バリー」と記載されているものであり、これらの書証における請求人の著名な名称は「BALLY」であって、「BALI」とは異なるものであるから、本件商標が請求人の著名な名称を含んでいるものとはいえないものである。
さらに、本件商標は、前述のとおり、被請求人が本件商標をその指定商品に使用しても、これが請求人の業務に係る商品あるいは請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあったということができないから、請求人の主張する如く、「BALLY」「バリー」の著名商標の識別力が次第に希釈がされることなく、また、被請求人が請求人の名声に只乗りして不当な利益を受けることにもならないものである。
また、これをその指定商品に使用しても国際信義を害するおそれがある商標とはいえないものである。
したがって、本件商標の登録が商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第19号に違反してなされたものということはできない。
4 以上述べた理由により、本件商標が商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第7号、同第8号及び同第19号に違反して登録されたとはいえず、本件商標の登録は、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別記



審理終結日 1999-06-03 
結審通知日 1999-06-15 
審決日 1999-06-25 
出願番号 商願平3-21109 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (123 )
T 1 11・ 23- Y (123 )
T 1 11・ 271- Y (123 )
最終処分 不成立 
前審関与審査官 熊谷 道夫宮川 久成 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 小池 隆
小林 和男
登録日 1995-05-31 
登録番号 商標登録第2707543号(T2707543) 
商標の称呼 1=バリ-ズ 
代理人 松尾 和子 
代理人 大島 厚 
代理人 加藤 建二 
代理人 小出 俊實 
代理人 中村 稔 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 石川 義雄 
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