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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 030
管理番号 1004439 
審判番号 審判1997-19996 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-11-19 
確定日 1999-10-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第3204205号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3204205号商標の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3204205号商標(以下「本件商標」という。)は、「ホンゾウタヒボ」の片仮名文字を横書きしてなり、第30類「茶」を指定商品として、平成5年11月17日に商標登録出願され、平成8年9月30日に設定登録されたものである。
2 無効理由に引用した登録商標
請求人が、無効理由に引用した登録第2101823号商標(以下「引用商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、第29類「茶」を指定商品として、昭和61年7月16日に商標登録出願され、昭和63年12月19日に設定登録され、その後、平成10年8月4日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
3 請求人の主張
請求人は、本件商標を無効とするとの審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第74号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)請求人の登録商標
請求人は、上記のとおりの引用商標を所有し、該引用商標の称呼は、「タヒボ」もしくは「タヒーボ」であり、古代インカ語で「神の恵み」又は「神の光」いう意味だといわれているが正確なところはわからない。加えて、請求人は片仮名文字で横書きの「タヒボ」と欧文字の「Taheebo」の2段書きの商標登録出願をしており、この商標登録出願は上記引用商標と連合する商標として既に出願公告(平成8年公告第121007号)されている。
(2)「Taheebo」の原材料について
商標「Taheebo」あるいは「タヒボ」を付した商品は、学名タベブイア・アベラネダエという名称の南米産のノウゼンカズラ科の樹皮を粉砕したものを原料とした茶の商標であり、制癌効果を呈する他、糖尿、リュウマチ、肝硬変等あらゆる疾病に効果があるといわれている。また、上記タベブイア・アベラネダエは、本件請求書に添付した甲第69〜71号証に記載のようにブラジルでは通称をイペー(正確にはイペー=ロッショ)又はパウダルコ(Pau d’arco)という名称を持つ樹木である。
すなわち、甲第69号証のブラジル植物記(帝国書院発行 橋本梧郎著、絶版につき発行日不明)196頁には異名としてIpeが挙げられておりその語意も説明されている。また、甲第70号証の熱帯植物要覧(平成3年9月30日発行、養賢堂発行 熱帯植物研究会編集)462頁にも「ipe-roxo」「ipe-rosa」が記載されている。ここで、 「roxo」とは紫色の意味であり、「rosa」はバラ色のことであるので、色を省略して単にipeと呼ばれることがある。更に、甲第71号証の「日本ブラジル修好100周年記念郵便切手」と題する郵政省のパンフレットにもブラジルの国花として「イペー」があげられている。
(3)「Taheebo」の名称の由来について
請求人の代表者、畠中平八は1986年に渡伯して、「Taheebo」の販売活動の一貫としてサンパウロ大学農学部のウオルター・ラダメス・アコーシ名誉教授にタベブイア・アベラネダエすなわちパウダルコに関する研究の日本での発表を依頼し、1987年に甲第72号証に示すポルトガル語の論文を受けとった。この論文は請求人によって翻訳され、甲第74号証の契約書に示すように、1988年に株式会社神戸新聞総合出版センターと株式会社ゼロ・プランニングによって編集され、更に株式会社神戸新聞総合出版センターにより主題「TAHEEBO」、副題「奇跡の薬木『タヒボ』」として1988年9月25日に初版が発行された。
上記論文の主題は甲第72号証の表紙に示すように「PAU-D’ARCO」となっており、副題として「AMARAVILHOSA PLANTA MEDICINAL DA FLORA BRASILERA」が付加されている。すなわち「パウダルコ」「ブラジル植物群のすばらしい薬草」となっている。ところが、甲第73号証の邦訳(以下「邦訳」という。)では、主題が「TAHEEBO」であり副題が「奇跡の薬木『タヒボ』」となっているのは、請求人の「タヒボ」の販売促進を目的とする意向が強く打ち出されていることによる。すなわち邦訳は「Taheebo」の販売活動の一貫として発行されたものであるから、当然のごとく本文中の要所要所に「タヒボ」の文字が散見される。
また、邦訳の26頁最終行には「タヒボ」なる言葉が見られるが、この部分は甲第72号証(以下単に「原文」という。)の23頁4行目に相当し、原文ではIPE ROXOになっている。また、邦訳28頁4行目の「タヒボ」は原文の23頁9行目〜11行目に相当するが、対応する文字は見当たらない。更に、邦訳32頁の4行目の「タヒボ」の表現は原文24頁の下から4行目のTabebuiaに相当する。
例えば、邦訳の50頁〜51頁に「タヒボ」なる文字が散見できるが、この部分は原文の45頁に相当する。しかしながら、原文の表記は全てPAU D′ARCOであって「Taheebo」は使用されていない。
邦訳の103頁の1行目〜2行目に「広く、民間ではタヒボとよばれ」とあるが、この部分は原文では74頁の8行目〜11行目あたりに該当する。この部分を直訳すると「パウダルコ(北部地方)あるいはイペー(南部地方)は同一のものである。ロッショ(赤紫)とアマレーロ(黄色)の2種類がある。両者とも薬用植物である。原産地に関して、最良のものは北部地方(マラニヨン州)と北東部地方(ベルナンブコ州およびパイア州)に存在する。」となっており、「Taheebo」の文字は一切見られない。
邦訳の28頁9行目の「タヒボ」の表現は原文の23頁下から10行目に相当し、邦訳の38頁4行目の「タヒボ」の表現は原文の33頁6行目に相当する。
ここでは原文でも「Taheebo」となっているが、原文の23頁下から10行目〜11行目には「“taheebo”antiga civilizacao inca do Peru」「古代ペルーのインカ帝国ではタヒーボ」とあり、原文の33頁6行目には「Inca do Peru」(ペルーインカ帝国)となっている。すなわち、古代インカ帝国での呼び名であることが明記され、このことは「Taheebo」は俗称や通称といった類ではなく、現在では死語であることを暗に意味している。加えて「Taheebo」が古代インカ帝国で使用されていたといっても、上記のように文献的な証拠がある訳ではなく、筆者(アコーシ博士)の研究の積み重ねからの推測で記述されている。
更に、上記のように「Taheebo」は古代でのみ通用したと推測される言葉であるので、アコーシ博士から請求人の代表者畠中平八に商品の名前として使用してはどうかという提案があり、畠中が、日本での商標権を取得したのである。ただ「Taheebo」はこのまま読むと「タヒーボ」と読まれる可能性があり、日本人に馴染まないので、畠中が、自分の姓を「ハタケナカ」といっていたのを「ハタナカ」に読み替えた経験から「たひぼ」と読ませるべく「タヒボ」と商品には付し、あるいは商標登録出願でも「タヒボ」としたものである。
(6)本件商標と請求人の商標との関係
本件商標中「タヒボ」の部分は請求人の上記引用商標と称呼が全く同一であり、片仮名「タヒボ」の部分は請求人の公告済の商標(平成8年公告第121007号)と同一である。
また、本件商標中「ホンゾウ」の部分は被請求人の社名を表す文言である。
すなわち、本件商標は「Taheebo」なる請求人の商標に単に自社名を意味する「ホンゾウ」を付加したに過ぎない。
(7)請求人の登録商標「Taheebo」の周知性について
商品「Taheebo」は請求人の代表者である畠中平八が昭和59年10月ごろから販売を開始し、昭和60年12月にこの商品の販売を目的として、タヒボジャパン株式会社を設立した。さらに、その後当該タヒボジャパン株式会社によって本格的に販売活動が展開され、雑誌・新聞・ラジオ・テレビにて多数の宣伝広告がなされ、本件が登録された平成8年9月30日以前はおろか本件が出願された平成5年11月17日以前に既に周知となっていることは明らかであり、本件商標は商標法第4条第1項第10号あるいは同第15号にも該当し、拒絶されるべきである。
(a)新聞、雑誌(甲第1号証〜同第60号証)
媒体ごとの宣伝広告および記事を証拠方法の欄にリストとして添付するとともに、各媒体より縮小コピーした宣伝広告の態様も添付した。各宣伝広告において商品の包装パックの写真があるものは、その包装パックに「Tabeebo」なる表記がなされ、その上に「タヒボ」なる片仮名書きあるいは「タヒボ&ラパチョ」なる片仮名書きが表記されているものが多い。また記事の場合「タヒボ」なる片仮名書きだけの表記もある。
また、請求人自身による宣伝広告でない場合もあるが、いずれも請求人の販売店の資格を持つ者の宣伝広告である。
なお、証拠方法の欄に*印を付した証拠は本件出願の出願日以降の証拠であるが、本件出願後も請求人の活発な宣伝広告活動が継続していることを計り知る上で重要である。更に、各宣伝広告、記事に「Taheebo」あるいは「タヒボ」なる文字が含まれていることは各証拠を見ると明らかである。
(b)その他の印刷物
▲1▼甲第61号証の1、2は平成2年の大阪天神祭りのときに配付した団扇のコピーである。甲第61号証の2に「90」の文字が見え、平成2年の印刷物であることが分かる。この団扇は1000本製造され800本が一般に配付されている。
▲2▼更に、甲第62号証の1は平成4年8月から平成5年7月にかけての大阪市営バスの窓への張り付シールの広告のコピーであり、甲第62号証の2ー1〜11はそれに対応する広告会社(株)本州堂よりの請求書である。9月分の請求書は遺失しているが、年間を通しての広告であることが理解できる。
甲第62号証の3ー1〜12は阪神高速バスの車内広告に対する広告会社(株)大阪竜青社よりの請求書を示すものである。制作費として25万円(平成4年2月27日付)、広告代金として最初の月は7万円(平成4年3月15日付)2回目以降は5万円の請求がなされていることが読みとれる。この広告は平成4年末まで継続している。
(c)ラジオ、テレビ(甲第63号証〜同第66号証)
▲1▼(株)広研アドバタイジングを介してのラジオ、テレビCMについて
甲第63号証の1は(株)広研アドバタイジングを介してのラジオ、テレビCMについて(株)広研アドバタイジングが証明した請求人の広告リストである。
昭和62年から毎日放送ラジオでのCMが開始され、現在も継続的におこなっているが、平成2年度に至ってはラジオ、テレビ合わせて1000万円以上のCMを当該(株)広研アドバタイジングを介して行っていることになる。
この中、平成2年6月以降のニッポン放送によるラジオCM、及びTBSテレビによるテレビCMについては請求人の側に(株)広研アドバタイジングが発行した請求書(甲第63号証の2ー1〜8)が残っているので、証明書の信憑性が確認できる。
甲第63号証の3は上記ニッポン放送によるラジオCMを作成する過程で(株)広研アドバタイジングが請求人に確認を求めた広告内容の原稿である。右下に(株)広研アドバタイジングの欧文表記である「KOHKEN ADVERTISING GO.,LTD」が見られる。
甲第63号証の4は請求人がまとめた、上記(株)広研アドバタイジングの平成2年12月〜同3年1月にかけてのTBSによるCM(甲第63号証の1の下から2段目に表記されている)のスケジュール表である。上記(株)広研アドバタイジングが発行した証明書の下から2枠目の総額300万円の15秒スポットに対応する。
▲2▼(株)クリエイテイブタグを介してのラジオ、テレビCMについて
甲第64号証は、(株)クリエイテイブタグを介してのラジオ、テレビCMについて(株)クリエイテイブタグが証明した請求人の広告リストである。昭和62年から毎日放送ラジオでのCMが開始され、平成2年1月まで継続しており広告費用は総額で1900万円余りに至っている。
▲3▼(株)大有社を介してのラジオ、テレビCMについて
甲第65号証の1ー1〜10は平成2年3月〜12月迄のテレビ大阪が広告会社(株)大有社に対して発行した請求人に関する「テレビスポット放送通知書である。月に18回または21回の15秒スポットCM(通知書の右下枠の15″は15秒スポットの意味、計の枠の数字はその月の放映回数)がなされているのが分かる。
これに対応して(株)大有社から請求人に対して甲第65号証の2ー1〜7に示すように、平成2年6月分から同年12月分(3〜5月分は請求人側で保存なし)の請求がなされており、TV0(テレビ大阪)の表示の欄より毎月50万円程度の請求額を読み取ることができる。
▲4▼(株)大阪竜青社を介してのCMについて
甲第66号証の1は、平成2年度の朝日放送によるラジオ、テレビCMについての請求人の広告料を証明した(株)大阪竜青社発行の証明書である。合わせて当該(株)大阪竜青社の請求人からの広告料の入金を確認できる普通預金写し(甲第66号証の2)も加えられており証明の信憑性が確認できる。
(d)売上高
甲第67号証の1は請求人の代表者、畠中平八が昭和60年12月8日に商標「Taheebo」を付した商品の販売をするためにタヒボジャパン株式会社を設立してからの各会計年度の売上高を示すものであり、甲第67号証の2は健康食品の品目毎の業界全体の売上高を示す財団法人日本健康・栄養食品協会が平成4年3月に発行した資料である。尚、上記売上高の第1期は昭和60年12月8日〜昭和61年5月31日迄、以降は毎年5月31日が決算日であり、必要であれば決算書において証明する。
クロレラ、ローヤルゼリー等、古くから知られている商品は別として殆どの商品が億換算で2桁以下であり、1桁のものも多い。加えるに商品「Taheebo」は請求人が日本にもちこんでから日が浅いこと、及び請求人1社で10億円前後の売上のある事実を考慮すると如何に請求人が宣伝広告に勢力をそそぎ、商標「Taheebo」を付した商品が周知性を獲得したかが理解できる。
(e)証明書
甲第68号証は(株)健康産業新聞社が請求人の3つの態様の商標「TAHEEBO」「タヒボ」「TAHEEBO/タヒボ」についての周知性を証明した証明書である。
(8)結論
以上、証明したように本件商標はその出願前に登録されている請求人の引用商標と類似であるので商標法第4条第1項第11号を以て拒絶されるべきである。また、広告量およびそれに要した費用、売上高いずれの観点からみても請求人の商標は本件出願日より以前に既に周知性を確保しており本件は商標法第4条1項10号または第15号を以て無効にされるべきである。
4 被請求人の答弁
被請求人は何ら答弁していない。
5当審の判断
よって判断するに、請求人の提出に係る甲第1号証乃至同第68号証を勘案すると、請求人は、ブラジルの樹木の一つであるノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ種の樹皮を原料とする茶に「タヒボ」の片仮名文字からなる商標及びややレタリングされた欧文字の大文字を横書きした「TAHEEBO」の商標を1989年頃より、新聞、雑誌の広告及びテレビ、ラジオのCMに大量に行ってきた結果、本件商標の登録出願時(平成5年11月17日)には、上記「タヒボ」の片仮名文字及び「TAHEEBO」の欧文字からなる商標は、請求人の商品を表示するものとして取引者、需要者の間において広く認識されるに至っていたものということができる。
ところで、「タヒボ」の文字は、我が国において、ノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ種の樹木を示す名称として一般に通用しているものとは認められず、むしろ、請求人が前記商品について使用している商標というが相当である。
なお、請求人の「タヒボ」の商標について、上記認定とほぼ同様に認定した大阪地方裁判所の判決(平成7年(ワ)第7193号不正競争行為差止等請求事件、同10年12月24日判決言渡)がある。
そうとすれば、本件商標は、その構成中に請求人の業務に係る商品である「茶」を表すものとして取引者、需要者間に広く認識されている商標「タヒボ」の文字を含むものであるから、これを商標権者がその指定商品「茶」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品が請求人又は請求人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別紙

審理終結日 1999-07-09 
結審通知日 1999-07-27 
審決日 1999-08-17 
出願番号 商願平5-116175 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (030 )
最終処分 成立 
前審関与審査官 須藤 昌彦内山 進 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 野上 サ卜ル
宮下 行雄
登録日 1996-09-30 
登録番号 商標登録第3204205号(T3204205) 
商標の称呼 1=ホンゾウタヒボ 
代理人 福井 豊明 
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