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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない 003
管理番号 1004408 
審判番号 審判1998-35308 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-07-10 
確定日 1999-10-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4061101号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4061101号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成8年3月1日に登録出願、第3類「せっけん類、化粧品」を指定商品として同9年9月26日に登録がなされ、現在有効に存続しているものである。
2請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の8件である。
登録第510889号商標(以下「引用商標1」という。)は、別紙(2)に示すとおりの構成よりなり、昭和31年3月12日に登録出願、第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品として同32年12月4日に登録、その後、同53年5月10日、同62年12月14日及び平成9年11月18日の3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現在有効に存続しているものである。
登録第530017号の1商標(以下「引用商標2」という。)は、別紙(3)に示すとおりの構成よりなり、昭和33年2月20日に登録出願、第5類「歯磨及び他類に属しない洗料」を指定商品として同年11月17日に登録、その後、同53年12月12日に商標権存続期間の更新登録、昭和56年3月30日に本件の分割移転により、指定商品が「歯磨及び他の類に属しない洗料、但し、歯磨きを除く」となった旨の登録、そして、平成1年4月18日及び同10年9月29日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現在有効に存続しているものである。
登録第530500号商標(以下「引用商標3」という。)は、別紙(4)に示すとおりの構成よりなり、昭和33年2月20日に登録出願、第4類「石鹸」を指定商品として同年11月25日に登録、その後、同53年12月12日、同63年12月21日及び平成10年10月27日の3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現在有効に存続しているものである。
登録第558582号商標(以下「引用商標4」という。)は、別紙(5)に示すとおりの構成よりなり、昭和31年3月12日に登録出願、第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品として同35年10月22日に登録、その後、同56年5月30日及び平成2年12月21日の2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現在有効に存続しているものである。
登録第705500号商標(以下「引用商標5」という。)は、別紙(6)に示すとおりの構成よりなり、昭和37年11月14日に登録出願、第4類「化粧品、香料類」を指定商品として同41年4月28日に登録、その後、同51年11月8日、同61年4月16日及び平成8年7月30日の3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現在有効に存続しているものである。
登録第1373980号商標(以下「引用商標6」という。)は、別紙(7)に示すとおりの構成よりなり、昭和50年5月16日に登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として昭和54年2月27日に登録、その後、同56年6月8日に指定商品中の「歯みがき」について放棄する旨の登録、平成1年1月13日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現在有効に存続しているものである。
登録第1690357号商標(以下「引用商標7」という。)は、別紙(8)に示すとおりの構成よりなり、昭和52年11月11日に登録出願、第4類「化粧品」を指定商品として同59年6月21日に登録、その後、平成6年10月28日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現在有効に存続しているものである。
登録第2257997号商標(以下「引用商標8」という。)は、別紙(9)に示すとおりの構成よりなり、昭和63年3月31日に登録出願、第4類「化粧品、せっけん類、香料類」を指定商品として平成2年8月30日に登録され、現在有効に存続しているものである。
なお、引用商標1ないし引用商標8を指すときは、以下「引用各商標」という。
3請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対して次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)本件商標は、引用各商標と類似し、かつ、指定商品においても抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は無効とされるべきものである。 引用各商標は、いずれも「リッチ」或いは「RICH」を要部とするものである。一方、本件商標は上述のような構成であるから、その要部の一つに「リッチ」「RICH」がある。したがって、両者は要部において一致し、これから生じる称呼及び観念は同一であり、互いに類似する。
すなわち、本件商標を構成する語のうち、上段の「リッチケア」下段の「RICH CARE」の語の商品識別力を有する部分は「リッチ」「RICH」の部分にある。「リッチ」「RICH」に付加されている「ケア」「CARE」は、指定商品との関係において顕著性を有しない部分であるからである。「ケア」「CARE」の語は、「心配、気掛かり、気苦労」等の意味のほかに「世話、看護、管理、注意、配慮」等の意味を持つ英語であるが、最近は、いろいろな分野で使用されるようになっていて、例えば、「アフターケア」「プライマリーケア」「デーケア」「ヘアケア」或いは「ケア付き老人ホーム」「ケア付き住宅」の語は、日常生活において頻繁に耳にする語である。これらの使用例のうち、「ヘアケア」は毛髪の手入れに関し頻繁に使用されている語であるが、毛髪用化粧品以外の化粧品やせっけんについても、用途表示的に使用されており、殆ど日本語化されている。したがって、化粧品・せっけん類に関しては顕著性が無く、「Carefull ケアフル」(商願昭44-3339)、「CARE SKIN ケアスキン」(商願昭48-35206)、「ケアボディ CAREBODY」(商願昭50-64890)の出願は、いずれも拒絶査定となっている。
このようなことで、本件商標の要部は「リッチ」「RICH」の部分にあるということができ、引用各商標と類似する。
4被請求人の答弁
「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、証拠方法として乙第1号証ないし同第19号証を提出している。
以下に述べる理由により明らかな如く、本件商標は、請求人の主張をもってその登録が無効とされるべきものではない。
本件商標と引用各商標とを比較してみるに、本件商標と引用各商標とは、外観において非類似であることは明白である。次に、本件商標と引用各商標の称呼について比較してみるに、本件商標は、上段部を片仮名「リッチケア」、中段部を欧文字「KANEBO」、下段部を欧文字「RICH CARE」で構成するものであり、各文字が同じ態様で表示されたまとまりのよい一体的なものであって、上段部の「リッチケア」及び下段部の「RICH CARE」からは、片仮名文字よりよどみなく一連の「リッチケア」のみの称呼が生じる。「リッチケア」なる称呼は一連にテンポよく発音され、「リッチ」と「ケア」とを切り離す理由はどこにもみあたらず、本件商標上段部の「リッチケア」及び下段部の「RICH CARE」からは「リッチケア」のみの称呼が生じることは明らかである。また本件商標中段部の「KANEBO」の語は被請求人の社名を示すものであって、該語より「カネボウ」の称呼が生じる。即ち,本件商標からは、「リッチケア」「カネボウ」のみの称呼が生亡る。また、引用各商標からは、「リッチ」の称呼が生じるほか、引用商標4からは「ジュジュ」「ジュジュリッチ」、引用商標7からは「リッチサンシア」、引用商標8からは「マイルドリッチ」等の称呼が生じ、本件商標と引用各商標とは称呼についても非類似であること明らかである。
次に本件商標と引用各商標とを観念において比較してみる。本件商標は、特定の観念を有しない被請求人が造り出した一連の造語と被請求人の社名とを組み合わせたものである。また、引用各商標を構成する「リッチ」「RICH」の語は「豊富な、濃厚な、金持ちの」等の語義を有するものであって、引用商標4、引用商標6はその語に請求人に関係する商品であることを表示する「ジュジュ」又は図形を組み合わせて構成したものであり、引用商標7は「RICH」シリーズの「サンシア」商品、引用商標8は「RICH」シリーズの「マイルド」商品等の観念を有するものと思料する。したがって、本件商標と引用各商標とは観念においても非類似である。
以上の如く、本件商標は一連一体の結合商標であって、「RICH」「リッチ」の部分のみ要部として抽出して判断されるべきものではなく、明らかに外観、称呼、観念において引用各商標と非類似の商標である。したがって、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、充分なる登録性を有するものと確信している。
5 当審の判断
そこで、本件商標と引用各商標との類否について判断するに、両商標は、別紙(1)ないし(9)に表示したとおりであって、外観上明らかに区別し得るものである。
つぎに、両商標の称呼についてみるに、本件商標は、別紙(1)に表示したとおりの構成であるから、「リッチケア」の片仮名文字、「KANEBO」の欧文字及び「RICH CARE」の欧文字を組み合わせてなると容易に理解させるものである。そして、近時、商標の使用にあたり、その代表的な出所標識と商品毎の商標を併用して、それぞれの商標の持ち味を生かしていくという使用の傾向にある取引の実情においては、本件商標における構成文字中の「KANEBO」の文字は、商標権者の商号の略称として認識されるばかりでなく、これが化粧品に使用され、取引者、需要者間に広く認識されている商標であるから、「KANEBO」の文字と「リッチケア」、「RICH CARE」の文字とは、それぞれ目的価値を異にした機能をもつものとして分離観察され、このような場合、それぞれの文字部分より生ずる称呼をもって略称され取引に資せられる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
ところで、「リッチケア」の文字は、同書、同大、等間隔に一連に書されており、また、「RICH CARE」の文字も同書、同大に書されていて、それぞれは外観上まとまりよく一体的に表現されている。しかも、これより生じる「リッチケア」の称呼も簡潔で滑らかに称呼し得るものである。そして、たとえ、「ケア」、「CARE」の文字が「世話、看護」等を意味する語であるとしても、かかる構成においては特定の商品又は商品の品質、用途等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難いところであるから、むしろ、構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標からは、「カネボウ」あるいは「リッチケア」の称呼、観念が生じるとしても、「リッチ」の称呼、観念は生じないものといえる。
他方、引用各商標は、請求人が主張するように「リッチ」の称呼、観念を生じるものと認められる。
してみれば、本件商標は、「リッチ」の称呼、観念を生じないので、本件商標と引用各商標とは、それぞれ一連に称呼するも、十分区別できるものであり、また、観念においても相紛れるおそれがないものと言わざるを得ない。
したがって、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別紙









審理終結日 1999-01-29 
結審通知日 1999-02-12 
審決日 1999-03-01 
出願番号 商願平8-21276 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (003 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 沖 亘
特許庁審判官 鈴木 斎
小林 由美子
登録日 1997-09-26 
登録番号 商標登録第4061101号(T4061101) 
商標の称呼 1=リ+ツチケア 2=カネボウリ+ツチケア 3=カネボウ 

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