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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X053032
管理番号 1378918 
審判番号 取消2020-300016 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-01-09 
確定日 2021-10-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第5272011号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5272011号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5272011号商標(以下「本件商標」という。)は,「WONG LO KAT」の文字を標準文字で表してなり,平成20年10月15日に登録出願,第5類「漢方薬,薬用ハーブ,医療用ハーブ茶,その他の薬剤,ハーブ茶又はハーブ抽出物を主原料とする食餌療法用飲料,その他の食餌療法用飲料,ハーブ茶又はハーブ抽出物を主原料とする食餌療法用食品,その他の食餌療法用食品」,第30類「ハーブ茶,ハーブ茶製造用調製品,その他の茶,ハーブ茶飲料,その他の茶飲料,コーヒー及びココア,ハーブ茶を主原料とする液状・錠剤状・粉末状・ジェル状・ゼリー状・カプセル状の加工食品,氷,ハーブ茶・ハーブ抽出物入りのキャンディー,その他の菓子及びパン」及び第32類「飲料製造用調製品,清涼飲料のもと,ハーブ抽出物入り清涼飲料,ハーブ茶入り清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として,同21年10月9日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録は,令和2年1月29日であり,本件審判の請求の登録前3年以内の平成29年1月29日から令和2年1月28日までの期間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書及び弁駁書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をした事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により,取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)通常使用権の証明が不十分
被請求人は,「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)」が商標権者のライセンシーである旨述べているが,ライセンシーに関する証明が一切なされていない。
したがって,「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)」が商標権者のライセンシーである証明が不十分であるから,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件商標を使用していることの根拠にはなり得ない。
(2)本件商標の使用者
仮に「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)」が商標権者のライセンシーである旨の証明がされた場合でも,天長食品工業株式会社(以下「天長食品工業」という。)は単なる取引先であるため,ライセンシーではない。
また,乙第5号証では,「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED」側が天長食品工業へ商品を供給する態勢にあったことの証明としては不十分である。
したがって,「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)」が商標権者のライセンシーである旨の証明がされたとしても,乙第2号証,乙第3号証及び乙第5号証をもって,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用しているとはいえない。
(3)要証期間の使用がされていない
乙第2号証及び乙第3号証は,2017年1月30日以降に本件商標を使用していたことの根拠にはなり得ない。
また,天長食品工業は,2017年1月30日以降に,商品の在庫があり,顧客の求めに応じて,これらを販売する態勢にあったことが明らかである旨,述べている。
しかしながら,前述したとおり,天長食品工業は,商標権者のライセンシーではないため,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件商標を使用している根拠にはなり得ない。なお,単に在庫を抱える行為は,商標の使用とはならない。
以上より,本件商標は,要証期間に日本国内において使用していたとはいえない。
(4)乙第4号証について
被請求人は,乙第4号証は,2016年11月25日に撮影された写真である旨述べているが,撮影日が表示されていない。
したがって,乙第4号証をもって,2016年11月25日時点で写真の商品が存在したことの根拠にはならない。
(5)その他
請求人は,商標権者の代表者が経営する「Hung To(Holdings)Company Limited」との間で,2000年5月2日から2010年5月2日まで,商標「王老吉」に関するライセンス契約を締結し,「Hung To(Holdings) Company Limited」に商標「王老吉」の使用を許諾していたが,現在は契約が終了したため,該社は,当該商標の使用に関するライセンスを保持していない。
乙第4号証の商品パッケージに記載されている賞味期限は「2019年12月31日」であり,一般的なハーブティーの賞味期限が3年と仮定すると,2016年に製造されたものと推察できる。すなわち,乙第4号証に掲載された商品は,「王老吉」の使用に関するライセンス契約が終了した後であって,この時期に該商品が製造されていたとは考え難い。
したがって,乙第4号証の有効性に疑義があるといわざるを得ない。
(6)まとめ
以上より,要証期間に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが,各指定商品について,本件商標の使用をしていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。なお,枝番のすべてを示すときは,枝番を省略する。)を提出した。
1 乙第2号証は,商標権者のライセンシーである「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)」から「TENCHO FOODS CO.,LTD」に宛てた2016年11月25日付けのインボイスであり,「WONG LO KAT PRODUCTS」のうち,「WONG LO KAT HERBAL TEA(HERBS)20袋」を合計31.60USD(単価1.58USD)で,「WONG LO KAT HERBAL TEA(INSTANT)30ケース」を合計99.00USD(単価3.30USD)で譲渡したことが記載されている。
2 乙第3号証の1及び2は,天長食品工業が,2017年1月2日に,株式会社松央商事及び友誼商店に「王老吉ハーブティー」を42万1200円で譲渡した際の請求書である。乙第3号証の3は,天長食品工業が,2017年1月3日に,(株)三合総合商事(天華中華物産)に「王老吉ハーブティー」を21万600円で譲渡した際の請求書である。
3 乙第4号証は,商標権者の香港における代理人であるMs.Venus Man及びMs.Grace Chuが,両名が所属する事務所において,2016年11月25日に撮影をした写真である。
乙第4号証の1及び2は,「WON LO KAT HERBAL TEA(INSTANT)」の包装箱の写真であり,乙第4号証の3及び4は,「WON LO KAT HERBAL TEA(HERBS)」の包装紙の写真であって,「WON LO KAT」,「王老吉」及び「吉老王」の商標が併記されている。
「WON LO KAT」は,「王老吉」を広東語で発音したもので,また,「吉老王」は,「王老吉」を右から左へ記載したものであって,これらは同じ商品の出所を表す商標である。
4 乙第5号証は,天長食品工業の代表取締役であるK氏の陳述書であり,K氏は,2017年1月30日以降も,天長食品工業には,「WON LO KAT HERBAL TEA(HERBS)」と「WON LO KAT HERBAL TEA(INSTANT)」の在庫があり,顧客から要求されれば,これらを販売する態勢にあったと述べている。
したがって,2017年1月30日以降,天長食品工業は,該商品の在庫が少なくなれば,JDB HANGZHOU LIMITEDから購入する態勢にあり,商標権者のライセンシーであるJDB HANGZHOU LIMITEDも,天長食品工業から求めがあれば,該商品を天長食品工業に供給する態勢にあったことは疑いがない。
5 乙第2号証及び乙第3号証から,乙第2号証に記載されたTENCHO FOODS CO.,LTDが天長食品工業であることは明らかである。
6 「WON LO KAT HERBAL TEA(HERBS)」は,乾燥した中国製の薬用ハーブを含む袋で,消費者が,家庭で,袋に収容された薬用ハーブをポットのお湯の中に入れて,沸騰させることによって,ハーブティー(薬草湯)を生成することができるようにされたものであり,「WON LO KAT HERBAL TEA(INSTANT)」は,インスタントの混合粉末(drink mixes)を含む複数の袋よりなるものであって,これらは,少なくとも第5類の「薬用ハーブ」及び第30類の「ハーブ茶」に該当するものである。
そして,「WON LO KAT」,「王老吉」及び「吉老王」という商標は,いずれも乙第4号証の包装紙及び包装箱に印刷された商標である。
したがって,乙第3号証の請求書に記載された「王老吉」は,「WON LO KAT」と同義であり,「ハーブティー」は,「HERBAL TEA」と同義であるから,「王老吉ハーブティー」が,「WON LO KAT HERBAL TEA(HERBS)」及び/又は「WON LO KAT HERBAL TEA(INSTANT)」を指していることは明白である。
7 まとめ
以上のとおり,要証期間に,日本国内において,商標権者のライセンシーである「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)」によって,第5類の「薬用ハーブ」及び第30類の「ハーブ茶」に該当する「WON LO KAT HERBAL TEA(HERBS)」及び「WON LO KAT HERBAL TEA(INSTANT)」につき,本件商標が使用されていたことは明らかである。

第4 審尋及び被請求人の回答
1 審尋
審判長は,令和2年10月21日付け審尋において,被請求人に対し,被請求人が提出した証拠によっては,被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解及び請求人提出の令和2年7月17日付け提出の審判事件弁駁書に対する回答を求めた。
2 被請求人の回答
被請求人から,上記1の審尋に対する回答はなかった。

第5 当審の判断
被請求人は,要証期間内に,本件商標権者のライセンシーである「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)」が,本件審判の請求に係る指定商品中第5類の「薬用ハーブ」及び第30類「ハーブ茶」に本件商標を使用している旨主張しているので,以下検討する。
1 被請求人の提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(1)乙第2号証は,「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)」から「TENCHO FOODS CO.,LTD」に宛てた2016年11月25日付けのインボイスであり,「貨名(DESCRIPTION)」及び数量(QUANTITY)の欄に「HERBAL TEA(HERBS)」20袋及び「HERBAL TEA(INSTANT)」30ケースの記載がある。
しかしながら,当該インボイスの日付は要証期間前であり,本件商標の表示は確認できず,「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)」が本件商標の通常使用権者であることを証明する書類は提出されていない。
(2)乙第3号証は,天長食品工業から日本国内に住所を有する会社(株式会社松央商事,友誼商店,(株)三合総合商事(天華中華物産))に宛てた2017年1月2日又は同月3日付け請求書であるところ,いずれも,要証期間前のものである。そして,当該請求書には「王老吉ハーブティー」の記載があるものの,本件商標の表示は確認できない。
また,乙第2号証(インボイス)に係る商品と乙第3号証(請求書)に係る商品が同一の商品であることも確認できない。
(3)乙第4号証は,本件商標権者の香港における代理人であるMs.Venus Man及びMs.Grace Chuの所属する事務所において,2016年11月25日に撮影をした包装箱及び包装紙の写真である旨主張している。
しかしながら,主張する撮影日は,要証期間前であり,また,その撮影の日付の表示もなく,写真の商品が要証期間に存在していたことも確認できず,写真の商品の製造者又は販売者も確認できない。
なお,乙第4号証の包装箱及び包装紙には,「WONG LO KAT」の文字からなる本件商標と社会通念上同一の商標が表示されており,乙第4号証の1,3及び4には,「Herbal Tea(HERBAL TEA)」の文字が表示されていることから,商品「ハーブティー」の包装箱及び包装紙であることが確認できる。しかし,乙第4号証の包装箱及び包装紙には「薬用ハーブ」である表記の記載は確認できない。
(4)乙第5号証は,天長食品工業の代表取締役の陳述書であって,2016年11月25日に,JDB HANGZHOU LIMITEDから,「WON LO KAT HERBAL TEA(HERBS)」及び「WON LO KAT HERBAL TEA(INSTANT)」を購入した旨主張しているが,当該日付は,上記(1)のとおり要証期間前である。そして,2017年1月30日以降も「WON LO KAT HERBAL TEA(INSTANT)」及び「WON LO KAT HERBAL TEA(HERBS)」の在庫がある旨の記載については,本件商標が付された商品について,JDB HANGZHOU LIMITEDと取引がされた具体的な証拠は提出されていない。
2 判断
(1)使用者について
被請求人は,「加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)は本件商標権者のライセンシーである。」旨主張している。
しかしながら,上記1(1)のとおり,加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)とTENCHO FOODS CO.,LTD(天長食品工業)との間において,「ハーブティー」と同義である「ハーブ茶」の取引があったとしても,本件商標の通常使用権者であることを証明する書類は提出されていない。
そうすると,加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)は,本件商標の通常使用権者であるとは認められないから,通常使用権者が本件商標を使用しているものとは認められない。
(2)天長食品工業と株式会社松央商事,友誼商店,(株)三合総合商事(天華中華物産)との取引について
上記1(2)のとおり,天長食品工業が各社に宛てた請求書の日付は要証期間前であり,本件商標の表示は確認できない。また,インボイス(乙2)に係る商品と請求書(乙3)に係る商品が同一の商品であることは確認できない。
(3)商品写真について
上記1(3)のとおり,当該商品写真からは,当該商品が「薬用ハーブ」であることは確認できず,「Herbal Tea(HERBAL TEA)」の文字が表示されていることから,「ハーブ茶」であることは認められるとしても,当該商品(ハーブ茶)の製造者又は販売者は確認できないし,しかも,被請求人が主張する撮影日は,要証期間前であり,被請求人は,要証期間内に撮影されたとする客観的な証拠を提出していないから,当該商品(ハーブ茶)に「WONG LO KAT」の文字が付されているとしても,当該証拠によっては,本件商標権者(又はその使用権者)が,要証期間内に,当該商品(ハーブ茶)に本件商標(本件商標と社会通念上同一のものを含む。)を使用したということはできない。
(4)小括
以上(1)ないし(3)のとおり,被請求人が提出した証拠によっては,要証期間内に,本件商標権者(又はその使用権者)が,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 被請求人の主張について
被請求人は,天長食品工業がJDB HANGZHOU LIMITEDからハーブティーを購入し,日本国内で販売していること,2017年1月30日以降も「WON LO KAT HERBAL TEA(INSTANT)」及び「WON LO KAT HERBAL TEA(HERBS)」の在庫があった旨主張しているが,本件商標が付された商品について,JDB HANGZHOU LIMITEDと取引がされた具体的な証拠は提出されておらず,上記2(1)のとおり,加多宝杭州有限公司(JDB HANGZHOU LIMITED)は,本件商標の通常使用権者であるとは認められない。
4 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,要証期間に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用していた事実を証明したものと認めることはできない。
また,被請求人は,本件商標を請求に係る指定商品に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

審理終結日 2021-05-11 
結審通知日 2021-05-14 
審決日 2021-05-25 
出願番号 商願2008-83719(T2008-83719) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X053032)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 平澤 芳行
佐藤 松江
登録日 2009-10-09 
登録番号 商標登録第5272011号(T5272011) 
商標の称呼 ワンローカット、ワングローカット 
代理人 辻田 朋子 
代理人 岸本 高史 
代理人 中川 慶太 
代理人 大石 皓一 
代理人 下田 一徳 
代理人 樋口 頼子 

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