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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W35
管理番号 1378819 
審判番号 取消2019-300428 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-06-10 
確定日 2021-09-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第5826203号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5826203号商標の指定役務中、第35類「オンラインによる被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5826203商標(以下「本件商標」という。)は、「reverb+」の文字を標準文字で表してなり、平成27年9月8日に登録出願、第35類「オンラインによる被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告,被服店における商品の販売に関する情報の提供,電子メール及びインターネットによる商品の販売に関する情報の提供,インターネットのホームページにおける商品の販売のおける情報の提供」を指定役務として、同28年2月12日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和元年6月25日にされたものであり、この登録前3年以内である平成28年6月25日から令和元年6月24日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、令和元年7月7日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)及び同2年9月7日付け回答書に対する同3年2月12日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として審判請求書により甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件商標の指定役務中の第35類「オンラインによる被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)について使用している事実は認められないから、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録は取り消されるべきものである。
2 弁駁書の要旨
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
被請求人は、権利者として商標を使用している証拠として、ジャケットと思われるものが撮影された写真を提出している(乙1)。
また、乙第1号証のジャケットのえり部分に付されていたと思われるタグ (「reverb+」の表記)と同じくジャケットに下げ札として付されていたと思われるブランドラベル(「Reverb+」の表記。)とが並べて撮影された写真及び電子商取引サイトamazon.co.jp(以下「アマゾン」という。)のページの写真を提出している(乙2の1)。
しかしながら、乙第1号証のジャケットの写真及び乙第2号証の2のえり部分のタグとブランドラベルの写真には、いずれも当該写真の撮影日あるいは撮影場所等を示す情報はなく、権利者によって要証期間に日本国内で本件商標(社会通念上同一のものを含む。)が使用された事実を証明する客観的な証拠とはいえない。
また、乙第2号証の1のアマゾンのページについては、請求人が調査したところ、ページが現在も存在していることは確認できたものの、当該ページからは運営管理者の情報が不明であった。
さらに、当該ページ上には、「ブランド:reverb」の記載が確認できるものの、本件商標あるいは、これと社会通念上同一のものが使用されている事実を見つけることはできなかった。
したがって、たとえ、乙第2号証の1のアマゾンのページが権利者に係るものであると仮定したとしても、本件商標あるいはこれと社会通念上同一のものの使用を示すものではないため、権利者によって要証期間に日本国内で登録商標(社会通念上同一のものを含む。)が使用された証拠とはいえないものである。
(2)乙第3号証について
被請求人は、権利者として商標を使用している証拠として、エクセルファイルを提出している(乙3)。
そもそも当該ファイルに収められたデータの内容は不明であるが、おそらく被請求人の個人的な販売管理台帳的なものと思われる。
請求人が当該データを調べた限りでは、当該データの中に、本件商標あるいはこれと社会通念上同一のものが使用されている事実の証明につながると思われる内容を見つけることはできなかった。
したがって、当該エクセルファイルは、権利者によって要証期間に日本国内で本件商標(社会通念上同一のものを含む。)が使用された証拠とはいえないものである。
(3)結語
以上の理由により、乙各号証として提出された証拠資料はいずれも、権利者が本件商標を使用していることを証明する証拠として不適当であり、本件商標が要証期間に本件審判請求に係る指定役務について使用されていたと認めることができない。

第3 被請求人の主張の要点
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び令和2年7月31日付け審尋(以下「審尋1」という。)に対する同年9月7日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、答弁書において、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。乙第2号証が重複するので、それぞれ乙第2号証の1及び乙第2号証の2とする。)を提出した。
1 答弁書による主張の要旨
本件商標は、権利者が断続的に使用している。
使用状況について、当該商標を付した商品(衣服等)は、平成28年2月12日から同30年上旬にわたって、アマゾンにて販売しており、その後、共同経営者とのトラブルにより離別したため、現在は同31年の再スタートに向けて仕入先の開発中である。
2 審尋及び被請求人の回答
(1)当審においてした審尋
審判長は、審尋1、令和2年9月30日付け審尋(以下「審尋2」という。)及び同3年3月3日付け審尋(以下「審尋3」という。)において、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものと認めることができない旨の合議体の暫定的見解を示し、被請求人に対し、当該審尋に対する意見を求めた。
(2)回答書の要旨
被請求人は、審尋1に対し、回答書を提出し、答弁書で提出した乙第1号証及び乙第2号証を差し替える旨を述べ、改めて、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
なお、被請求人は、審尋2及び審尋3に対し、何らの応答もしていない。

第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消を免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定役務のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の主張及び被請求人が提出した乙各号証は、以下のとおりである。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、「男性用ジャケット」と思しき写真であり、当該商品のえり部分の商品タグに「reverb+」の文字及び紐付きの商品ラベルに「Reverb+」の文字が表示されている。
なお、写真の撮影日、撮影場所及び写真の撮影者が不明である。
(2)乙第2号証について
ア 乙第2号証の1は、被請求人が、アマゾンのウェブサイトの写しと主張するものであり、上部の検索キーワードを入力するエリアに「テーラードジャケット 2020 reverb」の文字が表示されている。
また、該アマゾンのウェブサイトの写しの中央に「男性用ジャケットの写真」が表示されており、その横には「テーラードジャケット メンズ 長袖 秋春スタイル スリム」、「ブランド:reverb」等の文字が表示されている。
なお、該アマゾンのウェブサイトのアドレス及びインターネットの掲載日が不明である。
イ 乙第2号証の2は、「reverb+」の文字が表示されている「商品タグ」及び「Reverb+」の文字が表示されている「商品ラベル」であるが、これらは、いかなる商品に使用する「商品タグ」及び「商品ラベル」であるのか不明である。
また、「商品タグ」及び「商品ラベル」の作成日及び作成者は不明である。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、USBメモリであるが、当該USBメモリに、いかなる内容の情報が入力されているのかを把握することができない。
3 判断
(1)本件商標の使用者について
乙第1号証で提示された「男性用ジャケット」と思しき商品には、「reverb+」の文字が表示されている「商品タグ」及び「Reverb+」の文字が表示されている「商品ラベル」が取り付けられていることは確認できるものの、「商品タグ」及び「商品ラベル」には、販売者及び製造者の記載がないため、当該「男性用ジャケット」の販売者及び製造者は不明である。
また、アマゾンのウェブサイト(乙2の1)において、商標権者の氏名が記載されているとしても、オンラインによる「男性用ジャケット」の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供を行った者は、アマゾンである。
そして、被請求人は、商標権者が、アマゾンに対し、本件商標の使用を許諾していることを証明していない。
したがって、本件商標の使用者は、特定することができない。
(2)使用役務について
被請求人は、本件商標を付した商品「男性用ジャケット」を平成28年2月12日ないし同30年上旬までアマゾンにて販売した旨主張するが、上記(1)のとおり、オンラインによる「男性用ジャケット」の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供を行った者は、アマゾンであって、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれでもない。
したがって、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれが、本件審判請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標を使用したことを証明していない。
(3)使用商標について
「男性用ジャケット」と思しき商品のえり部分の商品タグに使用された「reverb+」の文字及び紐付きの商品ラベルに使用された「Reverb+」の文字(以下「reverb+」及び「Reverb+」をまとめて「使用商標」という。)は、本件商標と構成文字を共通にするものである。
また、本件商標及び使用商標は、いずれも「リバーブプラス」の称呼を生じるものである。
そうすると、本件商標と使用商標とは、これらの外観及び称呼が同一又は類似することから、社会通念上同一の商標であると認められる。
(4)使用時期について
被請求人は、平成28年2月12日から同30年上旬にわたって、男性用ジャケットをアマゾンにて販売した旨主張するが、「男性用ジャケット」が、アマゾンのウェブサイトにおいて、いつ、販売が開始されていたのかは明らかではない。
また、「男性用ジャケット」が、いつ、製造された商品であるのかについても明らかではない。
(5)小活
上記(3)のとおり、「男性用ジャケット」と思しき商品の商品タグ及び商品ラベルに使用された使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
しかしながら、上記(1)のとおり、本件商標の使用者が特定されていないため、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を使用していることを証明していない。
また、上記(1)のとおり、アマゾンのウェブサイトにおいて「男性用ジャケット」を販売する行為は、アマゾンが提供する役務であって、アマゾンは、本件商標の使用を商標権者から許諾されていることを証明していないため、上記(2)のとおり、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定役務について本件商標を使用していることを証明していない。
加えて、上記(4)のとおり、アマゾンのウェブサイトにおいて「男性用ジャケット」が、いつ、販売が開始されていたのかは明らかではなく、また、「男性用ジャケット」が、いつ、製造された商品であるのかは明らかではないから、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標について、商標法第2条第3項各号に該当する使用があったことを証明していない。
その他、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが要証期間に日本国内において、本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用したことを認めるに足りる証拠も提出していない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内おいて、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定役務について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「結論掲記の指定役務」ついての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2021-04-23 
結審通知日 2021-04-28 
審決日 2021-08-03 
出願番号 商願2015-86876(T2015-86876) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W35)
最終処分 成立  
前審関与審査官 安達 輝幸加藤 桜子 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 豊田 純一
小俣 克巳
登録日 2016-02-12 
登録番号 商標登録第5826203号(T5826203) 
商標の称呼 リバーブプラス、リバーブ 
代理人 高橋 英樹 

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