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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W02
審判 全部申立て  登録を維持 W02
審判 全部申立て  登録を維持 W02
管理番号 1378062 
異議申立番号 異議2020-900337 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-17 
確定日 2021-09-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第6298448号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6298448号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6298448号商標(以下「本件商標」という。)は、「クリスタルアート」の文字を標準文字で表してなり、令和元年9月27日に登録出願、第2類「塗料」を指定商品として、同2年9月7日に登録査定され、同月30日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第4386322号商標(以下「引用商標」という。)は、「CRYSTAL BASE」の欧文字を横書きしてなり、平成8年10月8日に登録出願、第2類「塗料,染料,顔料,防錆グリース」を指定商品として、同12年5月26日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標の構成
本件商標は、「クリスタルアート」の片仮名を横書きに書してなり、引用商標は、「CRYSTAL BASE」の英文字を横書きに書してなる。
(2)本件商標と引用商標の類否
ア 称呼
本件商標の構成中、「アート」は「芸術、美術」を意味する語であり、本件商標の指定商品である「塗料」は美術作品の制作にも用いられることから、前段の「クリスタル」と比して識別力は弱いと考えられるため、本件商標の要部は「クリスタル」の部分であり、この部分から「クリスタル」の称呼が生じうる。
そうすると、本件商標からは、その文字に呼応して「クリスタルアート」の称呼が生じるほか、「クリスタル」の称呼を生じる。
一方、引用商標の構成中、「BASE」は「基礎、下地」といった意味の語として理解され、引用商標の指定商品である「塗料」等の分野においては、上塗りする材料と、下地(塗られる木材や金属板)を接着する等の目的のために「下塗り(ベース塗料)」と呼ばれる塗料が使用されていることから、指定商品との関係で「BASE」の識別力は弱く、「CRYSTAL」が引用商標の要部と考えられる。
そうすると、引用商標からは、その文字に呼応して「クリスタルベース」の称呼が生じるほか、「クリスタル」の称呼を生じる。
上記より、本件商標と引用商標は「クリスタル」の称呼を共通にする類似の商標である。
イ 観念
本件商標の構成中、「クリスタル」は「水晶、クリスタルガラス、透明な」といった意味の英単語を片仮名表記したものであり、「アート」は「芸術、美術」を意味する語として知られているが、「クリスタルアート」が熟語的な意味を有するものではないため、本件商標は特定の観念を生じない造語として認識されるものである。
一方、引用商標の構成中、「CRYSTAL」は「水晶、クリスタルガラス、透明な」といった意味の英単語であり、「BASE」は「基礎、下地」を意味する英単語であるものの、「CRYSTAL BASE」が一連で何らかの意味を有するものとして理解されるとは言えず、引用商標は特定の観念を生じない造語として認識されるものである。
よって、本件商標と引用商標は、ともに特定の観念を生じない造語として認識されるものであり、観念において対比することのできない商標である。
ウ 外観
本件商標は片仮名で表示されており、引用商標は英文字で表記されていることから両商標は外観においては類似しない。
エ 外観、観念、称呼の総合的観察
本件商標と引用商標は、外観においては相違するものの、「クリスタル」の称呼を共通にする商標であることから、外観、観念、称呼を総合的に判断した場合には、出所の混同を生ずるおそれのある類似の商標である。
オ 指定商品
本件商標の指定商品「塗料」は、引用商標の指定商品「塗料,染料,顔料,防錆グリース」と明らかに類似する。
(3)まとめ
本件商標は、引用商標と類似の商標であって、その指定商品も類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり「クリスタルアート」の文字を標準文字で表してなり、その構成文字は同書同大等間隔でまとまりよく一体的に表され、これから生じる「クリスタルアート」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、上記「クリスタルアート」の文字は、一般的な辞書類に載録されておらず、特定の意味合いを想起させる語として知られているものとも認められないところ、たとえ、その構成中の「アート」の文字が「芸術、美術」などの意味を有する(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)としても、本件商標の指定商品である「塗料」との関係においては、例えば、商品の品質や用途を表すなど、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとみるべき事情は見いだせないものであるから、本願商標は、その構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応し「クリスタルアート」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり「CRYSTAL BASE」の欧文字を横書きしてなり、その構成文字は、「CRYSTAL」の文字と「BASE」の文字の間に半文字分ほどのスペースがあるとしても、同書同大でまとまりよく一体的に表され、これから生じる「クリスタルベース」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、上記「CRYSTAL BASE」の文字は、一般的な辞書類に載録されておらず、特定の意味合いを想起させる語として知られているものとも認められないところ、たとえ、その構成中の「BASE」の文字が「土台。基礎」などの意味を有する(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)としても、引用商標の指定商品である「塗料,染料,顔料,防錆グリース」との関係においては、例えば、商品の品質や用途を表すなど、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとみるべき事情は見いだせないものであるから、引用商標は、その構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
そうすると、引用商標は、その構成文字全体に相応し「クリスタルベース」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、その外観及び称呼は、構成態様及び語調語感が明らかに異なり、また観念は比較することができないから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標及び引用商標は、その構成中の「アート」及び「BASE」の文字が指定商品との関係で識別力が弱く、「クリスタル」及び「CRYSTAL」の文字部分が要部であり、そこから生じる「クリスタル」の称呼が共通する旨主張している。
しかしながら、本件商標及び引用商標は、上記(1)ア及びイのとおり「クリスタルアート」及び「クリスタルベース」の称呼を生じるものと判断するのが相当であり、他に、両商標から「クリスタル」の称呼を生じるというべき事情は見いだせない。
したがって、申立人のかかる主張は、採用することができない。
オ 小括
上記アないしエのとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品の類否について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2021-09-07 
出願番号 商願2019-126680(T2019-126680) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W02)
T 1 651・ 261- Y (W02)
T 1 651・ 263- Y (W02)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 駿也 
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 石塚 利恵
大森 友子
登録日 2020-09-30 
登録番号 商標登録第6298448号(T6298448) 
権利者 日本ペイント株式会社
商標の称呼 クリスタルアート 
代理人 前川 純一 
代理人 森田 拓 
代理人 外川 奈美 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 前川 砂織 
代理人 青木 篤 
代理人 山崎 和香子 
代理人 松永 章吾 

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